北海道札幌市からJRで20分ほど、「稲穂駅」の目の前にある、大注目のイタリア料理店です。
シェフの中條大輔さんは、イタリアのピエモンテで修行経験がある方です。
料理で最も特徴的なのは、シェフ特製の自家製生ハムやサラミがコース中に次々と出てくること。かなりの種類がありましたが、全てご自身で作られているのに驚きましたし、カウンターにあるスライサーでカットして出してくれるのでライブ感があって楽しい。水分量も一番良いコンディションで食べられます。産地や部位での違いを食べ比べできるのも他にはないし、こんなに多種を食べたのは初めてでインパクトありました。
さらに、シンプルに出すだけでなく、一工夫凝らして料理として仕上げるものもあります。
一番印象的だったのは、生ハムの白子包み。ふるふるとした白子をふわっと薄い生ハムで包むことによって、白子にはない油分を羽衣のように纏わせます。旨味を含んだ美味しい脂が、繊細でミルキーな白子と溶け合い絶品。
また、炊き立てのゆめぴりかを生ハムで巻く一品も良かった。ご飯の温度で生ハムが温められて、肉らしい風味も出てきて、輪郭が出るように炊き上げられたお米が咀嚼することに一役買っており、噛めば噛むほどどんどん旨味が口の中に広がってゆく。2個目は擦りおろした山ワサビをふわっとかけて、ピリッと引き締めます。
インパクトがあった料理は、目の前で仕上げるモッツァレラチーズ、タヤリン、羊のタルタール。
モッツァレラチーズは、人より牛が多いという興部町の牛の朝搾ったばかりの乳で作ります。お餅のような、ほちゃほちゃなモッツァレラが完成。思わず目尻の下がる美味しさです。
タヤリンは、小麦粉1キロに対して卵黄30個を使ったもの。表面がツルッとしており、口の中に滑り込んできて、噛むほどにコクが広がります。絶品。
羊のタルタールは、羊飼い黒井さんが育てる羊のもも。筋膜や筋を丁寧に取ってあり、繊細な口溶け。
発酵調味料も自家製で、カウンターに容器が並んでおりました。
コース中、目の前の完成されたお料理の美味しさに加え、食材が育つ環境や営み、発酵の神秘といった、その背景までを想像させる素晴らしい料理でした。
ワンオペでここまでやれるのもすごかった。仕込みや準備にかかる時間や労力は途方もないことでしょう。
(以下、写真ギャラリー)
Parco Fiera(パルコ フィエラ)
北海道札幌市手稲区稲穂1条4-8-10