【吉田酒造店】銘酒「手取川」と「吉田蔵」の違いを知っていますか?なるほどこんな理由で分けられているのだ!うまい理由になるほど!

石川県の人気地酒として必ず名が上がってくるのが「手取川」もしくは「吉田蔵」です。どちらも白山市にある「吉田酒造店」の銘柄で、同蔵は大きく分けてこの2つのブランドを持っています。では、一体何が違うのでしょうか?
「味のイメージでつけた名前じゃないの?」「杜氏さんの違い?」
  
いえいえ別の明確な理由がありました。
   
ちなみに蔵の正式名称は「吉田酒造店」(社名:株式会社 吉田酒造店)です。創業は明治3年ですから、2020年で150年を迎えることになります。

  
まず、吉田酒造店さんが取り組んでいらっしゃるのは、酒造りの前の段階、環境づくり、米作りからです。
11月初旬にお邪魔させて頂きましたが、もちろん2018年今シーズンの酒造りもすでに始まっており蔵は杜氏さん蔵人さんがフル稼働していました。

みなさんご存知の通り、優秀な酒米と言えば「山田錦」ですが、他県の山田錦だけを酒蔵が使って酒造りをしては、酒蔵のまわりに広がる田んぼも、米が売れないために米づくりを辞めて農家さんが土地を売って工場などが建ってしまう恐れがあります。それが景観はもちろん、水質にも影響します。また、地元の物で作ってこその地酒である、地域と連携し、未来へ繋がる、持続する酒造りをしたいと吉田泰之さんの話に熱が入ります。

「山田錦」はやはり優秀な酒米で取り扱いも楽で、うまい酒がスムーズに作れるそうです。
しかし一方で吉田さんが積極的に使い始めたのが、酒蔵のまわりで育てられる「五百万石」です。山田錦よりも抑えるべきポイントがあるそうですが、使いこなすために研究を重ねた甲斐あり、おいしい酒に仕上がっていますよね。また、地元の酒米である「石川門」は、非常に取り扱いが難しいのですが、才能を伸ばせば他の酒米には出せないビックリするような味わいの美味しい酒になるということで、徹底的に研究を重ねられたそうです。
“風土を大切にする”という、なかなか実行・実現が難しい課題に本気で取り組まれているところがすごいところだなぁと思います。

肝心の「手取川」と「吉田蔵」の違いです。
まずは手取川から。

吉田酒造店の「手取川」

「手取川」は吉田酒造店の高い技術で作り出しているレギュラーブランドです。みなさん「手取川」をお飲みになったことのほうが多いかもしれません。

「手取川」はメインの酒米に山田錦を使用している酒が多いです(地元の五百万石も場合もあり)。(また、掛け米に五百万石やもち米などを使っている酒もあり。)
「あ、それ飲んだことある。」「うまいんだよな!これ」という手取川がこの中にもあるはずです。


そして「吉田蔵」はというと、

吉田酒造店の「吉田蔵」

こちらのシリーズのポイントは3つあるように思います。まず最大のポイントは、①地元酒米と石川の酵母、オール地物で仕込んだ、“地元”ということにこだわった酒だということです。

さらにそれだけではありません。②単に地元の原材料を使っていると言うだけではなく、肝心の“美味しい酒”という部分をしっかり作り込んであるのがさすが吉田酒造店です。この域を確立することによって、酒蔵さんだけではなく、地域の人、石川の人が自慢したくなる酒になるのだなぁと私は思います。

さらに③新しい味の探求(特に下記の「u yoshidagura」)。ここにも注目です。
要はチャレンジシリーズであるということですね。
 
(下記、吉田酒造店HPより引用)

吉田蔵シリーズは地酒本来の姿を追求し、新たに生まれ変わりました。「地酒本来の姿に戻る」「自然のサイクルから外れない持続可能な酒造り」この2つが新生「吉田蔵シリーズ」のコンセプトであり、私達で決めた制約です。
白山百年水、同じ水で育った地元酒米、石川の酵母、技で醸しています。地元にこだわり、自然エネルギーを有効活用した環境への負担が少ない酒造りへ移行しています。
お米や酵母、造り方も制限したことで、私達は今まで以上に深く考えるようになり、技術的進化が始まりました。吉田蔵を通じて吉田酒造店は変わります。

おしゃれな「u yoshidagura」も吉田蔵シリーズ

このナチュラルで優しいデザインの「u yoshidagura」シリーズも、地元酒米などオール地元の原材料なので、「吉田蔵シリーズ」に分類されます。毛筆で「吉田蔵」と書かれていると力強くて“伝統の”というイメージを持ちますが、このuシリーズも伝統と革新、地域性・原点回帰、それらを兼ね備えている酒ということになります。そして何と言っても“味”に注目の酒なんです!!新しい味の探求がなされており、予想外のおいしさに驚くことでしょう。

「u yoshidagura」山廃純米無濾過生原酒
石川県の酒米石川門、酵母は金沢酵母、能登杜氏集団がお得意とする山廃仕込み。自然界にある乳酸菌を取り込んで地元の原材料と技から作られた酒です。

 
これは本当に驚きました。山廃の“しっかりどっしり、少し癖のある”という先入観を覆した山廃です。まるでグレープフルーツのような柑橘系のフルーツ香があって衝撃でした。これは一度試してもらいたい酒です。

最後に

酒造りは力のいる仕事もありますから、男らしいパワフルな側面ももちろんあるのですが、吉田さんの蔵は細部までものすごく気を使われていて、ここの酒は丁寧に醸され、綿密に組み立てられているのだなということがよく伝わりました。蔵はどこを拝見しても何もかもがビシッと整っていますし、衛生面にも相当な配慮をされています。
そして、日本酒というとまず和食。地元に根ざす料理に抜群に寄り添ってくれるのは言わずもがなです。おいしい料理とうまい酒での夕食・晩酌は今日のねぎらい、明日への活力です。また、ここぞという洗練された日本料理にも求められる酒。さらに吉田蔵uシリーズなどはフレンチとも組み合わせが面白い酒なので、そういうペアリングで日本酒のおいしさと可能性に、食の感度が高い世界中の人に驚いてもらいなぁと私は思うのです。

泰之さんのチャレンジ心と探究心、発酵の神秘、酒造りってカッコイイ。
日本酒は可能性の宝庫である。吉田酒造店の酒には泰之さんの夢も溶け込み醸されています。



吉田酒造店さんの映画があります。こちらも必見です。
タイトル「The Birth of Sake」

本編はネットレンタルできます(視聴あり)
http://www.birthofsake.com/

<会社概要>
社名:株式会社 吉田酒造店
住所:石川県白山市安吉町41
電話番号:076-276-3311
HP: http://www.tedorigawa.com/