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金沢には有名料亭がいくつもありますが、つる幸さんは中でも代表格。数々の食通の方が訪れている名店です。贔屓にされていている方も多いですね。店主の河田康雄さんは二代目で、修業は「大阪の味吉兆」にてされたそうです。1994年若干28歳にして「料理の鉄人」に出場し、道場六三郎さんと争われた方でもあります。テレビ番組「情熱大陸」で特集されたことが記憶に新しく感じられます。
外食文化研究家 雅珠香

【受賞歴】
・「ミシュランガイド富山石川(金沢)特別版2016」2ツ星獲得
・「ゴエミヨ東京・北陸2017」17.5/20点獲得(北陸最高得点)

お料理は、優等生なだけでなく、精度の高い仕事の上に意表を突くサプライズを加えた感動の連続で、食べ手の心を掴んで離しません。意外な食材の取り合わせで、複合的な味わいのマトリックスを披露しているところにも注目です。トリュフやスパイスなど、意外性のある食材を合わせ、一歩先にあるおいしさを構築してあるのには毎度驚かされます。無論、旬の最上級食材を一番おいしく調理することにも長けていらっしゃいますから、安心感の上に遊び心溢れる大輪の花が咲いたようなお料理が楽しめます。また、しつらえや添え物も細部まで凝っていて、見どころたっぷりなんですよ。そのため、お店を後にしても、演劇を観終わったように夢心地です。
また、夜はもちろんのこと、昼の1万円コースでも手抜きなくレベルの高さを見せつけてくれるのが河田さんです。でも、やはり夜のしっかりコースも味わっておく価値があると言えます。私は昼も夜も一通りの価格帯で食べたことがありましたが、やはり夜の3万円コースに大きな価値が感じられました。

こちらは10月のディナーで3万円以上のコースです。
実りの秋、さまざまな食材が旬を迎える季節ですから、伺う前からドキドキでしたが、良い意味で期待を裏切られました。

・伊勢海老の温製サラダ
それは立派な伊勢海老の登場に、最初から心をガッチリと掴まれてしまいました。“サラダ”と聞くと構えずに済むからでしょうか、そんなネーミングなのですが、なんと能登産の松茸も入っていました。しかも豪華なだけじゃない!調理は端正で、火入れまで気を抜かずみずみずしい仕上がりで美味。
外食文化研究家 雅珠香

・八寸
カマスの燻製ずし、インカのめざめコノワタがけ、フォアグラのゼリー寄せ、イクラ、シャインマスカットの白和え、香箱蟹(石川県が解禁前だったので新潟産にて)、茶そばで作った栗のイガは本物と見間違うくらいの完成度の高さ!
外食文化研究家 雅珠香

茶碗蒸しはうなぎ蒲焼きのせで、なんとスパイスが効いているという驚きあり。スパイスの香味とうなぎは相性抜群。
外食文化研究家 雅珠香

・お吸い物
カブラを菊の花に細工した「菊カブラ」に蒸し雲丹をのせて。蕪の甘さが蒸した雲丹にぴったりなんですね。素材の甘さを味方に付けた、秋らしいお吸い物でした。
外食文化研究家 雅珠香

・お造り
加賀太きゅうりを使い、千枚田をイメージした演出。新米の季節にこれは嬉しい。出てきたら必ず歓声のあがる一品だと思います。
上段左から、ヒラメ、甘海老ラー油射込み、天然マグロ、サルエビ、カツオ、バイ貝、サワラ、アカイカ、ガスエビ。お醤油と梅肉ソースで。
ラディッシュのトンボ、キュウリで作ったカエルにはもろみ味噌が!
外食文化研究家 雅珠香
  
・能登アワビのソテー
能登産を丸々1つ独占!というのにも喜びひとしお。厚切りを頬張る嬉しさよ。味の寄り添わせ方もさすがですね。食材の個性を持ち上げながら、オーソドックスではない美味しさに仕上げてあります。うまい!
外食文化研究家 雅珠香

・能登牛の鍬焼き
柿釜で秋らしい演出。脂は上質ですが、山椒で引き締めてあるのもいい。丹波の黒豆を添えて。
外食文化研究家 雅珠香

・海老芋と穴子の湯葉あんがけ
揚げ海老芋と穴子の甘さ、香ばしさ、そして食感がマッチ。さらに湯葉あんかけが全ての食材を優しく包み込んでまとめあげている一品。なるほど、そう合わせるのか!と納得。こちらも能登の松茸が添えてあります。  
外食文化研究家 雅珠香
  
・蓮根餅のくず葉包み
からすみ入りで塩気が上手に寄り添い、シャクシャクともちもちの食感も美味。くず葉の青く清涼感のある香りにも誘われます。
外食文化研究家 雅珠香

・松茸ごはん秋刀魚の燻製のせ、赤出汁、香の物
秋満載のお食事!端正な味わいの松茸ごはんに、秋刀魚の燻製がいいうまさと旬を添えています。香の物は、糠漬けの他にナスいしる漬けなど多彩。ここまでのこだわりにもう感服。
外食文化研究家 雅珠香

・水菓子 グレープフルーツグラタン
柑橘の弾けるような酸味がツンツン来そうですが、爽やかで優しく、ジューシーに仕上がっているのがスゴイ!つる幸さんでは、毎度デザートまで楽しみです。
外食文化研究家 雅珠香
   
・お抹茶、お菓子
外食文化研究家 雅珠香

どうです、この素晴らしいコース!
ちょっと価格は張りますがオススメです。

その他、つる幸さんで記憶に残っているのが「お食事」なんですよね。

・お食事 タケノコご飯(春)
炊き込みご飯を、春慶塗りのおひつで出してくださるところがさすがです。
さらに驚くのは、塩昆布とキャビアの昆布締めの味を添えて頂くところです。キャビアの昆布締めなんて食べたことなかったですが、通常のキャビアよりも横幅のある旨味が加算され、味にまろみが増し、大変美味なものでした。タケノコご飯自体も、さすがご飯と調和のとれた上品な仕上がりで、風味の演出も程よい。シンプルなものだから、こんなに端正に仕上げるのも大変だと思います。
外食文化研究家 雅珠香

外食文化研究家 雅珠香

外食文化研究家 雅珠香

・鮑と新生姜ご飯(初夏)
外食文化研究家 雅珠香

・トリュフご飯
馥郁たる香りと共に運ばれてきます。この香りだけで白いご飯が食べられそうなくらいです(笑)他の茸からも旨味が出ているので、味わいも抜群。味と香りの掛け算で旨さはマックス値に。
外食文化研究家 雅珠香

さらにスペシャリテにも注目ですよ。

【名物料理、スペシャリテ】
・能登牛のアスパラ鍋 
薄切りにした能登牛と細切りにしたアスパラの鍋で、なかなかない取り合わせですが、これがなかなかのマッチングで驚きがありました。アスパラと木の芽を肉で巻いて食べると、木の芽が爽やかな風を吹かせ、さらに牛のミルキーな味わいを際立たせます。アスパラの淡泊さとやや残るシャキシャキ感もいい具合。なるほど!な一品です。
外食文化研究家 雅珠香

外食文化研究家 雅珠香 

・加賀太きゅうり釜 治部煮(蒸しアワビ、才巻、太胡瓜、椎茸、ミニオクラ、蓮根、なでしこ麩)
私も大好きな一品なのでコースに追加することもあります。ご存じの通り、治部煮と言えば江戸時代から伝わる金沢の郷土料理で、出汁はこってりした甘さのあるとろみ餡ですね。つる幸の治部煮は、加賀野菜である太きゅうりをくり抜いて器にした風流な料理です。最初は蓋を被せて出てくるので、太胡瓜一本が器に鎮座している状態でインパクト大ですよ。透明感のある出汁餡と、きゅうりの青い風味とのマッチングが絶妙で、喉の奥が震えるうまさです。
外食文化研究家 雅珠香