笠原将弘(かさはらまさひろ)さんの日本料理「賛否両論」が2019年11月4日に金沢にし茶屋街にオープンしました。金沢の出店場所として“茶屋街”を選ばれるところが嬉しいですね。料理にも金沢を吹き込みたいというメッセージに感じられます。
「賛否両論」は2004年に恵比寿で創業し、今年2019年で15周年を迎えました。笠原さんの料理のコンセプトは、高級食材を使わずに、一流料亭で磨いた技術とセンスでおいしい日本料理に昇華させるということ。工夫を凝らしてありますが、気を衒わないので、幅広く好まれると思います。料金はリーズナブルで、恵比寿のお店のディナーも「おまかせコース」が価格別に2種類あり、6900円と、高い方でも9500円(税込、サ別+10%)です。金沢も同コースを提供します。ここ金沢店の料理長をして腕を振るうのは、名古屋店の副料理長を務めていた渡邊健斗さんです。笠原さんも月に一度は金沢店にいらっしゃるそうです。
店内は、にし茶屋街の風情に溶け込む町家で、入り口からは想像できませんが中は広くて、12席の1列カウンターが奥に伸びるようにあり、さらにその奥には中庭があります。
1階にはさらに4席の個室カウンターと、
2階は畳にテーブルの個室(8席)があります。
2019年11月5日 9500円コース
椅子と折敷は真っ赤で、落ち着いた色味の店内に映え、妖艶に感じられステキです。
先に料理の総括ですが、やはり“工夫”が味わいどころで、例えば、治部煮風のお料理や天ぷらはビール揚げで食感を変えるなど。他、オリジナルの春菊醤油や、ドライトマトとお味噌を合わせて調味料としたりと味わいどころあり。しかしながら奇を衒わず、料理構成は楽しくて驚きポイントも作ってあるし、グループでの訪問も良さそう。
カウンターがかなり広く取られていて、お庭も見えるので開放感あり。町家の袖触れ合う感じとはまた少し違う、スタイリッシュな印象です。
●先付 鴨ロース
鴨のロースとすだれ麩、金時草に山葵のジュレがかかっていて涼やかに見えますが、なるほど、治部煮ですね。笠原シェフが金沢に店を出したらやりたかった一品ということですが、これは金沢の私たちも嬉しい。
●甘鯛ビール揚げ、能登しいたけおかき揚げ
甘鯛の衣はビールの炭酸でふわふわで、内包されている甘鯛も同じくほわほわ。能登しいたけは対極の食感で香ばしさも出してあります。
●お吸い物
椀種は海老と百合根の真薯に、椀づまは松茸。真薯の百合根は食感を残してあり、ほくほくシャリッと遊ぶのがいいですね。
●お造り
真鯛、本鮪、ガス海老。お醤油が2種類で、緑のほうは春菊のペーストを合わせた“春菊醤油”です。海苔の佃煮のようなニュアンスがあり、おつまみとしても美味しい調味料です。赤身にも白身にも合う。
●八寸
ハスイモおひたし、あん肝ときゅうりからし和え、カマス松茸醤油、カステラたまご焼き、ローストビーフドライトマト味噌
●鰤幽庵焼き
柿なます、銀杏を添えて秋らしい。
●牡蠣と九条ネギの茶碗蒸し、海苔あんかけ
牡蠣と海苔の潮騒を合わせて。
●お食事 能登コシヒカリ
●南瓜パフェ
デザートは栗や無花果、南瓜など季節のフルーツを使ったもの5種類ほどから選べるスタイルで、私は南瓜のパフェを選びました。
オープンは、現名古屋店の料理長の丹下陽介さんもお手伝いに来られていました。
錚々たる著名人さんたちからのお花が店内にもたくさん。さすが賛否両論さんです。