北陸究極のすし。お客さんは首都圏などはもちろん、海外からも珍しくありません。店主山口尚享氏は石川県の飲食のトップをずっと走ってこられましたが、現状に満足せず、探究心飽くこと無く、未来を描きながら毎日毎日走り続けていらっしゃることが、料理からも、お話しからも受け取ることができます。
山口大将の信条は“まずは良い食材ありき”ということで、毎日片道約100kmある奥能登の漁港(や福井)に自ら車を走らせていることも有名な話。野々市市からだとかなりの距離なんですよね。さらに、魚を熟知するのは並々ならぬ経験値も知識も必要だと思いますが、海洋の状況まで把握されており、漁師さんや市場との信頼が厚く深い。そして、味を生み出すという根幹の仕事の軸がぶれておらず、追求型の職人気質を印象づけられます。食材の旨さが最大限発揮される“温度”にも神経を研ぎ澄ませており、精度の高いシゴトが光ります。1品1貫がどれも猛々しく端正です。
ちなみにめくみさんのシャリはいい具合に輪郭が出ているのですが、これは湯炊き方式で出しているもの。ただしこの手法を会得するのは困難です。
他県の方で一番殺到する季節はやはり冬で、3種類準備されるカニが目玉。しかしながら一番競争率が高い時期でもあります。春のトリ貝の時期もいいですね。
私は逆に、何もない時期とされる職人泣かせの季節の境目に行くのが好き。山口大将の工夫を凝らしたお献立構成がとても勉強になる。
山口大将はいつもどのお客さんにも分け隔てなく接してくださるし、毎日の激務をこなすだけでもお疲れのはずなのに、食材のことなど質問しても丁寧に誠実に全部教えてくださる、寛大で優しい方。同業の料理人からも生産者さんからもリスペクトされるすごい方です。
【受賞歴】
・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」2ツ星獲得(2021年5月19日発表)
・「料理マスターズ2012」(農林水産省制定)受章
食による地域活性化や日本食の海外普及に貢献した料理人が表彰されます。山口さんは地域に根差した姿勢や、高い調理技術を海外に発信している点を評価されました。
・「ミシュランガイド富山石川(金沢)2016 特別版」2ツ星獲得
お店の場所は、金沢市中心部からだと車で25分くらいでしょうか、野々市市の中でもちょっと説明しにくい住宅街の中にあります。ですから、ナビ利用かタクシーがベスト。お酒を頂くことを考えたらタクシーですね。予約の時刻まではベンチにて待ちます。エントランスを2019秋に増設して待合を造ったことで、中で待てるようになりました。時間になったら席に案内され、一列に並ぶカウンターに奥から順に通されます。凛とした空間で良い緊張感があります。
寿司下駄は、開業当初に山口大将のお父様が塗ってくれた山中塗りなのだそうです。ずっと使ってきたけど、長年使って傷んできてもう代わりはないので、今後は違うものを使うそう。大切な大切な宝物ですね。
【紹介項目】
※写真撮影はおつまみのみ。にぎりはNGです。
2023年1月31日 冬のめくみ 蟹食べ比べ、クエ、鮟鱇
やはり冬のめくみはすごい!と感動のあった怒涛のコースでした。
(※写真は一部)
この時期は北陸の冬の王様食材であるカニが主役で、今回は紅ズワイ・毛蟹・ズワイガニの3種類でした。コースの冒頭はこのカニで幕開け。全部が予想以上の大物だったので、登場毎に計3回仰け反りました(笑)。
・紅ズワイガニ
・毛蟹
・ズワイガニ
この3種を”茹でてカニ味噌をかける”という同じ調理法で提供することで、シンプルに食べ比べができました。ポテンシャルの高さ、繊維の太さや水分量や甘さなどの個性の違いがストレートに伝わる贅沢な食べ方。このプレゼンテーションはさすが山口大将。
さらに今回感動的だったのは、27キロというクエです。熟成は9日目ということでした。
絶妙な厚さで引いてあるので、サクサクと歯から伝わる存在感あり、脂も乗っており美味でした。
七尾の赤なまこのクチコは、おつまみとして。生のものを丸くして表面を炙ることで、繊維がぷっくり膨れて舌触りと食感が出ます。
口に広がる香ばしさとまろやかなコク、さらに潮騒の余韻が残ります。
にぎりで珍しかったのはアンコウで、アンコウの身のにぎりとあん肝のにぎりの2種がありました。
あん肝は、かなり厚みを持たせてあって、一口で食べるのがギリギリくらいだった(けどそれがいい)。口いっぱいに頬張る幸せ。酢飯に乗せてツメを塗り、クレームブリュレのようなニュアンスでした。絶品。
焼紅ズワイガニはすしとして。ほぐし身を甲羅でカニ味噌と火入れして、海苔に乗せて手渡しで。水分量の多い紅ズワイの個性を発揮させることで最高に美味しく食べられた一品。
ズワイガニ丼は、漁師めしからヒントを得たもので、ご飯はこの場合は酢が味を邪魔しないように酢飯ではなくご飯で、カニほぐし身をカニ味噌に混ぜて、大根おろしを乗せます。大根おろしのサッパリ感が引き締めるのもいい。
うに、ボタンエビ、のど黒、白子と、どれも説明不要な火入れ完璧の、めくみさんでは通常運転である突き抜けた美味しさ。
最後は、干しバイ貝の出汁で巻いた卵の太巻きと、海老出汁のエアリーな玉で締めくくり。
2022年10月5日 秋のめくみ いくら、紅ズワイ、小肌
待合では、ドウダンツツジとツルウメモドキが迎えてくれました。
「すし屋は食材が”魚と米の2つだけ”だから、深く深く突き詰めるしかない」になるほど。本当に当たり前のことなのだけど、おすしって魚とお米だけの世界なんだということ、あまり気づくことではないですね。野菜も豆腐も肉もない、魚と米のみ。
食材のポテンシャルとシゴトが物を言う世界です。包丁は1mm以下、温度は2〜3度内という、極限まで突き詰た高い精度のシゴトと、生み出したオリジナルの美味しさ。舌の上でハッとする、別格とはこういうことなんだなという気づき。
今回特に驚きがあったのは、いくら。
この時期は地物ではなく北海道ですが、その別次元の味わいに吹き飛びました。「飛ぶぞ!」ってこういうことを言うんだなと(笑)本当にすごい。
通常、旬の生いくらの漬けって透き通ったルビー色で、口の中でピュッと薄皮が弾けてヒヤッとした温度感と共に美味しさが広がるのですが、山口大将のいくらは、まずほんのり白みがかった黄色をしていて、ほの温くて卵黄のようなのです。意表を突いた味わいに思考停止。ぽわっと旨味が横にも奥にも広がり、旨味で包まれるよう。極薄の皮膜の中に半熟の卵黄を閉じ込めている感じです。少しでも火を入れすぎると台無しになるので、この温度感はすごい。食べたことのない味でした。衝撃。海苔も、風味だけを余韻に残して口の中で消えるように溶けます。
この時期は、夏食材と冬食材の間で、”何もない時期”で職人泣かせなのですが、それでも試行錯誤されオリジナリティーを発揮し、満足度を最大値に持ってくるのがすごい。
2度出てくる食材がいくつかありましたが、(通常食材がかぶっていると「またか」となったりするのですが)完全に味で別の景色にしてあって、逆に発見がありました。
例えば、青バイ貝はお造りと蒸しで、シャクシャクとした食感とソフトな食感の対比。さらに、甲殻類を食べている青バイなので、蒸すと温度に乗って甘海老の風味がするんです。咀嚼するとまた甘海老感が強く出てくる。これは不思議。
あとは小肌の締め方。小肌って無意識に酸味に構えてしまいますが、もちろん締まっているのですが、酸味の優しい当たりと水分量の潤いが素晴らしい。
毎度ですが、最後の太巻きとメレンゲふわふわの玉も、このコースのラストを飾るのにふさわしく、コースの締めくくりを昇華させています。
(写真はモクズガニのみです。撮っている場合出なくて、味を記憶させたい一心で食べていました。お献立は下記に)
(お料理)
・ベニズワイ 新湊
・モクズガニ
・お造り アオリイカ熟成、青バイ貝
・青バイ貝 蒸(甘海老のニュアンス)
・なめこ 白山木滑
・鰻 白焼 三方五湖
(にぎり)
アオリイカ、白海老、雲丹シャリ混ぜ込み、いくら、甘海老、焼きカニ、小肌、のど黒、煮穴子、焼き鰻、太巻き、玉
2022年2月6日 冬のめくみ ズワイガニ、紅ズワイ、毛蟹
めくみさんでは以前よりもスタッフが増えたことで、コースは以前よりも時間がコンパクトになりました。とてもリズム良く怒涛の展開で楽しめます。間髪良く次々出てくるので、途中で満腹を感じる前に夢のままフィニッシュ。
今回個人的に忘れられない味は、あん肝焼き、ズワイガニの漁師飯、相変わらず美味しいアゴ出汁たまごの太巻と玉(ぎょく)。
カウンターのしつらえ、今回は志賀町の啓翁桜でした。生当を感じる空間です。
(写真は一部)
●蟹お粥
まずは蟹の出汁が効いたお粥から。じっくりと胃袋から温まります。
●ズワイガニ
立派なズワイガニをあっという間に捌いて、足はすりこぎ棒で身出しして蟹味噌がけにして。繊細で品のある甘さで、繊維が太くてつるんとした舌触り。
●毛蟹 奥能登
立派な毛蟹は鱈の網にかかるのだそうです。雄は蟹味噌がけに。
雌の毛蟹は甲羅に身を詰めて蟹酢で頂きました。雌はなかなか出会えないので食運ありました。(北海道では雌は禁漁なのですよね。)
特にみっちり詰まった内子が美味でした。
●マグロ 氷見
氷見のマグロは120キロのもの4日〜5日熟成で。
●のど黒塩焼き
お馴染みの切り取り線付きののど黒です。食べやすいように金属製の盛箸で軽く切れ目を入れてあるので、おいしい脂の流出が最小限で、口の中で全部が流れ出します。たゆたうおいしい脂。
●クチコ
めくみさんのおつまみの中で有名なものの一つがこのクチコ。
今回は新物のクチコで、1つに海鼠40〜50匹使用しているそうです。
乾燥させたクチコではなく生を焼いてあり、ぷっくりした腸の細く柔らかい管感が舌触りに感じられます。
●甘エビ頭焼
口に入れると香ばしさの次にすぐとろっとエビ味噌が飛び出します。絶妙な焼き加減。
ここからは握りの始まりです。
※握りは撮影NGなので写真はありません。
●甘海老 握り
●マグロ 握り
●白子 穴水 握り
●ズワイガニ海苔巻き
●ボタン海老 握り
●ズワイガニご飯
漁師飯をブラッシュアップさせたもの。カニのほぐし身に大根おろしを乗っけて、大根おろしを混ぜないように併せながら食べます。
カニの上品な甘さをキリッと大根おろしが引き締めます。
●のど黒握り
●あん肝 焼
「臭みがなく」という表現が安っぽく聞こえてしまうくらい、クリアでライトなあん肝にびっくりでした。食べたことがないあん肝のアプローチに驚きました。
●干瓢とアゴ出汁たまごの太巻き、アゴ出汁と海苔のお吸い物
●玉
優しくキャッチしなければ崩れてしまう、ふわふわエアリーで繊細な玉です。最後にコースの満足度を高めてくれるんですよね。
2020年11月1日 秋のめくみ 熟成鰤、鰻、雲丹
待合には紅葉した葉や松ぼっくりを吹き寄せにしてありました。木枯らし吹く秋をイメージしたしつらえ。
さらにカウンターの天井には秋に咲く桜、津幡の“秋桜”が。
今回はズワイガニの解禁目前の時期です。今回特にインパクトが強かったのは、両面炭火焼にした福井三方の鰻と雲丹ごはんでした。
●輪島モクズガニ
●紅ズワイ
10分蒸した立派な紅ズワイをすりこぎ棒で蟹足を出して蟹味噌がけに。
●クエ、アオリイカ
5日間寝かせたクエ、1週間寝かせたアオリイカ
●バイ貝
5時間蒸して炙ったバイ貝。写真映えはしないが、とても食感ソフトで旨味がしっかりしており香ばしく、通常のバイ貝とは別格の美味しさ。
●福井三方の鰻
インパクトが強かったのが鰻。炭火で両面焼きにしてあり、食感ザクザクで香ばしく、素材のワイルドさも感じます。なんでも、皮目に穴を開けて一気に両面焼きにすることで脂を吹き出させ、自らの脂で焼くという手法。
●甘エビ頭焼
口に入れると香ばしさの次にすぐとろっとエビ味噌が飛び出します。絶妙な焼き加減。
●クチコ
めくみさんで出てきて興奮するおつまみのひとつ。乾燥させたクチコではなく生のものを焼いてあり、干クチコにはないぷっくりした腸の細く柔らかい管感が舌触りに感じられます。
●魚津甘エビ
昆布の上で叩いた甘エビ。木のまな板で叩くと、木の目に美味しさが逃げて行ってしまうので、昆布の上で叩いているそうです。昆布の旨味も入り美味。
●鰤5日熟成
●鰤21日熟成
大胆にトリミングして使います。熟成の日数からは想像できない、フレッシュな梨や柿のような爽やかな後味のニュアンスに驚きがあります。
●雲丹
以前も食べたことあるのですが、やはりインパクト強いです。これでもかという量の雲丹にシャリを混ぜ込んであって、シャリよりも雲丹のほうが多いという豪奢な一品。海苔とお醤油を混ぜたものをサッとひとたらしして。まるで濃厚な卵かけご飯のような一品でいつまでも美味しさが余韻に残る。
●白子軍艦
●イクラ軍艦
●蟹
握りではなく蟹とシャリを海苔で挟んで。蟹に合わせて他の握りとはシャリを変えてあります。
●鯖ずし
●のど黒にぎり
●鰻にぎり 蒸したものをシャリと一緒に海苔に挟んで
●穴子にぎり
慎重にリフトアップしなければ雪崩が起こりそうなそれは繊細な穴子。美味。
●干瓢とアゴ出汁たまごの太巻き、アゴ出汁と海苔のお吸い物
●玉
海老すり身入り玉子焼きを熱々で。持った感じで分かるふわふわ感。空気を含ませ軽く、熱々の温度と共に甲殻類の香りがふわぁと広がる。
2020年1月18日 冬のめくみ 蟹、生くちこ焼
カウンターの天井には、蕾と少し花を見せる白い梅のしつらえ。さらに大将の背中の壁側には苔梅。雪が積もったように見えるのもまた一興。そして、山口大将が津幡で採ってきたという黒文字の小枝を添えて。おしぼりにも黒文字の香り付けがしてあり、雅な芳香に包まれます。
今回印象的だったのは、熟成鰤、生クチコ焼、軍艦白子。
(※料理は一部。書いていないものもあります。)
●カニ粥
まず最初の一品は、カニ出汁のおかゆ。胃を撫でるような優しいおかゆにカニの風味だけをのせて。
●金沢港 加能ガニ
この時期はカニが何種類か出てくる季節。まずは茹で上げた金沢港の加能ガニ。すりこぎ棒で身を出して味噌がけに。甲羅はずっしり重く味噌が詰まっていました。
●新湊 毛ガニ こちらも立派。
●お造り ヒラメとイカ、バイ貝
●のど黒焼
切り身には食べやすいように金属製の盛箸で軽く切れ目を入れてくれてあるので、おいしい脂の流出が最小限で、口の中で全部が流れ出します。たゆたうおいしい脂。
●新湊 香箱ガニ
●甘エビ頭焼
甘エビの頭を焼いたものは、ほろほろした見た目だけど、口に入れると香ばしさの次にすぐとろっとエビ味噌が飛び出す。
●生クチコ焼
ナマコクチコは生のものを焼いて。干クチコではなく生を使うことで、腸の細く柔らかい管感が舌触りに感じられ、食感もソフト。
●熟成鰤、フレッシュ鰤トロ
10日の熟成鰤。ダイナミックにトリミングして使う。見た目は大トロのような光沢。鮮度の良い鰤とはまた違う味わいなのはもちろん、印象的なのは予想よりも断然爽やかな脂の質。熟成でない鰤の腹の部分と食べ比べると、食感の違いと脂のタイプの違いが明確。
●カニご飯 「漁師飯です」と出してくれたカニご飯。大根おろしをのせて。
●クエ
噛みごたえあり、甘みがスッと立ち余韻する。
●軍艦 雲丹、白子
軍艦は溢れんばかりの雲丹と白子。白子は軽く蒸して甘さがマックスで感じられて口溶けも良い、絶妙なところで火入れを止めてある。あまり白子好きじゃないけど、これはほんと絶品だと言えた。
●ボタンエビ
●穴子
慎重にリフトアップしないとふるふる指からも落ちていきそうなとろける穴子。
●玉
能登のアゴ出汁と蜂蜜の出汁巻きたまごと干瓢の入った太巻き。そして、海老すり身入りのふわっとエアリーな玉子焼きを熱々で。甲殻類の香りがふわぁと広がる玉子焼きが最後にまた夢見心地にさせてくれた。
2019年8月7日 夏のめくみ
カウンター大将の頭上には、羽咋押水のユキヤナギやナナカマドなどの山野草が美しくしつらえてあり、生気の演出にまず驚く。草色が目に心地よくてうっとり見入ってしまったが、カウンター席側に目をやるとゲスト全員が全員そうなっていた。おしぼりには山ハッカで爽やかな香りを添えて、暑い日に爽やかな風が吹き込む。
(※料理は一部。書いていないものもあります。ペアリングの日本酒リストは下記に)
●黄金ガニ
食材は最初から主役級。能登富来の黄金ガニがドーンと登場。すりこぎ棒でジャッジャッと手際良く身を出し蟹味噌をのせて。山口さんの「10分蒸しただけ」には謙遜と計算の意味が含まれていて、蒸すことで素材の持つ美味しさがパーンと引き出されている。ふっくらみすみずしく、天然の塩味もほんのり寄り添う。
●門前の鮑
産卵期を迎える前の春がコラーゲン多く最も良く、6月くらいからは徐々に落ちてくるらしいが、この時期はおいしさが肝に移動しているということで、2口目は肝和えで。鮑は7時間蒸して丁寧に包丁を入れ、切り方で舌の当たりや食感を調整してあり、そのままでも美味だった。
●富山新湊 岩牡蠣
15分強火で蒸した岩牡蠣。みみみっと詰まっていて、ぷりぷりとはまた違った美味しさ。
●アオリイカ 2.5キロのアオリイカを10日熟成で。
●能登島マコガレイ
●縞海老
●アカイカルイベ
見た目にも口当たりもひやっと涼しい。薄くスライスしてあるので、舌の上で体温に戻るとスッと消えて無くなる。海苔巻きと、大葉巻きの2種あり、それぞれの風味が余韻を残します。敷いてある海藻はクロモ。
それはそれは度肝抜かれるような立派な食材が、何気に、しなっと、次々と現れるので、山口さんの手元から目が離せるときがない。
●宇出津 バイ貝 炙り
炙ることで磯の香りが立って美味。二口目は磯辺巻きで。
●のど黒
●七尾湾 子持ちシャコ
オレンジ色の子を持ったシャコは言わずもがなレア。子はカラスミに似た食感。美味。
●福井 赤ウニ 塩雲丹のせ
●海老団子
焼きたてのほこほこあたたかい海老団子。白エビと縞海老とご飯をお団子にしてあり、ご飯の粒感が残っているのがまた良く、素朴な甘さが甲殻類の旨味とのコントラストになる。
●白海老 にぎり
子を離すと甘みがなくなるらしいですが、今はその前ということで旬の旬。1番良いとき。寝かして3日目で甘さがMAX値。
●福井県 赤ウニ にぎり
泣ける美味さ。「え、ええ、そんなに」と思わず口から出てしまうほど雲丹をたっぷりのせた握りで、重量感もずっしりだ。口の中に雲丹が押し寄せてきたかと思うと、そのまま食道に落ちて無くなるくらい刹那の美味しさだが、甘さと幸せの余韻が半端なく長い。
●北海道 バフンウニ
雲丹をご飯に混ぜ込み、海苔と醤油を混ぜたものをのせて。見た目は卵黄だけ使ったたまごかけご飯かと思うくらいの濃い山吹色で、味は説明の必要がないくらい、この色から連想できるだろう。目尻が下がる美味しさだ。
●富山ボタン海老炙り にぎり
●煮アワビ にぎり
●玉と干瓢の巻きもの
玉は名古屋コーチンの卵と蜂蜜使用。
【ペアリングの日本酒】
(最後の方はアルコール許容範囲越えたので1つ2つ省いたものもあり)
・白菊(白藤酒造店)輪島
・手取川 山廃純米吟醸(吉田酒造店)白山市
山廃純米の吟醸は石川でのみの販売らしいです。
・常山 (常山酒造合資会社)純米超辛 福井
・黒龍 大吟醸 「龍」(黒龍酒造)福井
・「のとのなつやすみ」純米吟醸(白藤酒造店)輪島
・「登雷」令和元年五月一日搾り(鶴野酒造)能登町
・「十四代」(高木酒造)山形県
・「Masuizumi」(桝田酒造店)
2018年12月4日 冬のめくみ 黄金ガニ、毛ガニ、モクズガニ
※この時期はまだ撮影不可だったので写真がありません。
今回は12月訪問で多種の珠玉のカニ三昧(カニの時期など通常とは比べ価格変動あり)。全て石川能登金沢・富山氷見の地物です。お酒はペアリングでお願いしました。
最初から黄金ガニがどーんと登場。最初に大トリが登場した感じでテンションマックス。パァァっと美しい朱色に釘付け。蒸し加減がベストで、シンプルに味わってポテンシャルの高さを認識。さらにお次は立派な毛ガニが登場し興奮再び。それはもう立派なこと立派なこと。ああ、もうこれレベルは無いだろうと思いきや、次はモクズガニが登場したという、最初の3段オチにもう参りました。ちなみに私は能登出身ですがこんなおいしいモクズガニなんて食べたことなかった。そもそもモクズガニ自体めくみさんでしか食べたことがなかったのですが、おいしさに感激し毎度めくみさんで食べられるのが楽しみとなっていました。これは川ガニで、大きさは香箱蟹より一回り小さいですが、ぷくっと太っており、みそがオレンジ色で味が濃い。この後さらに身を甲羅に美しく出した香箱蟹も。やはりこの時期のめくみさんはカニ食べ比べも楽しい。
もちろんその他の食材も珠玉です。白子はつやっと美しく、白藤酒造さんの白菊がこの上ないとても良い相性でした。おいしい脂がほとばしる焼きのど黒。ボタンエビは毎度他では見たこともないような立派なサイズを準備してくれます。これを刺身、すし、焼きの3つの食べ方で。焼きは頭の部分で、温かな温度と共に口の中でほろほろと崩れ溶けていきます。ふくよかな味噌が内包されており、それがとろけ出すという至福のおいしさでした。う、うまい。
雲丹は毎度これでもかというほど軍艦にのっけてくれました。慎重にリフトアップしないと持てない。
ブリの砂ずりは脂がしっかり入っているので温度は高めにし口どけよくなるようにしてありました。
「あれはすごかった!」「いや、あれもすごかった!」と帰り道思い出しては夢心地に浸ります。めくみのすしは記憶に残る猛々しく端正なすし。