「民宿ふらっと」1日4組限定の能登町矢波の民宿。能登食材と自家製発酵食材を使ったイタリアン。朝食の海餅(かいべ)とあら汁も絶品!日本海臨む露天風呂も最高だ。「情熱大陸」で取り上げられました

料理: 7.5 その他: 7.0 ポイントについて
能登イタリアンの宿 ふらっと (のといたりあんのやど ふらっと)
営業時間
定休日
価格帯 1泊2食14,000円(税サ込)から※2019年10月1日から16,000円〜に
訪問回数 3回

能登町矢波にある1日4組限定の民宿です。切り盛りするのは、1996年から能登に住んで2019年で早23年のオーストラリア人ベンジャミンフラットさんと、能登出身である妻の船下智香子さんご夫婦です。宿の場所は、海岸沿いを伝ってきて高台に登ります。アクセスが便利とは言えない場所にあるのにもかかわらず、遠方からのお客さんが後を絶ちません。ふらっとの魅力はたくさんあるのですが、やはり料理も大きな魅力で、自家栽培の野菜や能登の地魚をふんだんに使ったイタリア料理を提供しています(朝食は和食)。中でも自家製の発酵食品が特筆すべき美味ポイントで、魚醤「いしり」と「ゆうなんば」は絶品です(下記に解説)。なんせ温和なベンさんと、明るい智香子さんのおもてなしにはお二人の人柄の良さが溢れ出ているというか。笑顔の絶えない温かいお迎えがとても心地よく、それだけで幸せな気分になります。能登の食や文化、ふらっとを大切にしてくれる人に訪れてほしい場所。

ちなみに、同宿は2019年8月11日にテレビ番組「情熱大陸」で“石川・能登に魅せられた青い瞳の民宿主人 究極の発酵食で極上のおもてなし”と題して取り上げられました。番組で取り上げられていた発酵食は、能登町で毎年7月に行われる「あばれ祭り」のときに出す熟鮓(なれずし)。準備は春に山椒の葉(木の芽)を摘むところからスタートしますので、取材は春から4ヶ月に渡って行われたそうです。さらに、地下発酵室には発酵3年目のこんかさばや鰯の塩漬け(アンチョビ)、山菜の漬物などなどたくさんのお手製発酵食が仕込まれていましたね。

【紹介内容】
・ふらっとのロケーション お部屋と露天風呂
・ふらっとの究極の発酵調味料いしり・ゆうなんば
・ふらっとの夕食(イタリアン)と朝食(和食)

(最終訪問 2019年9月10日)

ふらっとのロケーション お部屋と露天風呂

建物は、構想を練って造り上げたご夫婦こだわりの夢空間。入り口は料亭のような門構えで、日本庭園のようなアプローチを抜けると玄関にたどり着きます。


宿泊のお部屋は和室。海側を向いていて(4部屋のうち3部屋)、障子を開けると抜けの良い風景が広がります。

ホテルではなく民宿ですが、アメニティーは一通り揃っており、バスタオルや小タオル、歯ブラシ、浴衣などは備え付けあります。
到着してまず最初の楽しみは、晴れた日に入ることができる露天風呂です。露天風呂はお部屋を出て“離れ”にあるので、中庭を通って「湯」の暖簾がかかる小屋へ。



中は脱衣所がありますがすぐに外です。
お風呂は智香子さんのお父様が作ったそうです(木はアテの木かな)。シャワーをかけるところも木で出来ていています。屋根がない開放感ったらないです!

高い天井、オープンエアな空間が最高に気持ち良い。宿は高台にあるので湾曲する海岸を向こうまでずーっと眺められます。
おーい日本海っ!!ここでひとっ風呂。心からの「あぁ〜」日頃の疲れもスッキリ取り払ってくれて体が軽くなります。リフレッシュ!

ちなみに陽が落ちた夜もまた良いです。

待ってました!の夜ご飯は18時半からです。ダイニングルームも海に向かっています。窓の向こうに広がる一面の里海は時間を忘れてずっと眺めていたくなる癒しの風景。また、水墨画や珠洲焼、ガラス作家さんなどの作品が展示されていてこちらもまたステキです。



数分しか見られない、夕刻の藍色とも竜胆色とも言える透明感ある青のマジック。「写真を撮るなら今」良い時間を知っているのもこの土地長いご夫婦だからこそ。

ふらっとの究極の発酵調味料いしり・ゆうなんば

ふらっと料理の味わいポイントのひとつは発酵調味料。ここの「いしり」が格別な美味しさなのには理由があります。
ちなみに魚醤いしり(呼び方は能登の中でも地域によって異なる。いしり、いしる、よしる)は能登の伝統発酵調味料で各店各家で鯖や鰯など仕込む魚が違います。
智香子さんの父 船下智宏さんは「さんなみ」という宿をされていましたが、実は日本で唯一の「いしりの匠」に認定された方なのです。そのお父様直伝の、いかで仕込む3年熟成のいしりで、絞るのは極上の「一番いしり」のみというこだわり。料理に使うと、湧き出るように深い旨味が押し寄せてきて余韻に残ります。醸し出された深い旨味とまろみ、そしてバランスは究極の味わいです。

もうひとつ、「ゆうなんば」は無農薬自家栽培の柚子と能登の塩、国産唐辛子を合わせて2年ほど寝かせたもの。長期熟成によって醸し出されたコクが、ピリっとくる辛味を包み込んで丸みを持たせ、ほのかな柚子の香気が口の中にふわっと立ち込めます。その絶妙な調和と奥深い旨さは、一度味わったら忘れられません。これは絶品。

ふらっとの夕食(イタリアン)と朝食(和食)

(2019年9月10日訪問にて)
夜ご飯は自家栽培の野菜、能登食材、ふらっとさん特製発酵調味料や発酵食材を使ったイタリアン。朝食は和食です。
乾杯は日本海倶楽部さんのビールで。


●ポテトと自家製いしりのスープ
じゃがいもの大地のプレーンな味わいに、いしりの奥深い塩味が良いグラデーションとなります。輪島塗の器で。


●鯛
鯛カルパッチョは、山椒ソースがけで熟鮓の飯を敷いて、皿縁に乾燥山椒を散らして。熟鮓の飯が美味しいこと。酸味がもっとツンツン立っていると思いきやまろやかで、そのあとで広がる深みの余韻がすごい。さすが“発酵”を使いこなしています。ガラス作家さんの“みずたまり”のお皿は、角度を変えると波紋のような輪っかが現れます。

●のと115ステーキ
珠洲の原木しいたけブランド「のと115」を乾燥させたものを戻してステーキに。パルミジャーノレッジャーノをきめ細かく削って添えて。のと115は乾燥させて旨味がMAX値で、乾燥させたのに鮑のような弾力あり美味。


●白ナスのチーズ焼き
白ナスにサザエをのせ、吉田牧場さんのカチョカバロでチーズ焼きに。さすが吉田さんのチーズは甘くてコクがありとても良い芳香で、白ナスに相性良しでした。

●オコゼ
オコゼフライは珠洲の炭塩と柚子果汁で。衣サクサク、中はほわっと繊細で、熱々の湯気にのって甘さが広がり美味。

●アオリイカとフレッシュトマトの手打ち生パスタ
パスタは乾麺でなく毎日打つ生パスタで、卵黄の黄色が濃いめに出ていて食欲をそそられます。生パスタならではのソフトな弾力と厚みがイカと同調します。味の置き方が食材そのもののおいしさを立ててあり、パスタでありながら和を感じました。

●ハチメのグリル、サラダ
ハチメは能登のご馳走!グリルにしてメインに。プリッと滑るような身がやはり美味。目の前の海を感じました。

●レアチーズ 地元産のブルーベリー、エスプレッソ

能登の人々が紡いできた食文化。ふんだんに発酵食を取り入れたおいしいイタリアンに驚くはずです。

   
 
そして翌朝の朝食は和食です。お手製の囲炉裏の前で智香子さんが何やら炭火で焼いています。

これは「さんなみオリジナル海餅」で、ご飯にいしるとイカを混ぜたものをお団子にして炭火で焼いてくれます。さらに笹の葉にのせた鯖糠漬けも同様に炭火で温めて。
次々にテーブルに準備されるお料理の数々。ご飯はつやつやの能登産コシヒカリ。自家製切り干し大根、キュウリとイカの酢の物、能登のお豆腐に自家製なんば、自家製熟鮓、お漬物。

さらに大きなお椀にたっぷりとあら汁が。立ち上る真っ白な湯気が朝日で眩しかった。

海餅(かいべ)はイカの魚醤が温められてご飯の甘さにマッチ。ホロリとくる香ばしさ、口の中で広がる馥郁たる香り、甘さ。懐かしみが広がる。絶品です。

炭火で温めた鯖の糠漬け3年ものは、箸先ちょっとの量でご飯がもりもり進む。みなさんご飯をおかわり。
お茶は自家栽培杜仲茶です。

“能登の当たり前”が何よりのご馳走。それを教えてくれるベンさんと智香子さん、素敵なご夫婦です。

予約方法など詳細は、↓民宿ふらっと公式HPにてご確認をお願いします。
https://flatt.jp/
 
  
(以前訪問のお料理を順不同で載せています。)
●カルパッチョ 自家製ゆうなんばドレッシング
地物の新鮮なお魚はカルパッチョとして提供!

●サザエとナメラバチメのカルパッチョ、能登115ガーリックバター焼き、タラのグリル、カボチャのポタージュいしり風味

お造りのハチメには粉状のシソを散らして。添えてあるソースは「ゆうなんば」。長期熟成させてあるため、コクのある丸い味わいに仕上がっており、肝ソースのような感じでサザエにも相性良し。
能登のブランドしいたけ「能登115」は、アワビしいたけと呼ばれるほど肉厚。食感はまさにアワビのようにやさしい弾力があってジューシー。ガーリックのしっかりした味に負けない、能登115の旨味を堪能できました。
身の厚いタラは肝ソースで。深い味わいの肝ソースがタラに寄り添い、次の一口を進めさせ、あっという間に完食。
●自家製タリオリーニのイカクリームソース 
パスタはその日の客人をもてなすためにつど打つ生パスタ。
最初は予め絡めてあるクリームソースで頂き、食べ進んでいくごとに敷いてあるイカ墨がパスタに絡まり、最後にはイカ墨パスタになるという計算された一皿。つるんと滑り込んでくる手打ちのパスタの口当たりと、朝どれイカのプリっとした食感が歯を喜ばせます。クリームベースですが、イカ墨が新鮮なので、深みはありますが最後の一口までフレッシュな印象。全てが合わさったときの調和もお見事でした。夢中になった一皿。

●朝どれカニの自家製パスタ 

●サワラのグリル 自家栽培バジルのペストソース
濃厚なペストソースは、バジルの香りが口いっぱいに広がります。