「御料理貴船」卓上に咲きこぼれる季節、華やかに。人気のため予約は半年以上先。昼夜4組限定

料理: 7.5 その他: 7.5 ポイントについて
御料理 貴船 (おりょうり きふね)
営業時間 11:30~15:00 、17:30~22:30
定休日 水曜
価格帯 昼コース5000円・8000円、夜コース8000円・12000円
訪問回数 13回

浅野川大橋から主計町を川沿いに進んだ奥。茶屋街の風情に溶け込む一角に暖簾をかける日本料理店。予約が困難であるということでも知られていますね。席は全個室で、お部屋は1階に2つと2階に2つで、昼夜共4組限定。特にステキなお部屋は2階の窓側で、浅野川が見えて風情があります。店主 中川清一さんの料理は、卓上に季節が咲きこぼれる様な料理で、何度行っても毎回違う演出をしてくれます。料理は1ヶ月スパンで変わり、毎月15日に料理が新しく切り替わります。料理の流れは、正統派の会席料理の順序ではないので、先入観なしで臨んだほうがいいかも。またコースはじめの見せ場は“盛り込み”で、これを楽しみにしている人も多いはず。価格も手頃なのが人気に拍車をかけている理由。そして、以前から人気のお店でしたが、北陸新幹線金沢開業とミシュランガイドの影響もあって、噂が噂を呼び、今まで以上に人気が過熱しています。それゆえ今では、基本的には半年先(いや、もっと先)まで予約が埋まってしまっているという、すんごい人気店。

(最終訪問 2020年8月8日)

2020年8月8日 夏

前回から約1ヶ月後の訪問で、お料理は夏バージョンに。今回は3名の予約で1階にて。
・一献 羽根屋
花火が咲く盃で一献いただき、今年は中止続きの花火大会を楽しめました。

・先付 冷製雲丹の玉じめ
海ぶどう、キャビア、雲丹をのせた冷たい玉じめで夏らしいスタート。

・夏の盛り込み
鬼灯にはタコのやわらか煮と南京、鰊の旨煮と万願寺とうがらし。鱧のおすし、きな粉をまぶした葡萄、トマト湯葉すりながし

・早松茸と能登牛
能登牛をくるくる巻いた、お肉を椀種にしたお椀。夏らしく早松茸をのせて。

・お造り
富山湾黒ムツ、バイ貝、ヒラメ。剣はおかひじき。

・焼き物
うなぎと加賀太きゅうりで“うなきゅう”。ペリーラと茗荷、生キクラゲ。生キクラゲの旬はあまり知られていませんが、夏が旬なのだそうです。

・賀茂茄子バター焼き
今回一番好きだったお料理。金沢にある無農薬農家「MEGLIY」さんの賀茂茄子をバター焼きで。鰹節ではなく鮪節をふわっとかぶせて。賀茂茄子とバターの好相性ととろっとした口当たりが美味。

・鮎の春巻き
鮎を三枚おろしにして大葉を挟んで春巻きに。骨せんべいを添えて。

・蒸し物
新蓮根の蓮蒸しですね。蓮根は秋冬でんぷんが多くてねっとりしていますが、今の時期はあっさりしていてまた味わいが異なります。ホタテや白ズイキの繊細なお味が合います。銀杏のように蓮の実を添えて。

・甘鯛ごはん、もずく味噌汁、香の物

・無花果シャーベット

2020年6月30日・7月5日 七夕

前回から約半年ぶりの訪問。6月30日と7月5日という近々な日にちで訪問することになり、同じコースを頂きました。貴船さんには今までたくさんお邪魔させて頂いていますが、今回は自分の中で1、2を争う好きな回だったので、逆に2回食べられて良かった。
今回は夏の大祭や七夕を織り込んだお料理でした。

・一献 「氷室献上」福光屋
金沢は毎年6月30日は本来“氷室開き”の日。雪深くなる1月末頃に氷室小屋に詰めた雪を、この日に切出し薬師寺に奉納します。しかしながら例年稀に見ぬ暖冬だったのと、コロナの影響で神事も中止となってしまった訳ですが、お料理屋さんで大切な行事を思い出させてもらえるのは本当に嬉しいことです。


・毛蟹と蓴菜の土佐酢ジュレ
まずは“夏越の祓”の茅の輪が登場。梶の葉もあしらってあります。昔は七夕の短冊は紙ではなく、梶の葉に墨で願い事を書いていました。木匙を人間の代わりに茅の輪くぐりさせてからお料理を頂きます。毛蟹と天然の蓴菜に土佐酢のさっぱりジュレで初夏の味。

・盛り込み
貴船さんの見せ場の盛り込み。鬱陶しいと思っていたはずの梅雨がなんだかとてもワクワク感じられます。雨に濡れる浅紫と紫水晶色の紫陽花、潤いを増して映える竹の深緑。美しい梅雨の景色を楽しみながら。
竹筒を開けると海そうめんと加賀太きゅうり酢の物が。白ズイキとサザエ、無花果クリームチーズ白和え、白板昆布のせのど黒すし、水ナス生ハム巻き


・お造り
赤イカ糸づくり、ナメラ

・鮎のすりながし
鮎を焼いて頭やヒレなどを外して、身と内蔵を白味噌とお出汁ですり流しに。ぽってりまろみあり美味で鮎の新しい美味しさに出会います。揚げた蓼を添えて。

・ネギトロうなQ
ネギトロでありうなきゅうでもある、2つの融合であるシャリなし巻き寿司。面白い。

・岩牡蠣のカキフライ
「林修のニッポンドリル」で林先生の「一年先の予約をしてでも食べたい一品」として紹介されたのがこの岩牡蠣のカキフライ。
岩牡蠣フライにウニとサマートリュフのせ、という見るからに豪華な一品ですが、なるほどのうまさ。岩牡蠣は予め湯通してから揚げることで生臭みも抜け、旨味が閉じ込められて、プリッと締まった弾力も美味。牡蠣の旨味に溶け合うのがソースの役割を果たすウニ。それらにキメ細かいパン粉の香ばしさがマッチ。

・鴨と桃のバルサミコ醤油
やわらかく仕上げた鴨と桃を一緒に口に入れると、桃のジューシーな果汁が溢れてバルサミコに調和。一見奇抜だが実は相性の良い組み合わせ。うまい。万願寺唐辛子の焼き浸しを添えて。

・玉蜀黍と鱸と道明寺粉の蒸し物
荒めの道明寺粉の粒感、2種類の玉蜀黍の弾ける甘さ。

・鱧テリヤキご飯
貴船さんオリジナル、なんと鱧のテリヤキご飯とは。聞くだけでそそられるし、箸が止まらない。

・デザート
スイカのシャーベットに塩サイダー、トマトのコンポートなど合わせたスッキリデザート。塩サイダーの甘塩っぱさが効果的に甘さを引き立てます。

2019年12月9日 冬

節分の季節から約10月ぶりの訪問。師走の貴船さんは、これぞ北陸の!という冬食材をふんだんに織り込んでありました。個人的に嬉しかったのは、香箱ガニのおそば。この季節はカニカニカニと毎日カニ続きで飽きも来る中、これは嬉しい演出。新しい気持ちで頂ける工夫はさすが。


・盛り込み
貴船さんの見せ場の盛り込み。季節感が咲き乱れた華やかなお料理に卓上が一気に賑やかに。これはみなさんいつも楽しみなやつ。
加能ガニ柚子釜蒸し、加賀野菜の丸葉春菊“金沢春菊”ゼリー寄せ、鱈昆布締め梅肉、赤なまこ、牡蠣味噌漬け、干し柿チーズ

・お吸い物
大きな帆立の下には里芋餅、里芋すりながし、下仁田ネギと無農薬農家「MEGLIY」さん芽ネギ

・お造り
鰤昆布締め、バイ貝 お醤油とお塩はマルドン

・源助大根天ぷら鰻のせ
加賀野菜“源助大根”は煮物に向く大根。これも煮物にして味を入れてから天ぷらにしたもの。山椒を散らした鰻をのせて。

・香箱ガニ、加賀丸いもそば
この季節定番の香箱ガニですが、おそばを添えてくれて、贅沢な香箱そばにできるという心躍るプレゼンテーションが嬉しい。これは心躍った。



・白子磯部焼き雲丹山葵

・鴨ネギ


・鰤大根ご飯
香ばしく美味しそうな照りに食指が動く。毎年冬の時期登場するご飯で。味が入った鰤はご飯が進まないわけはない。うまい。

・イチゴ紅茶ジェラート

2019年1月24日 節分

今回のテーマは節分でお部屋のしつらえにもテーブルの上にも「鬼は外。福は内」を感じさせる演出がいっぱい。席に着くと、お茶(糸縒り玉露)と一緒にミニ枡に入った福豆(炒り豆)も出してくれた。季節と伝統行事を存分に演出してくることろがさすが貴船さん。



・盛り込み
最初の見せ場である盛り込みには、枡をタワーにしたものが登場。「追儺招福」の“追儺(ついな)”は、平安時代から大晦日(旧暦12月30日)に宮中で盛大に行われていた行事だそうだ。柊(ひいらぎ)は古くから邪気の侵入を防ぐとされ、節分には欠かせない。


なまこの小鉢の蓋裏には“福”の文字、さらに四角の小鉢の側面にも“福”と書かれており、福が重なる縁起良さ。さらにこの四角小鉢には鰯のぬた和え。柊の小枝に焼いた鰯の頭を刺した“柊鰯”が魔除けとして知られているが、それを織り込んだのだろう。
いなり、エビ、くわい団子など。日本酒は天狗舞の「冬吟(ふゆぎん)」という純米吟醸生酒を最初に頂いた。さすが天狗舞さん、吟醸香、旨味、フレッシュな爽快感が最強のバランス。ライトで力強い美酒。

・お椀 ホタテ真薯

・お造り とらふぐ、白子

・牡蠣天ぷら

・蟹と白子のグラタン

・貴船風かぶらずし

・ユリ根まんじゅう 柚餅子をのせて
ねっとりとした食感のユリ根饅頭にとろっとしたあんがけ、さらにもっちりとした柚餅子が相性良し。

・鰤大根ごはん
冬出してくれるうまい炊き込みご飯。鰤大根とごはんを合わせるなんて当たり前にうまいですが、ナイスなアイディア。品良く仕上げてある。

・あんみつ
濃い抹茶のアイス、塩味を効かせたあんこ、苦味がアクセントとなる金柑蜜漬け、紅茶の寒天にいちご。大人に焦点を合わせたおいしいデザート。

2018年12月 冬

カニ、鰤、牡蠣、ふぐなど、冬においしさのピークを迎える海の幸が盛りだくさんで、1品1品が豪華でした。
・先付
年に2回行われる大祓(夏越の大祓と年越しの大祓)の“茅の輪くぐり”をモチーフにしたしつらえで、松ぼっくりの器の中には香箱蟹が。香箱蟹の漁期は11月6日~12月末頃までなので、ここで食べ納めできるのは嬉しかった。

・盛り込み(取り分け後)
あん肝、くわいとゴルゴンゾーラのフライ、なまこなど。

・お椀 鴨のおだんごの白味噌仕立て

・トラフグと聖護院かぶ
甘辛いタレを絡めたトラフグで、ピリリと効いている唐辛子がまた美味。これは今回のコースのなかで一番好きな一品でした。

・お造り
能登鰤、ヒラメ
冬の美味をありがとう!やや厚切りの鰤が口の中で踊り、笑みがこぼれます。

・ズワイガニ柚子釜
ほこほこと蒸しあげたズワイガニがふわりほっこりと美味。柚子の香りもほんのり寄り添い、ああ幸せ。

・白子揚げ

・能登ふぐの辛味おろしがけ
ここまできてまだまだ贅沢なお皿が続きます。中にはてっぴも。

・下仁田ネギのすりながし
下仁田ネギのすりながしだなんて、聞くだけでおいしいですね。中にはぷりっとした能登牡蠣が隠れています。下仁田ネギは淡い味わいですが、甘さがじんわりと広がり、牡蠣の海の味わいを上手に包み込んで持ち上げます。


・鰤大根ご飯

・杏仁豆腐とイチゴアイス、自家製あん

2017年5月 初夏

・先付(鮎の苦うるか、アスパラ豆冨にジュンサイと雲丹のせ)
虫篭と団扇で初夏を思わせる涼しげな演出です。鮎は昆布締めにして苦うるかで和えてあるので、ホロッとくる苦さが大人にはたまらない妙味でした。間違いなく日本酒な一品。

・盛り込み
(ズイキのフォアグラソース、子持ち昆布、穴子ずし、玉蜀黍のかき揚げ、アスパラの牛巻き、ヤマモモ)
これぞザ・貴船と言える盛り込みが登場!皆から歓声が上がります。緑で潤いある演出も忘れないところがさすが。さらに器の底面には水が張ってあって、なんと稚鮎が泳いでいるんですよ。時折ピチャンピチャンと跳ねたりして風流です。あとのお料理で、この稚鮎が登場します。

・鮎のスープ
鮎のスープ。というかすりながしというかポタージュというか。
苦味の角が取れてぽってりと奥深い味わいで、「ああ~美味しい」と思わず心の声が出ちゃう味。青みは鮎料理にかかせないタデです。

・お造り
ナメラ、カンパチ、ガスエビ、カマスの炙り
・氷見うどん肝和え
出てきた瞬間、まるで1ポンドのステーキが出てたような興奮に見舞われた一品。
氷見うどんをアワビの肝で和え、さらにアワビをゴロっとトッピングした、大人の遊び心の賜物。解説不要のうまさです。
大人で良かった、貴船さんアリガトウ!と言いたくなる一品。

・鮎 唐揚げ
稚鮎が躍動感ある泳ぎ姿のまま唐揚げで。さっきまで泳いでいたものだということが一目瞭然。

・鰻の木の芽たたき
甘辛い味付けを木の芽と黒七味が引き締めます。添え物は、焼いたアボカドと万願寺とうがらし。

・カキ
夏牡蠣にアスパラとザクロを合わせ、柑橘の酸味をプラスし、夏風のような青い香りが爽快な一品。

・アサリ真薯
カキが酢の物のかわりで、このあとお食事かと思いきや、ここで真薯。
トマトのスープという意表の尽き方にびっくりしましたが、燦々と降り注ぐ太陽のようにパッと心が晴れるような初夏らしい風味で、アサリとも旨味のフュージョンを果たしていました。

・タコ飯
仕上げに茗荷をたっぷりのせた、小芋入りのタコ飯です。ここまででかなり満腹なのに、入っちゃうのが不思議。


・自家製メロンシャーベット

2016年9月 中秋の名月

北陸のおいしい季節の始まり、9月後半のディナーはこんな感じでした(コース料理一部)。今回のテーマは「中秋の名月」「十五夜」「お月見」であることは一目瞭然で、秋の食材と共に日本の伝統文化を大いに楽しませて頂きました。
お部屋には、重陽の節句に行われていた「菊の被綿(きせわた)」も。(平安時代に始まったとされる宮中行事で、菊に綿をおいて露を染ませ、身体をぬぐうなどの習慣があった。)

・先附
まずは一献。月を思わせる金杯にて、天狗舞の五凛を頂きました。
丸盆にも金箔があしらわれており、山肌から顔を出す満月が表現されています。うさぎの器には、帆立、レンコン、じゃばらキュウリで、リンゴ汁を加えた酢の物が。琵琶の蓮華には、万寿貝、松の実、春菊。

・秋の盛り込み
焼銀杏、生麩フライ、ヤナギザワラ、マグロ、秋刀魚の押し寿司など、秋満載の盛り込みの登場です。渋皮付の焼き栗は、ほのかな苦みが美味。

・里芋とフォアグラの鍬焼
この取り合わせはびっくりしましたが相性抜群でした。両者口どけなめらかなので、口の中で一緒にとろけ合います。さらに里芋の調度いい味付けが、フォアグラとマッチしていました。

・湯葉
湯葉と豆乳にべっ甲庵と雲丹をのせて。ふくよかなうまさとスッと入ってくる上品な爽快感の妙が美味。

・いくらご飯
炊き立ての銀シャリに、今がちょうど旬であるイクラを女将さんが混ぜてくれました。

春の貴船

春は桜を意識して、こんな素晴らしい織り込みのときもありました。