富山の人気日本料理店のひとつ。店主の山﨑浩治さんは大阪の一流料亭や東京、金沢などで修業をされた方で、お料理は正統派の日本料理の上に、自身の哲学を織り込んであるように思われます。一品一品が端正な面持ちなのですが、オーソドックスな出し方ではなかったり、風味で立体的演出がされていたり、苦味を味方に付けたりと、意表を突くおいしさの置き方にも目を見張ります。
【受賞歴】
・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」2ツ星獲得(2021年5月19日発表)
・「ミシュランガイド富山石川(金沢)2016 特別版」3ツ星獲得
店内はカウンターと個室があります。本物の蝋燭を用いたライティングなのでちょっと暗め。個人的には明るい方が好き(素材や器の繊細な濃淡や艶などがしっかり見えるため)。でも雰囲気あってステキです。
日本酒は満寿泉や勝駒、羽根屋、三笑楽や立山など富山の銘酒が揃っており、グラスでも頂けるものが多いのがありがたい。
2018年3月の山崎 ディナー
・桜湯
今シーズン北陸は記録的な豪雪で気も滅入るほどでしたから、“春”が感じられる食材には心からウキウキしてしまいます。これほど春が待ち遠しい年があったでしょうか。まずは桜に心が溶かされました。
・先付
菜の花、うど、うるい、そして白魚を添えた酢味噌和え。軽やかな苦味でなんだか私も冬眠から覚めた気分。
・お椀 ホタルイカ真薯
いつもに増して独創性が感じられるお椀。解禁になったばかりの“はしり”のホタルイカが食べられれる嬉しさ、そして余韻を残してくれる濃厚なコク。ああ、しみじみおいしい。
・お刺身
平目はスダチ醤油か昆布締め酢で。ヤリイカ雲丹、甘海老わた和え。お手製のカラスミ大根は品のあるおいしさで、美酒がどんどん進んでしまう。オリジナル鱒の寿司は海苔でくるっとして。
・水ダコ 石焼き
・春たけのこ
ふきのとう味噌とたけのこは春の味。野趣はあるが品の添え方が秀逸。緑の香り立つ淡いおいしさ。
・春キャベツのお豆腐
春キャベツの旨味を凝縮したふくらみのある味わいで、見た目とは裏腹にしっかりした味わい。濃厚だがしつこくなく透明感のある味わい。もったりとした口当たりも美味。
・飛騨牛すきしゃぶ
大将自ら目の前で仕上げてくれました。甘めの醤油だれ、そして胡麻だれがかかっているのですが、それらが上質な肉のなまめかしいおいしさと良いコンビネーションで思わず唸った。
・タケノコご飯
土鍋の蓋を取ると、ほくほくと立ちのぼる芳しい湯気が鼻腔をくすぐります。ああ、嬉しやタケノコご飯。味付けギリギリ控えめで素材を立てたおいしさで、まずは1杯目を堪能。2杯目はおこげで山菜入りの山芋おろしをかけて。
・みつまめ、ぶどうジュース
・ヨモギ餅、お抹茶
デザートも一工夫してちょっとした“予想外”を組み込んであるのが山崎さん。ヨモギの風味がしっかり伝わって来て美味。手抜きのないおいしさで満足度が高められました。
2017年11月の山崎 ディナー
・柚子湯
・香箱蟹と千枚蕪の胡麻ゼリー
胡麻豆冨ではなくゼリーで、香ばしい風味を持ちながらスッキリと仕上がっていて最初の一品によし。中には香箱蟹や牛蒡などが。
・お椀 白菜と香箱蟹
独自性が感じられるお椀で「お!」っとなります。まずは蓋を外すと生姜の風味に鼻腔がこそがされます。出汁は白菜の旨味で出してあって、とろみ付けがしてあり、真薯は揚げで淡いあんが絡みます。手前の添え物は魚津の蒸し鮑。
・鰤焼霜、ずいき、魚津のヒラメと蒸し雲丹、ズワイガニ
通常の日本料理店ではお造りが来るところですが、こういう出し方はまさに山崎さん流。ズワイガニは約50度で7~8分という火入れで絶妙のみずみずしさ。
・上市の里芋
美味しい里芋で有名な富山の上市の里芋を揚げたものに、里芋味噌を。ほくほく、滋味はあるが端正でおいしい。
・飛騨牛ヒレ
低温調理のやわらかい飛騨牛ヒレをマスタードソースで。
・白子の茶碗蒸し
丁寧に裏ごしされており、きめ細かくクリーミー。ぽってりとなめらかですが、脂っけがないので後味ライト。
・鰤しゃぶ
大将自ら目の前で調理。まずは皮目だけを丁寧に湯に付けてから、身をくぐらせます。目を見張らせて丁寧に。とろけるような口どけ。この“チリ酢”がまたアクセントに良い。これでお酒も進む。
・お食事 大根としめじのご飯
この時期のご飯は何かな?という期待が膨らみますが、シンプルに大根としめじ。口に入れた時の大根の甘さに驚きがありました。お味噌汁は砺波の天然なめこ。
・ラフランス
水菓子は、ラフランスにそのソースとリンゴのジュレがけ。ラフランスのシルキーな味わいが活きています。
・おぜんざい、お抹茶
2月の山崎
(※お料理は一部。)
・フキ湯
・先付
千枚蕪の煮凝りに、うるいとセリのおひたし、焼ホタテに酢味噌を添えたもので、それぞれの個性が呼吸を合わせるように調和していく繊細な一品でした。
・サワラのチリ酢がけ
・大根の満寿泉の吟醸酒粕味噌
・稲荷しんじょう
お椀は「稲荷しんじょう」で、蓋を外すと出汁に加えられたアオサからほのかな潮騒が立ち昇り、さらに山芋がとろみと滋味を添えていました。しんじょうは薄揚げに包まれており、さらに中のすり身には白キクラゲ入りで、取り合わせの妙と食感も楽しませてくれました。
・白子豆腐
白子豆腐は揚げて出汁がけにしてあるのですが、底に潜めてある白子のクリームを絡ませるとまた美味。温められたチーズのようにぽってりとなめらかで、濃い目の出汁が良く合います。さらに、添えてあるフキノトウは、その苦味で、春が雪の下で身を潜めていることを教えてくれました。
・お食事 カニ雑炊
・デザート
・木の芽餅おしるこ