「加賀依緑園(かがいりょくえん)」石川県加賀市山中温泉|文化施設、ギャラリー、喫茶

石川県加賀市山中温泉にある文化観光施設「加賀依緑園」(かがいりょくえん)のご紹介です。

同施設は、昭和天皇をはじめ、吉田 茂などの政治家や文人墨客が滞在した由緒ある別荘を、2021年からの大規模改修を経て2024年4月にリニューアルオープンしました。かつて老舗旅館「よしのや」の第2別荘として使用されていた歴史ある建物で、伝統的な和風建築技術を駆使し、当時の趣や価値を大切に守りながら、丁寧に修復されています。
想像していたよりも規模が大きく、建物はいくつもの塔に別れており、勾配のある複雑な構造をしており、見応えのある本当に素晴らしい施設でした!

貴重な品々が数々展示されており、また施設内のいたるところに配されている調度品も見応えがあります。




当時の美しさが、時を超えて今もなお色濃く感じられました。

館内はもちろん、季節で表情を変える庭園も大きな魅力です。これからの紅葉シーズンもまた風情があるでしょうね。

工芸品の展示や、作家さんの器や酒器などの販売もありますので、お土産に選びにぜひどうぞ。このコーナーもとっても心躍りました。「これでお酒飲んでみたいな〜」と思うお猪口がいっぱい!


また、お茶とお菓子が味わえる喫茶ラウンジ「御殿の間」もあり、こちらで小休止されるのも格別な時間です。




山中温泉のお出かけに、ぜひ立ち寄って欲しい場所です。

・ラウンジ
受付を入った本館1階のラウンジでは、加賀依緑園が800年にわたり歩んできた歴史に関する展示をしています。皇族関係者や文人など著名な宿泊者のご紹介、昭和天皇がご宿泊された際に使用された食器類など貴重な史料展示もあり。
・庭園
開館当初に遠州流庭園として建築物と庭が一体となった「庭屋一如」の考えのもと作られた庭園。令和の改修では、庭園デザイナー烏賀陽百合氏の監修によって、敷地の傾斜を利用した水の流れをどこから見ても楽しめるようになりました。
・展示室
展示室では「金唐革紙」(読み:きんからかわかみ)を中心とした展示をしています。「金唐革紙」は、17世紀にオランダとの貿易によって輸入された革製品から着想を得て、日本で生まれた擬革紙です。明治期には一大輸出産業として栄えながらも昭和戦前に製造技術が一度途絶え、近年になり金唐紙研究所の長年の研究により復元に成功しました。
・菊の間・桐の間
かつて貴賓室と呼ばれていたこれらの部屋は、大正~昭和初期の建築を移設したもので、近代西洋建築の影響が色濃く残っています。なかでも壁に施された「金唐革紙」が目を惹くことでしょう。菊の間には当時の壁紙が今も残っており、また桐の間では金唐紙研究所によって復元された「金唐紙」が建設当時の輝きを伝えています。
・御殿(御幸の間)
井波彫刻中興の祖・初代大島五雲が設計し、高名な宮大工である天日仁太郎が腕を振るった御殿には、作り手たちの技術が凝縮しています。部屋中央の大島氏が制作した欄間彫刻はもちろんのこと、琵琶棚の欅の一枚板には「群雲の月」と呼ばれる細やかな象嵌装飾を見てとることができます。
・花月の棟
当館は多くの作家に愛された旅館でした。花月の棟は川端康成が、さらに山手側にあった花筐の間には今東光が、また少し下った春栄の間は吉川英治が執筆のために長期滞在された記録やさまざまエピソードが残っています。なお、花管の間と春栄の間は老朽化のために現存していません。
・唐船の棟・茶室
かつて浴室があった部分は、改修で茶室に生まれ変わりました。京都市の裏千家家元の邸内にある「又隠」という茶室を参照し、内観もさることながら、屋根の一部にはこけら葺きを用いるなど外観の細やかな造作にもこだわっています。唐船の間では、金沢を拠点とするギャラリー「縁煌(読み:えにしら)」による工芸の展示・販売を行っています。

【施設詳細】
施設名:加賀依緑園
営業時間:10:00〜18:00
休館日:木曜日(祝日の場合は営業)
入館料:一般600円、団体(20名様以上)490円
場所:石川県加賀市山中温泉南町ロ87-1
電話番号:0761-71-2683
Instagram:https://www.instagram.com/kaga_iryokuen