金沢市彦三町にある饂飩と釜ごはんのお店です。建物の佇まいがまるで料亭さんのように立派で、暖簾をくぐるのにはちょっと躊躇してしまいますが、看板女将の齊田和代さんが元気ハツラツ明るく迎え入れてくれるので心配は無用です。
お料理の特徴は、“一式”と呼ばれるセットで提供されることです。お好みの饂飩や釜ごはんを注文すると、お抹茶と野菜の砂糖漬け菓子から始まり、香の物、(釜ごはんの場合)お味噌汁、デザートまでがセットになっています。
それゆえ価格(2500円〜4000円)的にも滞在時間的にも「ちょっとうどん食べに行こう」という感じではありません。ゆっくりとコースで楽しみたいときが好ましいです。
個人的には饂飩よりも釜ごはんのほうが好き。
福わ家の釜ごはん
釜ご飯は、お抹茶と野菜菓子、釜ごはん、土鍋お汁、香の物、デザートがセットになっています。
米は白山の麓で育った“加賀白山こしひかり”を使用。20種類以上のお米から、福わ家の釜ごはんに一番合うお米を厳選したそうです。
年中食べられる釜ご飯でオススメは、なんと言っても「牛すき釜ごはん」です。これはぜひ一度食べてもらいたい。迷ったらぜひこちらを。
季節の釜ごはんでオススメなのは、11月6日に香箱蟹が解禁になってから始まる「こうばこ釜ごはん」、夏の「蛤とめかぶ」、秋の「くり釜ごはん」です。お
●和牛すき釜ごはん
蓋を取るとほわりほわりと湯気にのって、甘だれの香りに鼻腔がくすぐられます。食欲をそそるこの香りが、まず最初の御馳走。きめ細かにサシが入った能登牛の脂とタレがごはんをコーティング。噛むほどに広がるご飯の甘さが口の中で一体になりほっぺが落ちそう。無心で味わいたい一品です。
●くり釜ごはん(秋限定)
大粒の栗がごろごろ。中からほっくりと炊きあがった栗はほくほくで美味。山の野趣と甘さが広がり、ちょうどよい塩気が味わいの輪郭を作り美味。箸が止まりません。うまい!
●香箱釜ごはん(※11月12月限定)
11月6日にカニ漁が解禁するズワイガニのメスである香箱ガニの釜ごはんです。漁期間は12月29日までと限られた美味なのです。
価格は4,000円。金額を聞くと高く感じますが、セット一式の価格です。
蓋を取ったら現れる真っ赤な香箱蟹に心踊る。身はあらかじめ捌いてあるので、甲羅を外して軽くかき混ぜて召し上がれ。炊きたてツヤツヤなお米に蟹エキスが沁みておいしいこと。内子、そして外子のプチプチにも歯が喜ぶ。
●秋刀魚釜ごはん(秋)
秋はこれをお目当てに。秋刀魚の脂がご飯をコーティングしており、香ばしさもふわり。ああ、おいしい。
●穴子釜ごはん
一式とは
釜ごはんのセットである“一式”は、お抹茶と野菜菓子、釜ごはん、土鍋お汁、香の物、デザートです。これが毎回とても充実していて、満足度が高められる理由の一つでもあります。
・お抹茶と野菜菓子
コースのはじめに来ます。
・汁
・香の物
・デザート
福わ家の釜のうどん
うどんは、お抹茶と野菜菓子、うどん、おじや、香の物、デザートがセットになっています。
根強い人気は「ぎゅう牛饂飩鍋」で、きめ細かにサシが入った和牛の脂の甘さが、まるみのある出汁に良く合います。饂飩は太くてコシがあり煮崩れしにくく、最後まで美味しく食べられます。
うどんの量は「今盛り」という普通サイズと「昔盛り」という大盛りがあります。
うどんを食べたらお腹いっぱいになっちゃうけど、締めとして必ず楽しみたいのがおじや。出汁に肉や野菜の旨味エキスが溶け出し、それをご飯がしっかり吸い込んでくれておいしいですよ。
●みそかき饂飩鍋(※秋冬限定)
生姜味噌で食べる牡蠣鍋で、牡蠣は能登ガキを使用。生姜が効いているので、食べているとホクホクと体が温まってきます。
●底引きめぎすだんご汁饂飩(※秋冬限定)
あまり知られていませんが、実はメギスは石川県が漁獲量全国1位。こういう食材使いは嬉しい。繊細な身はだんご汁にして食べ応えを出してあります。
●治部煮饂飩鍋
日本人であることに感謝せずにはいられない、ほっと胸を撫で下ろせる旨さに、思わず至福の笑みがこぼれます。移り変わる季節を追って、何度も訪れたいお店です。