金沢予約困難店の一つ「御料理貴船」さんで腕を磨かれた吉田和裕さんが、白山市で独立開業された日本料理店です。オープンしたのは2022年9月28日のこと。店名は大将の家の屋号だそうで、読みは「ようしょ」。オープンからすぐに予約困難店になっています。
場所は、金沢の中心部からは行きは(夕方の渋滞もあるので)車で40分でした。白山比咩神社の近くですが、小道を入った民家の中にあるので、初訪問だと迷うこと必至。アクセスの際は注意して訪れてください。
お店はひっそりと佇む一軒ですが、凛とした暖簾がかかっており存在感あり。
お庭も整えられおり、調度品一つひとつ、空間の細部までこだわり抜かれたことが伝わります。
予約は1日昼・夜3組限定で、予約開始は月初めの第一水曜日に4ヶ月後を取っています。(次は8月2日10時から11月の予約スタート)
コース価格は(10月予約分より)【昼】5000円・8000円、【夜】8000円・11000円(別途消費税、夜は3%のサービス料)
(毎週日曜と毎月1日に行っていた朝食は9月末で終了するそうです)
感想は総括で。
旬や行事をふんだんに取り入れたプレゼンテーションに貴船イズムを感じました。また、品数が多いのですが、1品1品に丁寧さが感じられて、大将の誠実なお人柄が現れているようでした。
そして何と言っても満足感に対しての手頃感が大きい。近年食材の高騰などで外食の価格もググッと上がってきましたが、逆行した価格設定がありがたい。
高級食材をバンバン使うわけではなく、地元の旬食材にフォーカスしてしっかりと工夫を凝らすことで、美しくおいしい料理に昇華してあり、これぞ料理人さんのシゴト・技だと思いました。
1度訪れたらまた来たいとなる人が後を断たない理由が良く分かります。
大将はじめ、お店の方々の温かいおもてなしも素敵で、私は家族で来たい場所だなと思いました。
お部屋は、個室が一つと、白山連峰が描かれた素敵なカーテンで2つに仕切ることができるダイニングがあり。清潔感のあるモノトーンで洗練されていた雰囲気で、天井が広くて開放感があり、窓から見える山の景色との一体感もあります。
夏のディナー
今回は手頃な方のコース(7000円)でしたが、この満足度はすごいと思いました。
●水出し煎茶
まずは冷たい水出し煎茶でクールダウンしてから、一献を頂きます。
●雲丹と焼き茄子、出汁ジュレ
雲丹が出てきて心躍ります。焼き茄子の香ばしい風味とひんやりジュレ、雲丹は口の中の温度で甘さが開いていきます。
夏らしい最初の一品に心掴まれました。
●ヤングコーンおかきあげ
ヤングコーンは香ばしくおかき揚げにして、青々とした皮の部分を器にして。
●夏の盛り込み
7月は七夕のしつらえで、笹の葉と七夕の短冊の前身である”梶の葉”を添えた風情ある演出で楽しませてくれました。
トマト、鯵棒寿司、南蛮漬け 枝豆、さつま芋レモン煮込み、丸いもそば
●お椀
鮎すり流し、玉子豆腐、蓼、オクラ、茗荷
吸地は、鮎のすり流しというのが意外性ありました。口の中にまろやかさと鮎の優しい苦みがとくとくと広がる。
●鱒昆布締めなめろう、堅豆腐、しんしんローストビーフ 胡麻油
鱒をなめろうにするという新しい食べ方。昆布からの旨味がほんのり移っていて絶妙な塩気。海苔で巻いてパクッ。
●鱧カツ
鱧はフライにして、トマトに青唐辛子を効かせたソースをかけてチーズを削って。サルサ風ソースがコースの流れの抑揚にもなっていました。
●新玉ねぎと打木赤皮甘栗南瓜のムース
すり流しかと思いきやムースでした。ほっこり濃厚な加賀野菜の打木赤皮甘栗南瓜と、新玉ねぎの自然な甘さが調和。
●甘鯛鱗焼き、丸茄子、甘鯛出汁
この時期の丸茄子は本当に美味しいですね。甘鯛からの出汁を吸わせて、さらに鱗揚げの油との相性も良くて、なるほどと言える一品でした。
●太刀魚ご飯
待ってましたのお食事です。
ほわっと仕上がった太刀魚に、いぶりがっこでスモーキーな和の風味と食感を加え、梅の酸味で箸が加速する。
ここでまた、食欲スイッチオン。
●とうもろこしぷりん
夏らしいデザートで〆。濃厚なとうもろこしにカラメルが好相性でした。