「西華房」コンセプトは“中国料理とシェリー酒”。超シンプルでうまい黒酢すぶた、よだれホタルイカもオススメ

料理: 7.5 その他: 7.0 ポイントについて
西華房 (さいかぼう)
営業時間 18:00~24:00
定休日 日曜
価格帯 3000円〜6000円
訪問回数 7回

2020年2月15日に金沢市柿木畠の入り口にオープンした中国料理店で、“中国料理とシェリー酒”というコンセプトに魅かれます。
オーナシェフ裏山隼人さんは、金沢のホテル中国料理や東京の中国料理店で腕を研磨。初出店は、「とおりゃんせ KANAZAWA FOODLABO」という屋台村の一角でした。同店はその屋台村からの移転です。

お店の場所は柿木畠入り口(おでん高砂さん近隣)で、店内はカウンター8席と奥にテーブル席あり。中華鍋で調理する光景はやはり良いですね。鉄鍋の音にも食指が動きます。

料理は良い意味での大衆的要素と洗練とのバランスが良く、ラフに食べられるけどこだわりとオリジナリティーもしっかり織り込んであって楽しい。メニューはアラカルトで揃っており、注文しやすい価格帯で気軽さもありがたい。

お酒はコンセプト通り、ここに行くなら料理とシェリーとのペアリングで楽しむのが良いです(が、ビールなどもあります)。

西華房のスペシャリテ

●黒酢すぶた
私も大好きな一品で、ここに来たら必ず注文します。
具は肉だけというシンプルな酢豚で、まずは黒酢の照りと香りに食欲が加速します。キャラメルのような甘いコクと酸味に、豚の旨味が溶け合い「う、うまい」。これは永遠に食べられるやつです。


●四川麻婆堅豆腐
白山の名産品である堅豆腐を使った麻婆豆腐なので、お豆腐の輪郭が出ているのと、ひき肉が粗めなので、よい意味で食材を味わえる麻婆豆腐です。

西華房のシェリー酒ペアリング例

シェリー酒というと、私を含め未体験の人が多いために避けがちかなと思います。「紹興酒のようなお酒?」という先入観があるかも。しかし、シェリー酒は“酒精強化ワイン”ですから、ワイン好きならきっとすんなり飲めるはずです(ぶどうは白ワインに用いるぶどう品種。添加アルコールにはブランデーが多く用いられる)。
※シェリー酒に詳しくないので個々に詳しく説明できずすみません。お店で説明してもらってくださいー。
 
●よだれ鶏 × 「ベルトラ」(フィノ)
中国山椒の痺れと香り高さ、ラー油の辛みと焦がした香ばしさにそそられるピリ辛ダレ。フィノは軽やかな辛口で、淡白な鶏肉と辛さにピッタリ。

●青菜炒め × 「ビクトリア」(マンサニージャ)
青龍菜というニラとネギを掛け合わせした野菜の炒め物。ニラのような形状ですが、ネギのような色みで、味わいの両者の良いとこどり。加熱調理するとネギらしいとろみも出てきます。台湾スタイルで煮干しとともに炒めてありました。
マンサニージャは超辛口で、シャープでスッキリしており、野菜料理に相性良し。

●黒酢すぶた ×「アモンティリヤード」(ベルトラ)
黒酢すぶたは同店のスペシャリテ。琥珀色をした「アモンティリヤード」は樽香がしっかり感じられる、紹興酒と似たニュアンスのシェリー酒で、キャラメルのような黒酢のコクと甘さに相性抜群でした。このペアリングは特にオススメ!

西華房のアラカルトメニュー

アラカルトでは旬食材を使ったメニューも楽しめます。クラゲの冷菜とクリームチーズ海老マヨが個人的に好きです。

●よだれホタルイカ(860円)
よだれ鶏のホタルイカバージョン。毎春のお楽しみです。
富山産ホタルイカに麻辣ソースがかかっており、複雑な辛味や苦味に、ホタルイカの濃厚な肝がよく合う。うまい。

●豚肉とせり、筍の細切り炒め(1380円)

●ザーサイと胡瓜の和えもの

●クラゲの冷菜
毎回注文するやつ。コリコリした歯応えと胡麻の風味が箸を進め、食べ出したら止まらない。


●和牛カルビと板春雨、新じゃがの麻辣煮込み(2680円)
和牛カルビに板春雨と、好きな食材しかないぞ!と即注文。辛さは少し控えめにしてもらいました。グツグツと麻辣スープで煮込んであり、和牛や椎茸から旨味が滲み出たとろみあんがちゅるんと舌触りの良い板春雨に絡みます。

●牛サーロインと筍のオイスターソース炒め
オイスターソースの重厚なコクが素材をまとめ上げ、重めのシェリーにもよく合う。

●花巻
すぶたのお供として、中華蒸しパン「花巻」もあり。ほんのり甘くミルキーな味わいで、ふわふわ食感。すぶたのソースを付けても良し、そのままでも美味しい。

●クリームチーズ海老マヨ
マヨネーズ嫌いの私がおいしいと思ったのだから間違いないと思います。好きな人には感じないマヨの酸っぱさが、クリームチーズで落ち着いており味わいに厚みがでています。うまい。

●焼き餃子

●担々麺
細めの低加水麺を使っているので、スープの吸いが良く舌触りよく感じました。シメに。

●麻辣砂鍋(マーラーサーコー)
冬は火鍋が登場していました。“麻辣”は花椒と唐辛子の味付けのことで、“砂鍋”は土鍋のことです。
一人でも食べられるサイズ感が個人的にありがたかったです。
メインの具は選べるのですが、ベーシックな豚肉に能登牡蠣をカスタマイズしました。

草果、八角、青山椒、花椒、唐辛子、桂皮、陳皮などを組み合わせた麻辣ベースは、鍋にする前に一旦炒めているので、ほどよい苦味と香ばしさが出ており、風味も油に移っています。味エノキや舞茸、野菜からの旨味がスープに滲み出して辛味に溶け合い、さっぱりしているのにあと引く美味しさ。苦味も相まって食べ出したら止まらない。

頭皮から汗が噴き出し、食後夜風に当たれば爽快。仕上がった。