「季節料理つばき」店主自ら山で調達する野生食材のコースは“Mountain to Table”と言える。春は山菜、夏は川魚、秋はキノコ、冬はジビエ。世界的シェフも注目するジビエ料理

料理: 8.5 その他: 7.5 ポイントについて
季節料理つばき (きせつりょうりつばき)
営業時間
定休日 火曜
価格帯 【夜】8,000円〜 ※要予約
訪問回数 14回

※予約は紹介制のような感じです。
店主の小村昭義さんが自ら山に入って調達した野生の食材を食べさせてくれるお店。これぞ“Mountain to Table”と言える。場所は金沢の奥座敷「湯涌温泉」エリアなので中心部からは少し離れますが、通にはぜひ足を運んでもらいたい場所。春は山菜やタケノコ、夏は鮎や岩魚、秋はキノコや自然薯、さらに冬は猟師でもある店主が仕留めたジビエを提供。小村さんのジビエは、猟師やレストラン関係者の中でも信頼度が高く、同店は“金沢のジビエ総本山”と呼ばれています。ちなみに熊鍋は何度も通っている常連のみへの提供。“熊は山の神”と言われ、猟師さんにとって一番特別なものであり数も限られるため。
金沢と言うと街中の兼六園や金沢城のイメージが大きいですし、街中で生活していると想像もつかないのですが、金沢市の山も深く入れば秘境のようなのだそうです。

囲炉裏のお部屋が最も人気。

外の緑が見えるテーブルのフロアもあります。凝った装飾やテーブルは小村さん自ら作ったもの。

デンマーク、コペンハーゲン「noma」レネシェフたちも2020年1月に訪れました。

さらに、「noma」出身のトーマスシェフ率いる「INUA」チームも訪れていました。
  
(最終訪問 2020年12月21日)
※12月21日に訪問しジビエ頂いてきましたが、写真撮影が不可になったので、以前の投稿を参考までにご覧ください。
また、紹介制のような形になったのと、小規模での営業になったので、予約が難しいかもしれません。

夏 ゴリ、鮎、茗荷の花の熊鍋 2020年8月28日

●三つ葉、ミズブキ、ジュンサイ、エゴマ
ほんと毎回のことながら同店らしさを感じるプロローグ。山の繊細を少し摘んできて、山の景色を見せてくれる。三つ葉のおひたしにはヨメナの花びらをはらり。ミズブキには根っこの赤い部分と茗荷をたたいたものをのせて煎り酒をかけて。ジュンサイは梅酢でカタバミの葉とヤブミョウガの花を泳がせる。エゴマとキクラゲにはハギの花をのせて。
●日本鹿 たたき
日本鹿は胡麻油に珠洲の天然塩を振って。天然クレソンとイタドリの花を添えて。
●犀川 山女魚
山女魚の造りを山女魚の肝醤油で。美しい締まった身は食感よく、咀嚼するごとに繊細な甘みが立ち上がる。茗荷と野芹の花を添えて。
●穴熊のレバー、猪ハツ

●ゴリの唐揚げ
今年は梅雨が長くてずっと捕れなかったため、前回訪問では食べられなかったので、出て来た瞬間飛び上がるように喜びました。頭から尻尾まで、口の中で乾いた音が鳴るたびに、香ばしさと共に美味しさが弾ける。うまい。唐揚げ用に選んで獲ってきたというこの小さめのサイズがちょうどでした。

●犀川 鮎塩焼き
今年の梅雨は異様に長く悪天続きだったので、前回は庄川天然鮎でしたが、いよいよ犀川の鮎のお出まし。

鮎の塩焼き、つばきさんが一番うまいと思っているのは私だけじゃないはず。とにかく焼きが絶妙。ワタと骨の具合を気にするあまり、焦げ焦げなところもありますが、そうすると苦味がとても強くなっちゃうんですよね。つばきは外も中もちょうどの頃合いで、シンプルな料理に力量が現れているなと感じます。いくらでも食べられる。

●熊鍋 茗荷の花
つばきの熊鍋は格別だが、今回は一段と驚くものだった。
いつも熊鍋に加えてくれるのは野三つ葉や野ゼリや花山椒で、鍋に山の緑が加わる。今回はなんと、見たこともない透明感のある黄色というか、承和色(そがいろ)の葉が山盛り入れられたと思ったら、なんと茗荷の花と聞いてびっくり。普段は見ないし、これだけこんもりとくると圧巻だし、むしろ食べられるんだ?という感じだけど。
まるで妖精の羽のような風姿で、繊細で、か弱いような美しさ。そのまま食べてみるとふわっとミョウガの風味が口に広がる。

これをさっと出汁に浸すくらいで熊と共に頂く。つばきの熊鍋は、すき焼き風でも味噌ベースでもなくクリアなスープ。透明だが、熊の脂が調和する力強い旨味を持っており、ずっとおいしい余韻が残る。野三つ葉などは味わいのアクセントに良いが、ミョウガの花はこの出汁に寄り添い、淡い風味でふっと持ち上げる感じ。今まで知らなかった山の妙味だ。絶品。

●鮎ご飯
鮎の身をほぐしてザクザク入れるわけではなく、炭火焼の香ばしさが感じられる皮目を混ぜ込んであります。

食後は赤紫蘇グラニテ。

さらに、お菓子とクロモジ茶。笹の葉に包まれているのは、「吉はし」さん製の冷たいお菓子で、蓮根のデンプンと抹茶で作ってありもっちりした食感が美味だ。

夏 鮎、岩魚、山女魚とジビエ 2020年7月24日

●カンゾウの花、ミズブキ煎り酒茗荷のせ、ワラビ、蓴菜
いつもながらつばきさんらしい、山の景色を切り取ってきた前菜のプロローグ。鮮やかな黄丹色はカンゾウの花。

●日本鹿
日本鹿は胡麻油に珠洲の天然塩を振って。天然クレソンとミソハギの花を添えて。

●山女魚
清流を跳ねる山女魚の姿が想像できる美味しさ。野芹の花を添えて。

●シシカツ
揚げたて熱々。力強い赤身はやわらかで美味。独活の花を揚げたものを添えて。

●庄川鮎塩焼き
今年の梅雨は異様に長く悪天続き。それでも天然ものを入れられるというのは地方の強み。そしてこの時期は鮎を食べる機会が多いですが、川魚得意でない私にとっては「うまい」と言い切れるものにあまり出会ったこたはないけど、つばきのは絶品だ。天然であるというだけでなく、焼きが素晴らしく同店の凄みを再確認。いくらでも食べられる。

●岩魚 唐揚げ
姿揚げでも切り身揚げでもなく、身を外側にくるっとして頭から尻尾まで揚げてある。見事にふっくら揚がった身とサクサクの頭と中骨。美味。

●熊鍋
常連特権の熊鍋。つばきの熊鍋は、すき焼き風でも味噌ベースでもなくクリアなスープ。透明だが、熊の脂が調和する力強い旨味を持っており、ずっとおいしい余韻が残る。この時期は野三つ葉の花と共に。個性的な風味が良いアクセントとして一役買っている。

●鮎ご飯

グラニテとお菓子でシメ。

春 山菜とジビエ 2020年5月25日、岩魚6月7日

前回のジビエ三昧から2ヶ月、5月25日の訪問。今回は山菜とジビエ、メインは熊鍋でした。
●ウルイ、ソバナ、ユキザサ、モミジガサ
ウルイ以外は聞いたことのない山菜で最初からなんだか興奮してしまう。全部色味が一緒だが味は違う。これがつばきの醍醐味。
ウルイは煎り酒で。ユキザサはそれ自体の味がしっかり濃いので塩だけで。モミジガサが1番個性的な味だった。

●手取川サクラマス
みずみずしさを保ちながら程よい燻製。美味。

●破竹と独活の炊き合わせ、信田巻き

●日本鹿 クレソン
白い花が少し咲いた天然クレソンを添えて。しっとりそして生命力を感じる日本鹿のうまさ。

●山菜天ぷら
(左から)山ヨモギ、独活、コシアブラ、ハリギリ、アマドコロ、山ツツジ
自ら山に入り食材を調達しているからこそ切り取ってこられる山の繊細。

●熊鍋 花山椒
前回は野ゼリが山盛りでしたが、今回は花山椒が山盛り。


●猪スペアリブ
前回食べてうまさに驚いたやつ。シンプルな塩コショウが猪の旨味を引き立てます。

●コシアブラご飯
少し甘めに味付けて、お揚げも加えて。コシアブラのほのかな苦味が絶妙なアクセントとなり次の一口を急がせます。

  
さらに日をあまり置かずに訪れた6月7日には、山菜は終わりかけで天麩羅は多種ありませんでしたが、これらのコースに加え岩魚が食べられました。
●天然岩魚(2020年6月7日訪問)
湯涌を越えた福光の辺りで獲れた岩魚だそうです。頭からカブリと余さず頂きました。
山ヨモギ、アマドコロ、山ツツジの天麩羅を添えて。

冬 ジビエ 2020年3月11日

前年の暖冬とは比べ物にならないくらいの雪無し暖冬だった今シーズン。さらにイノシシなし年となったわけですが、そんな中でもキジ湯引き、日本鹿たたき、イノシシスペアリブ、熊鍋などと、さすが小村さん!なラインナップでした。ジビエを熟知したこの人だからこその、部位に対する絶妙な火入れと味の添え方。どっしりしたソースや濃い味付けをしている訳ではなく、ジビエの美味しさを最大限に発揮させて和食として着地させてあるところがすごい。ここに来るたびに毎度和としてのジビエのおいしさを教えてもらいます。
●先付(左から、山菜カンゾウ梅肉がけ、アサツキ、三つ葉酢味噌、自然薯)

●キジ湯引き
透明感のある薄桜色をした身は、ササミに似ていますが、キジの濃い旨味が湧き上がるように広がり余韻に残ります。美味。

●日本鹿たたき
ジビエのマイナスに働く味の要素は取り除かれていて、しっとりしていて生命力が溢れる味の濃さ。目尻が下がるうまさ。

●イノシシスペアリブ
骨付き部位のうまさ。これは何日経っても忘れられない。シンプルな塩コショウが引き立てるシシの旨味。手で持ってかぶりつき、最後は骨をしゃぶる。
添え物は行者にんにく、椿の天ぷら。

●鴨葱
美しいルビー色の鴨肉は味も呼応し濃い。添えてあるネギも表面香ばしく中とろとろでうまい。

●熊鍋
鍋にかぶさるようにして野ゼリが山盛り。今回のスープはすき焼き風でも味噌ベースでもなく、透明感のある和な薄味の出汁。熊の脂や旨味が一旦スープに溶け出し、再び熊肉に良い味付けをする。ああ、なるほどな味わい方だった。


熊の滋養強壮効果なのか、食べ終える頃には体もポカポカに。

シメはうどん。スープに溶け込んだ熊の脂がうどんをコーティングする。

春 タケノコ、山菜、サクラマス

●先付(左から、ソバナ、かたくりの花、シズクナ、独活のキンピラ)
ソバナやシズクナは、あまり耳なれないですね。こんなの食べられるなんて、つばきさんらしいです。繊細な山の美味、かたくりの花も。独活は甘辛い味付けで、かつ、ほのかに余韻を残す苦味がクセになり酒を進めさせ、食べ出したら止まりません。

●タケノコ煮物、わらびのしのだ巻き
タケノコのシラコ(白いタケノコ)を薄味調理し、素材力を全面に出した煮物です。タケノコは頭の柔らかいところが最上のおいしさだと思っていましたが、シラコは根に近い部分が旨味があって美味、さらに食感もやわらかく、いつもとは別物のタケノコのおいしさに出会いました。

●サクラマス
九頭竜のサクラマスを軽くスモークをかけ、クレソンを巻いて。こちらもサーモンなどと比べると全く別物のおいしさ。パワーみなぎる味わいを、クレソンのシャキッとした爽やかさが引き締めてくれます。

●天然ヤマメの塩焼き
川魚は活きが命。塩焼きは、ピチピチを串に刺して焼かなくてはなりません。囲炉裏に刺したのを見ているだけでも酒が進む。化粧塩を打っただけの天然ヤマメ、余計な解説はいらない。うまい!

●山菜天ぷら
ヤマヨモギ、行者ニンニク、独活、タラの芽、コシアブラ、こごみ。店主自ら今朝採ってきたばかりの山菜がズラリ。風味、香気、喉の奥に残る旨味と苦味、それぞれの妙味を食べ比べできるのは贅沢なことです。冬の寒さに耐えた春の味。鮮度がいいからこそ、それぞれの個性がしっかり立っていて面白いし、まだみずみずしい。

●野三つ葉とイノシシのしゃぶしゃぶ風
野三つ葉は私も大好き。薬味のようにとげとげしい味わいではなく、葉物野菜のような感覚で食べられるのがいいですね。ほんのりくる苦味もまた味わい深い。イノシシが入っていますが、あくまで主役は野三つ葉!に納得。

夏 犀川上流の鮎、ゴリ

鮎やゴリなど川魚三昧。これらも犀川の上流で獲ったもの。

秋 天然きのことスッポン鍋

サクラシメジ、サマツ(白松茸)、天然マイタケ、シバタケ、アオヌメリなどのコケ三昧!(石川県ではキノコのことをコケと呼びます。)山の滋味に浸りました。河北のスッポンは鍋にて。

冬ジビエ2019 シシカツ、ぼたん鍋

大雪だった昨年とは対照的に今年は暖冬で猟師さん的には不作の年。雪はチラつきますが積もりませんね。夏の台風が異様に多かったこともあり、餌が落ちてしまったのも大きく影響したようです。そんな中でもつばきさん、鹿や雉、熊、鴨とさすが。特に今回は猪が多かった印象です。
(写真は一部)
●前菜

●鹿たたき
生命力が爆発しそうな味わいの濃さ。しっとしりていて品もある。

●シシカツ
なんだこのうまいの!!っとびっくりなおいしさ。肉の味の濃さが衣の香ばしさに負けてない。ソースなど無しのそのままがうまい。

●イノシシのスペアリブ
印象的なうまさだった一品。骨の周りの肉はうまいが、シシのスペアリブというのも本当にうまい。

●鴨ネギ

●ぼたん鍋
囲炉裏にかかる鍋を眺めているだけで、ああ日本人でよかったと幸せな気分になってしまう。ふつふつと沸くお鍋からお味噌のよい香り。薄切りのシシ肉とネギ、味噌、シンプルだけど奥深く、何度もおかわり。締めはうどんで。

冬ジビエ2017 シシじゃが、キジ串、熊鍋

●前菜:野ゼリ、フキノトウ、天然ナメコ
まだ雪の下であろう、ちっちゃいフキノトウにおもてなしの心を感じました。

●シシじゃが
肉じゃがではありません、猪肉の肉じゃがです。これは個人的に単品料理の中で一番好きだった。猪肉のおいしさはもちろん、猪肉や骨の旨味がジャガイモに染みていて、深くうなずくようなおいしさ。ジャガイモが丸そのままというのもダイナミックでいい。

●鹿たたき
ローストビーフでもカツオのたたきでもありません、鹿肉のたたきです。吸い込まれそうなくらいの真紅で艶があり、大輪の華が咲いたように美しい。

●鴨ロースト
見た目からも野趣が伝わりますが、パワーを秘めた格別のうまさ!噛めば噛むほど滲みでる赤身の旨さと、ソースの役目を果たす甘い脂が口の中で一緒になります。

●キジ串
焼鳥は焼き鳥ですが、ここではキジ肉のネギマですよ。

●熊鍋
ネギに焼き豆腐、コケ(北陸の言葉でキノコのこと)もたっぷり入った熊鍋はすき焼き風の少し甘めのタレで。熊肉は噛むほどに甘味が広がり、それが喉の奥に余韻に残り、箸が止まらない。さらに熊の滋養強壮効果なのか、徐々に体もポカポカに。