「Gaa」タイ バンコク|Gaa, Bangkok Thailand

(訪問日 2019年12月19日)

インド人女性Garima Aroraさんがオーナーシェフを務める、バンコクにあるイノベーティブレストラン。シェフは、アジアベスト50の1位常連「Gaggan(ガガン)」の元スーシェフで、お店は旧Gagganの向かいにあります(※Gagganは2019年8月に閉店して別場所に移転オープンしています)。
料理はインド料理の伝統的なテクニックを用いて、タイの食材を取り入れてモダンな料理に仕上げます。ハーブ、スパイス、そして野菜からの旨味も意識しているそうです。Gagganらしさも感じられますが、あそこまで奇抜すぎる印象はなく、良い意味での安心感と冒険感があり。味的に日本人には不慣れでビックリする味もありましたが、それも含めて全て楽しい。そしてこれをインドではなくタイでやることに意味があると思いました。
「ミシュランガイド」2019で初1ツ星獲得、「Asia’s 50 Best Restaurants(アジアのベストレストラン50)」2019年は16位、2020年は15位、2021年は46位にランクインしています。

大通りにGaaの看板が出ている(前は青字でGagganと書かれた看板の下にGaaの看板があったのですが、今はピンクの字のGaaのみでした)。お店はそこを路地に入った場所にある立派な洋館で、植え込みもセンスが溢れます。店前には立派なヒンドゥーの祠もあります。

シェフがお店の前で迎えてくれました。最初にオーナーシェフが出迎えてくれるのは素直に嬉しい。
料理も店舗デザインにも、そしてサービスにも、要所要所に女性らしいセンスが感じられました。例えばサービス面では、一皿ごとに違う料理人さんが代わる代わる運んできてくれて説明をしてくれます。お客さんとコミュニケーションが計れるし、リアルな反応が受け取れるのだと思います。食べ手としてもとても嬉しい。

ショープレートはインドの乾燥スパイスを思い起こさせるような不思議な色の組み合わせ。

【Tasting Menu】
●Chilled Soup of Guava, Roselle, Fermented Mulberries
スパイスとグァバ、ローゼル、桑のスープでスタート。見た目に南国らしい感じがしますが、味は弾ける南国感はなく落ち着きがあり組み合わせの妙が印象に残る。美味。

↓ここから3品は鴨のフィンガーフード。鴨に見えないが鴨料理。
●Savoury Betel Leaf
ハート型をした葉、Betel Leafを枝に挟んだ演出で登場。これは鴨のレバーで味付けたもので、食感がクリスピーで濃い旨味がのっており、食べた感じは“高級なポテトチップスコンソメパンチ”。リーフの風味が一呼吸置いて鼻腔を抜ける。面白い味わいで思わず笑みが。
●Spicy Duck Doughnut
たこ焼きに見えるのは、ピロシキのように鴨のひき肉を詰めて揚げた小粒のドーナツ。
●Duck tongue
木と骨でできた匙に鴨のタンがのっており、つるんと食べる。ダメな人はダメかもな一品だが、面白いアプローチ。


●Chicken Liver, Longan
龍眼と液体窒素で凍らせたチキンレバーのコンビネーション。驚いたのが2つの食材のパーフェクトな調和。他のレバーよりもライトな味わいのチキンレバーが、口の中で溶けて龍眼の甘さと重なります。

●Caramelized Milk Skin, Beef, Yeast Aquafaba
珍しさだけではなく味わいポイントはちゃんと折り込んであるGaaらしくこれも美味だった。上質な牛肉を挟んだクレープ。

●Corn
スペシャリテ。焼き目が美味しそう。グリルしたヤングコーンには切り込みが入っており、剣のようにツルッと抜けるようになっています。中のコーンは包み焼きになっているので、素材そのものの甘さが引き出されていて美味しい。

●Crayfish ザリガニ

●Blue Swimmer Crab, Pomegranate Juice, Spicy Shallot
海老をのせたインディアンクラッカーは、スパイスの重低音が味を支えている。海老味噌の部分はとてもスパイシーでびっくりしたけど。

●Banana, Koji, Caviar
キャビアをのせた日本のお米を使ったクラッカー。透明なバナナドリンクを交互に味わうと、口の中でバナナケーキになるのが面白い。

●Pork
ポークベリー(お腹の部分)にタマリンド、ネギ、オニオンをのせて。脂多い部分で私には少しヘビーだったけど、外さない美味しさで、薬味のようなスライスタマリンド使いがとても良いと思いました。

●Unripe Jackfruit and Pickles
ロティータイム!焼き立ての小さいロティーと巻いて食べる具材が次々と準備されます。ジャックフルーツのグリルに飴色に炒めた玉ねぎをのせたものはカットしてサーヴしてくれました。ジャックフルーツは日本人にはあまり馴染みのない味ですが、楽しい演出。


●Organic Burnt Coconut Sugar Ice Cream, Pork Floss
ココナッツシュガーのアイスクリームに、いわゆる豚肉のでんぶを添える。ミスマッチに思える組み合わせだけど、コットンキャンディーのようなニュアンスの口溶けと甘さ、そして野性的な味わいがココナッツシュガーにマッチしています。

●Chocolate Betel Leaf
冒頭にチップスとして出てきたBetel Leafを次はデザートとして。半分チョコがけになっていて折り畳んで食べます。

最後はコーヒーと小菓子を頂いて締めくくり。お菓子がインドに寄せてあってとてもスパイシーでビックリしたけど、Garima Aroraさんらしくて楽しかったです。