2025年4月18日、金沢に新たな光が灯りました。
名店「片折」で料理長を務めていた木佐貫(きさぬき)さんが、自らの名を冠した日本料理店「木佐貫」をオープン。開業間もないとは到底思えない完成度と、抜群の安定感を備えておりました。
物腰柔らかく、それでいて堂々とした立ち居振る舞いは、努力に裏打ちされた実力と自信の賜物で、食べ手にも絶大な安心感をもたらします。
この完成度の高さは、木佐貫さんご自身の努力はもちろん、建物もスタッフも全て片折卓矢大将の力強いバックアップがあってこそで、師弟間の揺るぎない信頼関係と絆が感じられます。片折さんは偉大だなぁ。
また、若手中心のスタッフ陣も驚くほどハイレベルで、名店仕込みの所作と技術を備えています。
席数は現在わずか6席、1回転のみ。
料理は、「片折」のDNAを色濃く受け継ぎながらも(木佐貫さんが料理長だったので当たり前に)、そこに独自の世界観がきらりと光ります。ただ、継承するだけではなく、独自の新たな魅力もしっかりと打ち出されていて、また違った面白味があるのが素晴らしいと思いました。
・おしぼり
最初に手渡されるのは、熱々のおしぼり。首の後ろに当てて、心と体を整える儀式から始まります。片折譲りのこの演出が、スイッチを静かに切り替えてくれる。
・能登椎茸と山の水の御香煎
澄み切った能登椎茸の旨味と、清冽な山水を合わせた一杯。アプローチを変えつつ、素材の息吹を引き出しています。
・山菜白和え(うるい、わらび、こごみ)
繊細さと野趣が共存する、先付けから食べ手を感動させ、これからの料理を期待させる完成度。
山菜がまるで器の上で呼吸しているかのよう。
・のど黒蒸し寿司
「片折」でも記憶に刻まれた珠玉の一品。ここで食べられるのは嬉しい。蒸すことによってやわらかくなったお酢の当たりと、甘さが増したご飯のほこほこの温かみと甘さが、のど黒の脂と絡み合う。
・お吸い物(アイナメ、新玉ねぎ)
新玉ねぎの優しい甘さが吸地に溶け合い、くずうちされてふわふわなアイナメとの調和も素晴らしい。
・お造り(七尾のヒラメとサヨリ)
澄みきった透明感と、しなやかな旨味。
・ほうれん草ごまあえ
木佐貫さんの出身地である宮崎県都城市の希少な国産の金胡麻を使用。柔らかな地元ほうれん草と、香り高い胡麻のハーモニー。
・サワラ藁焼き、木の芽味噌、せんなのおひたし
厚みを持たせた切り方ながら、中はしっとりレア。鮮やかな緑の木の芽味噌が香り立つ。
・アオサノリ(珠洲)、タケノコ(富山)
アオサの海の香りと、柔らかな筍の甘さ。季節の滋味が静かに広がる。
・ハチメ、若芽(珠洲)、針独活
能登の御馳走ハチメと、若芽の柔らかな歯触り。地元の恵みを丁寧に紡ぐ一皿。
・鱒の千草巻き
シャキシャキの胡瓜と、しっとりとした鱒。瑞々しさとまろやかさのコントラストが心地よい。
・お食事
ご飯は能登ひかり。
付け合わせは、ホタルイカ沖漬け、きくらげ山椒煮、蕗のとう味噌、きゅうり浅漬け。
お味噌汁は加賀れんこんと猪で、旨みが力強く大地の味わい。
おかわりは、マグロ漬け丼、新玉ねぎ丼、梅出汁茶漬けから選択可能で全種を。
新玉ねぎ丼は、砂糖なしでも驚くほど甘く、火入れの妙技を感じさせる一品。
梅茶漬けは、梅がいないのに梅の存在感がある想定外の味わいでした。
木佐貫さんのご出身地である宮崎県は、火山灰の影響で梅が外に干せないこともあり、梅”干し”ではないそうで、お母様の作ってくれた梅茶出汁のお漬けをここに再現しています。加熱によって出汁に梅のエキスを出すことで、酸味のコントロールもしやすいそうだ。これはまた新発見の美味しさ。
・蓬餅
手摘みのよもぎで仕立てた蓬餅。ほちゃほちゃと繊細で、最後まで自然の恵みに包まれました。
オープン前に、もうすでに今年2025年いっぱいは予約は満席。(来年の予約は今のところ受け付けてはいないそうだ。)
世界に誇る金沢の名店が誕生!