すしをワインで頂くという珍しいスタイルのお店で、“すしには日本酒” に新風を吹き込ませ、新しい発見を与えてくれた一店です。さらにもう一つ特徴的なのは、握りのサイズがとっても小ぶりであるということです。ここまで聞くとちょっと奇抜な印象ですが、お料理もおすしもとっても繊細で美味しく定評あり、リピーターが多いですよ。
席数はカウンターに8席。店主のこだわりが感じられる一枚板のカウンターと、清潔感漂う店内には、良い緊張感が溢れています。
飲み物は、ビールは瓶ビールで、日本酒少々。その他は、シャンパーニュなど発砲系の白と、白ワインが中心です。
お料理はコースのみ。まずは、吟味された地物食材を中心としたお料理が5品ほど出てくるのですが、これらがどれも繊細で、実力の高さを見せつけられます。
夏のある日のお料理です。
・このわた入り冷茶碗蒸し
最初から品のある一品。このわたのふくよかな妙味がじっくり伝わると共に、ひんやりした口当たりが、まずは火照った体をクールダウンしてくれます。
・穴水の細もずく うずらの玉子落とし
・鱧 湯引き
湯引きは軽めで、冷水で締めずに、ほの温かいままで提供。ほわっとした食感がたまらなく心地よい。
・渡り蟹
蒸した渡り蟹をアスパラと併せたシンプルな料理。しかし渡り蟹の濃い旨さと滲み出てくる甘さが、ガツンと伝わります。アスパラのシャキシャキ食感もアクセントに嬉しい。
・アマダイのうろこ揚げ
逆立った薄いうろこは、口の中でサクサク言う乾いた音がおいしい。対して身は繊細でほわほわ。そのコントラストも旨さを引き立てます。
握りは見た目からサイズ感を理解できていますが、口に入れるとやはりいつもの寿司とは明らかにボリュームに差があるので、再び驚きがあります。小さいので目を閉じて味覚を研ぎ澄ませて味わっている自分がいます。また、ポーションが小さいためか米粒が大きく感じられる気がします。
こちらは春のホタルイカの巻物。
口の中で肝がソースのように飛び出し、濃厚な旨味を添えてます。
やはりかた田さんは、ワインを飲み進めながらにぴったりです。逆に、「がっつり握り寿司が食べたい!」という人には不向き。お酒をたしなみ、会話を楽しみ、ゆっくりとおいしいすしに舌鼓したい方に最適です。シュチュエーションを選ぶのがベストですね。
店主の物腰の柔らかいお人柄も、おいしさを上書きさせてくれますよ。