「竹千代」一軒家に移転し美意識がより明確に。唯一無二の名店。自家製こんにゃくは究極の逸品

料理: 8.5 その他: 8.5 ポイントについて
竹千代 (たけちよ)
営業時間 18:00〜
定休日
価格帯 15,000円〜
訪問回数 2回(移転前は10回訪問)

日本料理のコースに、自家製の繊細なおでんを織り込む、唯一無二のお店「竹千代(たけちよ)」。
2002年に開業し、2027年6月には25周年を迎えます。以前は雑居ビルの奥にひっそりと店を構えていましたが、2025年4月、新竪町の一軒家へ移転しました。

以前と変わらず、店主の竹内裕雄さんが、仕込みから調理まで一人で担うワンオペ営業。仕事中は寡黙で職人気質ですが、話してみると優しい方です。
まるで「美味しんぼ」の海原雄山がおすすめする店として登場しそうな一軒で、料理は見た目の派手さで惹きつけるのではなく、素材と手仕事を突き詰めた、シンプルで端正なもの。こんにゃくやがんもどきはもちろん、胡麻豆腐、鶏団子、カラスミ、食後の葛もちまで、すべて自家製です。

予約は、毎月1日に翌月分を受け付けています。例えば、11月の予約は10月1日から。席数が限られているため、訪問を考えている方は予約開始日を覚えておくのがおすすめです。

新しい店舗には、8席のカウンターとお茶室を完備。凛とした緊張感がありながら、趣と落ち着きがあります。

お酒は、竹内さんの出身地である山中温泉の松浦酒造が造る「獅子の里」のみ。この潔い選択にも、竹千代さん”らしい”頑固さが表れています。

現在営業している場所は知っていただきたい一方で、コースの全容は公開したくないという竹内さん。そこで今回は、季節を問わず毎回登場する「竹千代」のスペシャリテをご紹介します
(コースはこれらに加え、季節の料理が数品と食事、甘味、お薄で構成されます。)
何度訪れても、“全部自家製”という事実に改めて驚かされます。毎回いただく料理でありながら、そのたびにおいしさを再確認。

 

①名物 自家製胡麻豆腐
コースの最初に登場する定番です。
白くもっちりとした美しい胡麻豆腐は、絶妙な口溶けと絹のような舌触り。ごくシンプルな一品ですが、ひと口目からしっかりと印象を残します。

②名物 自家製こんにゃく
竹千代の代名詞といえば、自家製こんにゃくです。
スペシャリテの中でも、とりわけ強く印象に残る一品。こんにゃく芋から手間と時間をかけて作り、丁寧に練って水分をぎりぎりまで飛ばしてあります。歯を入れると、サクサクとした独特の感触があり、その奥にはしっかりとした弾力があります。一般的なこんにゃくとは全くの別物です。
こんにゃく芋そのものの風味も感じられ、しみじみと旨い。何度いただいても、この料理のすごさを再確認します。

③名物 カラスミの食べ比べ、鯖の粕漬け、甘海老の肝和え
コースの中盤登場する自家製珍味も凄みがあります。
熟成期間の異なるカラスミの食べ比べは、今回は5年もの、8年もの、9月ものが登場。
年数を重ねるにつれて色は濃くなりますが、単純に塩味が強くなるわけではなく、味に落ち着きが増し、それぞれに異なる深さが感じられます。時間が生み出した美味しさでもあり、しみじみきます。獅子の里のアテにぴったり。

④名物 自家製鶏団子
鶏団子は一度蒸してあるため、口当たりはぷりっとしています。そこに練り込まれた軟骨のコリコリとした食感が加わり、噛むたびに軽快。出汁は、五感をすり抜けそうなほど淡やか。鶏の旨みと団子の食感を静かに引き立てます。

⑤名物 自家製がんもどき
ぷっくりと丸い、小さながんもどき。中には、サツマイモ、人参、ごぼうなどが詰められています。一見すると素朴ですが、食べると、一つひとつの具材の大きさや食感まで細かく考えられていることが分かる非常に繊細ながんもどきです。

このスタイルを貫いて来年で25年。その一貫した姿勢は、移転しても変わっていません。
むしろ一軒家になり、竹千代さんが大切にしてきた料理と美意識が、より明確に伝わるようになったと感じます。金沢に数ある日本料理店の中でも、ほかに似た店を思いつかない、唯一無二の名店です。