「五十嵐(いがらし)」せせらぎ通りにいいお店。品数多いのに計算されたお献立。こなせる大将の力量がすごい。工夫凝らされているのに手頃価格もありがたい。

料理: 7.5 その他: 7.5 ポイントについて
五十嵐 (いがらし)
営業時間 18:00〜L.O.21:00
定休日 日曜日
価格帯 6,000円、8,000円、10,000円
訪問回数 6回

香林坊せせらぎ通りの一角にある一軒家の日本料理店。オープンしたのは2014年5月29日。店主は金沢の料亭浅田屋さんに9年、珠洲のランプの宿の料理長として9年を経ての独立いうことで確かな腕あり。店内はオープンキッチンで広く余裕のあるワンフロアで、席はカウンター6席ほどに2名がけテーブル席が4つ。営業は夜のみで、コースは価格別に6000円、8000円、10000円(税抜き)の3つがあります。オープン当初に比べると品数は抑えたものの、それでも充実していて驚くはず。ちなみに今の方が料理の焦点が絞られていて好きです。驚くのは大将の力量のすごさ。入念に仕込みがしてあったとしても、これだけの席数に対してこの品数を、大将ひとりで準備しているのはすごい。静かだが無駄のない動き。お見事。お献立は、温度、味や食感のメリハリ、季節感、組み合わせの妙、新しいおいしさ、驚きまで計算されている。工夫凝らされているのに手頃価格だし、毎回違うし通う楽しみまである。これは夜のみ営業だから出せているパフォーマンスなのか、とにかく実力がそうとうないとできないと思う。
(最終訪問 2020年8月6日)

2020年8月6日 6,000円コース

コロナ渦で春をジャンプしての夏。
今回は6000円コースで。6000円コースは皿数が少なめなのかと思いきや、工夫をすることによって皿数を変えずにコースを組んであって、ボリュームも思った以上で驚きがありました。「ああ、大将は本当に料理が好きなんだなぁ」と思える工夫が散りばめられていました。
しかしながら、食材の自由度が高まる8000円コースがトータル的には一番良さそうな気もするので、やはり次回は8000円にしようかな。

●前菜
まずはオクラのゼリー寄せという、夏の暑さに涼やかな風を吹かせる前菜から。
中には蒸雲丹と海老入り。金時草の透明な紅紫色も風流だ。


●揚げ物
海老と枝豆と玉蜀黍入りの夏らしい湯葉巻き揚げ。さらに、甘鯛の鱗揚げとオクラの花の天ぷら。

●八寸
この盛り込みの中には、和え・焼・蒸・漬など多様な調理法と味付け、いろいろな食感と温冷が発見できて、食べ進めるのが楽しい。シンプルに見えるが手の込んだ八寸だ。
自家製なめ茸と赤イカ三つ葉和え物、湯葉とバイ貝の鼈甲餡、山菜ミズとアスパラ白和え。さらに鯛の皿には、鮎の南蛮漬け、鰯の味醂焼き、蛸の柔らか煮、コリンキー味噌漬け。

●お造り
オニカサゴ軽い昆布締め、鮪炙り漬け

●お吸い物
焼き鮎と玉蜀黍しんじょう

●焼き物
太刀魚の雲丹焼き、能登牛、甘長とうがらし、加賀野菜ヘタ紫なす南蛮漬け、白きゅうりのぬか漬け
ここまででもう結構満腹に。添え物の野菜まで1品1品しっかり作り込まれている。

●海素麺と白貝の酢の物

●ジャコご飯の焼きおにぎり、あら汁

●スモモゼリーと果物
ノンアルコールのスパークリングワインを仕上げにかけてシュワシュワと清涼感を加えてあります。最後まで夏らしく、手抜きなしで大満足のコースでした。

2019年10月17日 8,000円コース

日本酒は大七の熱燗と、地酒は吉田酒造店の吉田蔵を。



●百合根まんじゅう
百合根まんじゅうは上生菓子のような、とろっともほろほろとも違う繊細な口当たりで、中にはそぼろにして味の入った海老。松茸をのせて。“最初の一品から美味しいお店に外れなし”だ。

●天婦羅
マコモダケのササガレイ巻きと丸葉春菊の天婦羅。

●八寸
牛モモ、鰯みりん焼、ムカゴ蒲鉾、長芋山葵、鈴かぼちゃ、春菊おひたし新いくらのせ、このわた茶碗蒸し、自家製なめ茸イカ三つ葉和え物
この盛り込みはすごい。ひとつひとつ丁寧で、精度高いし、温度や食感のメリハリまで考えられている。

●お造り
ガス海老おぼろこんぶ巻き、ハタハタ、フエフキダイ、穴子湯引き

●お吸い物
スペアリブと大根でお吸い物に意表を突かれる。スペアリブの柔らかさ、脂っ気がなく出汁のおいしさでまとまっていて面白い。

●焼き物
甘鯛鱗焼き、ごぼうのよごし、あやめ雪かぶ

●煮物
秋鮭つみれ、かぶら、ハナビラタケ、アワビタケ
この季節秋鮭を頂く機会はよくあるが、つみれで出てきたのは初めて。工夫の楽しさ。さらに食感が予想外にほわほわしており二度目の驚き。箸先からもその繊細さが伝わった。

●お食事
ご飯は三重県萬古焼(ばんこやき)で珠洲市上戸町福田農園さんのコシヒカリの“銀シャリ直球勝負”。光り輝くツヤツヤのご飯のおいしさよ。おこげも眼福。二杯目はお茶漬けに。




●秋の果物ジュレがけ