「茶禅華」東京 南麻布|sazenka, Tokyo JAPAN

言わずと知れた、日本が世界に誇る名店。「和魂漢才」を掲げる中国料理レストラン。
今回はお久しぶりに、茶禅華さんの予約困難な席でも、最も予約が取れない上海蟹コースです。


同店は2017年にオープンし、2021〜2023年度版で3年連続3ツ星を獲得(2020年度版まで3年連続2ツ星)。「Asia’s 50 Best Restaurants」では、2019年は23位、2020年は29位、2021年は12位、2022年は11位、2023年は12位にランクイン。「プロフェッショナル 仕事の流儀」に取り上げられたことも記憶に新しいです(2020年11月)。


川田智也シェフの料理は、足し算や掛け算だけでなく、日本料理の“引きの奥深さ”や極限まで研ぎ澄ました繊細さも大きな魅力。磨かれた技術とセンスの上に花咲く、記憶に残る美味しさ。確固たる美味しさのスペシャリテ、堂々と豪華で迫力ある料理、素朴だが哲学が詰まった一品、初めて味わうおいしさまで実にドラマティクな構成。コースに抑揚があり、最後まで展開が面白く夢中になります。

料理のお献立は四字熟語のように、各料理を漢字4文字で表現。

「茶禅華に行くなら絶対ティーペアリングも」というくらいティーペアリングに定評あり、今回はティーペアリングをメインとして注文し、鳩料理に赤ワインを追加しました。
お茶は緑茶を始め、青茶、白茶、紅茶、黒茶など、実に多彩でこちらも味わいどころ。

●杏仁豆冨
茶禅華と言えば、デザートの冷・温2種類の杏仁豆腐も名物ですが、今回はなんと冒頭に杏仁豆腐。ほの温かく、杏仁の風味がふんわり鼻腔を撫でる。

●黄金皮蛋
卵白の部分が透明な黄金色のピータンは吸い込まれそうな美しさ。(これを料理として)
嫌味な癖がなく、見た目通りの澄んだ味わいにコクが広がりました。冒頭からすでに川田シェフの世界にどっぷり。

●蟹黄春捲
上海蟹とフカヒレの春巻きは、繊細で贅沢な味わいが乾いた音の後に響きます。

●酔大閘蟹
紹興酒で酔っ払わせた上海蟹です。これがまた食べられて本当に幸せ。

繊細で奥深い芳醇な味わいが波のように押し寄せてきて、数日経ってもその美味しさが蘇るという、記憶に残るおいしさ。

しかもなんと今回はメスからのオスという食べ比べにて。
オスは白子のミルキなーなニュアンスも加わり、また違ったおいしさ。

さらに別で出してくれたのは蟹爪の部分。

●雲白肉
感動の一皿。前回食べて、ずっとまた食べたいと思っていました。
美しく迫力のある大皿料理。薄切り豚バラ肉を使った四川の伝統料理である雲白肉に、茄子を組み合わせた川田シェフのオリジナル。豚の旨味を受け止めるしなやかな茄子は相性抜群。

●酸橙海蜇
清々しいほどシンプルに登場。その中に丁寧と繊細が詰まっていた。クラゲの冷菜。

●雉雲呑湯
スペシャリテの雉の清湯スープにワンタン。クリアなスープに一呼吸置いて立ち上がる雉の旨味の奥行き。

●香辣鸡翅
真っ赤な唐辛子に隠れているのは手羽先。見た目にパンチがあって自然と口の中が潤ってきますが、辛いだけじゃない、カリカリの香ばしさに寄りそう辛味と痺れ、アロマが素晴らしい。そこに手羽先の旨味が流れ込み口内が至福で満たされます。以前はトラフグバージョンで出てきました。

●洋梨、クローブ

●鴛鴦蒸蟹
蒸した上海蟹は甲羅の中に、オスとメスのおいしいところをフュージョンさせたイイトコ取りのダブル。足はオス、メスの内子。さらに隠れているのは白子。こんな贅沢で、繊細でおいしい上海蟹は食べたことがない。黒酢をかけると輪郭が出てまたより美味しい。

●蟹皇魚翅
気仙沼産アオザメフカヒレは煮込んで蟹あんがけで。肉厚でなフカヒレに心踊る。

その感動に浸っていたら、フカヒレ蟹あんでリゾットのようにしたご飯が。黒酢をかけて。蟹あんを余さず頂くためにしては出来過ぎの精度の高さ。輪郭が程よく感じられる美味しいご飯。白トリュフがけで。

●大根餅

●花椒鴿子
メインは鳩。鳩の力強さと滋味とスパイス味のバランス、火入れ、“香りのソース”として出されたペアリングティーが素晴らしい。


ペアリングは、シナモン、クローブ、レモングラス、バラなどをサイフォン式で淹れたハーブティー。シナモンの重低音のような深みと個性的な風味がベースに効いていて、それを立体的に昇華させるのがレモングラスとバラ。

●清湯麺(チンタンメン)
澄んだスープの端正なお味に、デザート前に“整う”やつです。

と、思いきや追加してしまった!
●麻婆豆腐
世界一美味しい麻婆豆腐。さすが、辛さと痺れと風味の効かせ方に汗が気持ち良く噴き出す。輪郭と残して炊いたご飯がまた美味しいこと。

デザートは三段階で。
まずは水菓子的に金木犀のジュレで覆われた果実。
杏仁豆腐は冷と温、温度の違いで2種類あり、温かいほうはもっちり作られていて、杏仁の風味も増し横幅を持たせます。
最後は、お団子なのですが、蒸籠が登場し中には栗。目の前で熱々の蒸し栗を削りかけることで、幻のように消える口どけを演出。



1品をみても全体としてみても、素晴らしいコース。

「茶禅華」東京 南麻布|sazenka, Tokyo JAPAN

「茶禅華」東京 南麻布|sazenka, Tokyo JAPAN