富山県のソウルフードのひとつである「たら汁」が食べられるお店。国道8号線を新潟方面に向かう途中、県境手前のヒスイ海岸付近の朝日町境にあるこの通りは、通称「たら汁街道」と呼ばれており、たら汁を提供するお店が密集しています。「たら汁」の看板やのぼり旗にいくつも出会いますよ。その中でも、ここ栄食堂は一番有名なお店なのではないでしょうか。厨房の窓からは、たくさんのたら汁用のアルミ鍋が積み上げてあるのが見えます。
店内のメニュー表には、親子丼やキムチチャーハンやとんかつなど、定食屋たる料理名がズラリと書かれており、その中に「たら汁」が何気なく書かれているので見落としそうになりますが、間違いなくここの名物なのです。小皿料理がガラスケースにたくさん並んでいます。もずく酢や真子煮、煮しめやポテトサラダまで幅広く、食べたい人はセルフサービスでお会計の際に自己申告制ですよ。
たら汁はお店によって提供方法がさまざまで、銅鍋や雪平鍋など、特に鍋に特徴があります。栄食堂では大きなアルミ鍋で提供されますから、テーブル上でも存在感抜群ですよ。
●たら汁
蓋を外す際の、カンカラカンと軽快な金属音もアルミ鍋ならではです。そしてタラ一匹をブツ切りにして放り込んであって、具はシンプルに牛蒡とネギのみですから、見た目は豪快ですが、タラは鮮度の良いものを使用しているため、身がやわらかくて口の中でホロッと崩れるくらい繊細です。また、お味噌は昭和44年から同じ銘柄で、タラの淡い味わいに調和する、まろやかで懐かしさを感じる優しい味わいです。しみじみ語りかけてくるおいしさに、心も解きほぐされます。鍋にたっぷりで、一人前3杯分くらいはあります。