「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」世界のパティシエ辻口博啓氏のお店。予約制お茶室「コンセプトG」でお茶とデセールコース。金沢店限定の季節パフェもいいね!

料理: 7.5 その他: 7.5 ポイントについて
ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA(LE MUSEE DE H KANAZAWA) (るみゅぜどぅあっしゅ かなざわ)
営業時間 10:00~19:00(18:30 L.O.)
定休日 年中無休 石川県立美術館の休館日も営業
価格帯 1,000円~2,500円
訪問回数 20回20回以上

世界のパティシエ辻口博啓氏のお店。辻口シェフは石川県七尾市出身ですから、我々石川県民にとっては英雄的存在です。石川県にカフェ付きのお店は和倉と金沢の2店舗あり。ここ金沢店は2008年にオープン。兼六園近くの石川県立美術館内で、本多の森の「緑の回廊」がガラス窓の向こう一面に広がっています。黒を基調にした店内はシックな印象ですが、自然光が入って清々しい。お店自体も芸術性の高い造りをしています。

七尾店↓は和倉温泉の海が臨める場所にお店を構えているんですよ。
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【パティシエ 辻口博啓氏プロフィール】
1997年、フランスリヨンで開催されるパティシエの世界大会「クープ・ド・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」で飴細工部門の個人優勝(最年少記録:29歳)。近年はショコラの世界的評価が高く、「サロン・デュ・ショコラ・パリ」にて発表されるショコラ品評会では、2013年~2018年の6年連続で世界最高評価のゴールドタブレット(金賞)を獲得。NHK朝ドラ「まれ」(2015年上半期放送)ではケーキ監修・製菓指導を務めた。
オーナーパティシエ・ショコラティエとして、モンサンクレール(東京・自由が丘)をはじめ、コンセプトの異なる13ブランドを展開している。

(最終訪問 2020年2月11日)

地物食材ふんだん 辻口プチガトー

プチガトーはどれもおいしいのですが、特に私が好きなのは定番のココットアナナスやセゾンドガトー、ミュゼやセラヴィかな。さらに辻口ロールや辻口シューもいいですね。地元食材をふんだんに使用しているので、観光の方にも石川を味わうために訪れて欲しい場所です。
●ココットアナナス
パイナップルのジューシーで元気の良い甘さが能登ミルクと調和した、可憐な味わいのクレームブリュレ。
●セゾン・ド・ガトー
言わばショートケーキですが味わいは別格。能登の地乳「のとミルク」と栄養バランスに優れた「セイアグリー健康卵」を使用し、しっとり上質な味わい。ハート型に見せたイチゴも可愛い(季節でフルーツは変化)。

●ミュゼ
ショコラムースに包み込まれた玄米ビスキュイとレモングラスの香りが、ショコラの豊かな風味とハーモニーを奏でます。
●セラヴィ
辻口シェフも思い入れ深い、「人生」という名のケーキです。ぜひ一度は召し上がってみてください。素晴らしいバランス感です。ピスタチオとベリーをホワイトチョコレートムース包み込んだ、キュンとくる酸味もアクセントになっている、エレガントかつクリーミーでチャーミングさも持つ一品です。

予約制お茶室 コンセプトG

予約制のお茶室です。フロアの一番奥に設けられているのが「コンセプトG」という空間で、扉の向こうには洗練されたモダンなお茶室が設けられているんです。こちらもガラス張りの開放感ある造りで、コブシの樹が目の前で花をつけています。
辻口氏と言えば「和をもって世界を制す」を信条に和食材を使用したスイーツやショコラで世界を魅了していますが、ここではその信条通り最高級日本茶の代名詞である「宇治の本玉露」と、和食材を用いたオリジナルスイーツをコースにて味わうことができます。

●コース料金 2500円
小菓子、季節のお茶(お口ならし)、本玉露(一煎目、ニ煎目、三煎目)、アシェットデセール(スイーツ ニ品)、小菓子、炒り立てほうじ茶

●春のコース
・季節のお茶「桜葉茶」
まずは、春らしく、桜葉の香り立つお茶を。これで心がホッと緩みます。 

・デセール「金柑と蜜柑のグラニテ」
アヴァンデセールのような感じで、まずは柑橘風味の軽い一品でウォーミングアップ。
 
ここで茶香炉が運ばれてきて、木の枝でお茶を煎じながら立ち昇る香りを楽しむという演出がステキ。これは後程お茶として出てきます。

・宇治本玉露 「一煎」、「二煎」
宇治の本玉露は日本の緑茶の中で最高級品で、香り・旨味・渋味のバランスが非常に良いと言われています。新芽が出始める前に、茶葉を葦簀(よしず)で覆って日光をさえぎることで、薄く緑の濃い柔らかな芽が出てきます。この本玉露は贅沢に、手摘みの新芽を使用。     
一煎目と二煎目は、40度で約2分という同条件で淹れてあります。
結構低めな温度ですが、1煎目はテアニンの甘さがバーンと全面に感じられて、エキスを飲んでいるような感じ。
ニ煎目は甘さが落ち着いてきますよ。
ちなみにこのステキな器は、能登島のガラス工房さんの特注。


・デセール「林檎のタタンさわやかなゆずムースを添えて」、「辻口風チョコ羊羹」、「3種の能登素材を使ったミルク杏仁」
ゆずや抹茶、羊羹×チョコなど、和食材を使用した和洋折衷なデセールプレートです。
チョコ羊羹は、キメがとても細かい抹茶塩を合わせて頂くのですが、塩味の対比効果で甘さが引き立ち、高貴な風味も寄り添います。
杏仁は、奥能登でのびのび育つ牛から絞った生乳「能登ミルク」を使用しており、ピュアでまろやかな味わいで、さらに故郷愛も感じられる1品でした。

・宇治本玉露 「三煎」
三煎目は熱出しで、熱湯に近い温度で淹れています。
先程よりも渋みが出てきますが、心地よい軽やかな渋味でスッと飲める感じ。
   
・宇治本玉露おひたし
茶葉の出がらしに、お醤油をかけておひたし風にしたものです。これがなかなか美味で驚きました。まるで葉野菜のおひたしそのもので、柔らかい食感も美味。ほんのりお茶の風味が余韻に残ります。 
 
・結びのお茶「炒り立てほうじ茶」
先程茶香炉として香りを楽しみながら炒っていたほうじ茶です。この香ばしさたるや格別!
 
・デセール「プラリネオレンジのグラス 温かいソースショコラと共に」
ドーム型のチョコレートには、プラリネとオレンジのアイスが隠れています。温かいショコラソースをかけると、ドームが溶け、そのチョコもソースになり、ソースが濃厚さを増します。中のアイスはザクザクのナッツと、フレッシュなオレンジも入っており、充実した果汁感と香ばしさがチョコに溶け合って美味でした。

   
   
●夏のコース(2019年8月訪問)
宇治本玉露の一煎、二煎、三煎と、炒り立てほうじ茶、宇治本玉露おひたしは上記に同じ。

・夏の季節のお茶「ヴェールフレ」
ジャスミン茶と抹茶で、苦味でピタッと合わせてジャスミンの風味でパァっと昇華させています。

・デセール「石川県産ブドウとすだち香る寒天 ブドウとセロリのグラニテと共に」

・デセール「マンゴーとパッションフルーツのサヴァラン キャラメルのクリーム」「石川県産スイカのスープ グランマルニエの香り」「アボカドとチーズのムース 自家製能登ミルクのジェラート 野々市産キウイワインのキウイマリネ」

・デセール「完熟白桃のピーチメルバ〜デセール仕立て〜」

ここは観光の方にもオススメですし、お客さんの接待などにも重宝するはず。
兼六園観光の後に、ここでゆっくり最高級玉露とスイーツに浸るというコースも、いい過ごし方だと思います。

金沢店限定の季節パフェ

パフェメニューは和倉店にはなく、ここ金沢店でのみ販売しています。数年前はルビーロマンパフェのみだったのですが、桃パフェが加わり、2018年秋は「秋のパフェ」もスタートしました。
●パルフェシュペール
2018年販売していた完熟桃のパフェです。
フレッシュでジューシーな桃たっぷりが嬉しい。さらに桃のジュレやコンポート、クレームダンジュ。そして、崎山イチゴのマカロンにメレンゲのトッピングなど、食べ進めるのが楽しいパフェです。おいしさが何重奏にも〜。私は特にジュレのスッキリ爽やかな層が好きでした。

●秋のパフェ
2018年秋販売開始したパフェで、11月中旬頃までの販売でした。
こちらもかなり高さを出してあるので、登場すると「おおおお!!」となりました。秋のパフェというと栗→モンブランクリーム→濃厚で重い!!という印象持ってるのですが、こちらは栗だけではなく、梨も使用してあり、また、グラスの中はジュレの透明な層もあって見た目も涼やかです。しかも秋色でまとめてあるー。梨は和梨と洋梨の2種を使用。能登白ワインでコンポートとジュレにしてあります。梨はトッピングだけでなく中にもゴロゴロ入っており、フレッシュな印象で食べ進められて良かった。ジュレ、栗クリーム、フルーツなど、味や食感の変化も楽しい。最後の層はスッキリと柑橘です。

このパフェシリーズ、冬も出るのかは分からないですが、季節ごとにやってほしい。

世界で評価される辻口ショコラ

辻口氏は近年ショコラで世界的評価をされており、ショコラティエとしても注目を集めています。毎年10月末ごろから11月初旬にかけてパリで開かれる世界最大のチョコレートの祭典「SALON DU CHOCOLAT(サロン・デュ・ショコラ)」では、最高位を2013年~2018年の6年連続で最高評価のゴールドタブレット(金賞)を獲得しています。出品作品は、2013年度「ナノショコラ」、2014年「DNAショコラ」、2015年「SAMURAIショコラ」、2016年「ショコラレボリュ-ション」(テーマは発酵)、2017年「RENAISSANCE」(テーマは日本とフランスの融合。ペルーへのオマージュ、和のモヒート、プラリネカフェ、ダマスクローズ)。さらに2017年は「AWARD DE L’EXCELLENCE(外国人部門最優秀賞)」も受賞しています。2018年テーマとしたのが「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」で、日本古来の美意識をチョコレートに落とし込んで昇華させています。「陰 In」、「翳 Ei」、「礼 Rai」、「讃 San」を名にした4つボンボンで、こうじや味醂、酒、味噌といった日本の伝統調味料や発酵食品も巧みに組み合わせ、新しい美味しさを作り上げてあるのも革新的。山椒や加賀棒茶も取り入れ、日本の風味を大切にしてあります。ビジュアルも陰翳礼讃らしさがクールに伝わるデザインです。

ショコラの販売は冬季のみで、七尾店と金沢店で購入可能です。
●2013年度 ナノショコラ
カカオニブを最先端技術でナノ化した新しい原料を使用したショコラで、カカオ豆の香りが鮮烈に感じられます。特に山椒を使用したショコラは、今までにない革新的な味わいで、風味の良さと調和に驚きがあります。“和を持って世界を制す”という座右の銘通り、和の食材で世界を制してくれました。

●2014年度 DNAショコラ
郷愁性や人間の原点回帰といったことを表現したショコラで、「うま味ノワール」「和歌山のオレンジ」「ゴマおはぎ」「赤紫蘇」の4種類があります。「うま味ノワール」は、昆布のうまみ成分グルタミン酸ナトリウムを取り入れたらどうなるのかという、辻口氏の好奇心から生まれたアイディアが元になっています。NHK朝ドラ「まれ」でもこのショコラが描かれていましたね。ナノショコラを加えたクーベルチュールと、昆布の旨味の組み合わせで、富士山の天然水に真コンブを浸して旨味を抽出し、そのエキスをガナッシュに加えてあります。旨味のインパクトがガン!とくるわけではなく、余韻が心地よく持続しなるほど。「和歌山のオレンジ」は、和歌山県産オレンジの果汁に生姜を加えたパート・ド・フリュイ(ゼリー)、そしてナノショコラに旨味成分を加えたガナッシュを合わせてあります。まずオレンジのおいしさがパッと鮮明に伝わり、時間差で生姜の風味が訪れ、ガナッシュからパート・ド・フリュイへと食感が変化したりと、独特な旋律を奏でるのが印象的。「ゴマおはぎ」は、日本の伝統菓子おはぎがショコラに!プラリネとナッツの油分を合わせ、ゴマのザクザク食感も感じるボンボンショコラで、ゴマの風味とともに懐かしい気持ちに襲われます。「赤紫蘇」は、意外で面白い味わいで、私はこれが一番好きでした。赤紫蘇の風味は、ザ・ジャパニーズハーブ!妖艶な芳香に、ミルクショコラが調和する不思議なショコラ。辻口マジックです!
●2018年度 陰翳礼讃
2018年、今回で最高賞を6年連続受賞したことになります。すごい。「陰 In」はには味醂を使用。味醂のまあるい甘みが時間差で立ち上がってきて、味醂ってこんな優しい味だったんだと日本人が再発見できるボンボンかもしれません。「翳 Ei」は味噌とアプリコットの組み合わせ。生味噌が持つ酸味と懐かしみのある深い旨みが、アプリコットの酸味と骨太な甘みにピッタリ来ていました。絶妙なバランス感でお互いを昇華させている。4種の中で個人的にこれが一番好きでした。「礼 Rai」は、米のスフレが口の中で小気味良いカリカリ乾いた音を奏でふくよかな香りを立たせる。いわゆる日本酒!という主張とはまた違ったアプローチで、酒らしいというよりもイメージ的にごはんらしさとして伝わった。米の発酵×カカオの発酵、それらのマリアージュが生み出した新しい味だろう。「讃 San」は、加賀棒茶の香ばしさとジュレの聡明でみずみずしい舌触り、塩のテクスチャーと塩の対比効果でバーンと前に現れる隠れた甘み、山椒の刺激、、、口の中で様々な味が登場するのでまず驚きがある。迷子になる心地よさを味わいながら、じわじわと1つの味になっていくのも面白い。余韻に残るのは、山椒によって引き出されたカカオの旨み。なんだかセクシーで掴みどころのない大人の女性のようなボンボンだなぁと感じました。


審査員コメントや詳細などはこちら↓
https://food-japon.com/p/news/ineiraisan

さらに2015年は「ICA(インターナショナルチョコレートアワード)」のチョコレートバー部門で金賞を受賞しています。
2017年に金賞受賞したのは、「ORIENTAL(オリエンタル)」という名のタブレットです。ホワイトチョコレートベースに、金柑、パッションフルーツ、パイナップルを合わせた南国の味わいのするタブレットでした。

ここ金沢店はもちろん、能登に足を延ばされた際は、ぜひ和倉温泉のミュゼドアッシュも訪れてみてくださいね。