札幌から車で約1時間。夕張郡栗山町ののどかな田園風景の中に、そっと暖簾を掲げる日本料理店「味道広路（あじどころ）」があります。観光地でも繁華街でもないこの地に、全国の食通がわざわざ足を運ぶ理由は、店主・酒井弘志さんが織りなす季節の料理にあります。
酒井さんは、滋賀県の名店「招福樓」本店で研鑽を積み、東京店「SYOFUKURO」で料理長を務めた実力派。故郷である栗山町に「AJIDOKORO」を開業し、風土と向き合いながら、自らの料理を形にしています。
2017年には『ミシュランガイド北海道』では2ツ星を獲得しています。
佇まいがまた素敵で、店内にも季節の野花や木々を生けてあり、静けさの中に生命の鼓動を感じる空間です。
料理は、里山や漁村の風景が思い浮かぶほど、素材の“輪郭”が際立っており、滋味深く素朴だが、決して野暮ではなく、技が溶け込み素材が語りかけてくるようです。
今回は6,600円のコースをいただきました。
●6,600円コース（先附、お椀、向附、焼き物、酢の物、煮物、ご飯、水菓子、お菓子、抹茶）
・ホワイトアスパラ
立派なホワイトアスパラガス、ホワイトアスパラガスすりながし、黒ソースもホワイトアスパラ
・お吸い物
苫小牧のあぶらぼうず、水茄子、草団子、木の芽
・ヒラメの山ワサビ卯の花和え、反魂草
・余市サクラマス、桜酢
・かすべ（エイ）の頬、ぽんな、わらび
・炊き合わせ
函館の蕪、越冬人参、イカ、クルマバソウオイル
・余市ムール貝とコシアブラのご飯
・糀と酒粕のアイス
・こしあん タンポポ、昆布みかん
酒井さんの料理には土地への敬意が込められており、食材の輪郭を丁寧に引き出しながら、味の設計が成されています。華美ではないがとても誠実で、一皿ごとに確かな個性があり、食後には身体が自然と整うような心地よさが残ります。店主のお人柄が現れているようでした。
【店舗情報】
店名：味道広路（あじどころ）
住所：北海道夕張郡栗山町字湯地40-35
電話番号：0123-73-6677
営業時間：12:00～14:30、17：30～21:00
定休日：火曜、第2水曜
料金：2025年7月1日から昼、夜共にコース価格が9900円（税込）・13200円（税込）別途サービス料10%になります。
