金沢市本多町にある築約90年の町家をリノベーションした和食店。オープンは2014年3月16日。場所はMRO北陸放送さんの並びで、大通りに背を向ける形で入り口が設けられているので、訪問の際は外壁に掲げられている看板を目印にしてください。ちょっと難しい店名は店主の曾祖父(ひいおじいさま)のお名前で、“酒屋”は昔の屋号だったそうです。それを店名にされているわけですから、オーナーさんの温かい人間味が感じられます。お店は2階建ての町家で、高い天井にかかる立派な梁も当時のままで面影が感じられます。席は厨房前のカウンターに、ガラス戸で仕切られたテーブル席。2階にも16名分ほどの席があるそうです。もちろん一番のオススメはカウンター席です。料理はコースでなくお品書きから選ぶアラカルトスタイルで、この気軽さもありがたい。日本酒は吟味した地酒と全国の銘酒いくつか、さらに国産ワインもあり。
彌三郎さんはお店の方が皆さん本当に心地良い接客をしてくださるので、おいしさが増します。
2020年3月27日 ホタルイカご飯
まだ時折寒い日もありますが、桜の開花宣言も出た金沢。今回は春の食材をお目当てに訪問しました。
彌三郎さん、ちょっと前に6周年を迎えていました。おめでとうございます。
●先付 若芽の新芽
いい歯ごたえといい柔らかさの妙。今だけの味を少し頂きました。
●ヤリイカとのと115(原木しいたけ)いしるバター炒め
●新玉ねぎ丸ごと炭焼
炭火焼の台がオープンキッチンにあって、そこで山菜や野菜、お肉など焼いてくれます。新玉ねぎは皮ごと包んで蒸し焼きに。箸を入れるとほわほわと白い湯気が立つ。みずみずしくやわらかくて、箸で簡単にほぐれてくれます。包み焼きにすることでMAX値に高められた甘さが口の中で炸裂。ととろとろの舌触りもいい。豚バラの油味噌の油が玉ねぎの強い甘さに溶け合い美味しさの掛け算。玉ねぎがごちそうに。
●富山ホタルイカと筍の土鍋ご飯
土鍋で炊いたご飯に春の味覚ホタルイカと筍をのっけて。今年のホタルイカは昨年と比べて豊漁。丸々ぷくっと太っていて、艶っと輝きおいしそう。口の中でご飯の粒に溶け合っていくホタルイカの肝。美味です。
今回はわたし一人で訪問だったのですが、どうしても食べたくて注文。半分包んでもらってお持ち帰りにしてもらいました。
2018年9月 ひやおろしと秋の味覚
秋の味覚がいよいよ出始めて来た頃ですので、今回は秋の美味とひやおろしを楽しみに。お料理は特に秋刀魚に注目ッ!
●ひやおろし 手取川純米吟醸
・お通し
●里芋の揚げ出汁 海老そぼろあんかけ
あらかじめ味の入った里芋を揚げて出汁あんがけで。ほくほくおいしい。
●松茸あんの茶碗蒸し
茶碗蒸しはとろとろに仕上げてあって、繊細な出汁あんにスッと溶け合います。松茸の風味も重なりおいしいのなんのって。
●秋刀魚のオーブン焼き
さて秋刀魚です。“焼き”も“ご飯”も食べたかったので両方オーダー(笑)とにかくここの秋刀魚はおいしい。そして炭火焼とはまた違う作り方をしているので、太い骨まで柔らかく、だし巻き玉子のように箸で縦カットして食べられるのがすごい。なんでも、2時間コンフィのようにしてから仕上げに焼いているんだそうです。秋刀魚全部の滋味が味わえるのが良い。
●舞茸と秋刀魚のごはん
オーブン焼きの秋刀魚をごはんにのせて。こんなの説明の必要がないおいしさ。ホッペいっぱい頬張って食べました。
夏の彌三郎 国産ワインで
●農民ドライ
栃木県産のワイン。軽めでスッキリと飲めて、和食にも合わせやすいワインです。
初夏のお通しは枝豆豆冨で、枝豆とくず粉を合わせて淡い味わいにまとめてありました。
(料理は御一人様用にポーションを調整してもらっています。)
●毛ガニ・トマト・オクラ土佐酢ジュレがけ
ちょっと贅沢で爽快な一品です。
●ズッキーニとヤリイカ酒盗チーズ焼き
酒盗とチーズの取り合わせはおいしいに決まってる~。酒盗そのままではなくてソース仕立てになっているので、日本酒だけでなくワインも合います。
●柔らか合鴨ロースと蓮根まんじゅう
すりおろしたレンコンを丸い団子状にして揚げて生姜の効いた出汁餡をかけてあるのですが、外のカリカリが餡を吸ってもちもちになっており、食感もおいしい。中はレンコンらしい滋味がアクセントになっています。
●彌三郎のポテトサラダ燻卵添え
彌三郎さんの名物で、ここに来たら必ず注文したいのがこれ。ベーコンに日本酒やワイン、マスタードなどで作ったパンチェッタソースがかかっており、塩味のアクセントと心地よい酸味がシンプルなポテトサラダを華やかな味わいに昇華させています。さらに燻製卵のスモーキーな風味が追いかけくるという、立体感のある一品です。お酒が進みますよ~。
春の彌三郎
●お通し
●お刺身盛り合わせ
炙り金目鯛、鯖、ヒラメなどを、お醤油とポン酢、お塩で。一番印象的だったのが、穴子の刺身。刺身でしか感じられない弾力ある歯ごたえと、にじみ出る甘さに驚きがありました。
●馬刺しの雲丹巻き
馬刺しのサッパリした甘さと雲丹のとろけるような濃厚な甘さが口の中で絡み合い、ほっぺが落ちるうまさ。ありそうでない、嬉しい一品です。
さらに炭火焼メニューもあり、厨房の七輪に炭が起こしてあります。
●筍の木の芽醤油焼き
●マンガリッツァ豚塩こうじグリル
“食べられる国宝”と称されるハンガリーの国宝豚であるマンガリッツァ豚を塩こうじ漬けにし、炭火焼にした贅沢な一品。ただでさえ味が濃厚な豚なのに、塩こうじによって旨味がグンと引き出されています。脂身の部分が厚いのですがさっぱりとしており、後味もしつこくないのがいいですね。ピンクペッパーが華やかな風味を添えています。
●アラ汁酒粕入り
飲んだ後の〆に。アラの旨みに酒粕のコクが合わさって、胃に染みるような深い味わい。気の利いた一品でした。