(訪問日 2019年7月2日、2019年12月12日)
台北にあるイノベーティブレストラン。「Asia’s 50 Best Restaurants(アジアのベストレストラン50)」常連、2017年は43位、2018年は18位、2019年は7位、2020年は18位、2021年は15位にランクインしており、世界から注目を集めます。ミシュランガイドでは1ツ星を獲得。シェフのRichie Lin氏はコペンハーゲンの「noma」やシドニーの「QUAY」などで腕を研磨されました。
料理に使用する食材は、台湾のローカルに加え、昆布、大根、梅、和牛などの日本食材を取り入れてありますが、味の組み立てが和とは違っていて面白く、イノベーティブの要素を一皿ごとに感じながら食べ進めました。
驚いたのは、店内の雰囲気が予想よりカジュアルなこと。ダイニングはコンパクトなワンフロアで楽しい雰囲気なのですが、料理は一皿一皿が珠玉。これぞビストノロミー。
ちなみにここ台北の「MUME」には2度訪問、大阪「La Cime(ラシーム)」さんとのポップアップも伺ったので、Richie Lin氏のお料理を頂くのはこれで3度目。
飲み物は、台湾食材を用いたシグネーチャーカクテルやモクテルも豊富です。
(2019年12月12日のお料理)
●Crab / Osmanthus
カニ身に玉蜀黍のソース、相性の良いコンビネーション。桂花のオイルで風味を添える。
●Cuttlefish / Mullet Roe / Black Garlic
イカを使った新メニュー。イカだけどイカじゃない、イカと言われなければイカと分からない不思議な料理。イカは薄い大判のスライスで、透き通った白い花弁のように見え、ラルドようなテクスチャー。フレッシュ感を残す、しなっとなったレタスと同調していて、野菜かと思ったくらいです。削ったカラスミ、黒ニンニクのソースがよく合う。
●Milk fish / Sugar Snap Peas / Cilantro
ミルクフィッシュは燻香がつけられていてスモーキー。表面はカリッと香ばしく焼き目がついていますが、口の中でとろけるのは、実は三層になっていて、真ん中の層は脂分あるお腹の部位を火入れせず生で挟んであります。それなのにパーツとして分断している感じはせず、グリルした層と違和感なく一体化していているのがすごい。スナップエンドウの青い味も味方につけています。
●Country Sourdough /Beef Butter
バターに牛脂を合わせて燻製香を付けてあり、一呼吸置いて口の中でスモーキーフレーバーが立ち上がります。軽く目眩がしそうな美味しさ。天然酵母の熱々パンにピッタリ。
●Lobster / Tomato / Bamboo
ロブスターを辛みの効いたトマトソースで。贅沢なエビチリのようなイメージ。
●Abalone / Duck / Risotto
やわらかい鮑をのせたリゾット、仕上げに鴨オイル。リゾットのお米は3種類。出汁を吸う粳米に、跳ね返す弾力の麦、さらにクリスピーなお米をトッピングすることで食感が遊んで楽しいし、おこげのようにどんどんスープを吸うのもよい。
●Ox Tongue / Shiitake
カード状の牛タンはやわらかく“ほちゃほちゃ”。脂肪がしっかりめだが白髪葱が中和。個人的にこの牛タンよりも、注いでくれる香り高い椎茸のスープが印象的な一皿。
●Guava / Dragon fruit / Coffee
グァバのグラニテにドラゴンフルーツ。コーヒーのオイルで香ばしいアフターフレーバーが立ち上がる。
●tropical
パイナップル、ココナッツ、マンゴーの南国らしいデセール。