2023年2月1日に金沢の片町エリア、大工町にオープンしたフランス料理店です。
不思議な店名は、実は禅の言葉である「而今(にこん)」から取っていて、「今この瞬間を大切に生きる」という意味があるそうです。
フレンチなのですが、建物は元「割烹河童」というお店をほぼそのまま原型を活かして使用しており、昔ながらの風情が漂います。
まさかこういう外観だとは思ってなかったので、一旦通り過ぎてしまいました(笑)
看板もそのまま、入り口からカウンターまでのアプローチも老舗割烹の面持ちです。こういう感じは他にはないので、逆に新鮮。カウンターにはお客さんから見えるように立派なワインセラーを入れてあります。個室もあり。
オーナーシェフは前田涼太郎さん。西麻布「LE BOURGUIGNON(ルブルギニオン)」さんでも長く腕を振るわれました。
そして、同店でとっても素敵なのが女将のサキさん。聡明で美しくて、お若いのに品があって、お着物も良く似合っており、迎えてくれた瞬間嬉しくなってしまう。凛としていて花が咲いたよう。
お料理は12000円のおまかせコースのみ(7〜8品)で、土日祝が定休日です。
週末お休みにしている理由は、前田シェフがお父様(前田利幸さん)のお店である内灘の「はねや」さんを手伝っているから。はねやさんと言えば、地元で長く愛される有名和食店。130席もあるオオバコで宴会も多いお店です。
NICONは魚介をメインにしたフレンチで、魚は主に富山県氷見産を使用。仕入れは氷見のすし名店「鮨よし」さんと同じなのだそうです。素材力を立てて料理に昇華させてあり、魚のポテンシャルの高さがしっかりと伝わります。同時に、添え物もソースも手間を惜しまずに丁寧に仕込まれたことが伝わる、品のある味わいで、計算もされている。まるでシェフの優しい人柄がそのまま料理に表れているようです。
肉料理もさすが、これまで培った腕の高さと「ルブルギニヨン」の誇りまで伝えてくれる素晴らしい美味しさ。
ワインの取り揃えが豊富なのも特筆すべきポイントです。
ちなみに個室はこんな感じです。
2024年8月4日:氷見産アカイカ夏野菜、ワタリガニパイ包み
今回は、序盤の氷見産アカイカも印象的で、刻んだ夏野菜を詰めて爽やかに。トウモロコシのスープで太陽の味を添える。
氷見のど黒は程よい脂のりで美味。ワタリガニのパイ包みも、濃厚なアメリケーヌを添えて、絶品でした。
(以下、お料理の写真です。)
●人参ムース、うに、コンソメジュレ
●氷見産アカイカ、刻んだ夏野菜と、トウモロコシのスープ
●レンコダイ、タコトマト煮、蕪のババロア
●氷見のど黒、ラビゴットソース
●ワタリガニのパイ包み、アメリケーヌソース
●甘鯛鱗焼き、ニョッキ
●牛ハツ、甘長唐辛子ボロネーゼ
●桃コンポート 加賀棒茶
2024年6月20日:岩牡蠣、氷見の鮎魚女のパイ包み、黒ムツスープ
●人参ムース、うに、コンソメジュレ
王道の一品からスタート。
ひんやり唇に当たり、雲丹のコクと人参の甘さをジュレがまとめ上げて三位一体に。複合的で完成されたコンビネーション。
●岩牡蠣 氷見、胡瓜ジュレ、玉ねぎピュレ
●鯵 氷見、アカイカタルタール
雑味のない美味しさの鯵とアカイカを、ガスパチョのキリッと夏の爽快さで持ち上げます。
●スズキのベニエ、ラビゴットソース、ズッキーニ
●鮎魚女 氷見 パイ包み、サフランソース
鮎魚女の身をパイ包みにすることによって、身の繊細さはそのままに、甘さと旨みがグッと引き出されます。サフランソースで軽やかに風味豊かに。
●黒ムツ 氷見
黒ムツと黒ムツのスープ。黒ムツの出汁が胃から体に染みる。コースの流れを一旦すっきりさせてくれる一品。
●和牛ホホ肉 赤ワイン煮込み
ブルギニオンからのレシピで、完成された美味しさ。赤身とゼラチン質が溶け合っていて、重厚だがしつこくなく、パーフェクトなバランス感。今まで食べた牛煮込みで一番美味しい!
●クレームブリュレ 加賀棒茶
加賀棒茶は乳脂と相性良く、口の中で温められて馥郁たる香りが豊かに広がってミルキーな味わいと共に余韻に残る。食後の満足感を高めてくれるデセール。
2023年4月7日:白海老、鮟鱇
私が特に好きだったのは、白海老と鮟鱇。
(品数多いのでコメントは一部)
●人参ムース、うに、コンソメジュレ
王道の一品からスタート。これは完成系のコンビネーションですよね。
●白海老
印象的な一皿!
富山の白海老のねっとりくる甘さに、蕪サラダのしなやかでシャキシャキの食感と蕪ヴァヴァロアの優しい味わいが重なる。トマトエキスの透明感ある旨味と春菊ソースの青い風味、ライムの爽やかな風味が持ち上げます。
●ラタトゥイユ、鰯ラグー、アンチョビ、スミイカ、バジルソース
●香箱コンソメ
●甘鯛鱗焼き、ホワイトアスパラ、パルメザンリゾット
蕗の薹ソースの苦味が、チーズのまろやかさに良いアクセントになっていました。
●鮟鱇、鮟鱇煮凝りソテー
鮟鱇の煮凝りソテーが絶品で、とてもインパクトありました。
表面は香ばしく、咀嚼するとゼラチンの弾力と共に旨味が広がり余韻する。
ほうれん草と白菜クリーム煮、赤ワインソースで
●羊
プラにヴィヤンドを置き、コースの流れに抑揚を付け引き締める。この日は羊でしたが、鴨のときもあるそうです。
ロゼール産羊のセル、ヒレのパン粉焼きで、羊の個性をしっかり出した一品でした。ナヴァラン、黒オリーブソースで。金柑の凝縮した柑橘味が相性良かったです。
●ココナッツブランマンジェ、加賀棒茶
ふるふると繊細で妖艶な風味のココナッツブランマンジェに、マリネしたいちごの可愛らしい酸味とバジルの青い風味で、口の中が春の喜びでいっぱいに。最後の一品までしっかり美味しくて、満足感が膨らむ。