チェコ料理店は全国でも5軒ほどしかないと言われていますが、そんな珍しいチェコ料理の専門店が金沢にあるんです。オープンしたのは2014年8月10日。私もチェコ料理に経験があるわけではありませんが、チェコ料理未経験でもおいしく感じられ、人気の理由がよく分かります。
チェコ共和国はヨーロッパの内陸国なので、食材は肉類や穀類、乳製品が中心。限られた食材に工夫を凝らした伝統料理がたくさんあります。オーナーシェフ柏照康さんは、ロシアやブルガリアなどの公邸料理人を務められてきた実力派。チェコを含め各国で約5年半腕を磨かれてからの帰国、故郷である金沢に開業されました。
同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。
お店の場所は、中央味食街と新天地の間で、店内にはオープンキッチンのL字カウンターがあり、2階にもワンフロアお席があります。
同店の器がいずれも“チェコスロバキア”時代のアンティークということでこちらも必見です(1993年にチェコスロバキアがチェコとスロバキアに分離し、チェコ共和国が成立)。なかなかの年代物もあります。
料理はアラカルトとコース↓があります。
軽く食べられるチェコ料理コース
●しっかり食べるチェコ料理コース
●リッチに食べるチェコ料理コース
生ビールもチェコから。
チェコ瓶ビールの取り揃えにも注目です。
●Kozel(2022/11/7)
コロナもあり1年ぶりに到着したというチェコの黒ビールです。チェコでは女性に人気なのだとか。
黒ビールのあの香ばしい癖が苦手なのですが、色の先入観とは異なる爽やかな味わいで、とっても美味しかったです。これはまた飲みたい。
●ホットワイン
スパイスとハーブたっぷりで、複雑で妖艶な風味でとっても美味しくておかわりしました。特に寒い日にオススメ。
【紹介項目】
DUBの定番チェコ料理
●ウトペンツィ
チェコの定番おつまみであるソーセージの酢漬け。毎回絶対に食べたい大好きな料理です(コースだと前菜にハーフで入れてくれます)。約5日ほど酢漬けにしてあり、まるみのある心地よい酸味が、肉の旨味と程よく調和しています。
●ナクラダニーシール
カマンベールチーズのオイル漬け。オイルに漬けながら熟成させてあり、白カビの個性が和らぎ、いつものカマンベールとは違うニュアンスで品良いコクが出ていて美味。とろとろのチーズを、両面をちょっと焦がしたパンにつけて頬張る幸せ。散らしてあるのはチェコのパプリカパウダー。
●トラチェンカ
豚の耳と舌と足の煮こごりで、豚のコラーゲンだけで固めてあるナチュラルなおいしさ。
●ザビナーチ
(盛り合わせ手前の)くるくる巻いてあるイワシの酢漬けがザビナーチ。
ピクルスは1つ1つの野菜の個性に合わせて別に漬け、乳酸発酵させてあります。
●ホベジー グラーシュ
牛肉とパプリカのシチューのことで、どっしり重く見えますが赤みはパプリカなのでコクはありますが案外あっさり頂けます。
●クネドリーキ
肉料理に添えてあるのはチェコの伝統的な茹でパン。何度か発酵を繰り返した生地を茹で、オーダーがあってから蒸してくれます。日本の蒸しパンよりもふわふわ軽くシンプルな味わいでソースに良く合います。こちらも大好きな料理。
ハーフ
●sekana セカナ(1/2サイズ)
チェコのミートローフです。フェンネルとマジョラムを効かせてあり、お肉とクリーミーなマッシュポテトを、妖艶な風味で軽く持ち上げます。この香りのアクセントがクセになる。
●蜂蜜ケーキ、アップルステュルーデル
蜂蜜ケーキは、全粒粉、キャラメルバター、蜂蜜クリーム、胡桃で構成される層状のケーキで、重厚で滋味のあるおいしさ。アップルステューデルは、林檎パイをロール状にしたようなスイーツで、外皮が薄くて食感軽い。毎回食べたい大好きなデザート。
●落花生とカマンベールチーズのプリン
どっしりとした固めのプリンで、フォークを入れるときに重みも伝わる。私は固めプリン好みでなのでテンション上がりました。
野趣と品を兼ね備えた落花生の味わいがベースになっていて美味。
DUBのディナー
2021年12月18日のディナー
チェコのクリスマスの定番料理があると伺ったので、コースに追加しました。
●鯉のフライ
チェコでクリスマスに食べられている伝統的な定番料理は、鯉のフライにポテトサラダを添えたものなのだそうです。日本人にとっては想像もしない食材ですね。ところ変われば、です。
なんでも、皆さん各家庭で調理するため、クリスマス前には家の浴槽で鯉が泳いでいるのが当たり前の光景だそうです。なんだか笑っちゃう。
日本では鯉は泥臭いという先入観あり、好かれないことが多いですが、DUBさんの鯉は美味しかったです。骨切りをするような感じで包丁を入れ、衣薄くてサクッと揚げてあり中はほわほわ。臭みはないし、タルタールソースと合わせるので、ネガティブな味や匂いは感じません。美味しい。角切りポテトが入ったチェコ風のポテトサラダが添えてあります。
鯉の美味しさに初恋(鯉)するお客さんが続出する12月のDUBです。
2021年3月10日のディナー
●前菜
ザビナーチ、ウトペンツィ、ピクルス
冷たい前菜を少しづつ盛り合わせ。乳酸発酵のピクルスは1つ1つの野菜の個性に合わせて別に漬けてあります。
●能登牛のタルタール
バゲットは揚げてあり香ばしく、そのザクザクな断面にまずは生ニンニクを塗りつけてから、能登牛タルタールを乗せて頂きます。口の中でカリッと乾いた音を立てるたびに広がる香ばしさとニンニクの風味、そこにひやりとしたタルタールが咀嚼するごとにねっとりと舌に絡んでくる。ああ、おいしい。
●3種の豆と野菜の具沢山スープ
●鴨
ハンガリーの鴨のローストに、鴨出汁ベースのソース。添えてあるザワークラウトは酸味と甘味がしっかりあって、鴨にベリー系のソースを合わせるようなイメージです。そして、いつも肉料理に添えてくれるのは、ふわふわ軽い食感の伝統的な茹でパン「クネドリーキ」ですが、こちらは鴨に合わせたジャガイモのクネドリーキで、いつもよりもっちりとしていて骨太さもあり鴨に相性良し。この3つを一緒に口に運ぶと三位一体のおいしさに驚きがありました。
また新たな柏シェフの魅力を教えてくれた一品。
2021年2月6日のディナー
●チェコのポテサラと砂肝のコンフィ
まずはお通し的な一品を出してくれました。チェコのポテサラには、根パセリ、人参、セロリなどのピクルスをゴロゴロ混ぜ込んであり、優しい酸味が効いていて美味。
●前菜
ウトペンツィ、トラチェンカ、鶏タルタールバゲット、ピクルス
●ナクラダニーシール
●スープ
●鹿の赤ワイン煮込み(左)、イノシシの黒ビール煮込み(右)、クネドリーキ(茹でパン)添え
いつもの定番は牛肉とパプリカのシチュー「ホベジー グラーシュ」ですが、今回は2種類の煮込みをワンプレートにしてくれました。
黒ビール煮込みは苦味を効かせたさっぱり味で、対照的に鹿の赤ワイン煮込みは甘めで。濃厚ですが脂がどっしり過ぎずておらず美味。