(訪問日 2021年6月26日)
ミシュランガイドでは2010年度より11年連続で2ツ星を獲得。さらに食べログアワードでは、2017年から5年連続でGOLDを受賞という、日本料理の最高峰の一つ。
四条通から一本入ったところにある趣ある佇まいの一軒家で、元々は呉服屋さんだったそうです。
暖簾を潜ったら「わぁステキ」茅の輪のしつらえがしてありました。
8席のカウンターは白木の一枚板で、紅樺色の土壁が珍しく感じました。落ち着きのある空間に、緒方俊郎大将が醸し出す、余裕のある雰囲気がマッチしています。料理は、珠玉食材を大胆に使うのが特徴的に感じました。骨太で貫禄があって繊細で、余韻に残る奥深い美味しさがとても印象的です。
●梅酒
●賀茂茄子の黒焼き
まず最初にインパクトのある一品から。表面が真っ黒になるまで時間をかけて炭火焼した賀茂茄子がそのまま出てきました。
中は色白美人で、箸がスッと通る柔らかさ。じっくりと炭火焼することで内包された賀茂茄子のジュが、口の中にほとばしる。その旨味を塩がグッと引き立てて輪郭を出しており、味でもインパクトを残します。
●お吸い物 蛤、冬瓜、木の芽
椀蓋の高台にスッと伸びる鼈甲色は飴。梅雨を”飴”の”雨”で表現する粋な演出。
椀蓋を外すと、青々とした木の芽が目に飛び込んできて、吸い地の風味が立ち上がる。蛤は天ぷらになっており、旨味と弾力が色濃く感じられ、しっかりと引かれた吸い地に調和する。
●お造り グジ、琵琶鱒
●舞鶴トリ貝
見るからにどっしりとした立派なトリ貝。目の前で殻を開けてくれました。
まずはヒモと肝、さらに身へと、トリ貝を堪能する流れ。
身はサッと炭火で炙ることによってほんのり温度を上げ、甘さがやわらかく開き、潤いのあるふるふるとした身から昆布のような旨味が広がる。
●焼き物
滴るほどののど黒が蓄えた脂をシャキシャキとした薄切りの新玉葱が受け止める。
●岩もずく、鮑
和紙を凍らせて氷室を表現した涼しげで趣ある一品。
●鱧
鱧は骨切りをして湯通しし、白く美しい花を咲かせて。山椒オイルを加えたお醤油で、健やかな風味を添えて頂く。
お食事は3種類あり選べますが、少しずつ全種類頂きました。
●トキシラズと白ご飯
お椀いっぱいに存在感のあるトキシラズ。産卵前のトキシラズからにじみ出す美味しい脂をご飯が受け止める。
●桜海老とグジ
香り高い桜海老が口の中に入る前にもう鼻腔をくすぐる。箸が勝手に進んでしまう美味しさ。
●十割そば
つゆに泳ぐ透明な蓴菜がとっても涼しげで、喉をちゅるんと通るのも爽快で、膨れた胃袋にもすんなり納まりました。
●水無月
ういろうに小豆を乗せた“水無月”は、京都では“夏越の祓”に食べられるのお菓子。
堂々たるコースの流れに身を任せ楽しみ、美味しい余韻に浸りながら帰路に着きました。