長町武家屋敷の近隣にある、能登の魚を中心とした魚料理を提供する日本料理店。同店は串焼きを名物とするお店「酒肴南山(なんざん)」が、2017年3月30日にコース料理を提供するお店としてリニューアルオープンしています。店主の南山良太(みなみやまりょうた)さんは石川県の能登町出身。能登町は日本海に突き出す能登半島にあるので魚種が豊富です。イカの水揚げで日本3大漁港とされる小木港も有名。ちなみに店名の「比那(びな)」は店主の出身地名だそうですから、ここにも地元愛とお人柄の良さが感じられます。外観も内装も凛とした印象で、店内は8席のカウンターで店主の手元がよく見える造り(奥に個室が1つあり)。
以前から南山さんの魚串やその他の魚料理には定評があり、魚を肴に地酒を飲みたいときは南山さんがチョイスに入りました。なんたって魚のおいしい食べ方を熟知し、ツボを尽く料理ばかりでシゴトがとっても繊細です。以前はアラカルトでしたが、比那ではおまかせコースを提供。コースですが、金額に対する満足度は大きく、もう少し料金設定が高くても納得感あると思いました。例えば魚串が食べられるコース(料理含む)は5000円から千円区切りで、という手頃価格。常連さんも多いことでしょう。
比那 9月中旬
魚串を含む日本料理のコース7000円でお願いしました。
日本酒はまず、“末廣”で知られる輪島の中島酒造店さんの純米「伝兵衛」で。さらに“天狗舞”で知られる車多酒造さんの「五凛」を。比那さんは天狗舞シリーズの取り揃えが多いので、天狗舞の飲み比べも良いかと思います。
●輪島の鮑 酒蒸し
調味は酒のみだそうですが、鮑の持つ旨味がスープに溶け出して、海藻の風味がする濃い味わいが美味。
●七尾ボタンエビ
立派な七尾の2年ものボタンエビ、これはシンプルにそのまま。珠洲の塩で
●冷やし鉢 長芋そうめん
針に切った長芋そうめんは、冷やっとみずみずしくしなやかで舌触りの繊細なこと。美味。
●飯蒸し
富山白えびと北海道うに新いくらをのせた飯蒸し。艶っと輝く新いくらが美しい。ねっとりと甘い3つが合わさる贅沢さ。
●小芋揚げ
小芋を煮て味を含ませたものを揚げて出汁あんがけに。とんぶり、そしてトリュフをはらりかぶせ、和の旨さにふくよかな香りをふわっとのせる。
●能登牛プレミアムロース まつたけしゃぶしゃぶ
魚の流れにポイントで肉を挟んでくれるのはとても有難く好感が持てます。アクセントとなり飽きずにより魚も楽しめるし。いい肉を少し。これがいい。松茸を合わせて秋を感じる一品。
●お造り
ここからは串を5本。料理の流れとしてもこの流れで魚串が来るのはアクセントにもとても良いし楽しい。さすが南山さんの串は繊細で美味。高級魚だけじゃなく、大衆魚や小魚、繊細な魚の扱いもさすがだなぁと思います。ただ、せっかく目の前に焼き台があるので、そこで焼いてくれたら最高だけど。
鬼おろしのシャキリと清涼感を挟みながらというのもまた良く、次の串が新鮮に味わえます。
●ヒラメ柚子胡椒
焼くとかたくなる印象のヒラメも、やわらかい仕上がりに歯が驚きます。柚子胡椒の味の添え方も、ヒラメのおいしさを立てています。
●カマス
●能登牛ランプ
●輪島ののど黒
輪島ののど黒とは嬉しい一串。ひたひた脂が口の中でじゅわっとなり、おいしいエキスで口の中が潤う。
●うなぎ(お食事と共に)
輝く能登コシヒカリ、新米で準備してくれました。ああ、ありがたいこと。
●水羊羹
比那 2017年5月
シャンパンビネガーやカルバドスなどを味の組み立てに使用したり、西洋野菜や地物ブランド野菜やハーブ類なども取り入れてありました。華やかさもありますが、そこにしっかり魚のおいしさを感じさせてくれます。
●先付
アワビや才巻き海老、ホワイトアスパラガス、じゅんさいなどを透明な出汁ジュレがけにし、ムース状にした甘唐辛子とパプリカをトッピングしてあります。見た目にも味わいにも聡明感があって初夏の最初の一品にぴったり。食材各々の雅な薄甘さが口の中で開いていきます。食べ進めるごとに味が変化するのもまた良し。
●サラダ
からし菜と水菜をシャンパンビネガーで和えて。酸味が可憐で優しい。野菜もエグミなく美味。
●太刀魚の蒸し寿司
のど黒や雲丹の蒸し寿司は食べたことありますが、太刀魚の蒸し寿司とは珍しいですね。シャリは蒸すことによって甘さが開いて食感もむっちりやわらかくなりますが、太刀魚も同じように身がほわっとやわらかくなり、一緒になって口の中でとろけます。梅肉のやわらかく当たる酸味が良いアクセントに。添え物はアスパラソバージュ。
●焼き胡麻豆腐のお椀
焼くことによって香ばしさと食感がふわっと軽くエアリー。
●お造り
イシダイ、黄ナメラ、アジ、マハタ、活モンゴウイカ
●沖マス
味付けに使用しているカルバドスがチーズといい相性。
●アマダイのウロコ焼き
アマダイのウロコ焼きは、理想的な仕上がり。鱗が口の中でカリカリと乾いた音を立てて美味。身はほわほわ。付け合せは賀茂ナス、花ズッキーニの海老射込み、ネギボウズ。赤味噌と白味噌を添えて。
●カマトロの柴漬けソース
カマトロのおいしさはもとより、柴漬けのソースが美味。これはうまい!赤紫蘇の爽やかな酸味と風味がいいアクセントになり、さらに脂を切る役目も果たしています。
●金目鯛、ワカメ
●お食事
うなぎの串と、添え物の実山椒入りのちりめんじゃこも自家製で、控えめの良いお味に仕上がっていました。
●水羊羹