「馳走 西健一」静岡 焼津|Chisou Nishikenichi, Yaizu Shizuoka JAPAN

静岡県焼津市に2022年6月18日にオープンした超注目店です。
オーナーシェフ 西健一さんは、広島「馳走 啐啄一十」で腕を磨かれ、広島の人気フレンチ「馳走2924」を約3年営業されていましたが、静岡焼津「サスエ前田魚店」の魚に惚れ込み、なんと焼津に移転しちゃうという情熱家。サスエ前田尚毅さんとの最強タッグで「駿河キュイジーヌ」という新しいコンセプトで展開します。
オープンしたばかりで既に予約困難に。(すぐ予約入れて良かったー!)多分すぐに取れないお店になりそう。

静岡県は、瞬さん、成生さん、日本料理FUJIさん、温石さん、勢麟さんなどなど、超予約困難店がいくつもあり、食通が通う場所でもあります。東京からのアクセスも抜群(新幹線で約1時間)と言うのも強みです。北陸新幹線で東京ー金沢(かがやきで2時間半)よりも断然近い。
(北陸の人間にとって金沢ー静岡って本当にアクセス難しいので困りものです)
同店は静岡駅から、ローカル線で焼津駅もしくは西焼津で下車。そこからタクシーで10分ほどの場所にあります。

サスエ前田さんの最高の駿河湾のお魚に、フレンチをベースとして和のテイストも織り込み、食材のポテンシャルを最大限感じさせるコースに仕上げます。
コースは12時からと18時からの1日2回転で、どちらの時間帯も一斉スタートです。
とても良いなと思ったのは、2時間でしっかりとコースをキメてくるところと、シェフが目の前で実演しながらの調理ですが、全11皿が美しく流れるように、まるで心地良い音楽を聴くようにコースが楽しめました。
2時間で充実感を持たせてくれるのはすごい。
(通常この手のフレンチだと3時間か3時間半くらい覚悟していきます。)
 
外観と店内の空間デザインも素晴らしい。席はカウンターのみですが、ワンフロアのダイニングは余裕を持たせた造りで、自然光を取り込み、アンティーク調のクラシックな雰囲気に海を連想させるマリンブルーの青壁が映えています。

●榊山牛 生ハム
まずはお肉が登場。シェフは広島出身ということで、広島「榊山牛」を使用した生ハムです。
これがものすごくインパクトあって、シンプルだけど味で舌の記憶に残します。最初の一皿として意表を突かれました。
長期肥育で融点が低く脂が溶けやすいのが特徴的。一般的な黒毛和種の融点は25.5度、交雑種は29.9度で、榊山牛は16.4度です。さらに、遊離アミノ酸値、グルタミン酸、ペプチド構成アミノ酸も高いので、旨味がとても強くてサラッとしています。
まずはガツンとやられた。旨味の余韻もすごい。

●メイチダイ
2時間前まで生きてたメイチダイです。肉厚で優しい弾力と引き出された旨味が美味。
荏胡麻のマスタードソースで。フィンガーライムは原産は海外ですが、焼津で育てたものだそうです。

●ジンドウイカ
炭火でサッとやわらかく火を入れてほうじ茶でふわっと香ばしさをのせて。

●焼津版ブイヤベース
オーブンでゆっくり火を入れたイトヨリダイを、濃厚な旨味エキスと言えるブイヤスープで。凝縮されていて、もはやソースのようなスープ。

パンはよくレストランで出てくるフランスの冷凍輸入で焼き上げるタイプのやつなので、自家製とか地元パン屋さんのにできたらここだけの特別感が出せて最高だと思いました。

●椎茸
クヌギの原木で育てた椎茸は、フランス産のバターでムニエルにして。椎茸自体の香りが良く、口の中での風味の広がりがとても豊か。

●黒ムツ
備長炭にあえて炎を起こしてスモークして炭の香りをのせます。焼き茄子のピュレ、山椒を効かせて。

●鮮魚のパイ包み 太刀魚
鮮魚のパイ包みはシェフのスペシャリテです。中のお魚は都度変わるそうで、この日は太刀魚。
パイの中で内包された太刀魚が、ふっくらと火入れされて、甘さも旨味もMAX値に。7時間炒めた甘い玉ねぎに負けない美味しさ。ブールブランソースで。

●榊山牛
ハラミの部位のジューシーで骨太な旨味を堪能。本当に素晴らしい美味しさ。胡椒の健やかな風味がアクセントに。

●リゾット
超高級魚シロアマダイ 白川 をリゾットとして。メインの牛の後でも存在感あります。青海苔、静岡茶と。

●焼津マンゴー、白ワインジュレ、ミントシャーベット

●落花生のジェラート
見た目はシンプルですが、冒頭と同様に味でまたガツンと印象に残します。温かな乳白色に引き込まれる。まずは鮮明な風味が口にパーンと広がり、乳の濃厚さが絶妙なバランスで調和。
最初と最後をキメてくると、レストランとしても印象に残ります。

馳走 西健一
静岡県焼津市西小川4丁目8−9