鶴野酒造店は、能登町鵜川にある「谷泉」で知られる小さな酒蔵。寛政~享和年間(1789〜1804頃)に創業した蔵元で、鶴野晋太郎さんで14代目という歴史が深い酒蔵さんです。酒造りは、妹の鶴野薫子(ユキコ)さんが中心となって醸しており、女性杜氏の蔵というのも特徴的です。晋太郎さんは営業もこなし、蔵人としてサポートしています。母みどりさんも一部の銘柄の酒造りをしています。
私の実家から1番近い場所にある酒蔵でもあります。
奥能登では昔から“とと楽”という言葉があります。“女性がよく働き夫は楽できる”という意味で、「男1人養えなかったら女じゃない」と言われるほどなのです。
まさに働き者の女性、能登の女たち。
現在酒の大半を醸すユキコさんの勘所は天才的。うまい酒の味のポイントを見極め「これだ!」とロックオンして味に落とし込むセンスの良さ、芯の強さは嫉妬するほどカッコイイのです。
酒造りはすべて昔ながらの製法で手造り。お米を蒸す際も木のこしき、絞りは槽搾り(ふなしぼり)で手作業です。だから尚更、彼女の勘所が大事になってきます。
鶴野酒造店の酒の中でも、「愛」と「登雷(とらい)」は高級酒。ラベルは能登の手すき和紙に手描きで趣があります。
「愛」の持つ綺麗な味と、余韻に残る良い意味での雑味の妙が美味。
「登雷(とらい)」は、私が「すし処めくみ」さんで出てきて美味いと思った酒。ラベルが黒い文字の“黒トラ”はユキコさん、“赤トラ”は母みどりさんが醸しています。
蔵を訪ねて飲み比べをさせてもらいました。
新酒「恋ごころ」も良かった。ラベルデザインに呼応するような華やかさもある酒ですが、完全に女性ウケだけではなくしっかりうまい酒。一口飲んだらまた一口、一口と止まらなかった。
これからのチャレンジにも目が離せない奥能登の酒蔵です。
名称:鶴野酒造店
住所:石川県鳳珠郡能登町字鵜川19-64
電話番号:0768-67-2311