「とおりゃんせ KANAZAWA FOOD LABO」は、金沢片町エリアの一角にある屋台村で、金沢の新しい食の発進基地・集いの場所として認知されています。その一角に、”お出汁とお料理とお酒のお店”と銘打った新しいお店が誕生したのが2023年11月のこと。繊細なお料理がこの場所で出てくるギャップもツボ。
店主の二瓶健治(にへいけんじ)さんは、金沢の名店「六花」出身で、独立して新たな料理スタイルを確立している印象を持ちました。枕崎産の鰹節と利尻産の昆布を丁寧に引いた料理を中心とした、日本の食文化の根幹と言える繊細な日本料理が、ここで食べられるのは驚きでした。料理ごとに出汁や添える味わいを変えてあるのもさすが。
屋台村とは言え、店内はこじんまりとした中にも余裕があり、すっきりとした印象で、カウンターの席間隔も狭さを感じさせません。ワンオペ営業で、以前はコースでしたが、現在はアラカルト営業で、より一層訪問しやすくなりました。
日本酒取り揃えにも注目で、地酒だけでなく他県のお酒も豊富に揃えており、初めて出会うお酒がたくさんあって楽しい。
出汁、鰹と昆布の佃煮
毎回最初に必ず出してくれます。鰹と昆布だけで引いた出汁で、まずはまろやかで日本人のDNAが反応する旨味と温かみで胃袋からホッ。お塩は入っておらず、自然の塩味のみです。そして、お出汁をテーマとする同店らしく、おつまみに鰹節と昆布が出てくるのですが、これがお酒のアテに最高。
2024年9月 イチジク白和、イクラ醤油漬け
フラッと行ってもサササッととびきり美味しいものを準備してくれる、そんな二瓶大将はやはり実力者。季節食材を繊細に料理してあって、予約困難店のコースのようなレベル高い料理がアラカルトで食べられるのは有難い。しかも繁華街の中心!
●前菜
奇跡のしめじ、秋の野菜テリーヌ
●イチジク白和
秋の滋味と品。これが屋台村にあるなんて!ギャップにやられます。美味。
●甘海老オイル和え
甘海老に、優しい辛味でマリネし薬味を添えて。
●カジキマグロ
●自家製イクラ醤油漬け
完璧な仕込み!素晴らしい。皮が薄くて、口に入れた途端ピュッと弾けてご飯に溶け合う。絶品。
2024年8月 とうもろこしづくし
●出汁、鰹と昆布の佃煮
●冷しおでん
お出汁で炊いたお野菜をテリーヌに。見た目から涼しげで夏にぴったり。シャキシャキ食感も残してあるところがさすが。
●イカの薬味和え
●もろこしすり流し
パッと美しい黄色に心躍る。そして、こういう繊細な料理はさすが、実力が光ります。
●もろこし餅
モッチモチ食感のアッツアツとうもろこし揚げ団子でグビグビとビールが進む。すり流しを作る際に出るとうもろこしの繊維を混ぜ込んであります。
●もろこしと海苔天
●もろこしご飯
二瓶さんは会津出身で、お米は会津のコシヒカリを使用しています。
たっぷりのとうもろこしと昆布を一緒に炊き上げて、太陽の味わいに旨味も添えて風流な味わいに仕上げます。絶品!
おかわり3杯して、残りはお持ち帰りにしました。
2024年6月 アラカルト
●出汁
名刺代わりの最初の一品。鰹と昆布だけで引いた出汁です。
●お通し
お出汁をテーマとする同店らしく、おつまみに鰹節と昆布が出てきます。お酒のアテに最高。
お野菜の料理は”冷やしおでん”。美しく発色しており、見た目にも鮮やかで、それぞれの個性が活かされている。なんと言っても、さすがお出汁が美味しくて飲み干しました。
●クエ
長崎のクエは、能登の天然塩とオリーブオイルで。
●アボカド浸し
鰹出汁でアボカドを短時間炊いてあるそうです。アボカドの煮浸しなんてびっくり。塩のみで味付けられており、煮崩れもしておらず、難しい食材の絶妙な昇華のさせ方が素晴らしい。
●賀茂なすと牛肉
夏の京野菜の代表格である賀茂なすは、削ぐように薄く皮をねじり剥きして。
出汁を含んだ賀茂なすの美味しいこと。出汁の甘さとまろみが調和し一体に。
●会津ソースチキンカツ
二瓶さんは会津出身で、会津の特産品や伝統料理が織り込まれている所も同店のポイントです。
福井と同じく、会津もソースカツ丼の文化ですが、千切りキャベツを敷くところや、厚切りの豚肉を使用するところなどに違いがあるそうです。
こちらはチキンで作ってありますが、下味の付け方もレモンで和えたキャベツも、衣の薄さとサクサクした歯切れの良さも、要所要所に繊細さが隠れていて、ご当地グルメが日本料理店の料理に。
●青梅蜜煮大福
お手製の青梅蜜煮と炊き上げたあんこを目の前で包んでくれます。大福の柔らかさに、とろとろ甘い青梅と香り高いあんこが溶け合う。美味。〆にぜひ食べてほしい。
2023年12月 コース
金沢の屋台村とおりゃんせに新しい風を吹き込む一店。
店舗の詳細はInstagramにて(店舗情報が少ないので書けません)
https://www.instagram.com/maruni_kanazawa/