「UOZEN」新潟 三条|UOZEN, Niigata JAPAN

新潟県三条にある、猟と漁をされる井上和洋シェフのイノベーティブレストラン。「ミシュランガイド新潟 2020 特別版」では2ツ星を獲得しました。
車でアクセスすると、国道から少し離れ住宅街と田んぼを横目に見ながら走るので、本当にここにあるのか不安になりますが、それも良いプロローグ。お店は大きな一軒家で、佇まいからすると日本料理店のイメージ。なんでも、ここはマダムのご実家で、日本料理店だった頃もあり、建物そのまま引き継ぐ形で以前の旧名「魚善」の看板もそのまま残してあります。
料理はイノベーティブですが骨太で、ハートに響くプレゼンテーションとガツンと記憶に残るおいしさです。
食材は井上シェフが山に入り海に出て、新潟の野山と海を駆け巡って調達。さらには畑で野菜を育てています。一年を通して自然と共にあり、食材となる生き物たちの呼吸を感じているシェフだと思いました。それゆえ、大事にされているのが“命を頂く”ということです。

●アミューズ
猪肉と香味野菜を煮込んだリエットは、上越の猪の頭蓋骨に乗せて。命を頂くというメッセージを込めたアミューズ。ミニ玉ねぎの中には、キャラメルオニオンのクリームと自家製ハムのマカロン。


●鮎のセビーチェ
三条下田(しただ)の天然鮎のセビーチェ、綺麗な梅紫色のソースで。シェフの仲間が“釣り”ではなく“鮎とり(手づかみ)”をしたものだそうです。今の時期は脂がのって骨まわりの身がおいしいから“せごし”として。氷でしめてキュウリのソースと紫蘇のソースで。爽やさはもちろん、清流を自由自在に泳ぐ力強さも感じました。

●ボタンエビ
見た目からインパクトのある一品。巨大なボタンエビのブイヤベース仕立てで、ボタンエビは生で、身にはエビのコンソメをまとわせて。点在するソースはルイユで、口の中で冷製のブイヤベースが完成。温かいブイヤとはまた違った、フレッシュだが堂々とした美味しさ。

●鹿タルタール
新潟県北部、長野県との県境の本州鹿。一度マイナス60度にして昆布締めにしてタルタールに。トッピングしてある目に鮮やかな向日葵色は、なんと刻んだナスタチウムの花。餃子の皮くらいの大きさのナスタチウムの葉で包み込んで手で食べる。その他、紫蘇の実のピクルス、シブレット、伝統野菜の唐辛子“神楽南蛮”を使用。鹿のおいしさが、波紋のように広がり余韻する昆布の旨味にのり、辛味や酸味が軽快なアクセントとなる。


●岩魚ガレット
渓流釣りの天然岩魚は魚沼のそば粉ガレット。うまい。大胆かつ繊細な一品。岩魚は咀嚼するとサクサクと軽快に崩れてくれて、香ばしさが立つ。葉わさびのピクルスが良いアクセント。ディップは山椒のアイオリ。

●パン、バター
焼きたてのパンに合わせるのが新潟県形のバターでテンションが上がります。佐渡島の佐渡乳業さんのバターに、ミネラル工房さんの塩をのせて。熱々で提供してくれるパンもバターもお塩もおいしくて、3回もおかわりをしてしまいました。

●月の輪熊
月の輪熊のしゃぶしゃぶにジビエのスープをかけて。地元の天然きのこ、コシヒカリパフ、ロックチャイブ、天然の山椒と共に。熊の脂肪の厚さから想像できる立派な熊。スープはクリアで苦味がなく、とにかくまろみが強くてうまい。大地の生命力が口の中で轟く。


●鮎のワイン煮込み
野うさぎなどジビエをその血で煮込んだりするときに用いる“シベ”という調理法を、鮎に置き換えた一品。赤ワイン煮込みの鮎に鮎の肝を加えてあります。貫禄と奥行きのある重低音に、鮎の苦味もハーモニーとして重なる。初めて出会う鮎料理の美味しさに驚きました。野菜や調味料を味噌と炒ったなめ味噌“鉄火味噌”を粉末状にして添えて、和の発酵の奥深い余韻が残る。

●坊ちゃんカボチャ塩釜
釈永岳さんの器で登場した塩釜。かぼちゃのタネなどを肥料することで循環させた農法で育てた坊ちゃんカボチャ。カボチャを葉っぱでくるんで塩釜に。くり抜いたところに溶かし込んでバターが入っている。マダムがデクパージュをして、すり鉢でエチオピアパッションペッパーというスパイスを擦ってかけてくれた。塩気はなく、シンプルだけど内包されたことで引き出されたかぼちゃそのもののおいしさをスパイスの爽やかで個性的な風味で持ち上げる。


●猪
山でシェフが獲った猪の骨つき、ソースは猪の出汁とハーブスパイス。黒文字の枝にささっているのは猪のハツ。甘長とうがらしの中には猪のチョリソー。3つの調理の各部位を楽しむ。

●焼きなすを焼きなすにしたアイスクリーム
ナスの作付け面積が日本一という新潟県。しかも県内消費がほとんどなのだとか。さすがナス大好き県、おいしいナスを作る。焼きなす専用の“焼きなす”という品種を、その通り焼きなすにしてアイスにし甘酒ソースで。なんといっても口に入れた瞬間にワッと広がる鮮烈な焼きなすの香りが美味。

●鬼もろこしのティラミス
島田農園さんの鬼もろこしは別格においしいと有名だそうです。その鬼もろこしをティラミスをイメージしたデセールに。鬼もろこしをバターキャラメリゼと加勢牧場のガンジー牛乳のアイス、とうもろこしとマスカルポーネチーズのムースでコーティングし、コーヒー風味のチーズをザクザク崩して。
鬼もろこしが栗のような味わいで、濃厚な乳や乳脂肪に負けない。
●ハーブティー、お茶菓子
黒イチジクパイ、ガンジー牛乳の濃厚なプリン、マルベリーの自家製キャラメル