「八十八(はとは)」木倉町の町家割烹。予約困難な理由がよくわかる。店主のセンスが光る繊細なお料理、リーズナブルで通いたい。最初はコースがオススメ!シメの牛すじカレーうまい

料理: 7.5 その他: 7.3 ポイントについて
八十八 (はとは)
営業時間 18:00~24:00
定休日 日曜
価格帯 5000円~15000円
訪問回数 3回

木倉町にある割烹料理店。2013年にオープンしてからというもの、口コミで人気を呼び、ずっと予約が取りにくいお店です。店名は、“八十八”と書いて「はとは」と読み、店主米沢友さんの「米」の字(を分解すると八十八)から取っています。店舗は「金沢都市美文化賞」を受賞した町家なんですよ。ちょっと注意なのは、同じ建物に2つのお店が入っていることで、奥は「ハイカラトンボ」というジンギスカン専門店があります。同店は入り口を入って右手すぐに大きな暖簾がかかっています。店内は8席のL字カウンターと4席の個室。店主は奥で調理しており、カウンターには給仕の方がいらっしゃいます。
メニューはコースと品数豊富なアラカルトがありますが、最初はコースがオススメ。コースは基本8000円で約9品出てきて、アラカルトメニューに書かれている料理も含まれて、小さなポーションでいろいろ食べられます。厳選素材に丁寧な仕込み、繊細な味の添え方をし、工夫も凝らされておりどの料理もおいしく、さらにリーズナブルで、これは人気の理由がよくわかる。コースのシメの牛すじカレーはスペシャリテで、これを楽しみにされている方も多いはず。ほんとうまいです。
また、アラカルトでいろいろ選べるお店が少なくなってきた中、アラカルトも有難いことです。
頻繁に通いたいお店ではありますが、予約で埋まっている日も多いので、予め予約したほうが絶対に良いです。

外食文化研究家 あすか
(最終訪問 2019年10月4日)

八十八 2019年10月4日 8000円コース

お酒は珠洲蛸島の桜田酒造さんの銘酒「大慶」特別純米酒 無濾過

・先付
熊本赤なす、茶豆、おぼろ昆布と甘海老、雲丹を海苔で巻いて。

・串揚げ
ほうぼう昆布締めと甘長唐辛子、鯵大葉

・鰻出汁巻たまごのお椀

・本マグロ漬けオクラがけ

・お造り
輪島アラ、輪島クロムツ、氷見アオリイカ握り、添え物のラディッシュは1枚ずつ品種が違う

・八寸
山形の香箱蟹に金時草、秋刀魚西京焼きと水茄子、加賀レンコンまんじゅう白子添え、里芋ポテサラ、打木赤皮甘栗かぼちゃ生ハム巻き、茹落花生

・能登牛と松茸のしゃぶしゃぶ
ここでしゃぶしゃぶとは内容充実し過ぎてて嬉しくなります。

・八十八オリジナル牛すじカレー
これ絶品です。シメにこれを食べるのも楽しみのひとつ。具に大根も入った、サラサラさっぱりした“和”なカレーで、満腹の胃にもすんなりおさまります。テールスープと和風出汁がベースとなっていて、溶け込む旨味が味わいの軸となっています。大盛りで食べたいのが本心。

・水菓子
秋月、シャインマスカット、白無花果を白ワインジュレがけで

八十八 ある夏の日のコース

・有機野菜のバーニャカウダ
土づくりからこだわって野菜を育てている白山市の中野さんの有機野菜と、トマトのスペシャリスト今枝さんのトマトです。特にトウモロコシは糖度が高くてビックリ。みずみずしくって甘いエキスが飛び出しました。その名も「幸せコーン」。その他、人参、水ナス、スティックセニョール、トマト、オクラ
外食文化研究家 あすか
・うざく
中にはシャリが隠れていて、一口寿司になっています。お米は、津幡町河合谷村のおいしい水で育った高山さんの有機米。山椒、大葉、茗荷の風味で、爽やかな印象に。
外食文化研究家 あすか
・焼ごま豆腐のお椀
ほちゃほちゃなごま豆腐を丁寧に焼き、じゃがいものすり流しに浮かべた一品。両者の上品な薄味が調和しており、そこに茶豆が夏の香味を添えています。
外食文化研究家 あすか
・お造り
生本マグロ、天然鯛、鯵、富山の白エビ、石川県産シマエビ
大葉の下には、金時草のおひたしと、ニラの胡麻和え。添え物にも気を配っているのはさすが。
外食文化研究家 あすか
・八寸
ここで盛りだくさんな八寸。ゴールドラッシュの茶碗蒸し、能登黒もずく、生湯葉のジュレがけ生うにアボカドトマトのせ、幸せコーンのかきあげとズッキーニフライ鮎の苦うるか添え、鰊甘露煮と焼き赤茄子。コーンのかき揚げのおいしさは見た目で想像つきますが、ズッキーニも凝っていて良かった。セモリナ粉を施してあるので衣がカリカリで、内包された身からジュが溢れます。
外食文化研究家 あすか
・オレンジミディーのじゅんさいがけ
器もお料理も透明感があって見た目から涼やかな一品。オレンジ色トマト「オレンジミディー」は、太陽の味がするオレンジのようにボディーがしっかりしていて、ポン酢ジュレのまろやかな酸味が良く合います。
外食文化研究家 あすか
・太刀魚の塩焼き
太刀魚はもちろん、太刀魚にのせてある紐唐辛子の揚げびたしがまたいい味。ピーマンのようにパンチの効いた苦味の角が取れて、たおやかな味にまとまっていて、白身だが味のしっかりした太刀魚に味を添えています。添えてあるのは、トマトの生ハム巻きフライとネギ味噌。
外食文化研究家 あすか
・お食事 牛すじカレー
外食文化研究家 あすか
・韃靼そばのブリュレ、マンゴーシャーベット
デザートはオーソドックスだな~と思たのですが、クレームブリュレはなんと韃靼そば味。韃靼そばがブリュレの濃厚なクリーム感に、滋味と香ばしさを添えていて美味でした。
外食文化研究家 あすか

八十八 ある日のアラカルト

●お通し
「さんま押し寿司」の秋刀魚は肉厚でみずみずしく、それ自体も旨い。さらに皮目に肝だれを施し、綺麗に炙ってあることで、炙り目の香ばしさと肝の深みが口の中で広がり夢心地。
「トマト茶碗蒸し」はトマトの酸味を活かしたまま、上品な和の味わいと上手く調和させた一品。胡麻油の風味づけもニクイ演出。
外食文化研究家 あすか
●甘えびクリームポテトまんじゅうむし
甘えびの身と味噌を裏ごしをしたポテトで包み、出汁餡をかけた繊細な一品。ポテトは、まさに“クリーム”というほど、それはなめらかな舌触りで、味噌の濃厚な味わいが溶け合います。
外食文化研究家 あすか
●能登牛テールほちゃほちゃむし焼ポン酢
店主の自信作。やわらかく調理した能登牛のテール肉を、ポン酢か生七味で頂くのですが、なんといっても自家製の生七味(手前)が忘れられない味でした。七味といってもピリッと来る辛さはなく、お酒のアテとしてもそのまま食べられます。数種の薬味からの複雑な風味と、ゴマの粒感はクセになる味わい。
外食文化研究家 あすか