富山市中心部エリア(路面電車ならば荒町で下車)にあるイタリア料理店。店主の柿谷精司さんは渡伊6年半。東京の“土の料理”で有名な五反田「ヌキテパ」(フレンチ)にもいらっしゃいました。しかしながら、それらの経歴を知らなくても、料理を食べれば実力派であるということは悟ることができるでしょう。
富山のイタリアンと言えば「ひまわり食堂」が挙げられますが、地元食材を使ったモダンイタリアンであり、イノベーティブの要素も大きく感じる「ひまわり食堂」とは対極に、BASSAさんは古典の要素が色濃く感じられます。タイプは違っておのおのの良さがあり、両者通って探求したい。こんないいお店があるなんて、富山の人がうらやましいです。
そしてもう一つ大きな特徴として挙げられるのは“家具”です。シェフのご実家が、富山市中心部から50分ほど離れた粟巣野にある家具工房「KAKI CABINETMAKER」で、店内の調度品はお兄様が作られたものなんです。例えば、カウンターテーブルや片側だけ肘掛けがついたオシャレなカウンターの椅子、キャビネットやパスタ入れまでオーダーメイドという。ここにしかない特注の素敵な家具が、店内のぬくもり溢れる雰囲気を作り出しています。
席は、厨房を囲むL字カウンターに、奥にはテーブル席もあり。
メニューはアラカルトで、前菜、サラダ、メイン、デザート。パスタは自家製生パスタが多種あります。
2022年1月10日
今回は2軒目としてフラッとお邪魔させて頂いたので、お料理は数品のみ。お料理は前訪問とかぶるので、初めて食べたデザートだけあげておきます。
●蜂蜜のパルフェ
私たちが想像しているパルフェ(パフェ)感はないので驚きますが、そもそも「parfait」がフランス語で完璧(パーフェクト)という意味で、型に詰めて凍らせた氷菓のことなので、原型のスイーツということですね。重厚なクリームとドライフルーツの凝縮した甘さが蜂蜜にマッチしており、クランブルのサクサク繊細な食感も良い。オススメです。
2021年12月13日
●カニとネギとチコリ、オレンジ風味
軽いおつまみメニューから。前回食べて美味しかったのでまた注文しました。
ネギは炒めてオレンジジュースで詰めて柑橘の風味を乗せることでカニと調和。チコリの苦味も良いアクセント。アンティパストに相応しい可憐な美味しさです。
●色々な大根とハマグリのカラスミがけ
●ステーキ フライドポテト、ルッコラ、チーズ添え
メインはパスタか肉か、それとも両方にしようか迷いますが、ステーキは焼き上がるまでに約1時間かかるので最初にオーダーを。
牛モモ肉をゆっくりと火入れし保温しながら休ませて、仕上げに火入れ。肉の旨味が全体に行き渡っています。
お肉はポテトの上に乗せて提供されるのですが、このポテトが激うまなのです。厚みのあるポテトをこんがり揚げてあり、外側ザクザクで内側ホクホク。さらにお肉の保温効果があるのと、肉の旨味をポテトが吸って美味です。
●アップルパイとバニラアイス
注文しててから焼き上げてくれるパイです。
リンゴには洋酒をガツンと効かせてあって、風味が妖艶で大人の味にしっかり振り切っているところがBASSAさんらしくて好きでした。程よい柔らかさのバニラアイスを冷たいクリームのようにして。
2021年5月の訪問(5/9、5/28)
●カニとネギとチコリ、オレンジ風味
ネギは炒めてオレンジジュースで詰めて柑橘の風味を乗せることでカニと調和。アンティパストに相応しい軽快で可憐な味わいで、その後の料理を期待させる美味しさ。
●5種のトマトとバジル
5種以上のトマトでお皿の上が彩り鮮やか。バジルソースを添えて。
●水茄子、鯖、クレソン
レモンビネガーでマリネした水茄子に〆た鯖、立山山麓のクレソンを乗せて。水茄子のフルーティーな味わいにビネガーと鯖が抜群の相性。クレソンは清涼感あるがツンとくる辛さやえぐみなく、豊かな山々の景色が思い浮かぶような美味しさでした。
●キャベツと蛤のガルガネッリ
絶品でした。自家製パスタ多種の中から、新作というガルガネッリを指名。ガルガネッリはショートパスタで、薄く伸ばした正方形の生地の表面に筋をつけながらクルンと形成します。そうすることでソースが絡みやすくなるのですが、意図した通りに蛤のまろやかな旨味がよく絡んでいます。ガルガネッリは薄くてテロンとした舌触りでしっかりとした食感あり、咀嚼するごとにパスタの旨味と蛤の旨味が合わさる。その旨味を引き締める辛味とカラスミの塩気も絶妙。本当に絶品でした。
●ステーキ フライドポテト、ルッコラ、チーズ添え
時間がかかる料理なので最初にオーダーを。セコンドピアットとしてぜひ選んでほしい。
牛モモ肉をゆっくりと火入れし保温しながら休ませて、仕上げに火入れ。肉の旨味が全体に行き渡っており、素晴らしい仕上がり。お肉はポテトの上に乗せて提供されるのですが、保温効果があるのと、肉の旨味をポテトが吸ってくれるのでポテトもすごくおいしいという。
●甘海老とグレープフルーツ
●羊と枝豆とンドゥイヤのパイ
カラブリアの辛口サラミ“ンドゥイヤ”と羊と枝豆をパイにした料理。思ったよりも辛さはなく、スパイスが風味として効いている印象。羊はパイに包み焼きにされることで、旨味が逃げずに閉じ込められており、羊の個性も感じさせながら、おいしさとして昇華。
●タレッジオのラヴィオリ、ローストアーモンドのソース
ナッティーで温かなコクのある密度の濃いローストアーモンドのソースが美味。
2020年8月3日
●モレッティ
●トウモロコシのアイスと生ハム
トウモロコシはアイスと焦げ目のついた粒をトッピングして。冷たいアイスが舌の温度で溶けるとパーンとくる太陽の味が立ち上がる。生ハムと羊チーズの塩味で甘みが引き立ち輪郭も出る。
●海老と桃のソテー、オレンジソース
詰めたトマトソースのようなのはブラッドオレンジのソースで、凝縮された果汁のキュンとくる酸味の刺激が良いアクセントに。
●イカとカリフラワー
サッと火入れしたレア感のあるイカとカリフラワーを削るようにスライスしてレモンビネガーで和えたサラダ。フレッシュなカリフラワーのポリポリが効果的にアクセントとなり食感として遊ぶ。
●羊と枝豆とンドゥイヤのパイ
●魚の濃厚スープ、ニンニクソース添え
見るからに旨味の詰まった密度の濃いスープ。ザラつきまで舌に感じるどろっとした濃厚スープは、良い意味で繊細でなく、クラシックたる堂々たる存在感と舌の記憶に残る美味しさがある。複雑で深い魚の旨味よ。このスープでつけ麺が食べたいと言ったら、細いパスタを茹でて入れてくれた。
●シラスとブロッコリー、オレキエッテ
耳たぶ型をしたショートパスタ“オレキエッテ”を。つるん、もちっとした食感は自家製生パスタだからこそ。濃いめのソースでなく、シラスの海の塩気を上手にのせて、パスタの美味しさも堪能できた。