金沢市片町の裏路地にあるおばんざい割烹店。刑事ものドラマ「はぐれ刑事純情派」や「相棒」に出てくるようなお店という表現がピッタリ(笑)。暖簾をくぐるとL字カウンターがあり、着物姿の金田麻里さんが迎えてくれます。店名は「かなだまり」さんの下3文字を取って「たまり」さんなのかも。
これまでは女将さんと料理担当えっちゃんの2人で切り盛りしてきましたが、近年、日本料理名店やすし名店で腕を振るわれてきた旦那さんの安藤鉄平さんがお店に入られたことで、鮮魚メニューが充実しています。鉄平さんは、金沢では料亭浅田屋さんと懐石つる幸さんで腕を磨き、その後は県外で働かれて、さらに金沢に戻って鮨みつ川が展開する鮨歴々にいらっしゃいました。
魚は、究極の血抜きと言われる“津本式”で処理をしてあります。
※鉄平さんが同店にてポップアップ的に月1で開催している「熟成鮨てっぺい」は後記。
お客さんの層は、出張族さんやなんだか社長さん系も多そうな感じ。麻里さんの笑顔で日頃の緊張感から解放されるというのと、お酒の取り揃えがいいというのも理由かもしれません。あと、BGMの懐メロもツボ(笑)店内は温かい雰囲気でありながら、粋なムードが漂います。金沢の芸妓さんも御用達のお店。
通常カウンターにはおいしそうなおばんざいがズラッと並んでおり、「コレとコレ」と気軽に注文できます(現在は感染症対策で並べていません。オーダー制に)。調理には担当の女性(えっちゃん)が一人いらっしゃいます。
【紹介項目】
田万里のおばんざい
●ハタハタ刺身
美しくポッと桃色に色づくハタハタ。繊細でハリがあって美味。
●鯵なめろう
さすが津本式の鯵は見た目に透明感あり味わいもクリアで美味。こんな雑味のないなめろうは初めてです。唸る美味しさ。
●鯵 巻物
安藤さんはすし店出身なので、予約をすればすしが食べられます(通常はありません。ご飯を炊かないといけないので)。
普段は、シャリのない巻物がメニューにあって、注文があってから刺身と同じく目の前で捌いてくれます。
●ホタルイカ天ぷら
ホコホコ揚げたてで美味。繊細な身からピュッと飛び出す肝が濃厚なソースのようにコクを添えます。
●おでん
冬はおでんが登場します(※カニ面はありません)体が芯から冷える寒い日に、熱々おでんと熱燗でスタートすれば体ポカポカに。これ助かる!優しい薄味が体に染みる。
●牡蠣フライ
●鯵の南蛮漬け
●小イカ煮
丁度よい寸止めの味付けで、何と言ってもやわらか~い食感に目尻が下がりました。
●小ジャガ甘辛煮
私の一番のオススメ。皮ごと揚げて甘辛いタレを絡ませてあり、ホクホク食感と弾けそうな皮の香ばしさにマッチ。
●ゲンゲのお吸い物
●コッペ、ポテサラ
●ぜんまい、ワカサギの甘露煮、茄子、鯵
●ごぼうスティック
●串焼き
おいしいおばんざいと美酒、女将さんの笑顔で、忙しい日常から解放させてくれる止まり木的な一店です。
月1開催 熟成鮨てっぺい
安藤鉄平さんが、毎月1回・第一日曜お昼にポップアップ的に開催しているすしイベントです。人数は8名限定。
鮮度の良いピンピンなお魚ではなく、熟成鮨なので、熟成系のおすしが好みの方向けです。
暖簾も特設で、この間借り感は楽しい。
●コース(税込5500円)(料理3品、にぎり8貫、巻物、汁物、甘味)※要予約
・鶏白湯
まずは濃厚な鶏パイタンという、意外な一品からスタート。
・真ふぐ七尾
5日間熟成の真ふぐは、真空調理で味を染み込ませて、マイクログリーンとふぐ骨から取った出汁をかけて。器は正倉院「白瑠璃碗」モチーフ。
・玉
蒸し上げてふるふる出汁巻には能登豚の角煮が入り。山椒の実をアクセントに。
珍しい四角形の器は、明治時代の“角吸い物椀”です。
・すし
アカイカ、グジ 5日熟成、バイ貝、シマアジ 10日熟成、サワラ 15日熟成、カマス 12日熟成、甘海老、トロタクにぎり、のど黒 5日間熟成
全体的に濃厚な味わいで構成してありました。
バイ貝は細かく包丁を入れ、肝醤油を挟んで。
甘海老には、煮詰めて濃厚さを増した甘海老味噌と、海老塩、昆布締めにした卵を添えて。
通常巻物として出てくるトロタクは、握りとして提供。口の中ですぐにほぐれてシャリと溶け合う。
のど黒は、千切りレタスと一緒に巻いて。のど黒はレタスに相性良いし、豊かな脂をレタスが受け止めてくれます。
●冷やししるこ
白餡のしるこに白玉、檸檬を搾って爽やかさを添えて、白餡に相性が良くて驚きました。