「L’OSTAL(ロスタル)」猟師でもある舘里美さんのたくましく繊細なジビエ料理!北陸が誇る女性シェフ。自家製シャルキュトリーも名物

料理: 8.0 その他: 8.0 ポイントについて
L’OSTAL (ろすたる)
営業時間 18:00〜24:00(L.O21:00)
定休日 日曜 日曜日が祝日の場合は営業、月1回月曜日(不定休)
価格帯 「セゾンコース」(8,800円)、「スペシャリテコース」(11,000円)(各アミューズ代は別途500円)※キャンセルポリシーあり
訪問回数 9回

ジビエ料理がお得意のフレンチレストラン。シェフは猟師でもある舘里美さんで、シェフが自ら狩猟に出たり解体もされています。山に入るのは体力に自信のある男性でも大変と言いますからね。小柄で可愛らしい方ですが、たくましさは男性シェフ顔負けです。
そして、200種類以上という充実したワインの取り揃えも特筆したいポイント。ソムリエの田中敦さんがベストを導いてくれますので、安心して身をゆだねてください。同業者や食通からの信頼も厚い一店です。

場所は金沢駅からも徒歩圏内で、金沢別院の向かいにあります。オープンしたのは2013年3月4日で、2022年2月に外観と内装をリニューアルされました。外観は白が基調になり、重厚感に凛とした雰囲気も加わりました。店内はオープンキッチンの臨場感が大人な空間に良いマッチング。席は厨房前のカウンター席4つとテーブルがいくつかあり、席には個々に引出しがついていてラギオールなどのカトラリーが入っています。
お料理の見せ場のひとつは前菜のシャルキュトリー。幻霜豚や青首鴨、チャリバレー鴨、本州鹿など6種類ほどのジビエがハムやパテ、キッシュなどとさまざまな調理法で盛合せてあります。


コースは2種類。「セゾンコース」(8,800円)と「スペシャリテコース」(11,000円)(各アミューズ代は別途500円)があります。

2023年9月20日 ジビエづくしコース

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。

コースはジビエ中心に、通常は魚料理も1,2皿取り入れてありますが、今回はジビエのみのコースにしてくれました。

●シャンピニオンとトランペット茸のスープ
口に入れた瞬間、トランペット茸の豊満な風味が広がり一口で秋モードに。落ち葉の絨毯が広がる山の光景が目に浮かぶようでした。

●高麗雉、猪とピーナッツ南瓜

●長野県信州新町 峯村牧場 サフォーク仔羊
舘シェフのタルタールが素晴らしくて、これが出てくると毎回テンション上がります。何と言ってもとってもピュアな味わいで、品のある旨味が余韻にスッと広がっていきます。

●シャルキュトリー冷製
猪モモ低温ロースト、天草大王のバロティーヌ、本州鹿モモカルパッチョ、本州鹿の赤身とレバーとピスタチオのパテドカンパーニュ
シャルキュトリーはコース冒頭の定番。品を兼ね備えたジビエの昇華のさせ方が秀逸です。

●サフォーク ナヴァラン
サフォークのバラの部位を白ワイン煮込みにしてあり、口の中でほろほろとほどけるのと共に、スパイスの華やかな風味が持ち上げてくれます。

●熊本県 天草大王地鶏、砂肝とレバーのリゾット
天草大王は、舘シェフがずっと使っている食材です。肉質がきめ細かくて、みずみずしさと弾力あり、咀嚼するごとに旨みが広がる。
ソースは、シェフが毎年摘んできて仕込んでいるという、5年熟成の山葡萄ソースで。凝縮感と酸味のバランスが秀逸でした。
リゾットは砂肝とレバーの重厚感がうまく乗っていて美味。

●兵庫県朝来市 本州鹿 フランス産天然茸
本州鹿の、なかなか食べられない良い状態の内臓です。密度が濃くてパワーを秘めた味わいで、ずしりとした存在感あり。ジロール茸、トランペット茸、ムラサキシメジの天然茸の三重奏が奥深い妙味を与えます。

●石川県津幡町 猪 自家菜園 無花果
猪のローストを無花果のソースで。骨周りの筋肉、舌にたゆたう脂も美味。ハツは濁りのない味わいでプリっとした食感も素晴らしい。

●キャラメル マロン ルビーロマン 山葡萄
キャラメルとマロンの秋らしいデセールに、大粒のルビーロマンで心躍る。山葡萄の野趣が溶け合ったアイスがまた絶品だった。

●黒葡萄リーフティー、小菓子
同店定番の黒葡萄ティーと小菓子で締めくくって夢心地。

2022年8月27日 サフォークタルタール、鹿のパイ包み

今回も食材には結構苦しい時期ではあるものの(ジビエも魚介も)、その中でも見つけ出した珠玉食材とシェフの工夫が凝らされていた素晴らしいコースでした。
特に印象的だったのは、サフォークタルタール、鹿のパイ包み。

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
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●アミューズ 高麗雉 ナス、新じゃが
高麗雉のレバームースは、臭みなく、奥深い旨味が広がり最初にインパクトありました。

●アミューズ シャンピニョンポタージュ

●前菜 アラ 輪島、雲丹、青柚子、幸水
輪島の釣りアラは、船上活〆をして。針にした幸水梨を添え、青柚子の風味と共に爽やかに。

●前菜
猪パテ・ド・カンパーニュ、高麗雉バロティーヌ、赤平ピジョン
猪パテは野趣と品を兼ね備え、牛蒡が持つ聡明さと風味で味をスッと立ているのが素晴らしい。
北海道産の赤平ピジョンは、希少な国産鳩。美しい赤身で力強く美味。

●サフォーク仔羊 タルタール、タン
清らかな味わいでありながら羊らしい個性も置き、旨味がとくとく広がり余韻に残る。自然と次の一口が欲しくなる。絶品です。コースの中でも印象的でした。

●甘鯛
石川県輪島市船上活〆甘鯛・大葉ベアルネーズ・金糸瓜

●鹿のパイ包み 本州鹿 兵庫県朝来市・猪・フォワグラ
状態が良い上等な鹿なので、調理法をファルスにしようかシェフは迷ったそうですが、素晴らしい一皿に仕上げてありました。火入れもパーフェクトで、旨味が内包されており、優しい弾力を感じさせる厚みも完璧。ソースにはタイムが効かせてあり、爽やかな風味が鼻腔に抜け、鹿のピュアな味わいに調和し、軽やかにスッと持ち上げているのも素晴らしい。

●猪ロース 富山県黒部市
良い意味での跳ね返す弾力と、咀嚼するほどに広がる旨味に悶絶。無花果とサマートリュフで、秋を香らせて。

●デザート 津軽リンゴ・ピスタチオ・ブルーベリー
館シェフのデセールは毎回楽しみ。自家菜園で育てた果実を取り入れてあり、繊細さや素朴さも魅力で、ハートでも味わいたい。今回はリンゴとピスタチオのクレープ。
葡萄の葉を焙煎したリーフティー、小菓子で締めくくります。

2022年7月27日 月の輪熊パテ、月の輪熊ファルス

晩秋から冬にかけてのジビエの旬とは違って、ジビエに関しては苦しい時期ではあるのですが、館シェフの工夫が光った本当に素晴らしいコースでした。やはりシェフは実力派だなぁと、改めて感じました。この季節に期待値を大きく上回ってくるのはすごい!

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
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●アミューズ
真っ白なとうもろこし“ピュアホワイト”のヴルーテソースは、その名の通りのピュアな甘さが鮮烈にパーンと口の中に広がり印象的。高麗雉レバームースはほうじ茶シューに挟んで、馥郁たる香りと共に。

●前菜 1
岩牡蠣 土佐酢 レフォール 酢橘
志賀町の岩牡蠣は、しっかりとした大きさと重量感があります。
柑橘のジュレの爽やかさに重なる、クリーミーで優しい辛味のあるレフォールクリームが美味しさに一役買っている。和食とは全く違う方向性で岩牡蠣の美味しさを昇華させています。

●前菜2
月の輪熊のパテドカンパーニュは出てきた瞬間心躍った。熊ロースの野趣とパワーをしっかりと印象付けながらもしっとりエレガントで、牛蒡の健やかな風味がスッと味を立ている。絶品。

●船上活〆甘鯛 甘海老
輪島で揚がった甘鯛を船上活〆し、鱗焼きに。鱗はサクサク乾いた音を立て、身はふっくらレア状態。濃厚な甘海老のアメリケーヌソースで。

●米粉と全粒粉のパン

●月の輪熊 月の輪熊手
部位で層を分けた熊のファルス。力強く脂の膨らみもあって余韻まで美味しい。熊の手に大豆の滋味と食感を混ぜ込んだりと、計算された一品。素晴らしい。

●本州鹿 サマートリュフ

●自家菜園より リュバーブ ベリー キャラメル、葡萄リーフティー
館シェフのデセールは、独自の感性で作られていて毎回楽しみなのです。
自家菜園で育てたリュバーブを、フランスの古典的なデセール発想でタルトにし、ベリーの野趣を添えて。女性的な繊細と可愛らしさも感じる、美味しいデザートが食後の満足度を高めてくれます。
葡萄の葉を焙煎したリーフティー、小菓子で締めくくります。

2022年5月16日 岩牡蠣、本州鹿

コロナ期間行けてなかったので、久々の訪問です。シェフも山菜の時期に思いっきり料理ができるのは久々だと言っていました。どのお店もそうですが、特にご自身で山菜採りに行かれている方々は実感としてありますよね。
ジビエは今回、高麗雉・本州鹿ハツ・猪がとても美味しく印象に残りました。岩牡蠣も良かった。

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
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2019年4月16日 山菜、ジビエ

春は山菜を取り入れたコースになっており、ジビエに春の冴えた苦味が良いアクセントになっていました。一番好きだったのはアスパラお料理のサフランバターの味付けで、サフランの華やかで豊満な風味がバターに溶け合っており、アスパラにもマッチしていて美味でした。
●アミューズ 里山より山菜のタルト タラの芽/コシアブラ/野セリ


●アントレ1 朝採れアスパラと天草大王地鶏ソテー サフランバター


●アントレ2 幻霜豚、猪、本州鹿、チェリバレー鴨、日本雉、サフォーク仔羊
シャルキュトリーはロスタルさんの見せ場のひとつ。これが毎度の楽しみ。「右から左へ~」と食べる順番も考えて並べてくれてあります。


●ポワソン フグ白子とアイナメのカルタファタ包み 胡桃と浅葱
カルタファタ包みで風味と旨味を逃さず、フグとアイナメがふわっと仕上がっており美味。繊細な味付けもしっかりいきる。



●ビヤンド 吉井あゆみさん本州鹿炭火焼き ビアンケットトリュフ
名猟師吉井さんの鹿。とても良い状態で、それを一番いい火入れで。繊細で力強く、臭みなく、柔らかく美味。


●デザート フォンダンショコラとブラッドオレンジのコンフィ
添えてあるアイスに蕗の薹の苦味が効いていて美味。 飲み物はもちろん、黒葡萄茶を選びます。

2019年2月7日 青首鴨

●アミューズ 蕪のスープ

●アントレ1 月の輪熊マリネ 菜の花ファームのサラダ仕立て
なんと金沢の湯涌の月の輪熊です。舌触りしなやかで舌に乗せるると脂が消えるように溶けていく。うっとり。お野菜は福井の菜の花ファームさんの。

●アントレ2 猪、本州鹿、チェリバレー鴨、青首鴨、サフォーク仔羊、日本雉

●日本雉とフォワグラのアンクルート 黒トリュフソース
今回は雉(しかも日本雉)とフォアグラのアンクルート(パイ包み)で、パイがサクサクと、重厚と軽快の妙が美味。こういうクラッシックな料理もしっかりおいしいからすごい。

●鮟鱇のアーモンド包み焼き あん肝ブール・ブランソース
鮟鱇の登場。アーモンド包み焼きで香ばしさを纏わせて。ふぅと良い風味が口の中で広がるたびに美味しさ弾けます。添えてあるあん肝もニクイ。美味。

●新潟県産 網捕り青首鴨炭焼き ジュ・ド・コルヴェール
狩猟も終わりに近づいていますが、今が一番おいしいとき。脂のノリがちょうどよく、生命力に満ち溢れた鴨おいしさよ。何もかもがパーフェクトな一皿。

●さくらもも苺とピスタチオクリームのミルフィーユ
食後のデザートの美味しさがコースの満足度をさらに高めてくれます。毎度凝ってるし、すごい。

2018年10月 セゾンコース

●アミューズ 日本雉コンソメスープ 能登産松茸
最初のスープでやられました。ああ、美味しい。雉のうまさが凝縮したエッセンスに松茸の香りが完璧なフュージョン。一口ごとに唸る。

●アントレ1 甘鯛オーブン焼き 茸ソテー ブルギニヨンバター
ジロール茸、ピエドムートン、ハナビラタケなど天然茸に心踊る。個々の食感の違いを比べながら食べ進められるのも楽しい。茸の良い香りだけでなく、ソースとブルギニヨンバターの脂で旨味を余韻に残してくれるのが良い。


●アントレ2 自家製シャルキュトリー盛り合わせ
猪、本州鹿、サフォーク仔羊、赤平鳩、日本雉/フォアグラ。今回びっくりしたのが羊のローストで表面は炙りのいい香り、そして中はほちゃほちゃ(金沢弁でもちもち)とした食感で味わいピュア。

●チェリバレー鴨アンクルート 黒トリュフソース
アンクルート(パイ包み)が登場。まさかこのコースでやってくれるとは。ナイフを入れるとサクサクと耳をそばだてる乾いた音が気持ちいい。パイに内包された鴨のおいしさの全てがクラシックたる重厚なソースにバシッと調和。さらにトリュフの風味がのって三重奏を奏でる。


●石川県津幡町 猪炭焼き 猪ソーセージ 落花生
館シェフが津幡に仕掛けていた罠に掛かった猪だそうです。おお!脂肪がサクサクッとした歯切れであっさりしており、赤身は力強いが臭みなくおいしい。添え物にマコモダケ。この猪もマコモダケを食べていたそうだ。お皿の上で一緒になっちゃいましたね。現場を知るからできる演出。さらに落花生のペーストがおいしいことおいしいこと。落花生の甘くまろやかな味わいに華やかな風味がのっている。ソーセージも猪肉で。セージの風味が脂を持ち上げてくれてあっさり美味。

●デザート 紅玉リンゴタルト カルヴァドス、黒葡萄茶
飲み物はコーヒーやエスプレッソもありますが、黒葡萄のリーフティーという珍しいお茶があります。優しく個性的な酸味が特徴的。リンゴタルトも良かったけど、添えてあるマロンクリームも美味だったなぁ。

山の秋のおいしさを存分に満喫した。

2017年6月 セゾンコース

●自家農園グリンピースと空豆 コンソメジュレ
初夏らしいアミューズからスタート。健やかな風味で胃袋のウォーミングアップ。

●アントレ1 七尾産毛ガニマリネ柑橘ジュレ青柚子
ワインはお料理の仕上げに振ってある青柚子の風味に合わせ、爽やかな青い香りが同調する白。やっぱりペアリングセットで正解だ!と再確認できる。

●アントレ2 自家製シャルキュトリー盛り合わせ
仔羊生ハム、幻想豚、日本雉、本州鹿、チェリバレー鴨、仔羊ベーコンのキッシュ、猪バラ煮込み
今回1番の驚きは、野生の雉はオスしか食べられないそうですが、生産農家さんがいらっしゃらしくメスが食べられました。地鶏に近い弾力ある噛みごたえと、噛めば噛むほど滲み出る旨味エキスが美味。猪のバラ煮込みもうまかった!

●七尾産甘鯛のカダイフ包みフロマージュリゾット

●石川県産本州鹿ロース炭焼きサマートリュフ
まずはサマートリュフの風味に鼻腔をくすぐられます。ほちゃほちゃととろけるような抜群の火入れが素晴らしい!


●ショコラエクレア完熟苺レーニアチェリー
最後に満足度を高めてくれた絶品デザート。ふくよかで繊細なショコラクリームと優雅でチャーミングなチェリーの味わいの調和にうっとりする、茶目っ気もあるエレガントな一皿。

●黒葡萄のリーフティー、カヌレ

秋 セゾンコース

●ゴボウの温かいスープ
馥郁たる香り立ち昇る、牛蒡のポタージュからコースの幕開け。

●イタリア産ブラティーナチーズとアワビ茸のソテー
ブランディーナチーズはさっぱりフレッシュな味わいですが、コクあり美味。アワビ茸、ジロール茸、セップ茸など、天然茸の豊満な風味を合わせて。

●自家製シャルキュトリーの盛り合わせ
幻想豚ももスモーク、石川県産猪低温ロースト、石川県産猪パテ、チェリーバレー鴨、牛肉すじほうじ茶キッシュ、天草大王白レバームース、長野県産サフォーク
長野県産黒毛サフォーク仔羊は、長野県信州新町の標高800mで年間200頭のみ育てられているかなり稀少な仔羊。うまみたっぷりの赤身と噛めば噛むほど旨味引き立つ脂が魅力。チェリーバレーは、澄んだ空気とミネラル豊富な地下水で育つ、北海道の合鴨。長野県産サフォークは、蓮根サンドにて。各々の個性が出ていて、食べ進むのが楽しい。

●イトヨリのオーブン焼き
サフランと白ワインとバターの、古典的なソースで。香り豊かなソースに、コクのある蜜のようなワインがベストマッチ!

●石川県産仔猪の炭火焼き
身は豚より柔らかく脂肪はサクッとしており、噛めば噛むほど味わい深い。猪のジュをベースに白ワインで仕上げたソースがこれでもかというほど相性良し。牛蒡の香味も良く合っています。

  
●マスカルポーネと和栗クリームのパートフリック包み
和栗は地物。モンブランクリームとフレッシュチーズをパートフリックで包んで焼き上げてあります。パリパリでとろとろ、温かいのにひんやり冷たい、食感や温冷のメリハリもアクセントに効かせてあります。
     
●黒葡萄のリーフティー、小菓子