軽井沢に2020年9月9日にオープンし、食通の中で話題となっているイノベーティブレストラン。
シェフの鈴木夏暉さんは、イタリアやデンマーク「noma」・「KADEAU」で修行された方で、現在28歳という若手です。ご出身は長野県。
ランチは2組限定・ディナーは1組限定なので、人気もあって予約の難易度は高い。(2022年4月の時点で、今年分の予約は全て埋まっていました。)
レストランの場所は、軽井沢駅からタクシーで20分ほどの追分というエリアで、「GREEN SEED」という一棟貸切型の宿泊施設の一角にお店を構えます。
お料理で特徴的だと思ったのは、発酵と素材力。
料理にもペアリングにも発酵を駆使して、とても複雑で奥行きを感じる味構成でありながら、各料理に主役食材を置き、食べ手を良い意味で集中させるし、インパクトもしっかり残します。
イタリア料理のダイナミックさと、デンマークの発酵文化、さらに日本料理の季節と繊細が複合的に合わさったお料理でした。
料理もドリンクもシェフが自らプレゼン・解説してくれました。
飲み物はノンアルコールペアリングにしました。
エルダーフラワー昆布茶、発酵ラズベリー・紅茶・ダージリン、雪の下ニンジン・せとか、グレープフルーツ・かりん、紅玉りんご・金柑・カモミール(うろ覚えなので間違っていたらすみません。)
●じゃがいもパンケーキ
芸術性あり、味でもインパクトを残す一品からスタート。
南イタリアのグルテンの強い00粉を使用し10日間発酵させた生地に、1ヶ月発酵させたじゃがいもを乗せて焼き上げたパンケーキ。発酵クリームの酸味と、フレッシュキャビアとローストアンチョビの塩味が熱々の温度と共に広がる。さらにジャガイモがシャキシャキと食感あるので、意図的に咀嚼させることで、それぞれのパーツの旨味や甘味もじんわりと湧き出してくる。
●ホワイトアスパラガス
生のホワイトアスパラを約2ヶ月乳酸発酵させたものをふわっとソースに。中には、ホワイトアスパラのグリルとジュのソース。ハーブオイルの青い風味、八朔の爽やかで品のある酸味、フレッシュなチーズが、ホワイトアスパラの気品に重なる。
●信州サーモン
スペシャリテとのこと。
信州サーモンは、筋肉質で大きな個体を熟成後に桜燻製。低温でじっくりと火入れをして、しっとり保湿された部分の身をほぐして。さらに2週間常温で熟成させた蕪を薄くスライスして覆い、エルダーフラワーの蕾のピクルスを乗せて。
ソースは、発酵トマトと柘榴の甘味と無花果の葉の香りを移して、華やかだがしっかりとした旨味があり、信州サーモンの引き出された旨さにマッチしています。
別皿には熟成約1ヶ月の生のサーモン。3年目の奈良漬を乗せたサーモンが、奈良漬の熟成された甘さで輪郭が出ていてとても美味しかった。
●パン
●雪の下ニンジン
丸ごと火を入れた人参をセミドライにして滲み出る蜜をキャラメリゼ。ニンジンの葉のソースに、発酵ニンジンのアイス、ニンジンバターのパウダー、全パーツがニンジンというニンジンを再構築した一皿。
●岩魚
個人的に一番好きな料理でした。私が北陸で海の魚に慣れているので、川魚のポテンシャルの高さと、その昇華のさせ方に感動がありました。
今しがたまで泳いでいた岩魚を提供する寸前に捌き、発酵衣で揚げてフリットに。ふかふか繊細で、ほくほく香ばしく、発酵レモンのエレガントな酸味と新玉ねぎの甘さが持ち上げる。軽井沢の無農薬のセルバチコを乗せて。
●ホタルイカリゾット
地元の五郎兵衛米をホタルイカの肝と新生姜で炊いたリゾットです。
ホタルイカに塗った鮎の魚醤が、ホタルイカの肝の旨味をさらに味わい深くすることに一役買っており、セリと発酵ウドの野趣も効果的に引き締める。
●ダボス牛
通称”ダボス牛”として知られる、菅平高原 ダボス牧場の短角牛と黒毛和牛のハーフ。骨から出汁を取ったソースで。
トリュフはかけたい人は追加できます(私はかけませんでした)。
●パスタ
紙のように薄いパスタは秒で茹でて仕上げる。口の中でヒラヒラと遊び、淡い美味しさのダボス牛の出汁が絡む。繊細で美味。
●発酵イチゴミルク とちおとめ
イチゴとミルクの輪郭がハッキリ出た、最後にインパクトをしっかり残すデザート。
●カフェ、ヘーゼルナッツのケーキ
Naz
長野県北佐久郡軽井沢町追分134-3 GREEN SEED軽井沢 内