【金沢グルメ2019まとめ】金沢 能登 富山うまいレストラン令和元年の動向。注目の15店舗を紹介!

2019年は日本人にとって歴史に刻まれた大切な年になりました。5月1日に平成から令和に元号が改元され、“令和元年”が始まりました。この新しい時代が幕開けした年に、レストランにはどのような変化があったでしょうか。私、あすかは2019年もひたすら食べ歩きました。その中で感じたレストランの動向を、金沢のレストラン、世界から注目されるレストランを比較しながら解説・考察していきたいと思います。大きな特徴があったことに気づきます(※個人の見解です)。さらに今年うまいと思ったオススメ店も紹介します。

2019私の食べ歩き傾向とその理由 世界的トレンドとは

私は年間600軒ほど食べ歩いていますが、その中でも記事として書いているのは自分の中で美味しいと思ったお店だけに限っています。そして、このHPの隠れたコンセプトにしているのは「世界に誇れる北陸のレストラン」です。そして食べ歩きはもちろん金沢を主軸に、能登や富山なのですが、ここ数年で意図的に増やしていたのが「Asia’s 50 Best Restaurants(アジアのベストレストラン50)」にランキングされているアジア諸国のお店です。2ヶ月に1度のペースで2週間、台湾やマレーシアやタイなどに滞在し、行けるだけ行きました。

また東京でランキングされているお店もできるだけ。そうすることでレストランの高いレベルを体感し知ることだけでなく、トレンドも読むことができました。
今世界のトレンドとして、“ローカルガストロノミー”“ディスティネーションレストラン”に注目が当たっていると言えるでしょう。簡単に言うと、地元食材を大切にする地方にあるレストランです。その土地で育った食材、その土地ならではの伝統食材、野菜や魚や肉から、ハーブやスパイスや発酵調味料などの風土の恵みを大いに使い、料理に落とし込む。そこに行かなければ食べられないからこそ、食べ手のハートに響くメッセージがあります。もちろん高い技術で昇華させているからこそ注目されています。私は、アジアでは秘境レストランにもどんどん出かけて行きました。たどり着くまでが冒険でかなり苦労したレストランもありましたが、そこで出会える美味しさは唯一無二であり唯一無比でありました。
ベスト50に上がってきているお店は、台湾もマレーシアもタイも、ローカル食材をとても重要視していました。そして私も(金沢でも)“地元食材を大切にしている”というポイントを重要視して食べ歩きました。
あと今年は、同じ日本料理店に季節を変えて通うことを意図的に増やした年でもありました。

金沢のトップ2は令和元年も加速し凄かった

金沢(野々市市)でずっと前からそれ↑を続けてこられたのが「すし処めくみ」さん。めくみさんには世界のフーディー、世界のスターシェフが訪れてます。
そして、2018年5月オープンした「片折」さん。2018年、2019年と、「金沢にすごい店がある」とフーディーの間で噂持ちきりとなりました。“究極の地産地消”を日々ひたすらに続けていらっしゃいます。
私の見解ですが、めくみ大将と片折さんがすごいのは、毎日必ず生産現場に自ら車を走らせ出かけて行き(奥能登までは片道だけでも軽く100キロ以上はあります)自らの目利きで食材を仕入れ、高いレベルで料理を提供し続けることはもちろんですが、さらに付け加えたいお二人の共通点は、予約困難の超人気店になった今も尚、さらにさらに上のレベルを常に模索されていることだと思います。常に勉強する姿勢、吸収する姿勢、もっと良いものを取り入れる姿勢がお話を伺うとちらりと見えてきますし、次々と形になっているように感じられます。
金沢の食が注目されたのは、モンスター級のこのお二人の功績が大きいと思います。

ここで片折さんの2019年のテレビ出演をご紹介しておくと(基本的にはテレビ出演はされませんが)、
2019年6月放送の「人生最高のレストラン」では、ミシュラン3ツ星13年連続獲得(※1)の「カンテサンス」岸田シェフが選ぶお店のひとつとして紹介されました。2019年8月31日放送の渡部建さんの「アナザースカイ」が金沢でしたが、渡部さんのお気に入りレストランとして紹介されました。
私の片折さん訪問は現在8回で、おおよそ四季をひと通り味わえたと思います。
(※1:2019年11月27日「ミシュランガイド東京2020」発表にて13年連続3ツ星)

「片折(かたおり)」究極の地産地消。研ぎ澄まされた美味しさの先に見える宇宙。もはや日本の頂点のひとつに(※基本的に紹介制)

「すし処めくみ」猛々しく端正なすし!店主山口尚享氏の探求はどこまで続くのだろうか。毎日能登まで出向き自ら調達する珠玉のネタ。冬の蟹三昧、夏の鮑と赤ウニ

2019オープンの【新店】で最もおいしかったのは

※ニューオープンのお店はいくつもありますので、絞っておいしかったオススメだけ書きます。
“2019にオープンしたお店”の中で個人的に最もおいしいと思ったのは、8月に富山市岩瀬に移転オープンされた「御料理ふじ居」さんです。以前から藤井さんの料理ファンはたくさんいらっしゃいますが、移転オープンしたお店が建物を含めてさらにさらに良かったので、ぜひ訪れてもらいたいです(前のお店はドラッグストアの駐車場にありました)。場所は岩瀬というエリアで、銘酒“満寿泉”の酒蔵「桝田酒造店」があるところというとピンと来る方が多いかも。建物は門構えからとても立派で、お庭も内装も器もすべてにこだわりが詰まっています。その素晴らしい空間に藤井寛徳さんの料理が良い形でのっています。ここまで足を伸ばして食べに来る価値が大いにあります。岩瀬というと「富山市内からすっごい遠いんじゃない?」と思われますが、富山駅で降りたらタクシーで20分くらいで到着します。
そして、「御料理ふじ居」さんを訪れたら、個人的には同時期に必ず「料理小松」さんにも訪れるようにしています。小松さん、素晴しいです。実はお二人共に修行時代は金沢の「銭屋」さんにいらっしゃいました(「雅乃」大将の下平さんが料理長の頃)。そのため、ものすごく丁寧で美しいお料理を作られています。誠実な仕事の上に花が咲くようなお料理、お二人それぞれの創造性の違いがまた楽しく、季節が移り変わるごとの楽しみとしています。

「御料理ふじ居」岩瀬に移転し最強パワーアップ。ついに2ツ星獲得!店主藤井寛徳さんの良さが活きている!絶対訪れるべき富山の日本料理店

「料理小松」ついにミシュラン3ツ星を獲得!金沢が誇る日本料理店。大将の骨董品愛が詰まった器の数々で奏でる。“器は料理の着物である”を体現

フレンチではビストロワインバー「MAKIHARA」さん(2019年4月27日オープン)。オーナーシェフ槇原大輔さんはソムリエ出身で、ひらまつパリやポールボキューズを経て、料理を本格的に学ばれました。おいしいクラシックフレンチがカウンター食べられるなんて最高です。しかもアラカルトなので、例えば料理1品にワイン1杯でも注文できるのが嬉しい。通ってます。

「MAKIHARA(マキハラ)」柿木畠の入り口にあるレベル高いビストロワインバー。アラカルトで注文できるのがとても重宝する!カウンター越し見惚れる手際良さ

あと、スイーツでは「パティスリーオフク」さんの新店「Remref」さんがすごかった(2019年10月1日オープン)!私がスイーツ専門ではないので詳しく解説できなくて申し訳ないですが、西川開人さんのスイーツは、小さいパーツの一つ一つまで手を抜かずに繊細に仕上げてあり感動があります。建物、ロケーションも素晴らしいです。

「remref(レムレフ)」金沢最高峰パティスリー!珠玉の食材をスイーツとして昇華させる西川シェフから目が離せない

2019惚れ直したおいしさ

新店ではなく、2019に個人的においしさを再確認し惚れ直したのはそば店の日本料理です。2つ(石川と富山から1店舗ずつ)挙げたいと思います。
金沢ではひがし茶屋街にある「蕎味 櫂(かい)」さん。端正で繊細な日本料理のコースに、そば料理やそば切りを織り込んであります。

「蕎味 櫂(きょうみ かい)」ひがし茶屋街の奥に暖簾をかけるそば会席。静寂閑雅な空間で端正なコースに浸る。


富山は砺波にある「福助」さん。そばは富山県八尾の在来種のそば9に、小麦粉まで地元産で高岡の小麦粉“ゆきちから”を1割使用。おそばはもちろんのこと、おそばを含むディナーコースが素晴しくオススメです。まだまだ知らない富山の魅力を教えてくれる、素材を活かしたコースです。

「福助」そばのおいしさはもちろん、日本料理店としても注目すべき一店。砺波まで出掛ける価値あり。元養蚕場をリノベーションした趣ある建物

2020オープンの注目店はここ

2020オープンの注目店を2つ(石川と富山から1店舗ずつ)挙げたいと思います。
全国の食通が注目しているのが、富山「Levo(レヴォ)」さんの移転です。谷口英司シェフ率いるレヴォが掲げるのは“前衛的地方料理”。そのコンセプトに偽りなく、食材や器、全てメイドイン富山。それら素晴らしいものを唯一無二の美味しさに昇華させています。谷口シェフの料理を食べるたび、芸術性の高さと味の組み立て、そして着地の美味しさに驚きがあり、毎度、天才肌なんだろうなと思わされます。その谷口シェフが雅楽倶内で営業するのは2020年1月19日までで、しばらく準備期間を取って、富山県内某所に移転されます。(現在のレストランの場所は、現レヴォのスーシェフである田中逸平さんが引き継ぎ、「Trésonnier(トレゾニエ)」としてご自身のお店としてオープンします。)
どのようなお店になるのでしょうか。全国が注目していることでしょう。私も今からとても楽しみです。

「L’évo(レヴォ)」谷口英司シェフ率いる究極のローカルガストロノミー。世界に自慢したい富山の秘境レストラン!2ツ星獲得

そして、東京から七尾に移住してお店を出したモダンイタリアン「villa della PACE(ヴィラ・デラ・パーチェ)」さんは、来年(初夏頃かな?)オーベルジュとしてさらに奥能登に移転オープンします。現在でもアクセスの難しい場所にあるのですが、今よりもっとアクセス困難な場所へ。ただしロケーションは素晴らしいです。この場所を選ぶ平田明珠シェフの挑戦にも期待大。食材や器、全てメイドイン能登です。ぜひ食べてもらいたい。

「villa della pace(ヴィラ・デラ・パーチェ)」2020年11月17日七尾中島の海辺にオーベルジュとして移転オープン!素晴らしいロケーション

さらに、今後ぜひ注目してほしいところとして、北陸の秘境である奥能登を挙げておきたいと思います。輪島のイタリアン「アユート!」さん、池端シェフのフレンチレストラン、オーベルジュでは、珠洲の「湯宿さか本」さん、能登町「民宿ふらっと」さん。ふらっとさんは2019年8月にテレビ番組「情熱大陸」で“石川・能登に魅せられた青い瞳の民宿主人 究極の発酵食で極上のおもてなし”と題して取り上げられました。いずれもオススメのディスティネーションレストランです。ぜひ能登の美味を求めてお出かけ頂きたいです。

「アユート!」輪島に行くならここをお目当てに。広島で一番予約が取れないイタリアンと言われたお店が輪島でも人気に。能登食材が変身ッ!

「L’Atelier de NOTO(ラトリエドゥノト)」輪島に名店あり。石川県を代表するフランス料理店のひとつ。能登食材の息遣いが聞こえる。

「湯宿 さか本」陰翳礼讃という言葉が最も似合う。日本古来の美が心の琴線に触れる。いたらないつくせない宿の美学の凄み。

「民宿ふらっと」1日4組限定の能登町矢波の民宿。能登食材と自家製発酵食材を使ったイタリアン。朝食の海餅(かいべ)とあら汁も絶品!日本海臨む露天風呂も最高だ。「情熱大陸」で取り上げられました

最後に。
来たる2020オリンピックイヤー。私が“東京オリンピック”というワードで一番に思い浮かぶのが、掘っ建て小屋ビーフステーキ専門店「ひよこ」さんです。創業は昭和39年2月11日(ですから2020年2月で丸56年。マスターは80才になられます)。この年は「1964年 東京オリンピック」が開催された年でもあります。お一人でビーフステーキを焼き続け、昭和から平成を走り抜き、令和となり次の東京オリンピックを迎えるとは。林マスターも「次の東京オリンピックまでは絶対に」と目標とされていたので、私も嬉しいです。

ビーフステーキ専門店「ひよこ」これが金沢の伝説。半世紀以上も前から熟成ヒレステーキ1品勝負。現在の価格は?昭和の東京オリンピックの年に創業。2021年2月で丸57年!

2020年、注目店の移転オープン、新店舗オープンも分かっているだけでも数店舗ありますので、北陸のレストラン動向が楽しみです。
それでは良いお年をお迎えください。2019もありがとうございました。
2020もお付き合いください。 あすか

紹介したお店マップ