ひがし茶屋街のメインストリートから浅野川に向かった裏通りにある、風情ある町家の和カフェ。建物は築120年以上の町家で、その昔は質屋さんだったそうです。改装中には質札(質屋の受け入れ台帳)が見つかったそうですよ。その後は住宅として利用され、数年前からリノベーションに取り掛かり、お店としてオープンしたのが2014年5月のこと。店名は、女将さんのお母様が三味線をされていたことにちなんでいます。店前にも三味線が飾ってあるので、目印にしてくださいね。店内に入るとまずは和雑貨の販売台があり、可愛らしい和小物が並んでいます。天井を見上げると吹き抜けになっており、立派な梁がありますよ。さらに母屋の奥には土蔵があり、若手金工作家さんのアトリエになっているのだとか。2階は花嫁のれんが飾られた赤壁の間で、撮影やイベント、ギャラリーなどのレンタルスペースになっています。
喫茶スペースは板の間の椅子席と畳の間があり、日本人なら誰しも落ち着く雰囲気。BGMの三味線の音色にも心落ち着きます。冬はコタツが出してあるのですが、入ったら心地良くて出られなくなります(笑)
自家製デザートは、「おちらし黒糖ゼリー」、「チーズケーキ」、「ういろう」、「五郎島きんときのスイートポテト」があり、特にオススメは名物の「おちらし黒糖ゼリー」です。
●おちらし黒糖ゼリー
“おちらし粉”とは、大麦を炒って粉にしたものです。女将さんが小さいとき、母親におちらし粉を使ったおやつを作ってもらったそうです。このデザートは、そのおやつをブラッシュアップさせて蘇らせた復刻版で、三味さんのオリジナル。ミルクがけにしてありますが、スプーンを入れるとけっこうどっしりしているので、ゼリーというよりは羊羹かういろうに近い感じ。おちらし粉は大麦ですから、とっても香ばしくて、黒糖の深みとマッチします。滋味が優しく語りかけてくるような味わいで、趣あるこのお店の雰囲気にぴったりのスイーツです。私の経験値の中では、麦羊羹に一番近いかなと思いました。これが食べたくて、私も何度も足を運んでいます。
●金澤コーヒー
夜空に舞う花吹雪のような金箔と器がステキ。東山で頂くコーヒーは一味違いますねぇ。(その他にも普通のコーヒーもありますし、和三盆カフェオレや抹茶、梅ジュースやココアもあり。)
●五郎島きんときのスイートポテト
ここにも金箔~そして加賀野菜の五郎島金時を使用しています。ぎゅっと重いタイプではなく、軽い食感のスイートポテト。シナモンやラムレーズンが入っていますが、主張は優しい。
ちなみに、お菓子に添えてある果物と野菜の砂糖付けや、クッキーといった小菓子も手作りなのだそうですよ。
金沢に来たら一度は和カフェに入ると思いますが、たくさんの中でもここはオススメです。