「蛤坂まえかわ」もはや金沢を代表する一店に。大将の前川良輝さんは鳥しき出身。地元珠玉食材を織り込んだ金沢だからこその美味しさ

料理: 8.5 その他: 8.0 ポイントについて
蛤坂まえかわ (はまぐりざか まえかわ)
営業時間 【1回転目】17:30〜、【2回転目】20:15〜
定休日 日曜
価格帯 おまかせコース(昼13品:税込8000円、夜15品:税込9350円)
訪問回数 6回

(訪問6回:2022/2/11、2021/8/26、2021/4/12、2021/4/2、2021/2/18、2020/12/23)

犀川大橋の近隣、蛤坂の中腹に2020年12月10日にオープンした焼鳥店。
店主の前川良輝さんは、日本一予約が取れないと言われる焼鳥店「鳥しき」の二番手だった方で、本来であれば2020年1月にニューヨークにオープンした鳥しき姉妹店の「鳥えん」ヘッドシェフとして今も腕を振るっているはずだったのですが、コロナ禍で帰国。前川さんが金沢出身ということで、故郷にお店をオープンする運びになったという訳です。人生ってどうなるか分からないものですね。もう予約困難な有名店となりました。金沢が誇る一店。
ミシュランガイドでは1ツ星を獲得、さらにグルメサイト「TERIYAKI(テリヤキ)」“ベストレストラン2021”のSILVERに選ばれました。

・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」で1ツ星獲得(2021年5月19日発表)

お店は築100年の町家をリノベーションしてあり、外観も内装も金沢らしい趣が漂います。白地の暖簾が眩しい。
店内は板間なので玄関で靴を脱いでの入店で、ゆったりと余裕がある空間です。席はL字カウンターに7席。艶を抑えた漆塗りカウンターがシックでカッコイイ。

メニューは「おまかせコース」のみで、夜は2回転(1回転目は17時半から、2回転目は20時15分から)という営業スタイルです。予約はOMAKASEでのみ受付しており、翌月分までが予約できます(例:1月1日に2月いっぱいの予約が取れる)。
鶏は現在「鳥しき」でも使っている“伊達鶏”を使用。さすが鶏各部位の個性を熟知され、それらの美味しさを最大限に生かす火入れやテクニックは素晴らしいと思いました。また、鶏以外の食材は石川県産を使用しており、大将が直接産地に出向いて仕入れています。地物の良い食材を探求し料理に落とし込み、修行先とはまた違った、金沢だからこその美味しさ、前川大将ならではのオリジナリティが表現されているのではないでしょうか。コース構成もとても考えられており、メリハリがあって、最後まで気持ちが高揚したまま楽しめます。さらに、大将の優しく実直なお人柄が料理に現れているように感じました。

2022年2月11日(最新の訪問)

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。

なんだか久しぶりになってしまいました。本当に大好きなお店なので、予約が入っていると数日前からウキウキです。
コースには、いつも楽しみにしているスペシャリテや定番の流れに、地物の季節食材を取り入れた料理、新作も織り込んであって、毎回新発見もあります。
串は1本あたりポーション大きめなので、部位ごとの特性が感じ取りやすいのも同店の特徴。
そして前川大将は、一人一人のお客さんに寄り添う心の籠った接客をしてくださって、その誠実さが料理の細部に現れているんですよね。人間的魅力も同店の味わい。どんどんファンを作っていることに納得です。
今回印象的だったのは、焼鳥はもちろん、のと115と日本鹿たたきです。

●ふりそで焼
いつものササミ山葵から始まると思いきや今回はふりそでから。山葵で引き締めて。

●かしわ 山椒、唐辛子で

●のと115
これがすごかった。見よ、この厚み。能登の原木しいたけ「のと115」今日最高の物を仕入れて焼いてくれました。
さすが“アワビしいたけ”“山のアワビ”と言われるだけあって、アワビと相似する厚みと食感、そして旨味。焼くことで抜けてしまう水分を補うために、しいたけの軸から取ったスープを塗りながら焼き上てあり、まるで最上の煮アワビを食べているようです。

●ちょうちん
出てくるとテンション上がるやつです。
鶏キンカン(まだ生み出されていない卵のこと)とレバーとせせりの3つが一串になっていて、全部を一緒に口に運ぶと、口の中に卵黄がピュッと広がりソースの役目を果たします。レバーが味を支え深みとなり、せせりの弾力が感じられるという計算された一串。

●純けいと金沢春菊
箸休め。おろしで和えた純けいと金沢春菊。金沢春菊は厚みがあって食感優しく、苦味が少なく美味。

●厚揚げ
こちらも毎回楽しみなスペシャリテ。厚揚げは石川県産大豆を使用したもので、揚げたてを備長炭で焼いて提供してくれます。薄い外皮が香ばしくてサクサクで、中はきめ細かくふるふるで大豆と水の味も感じられます。絶品です。

●せせりスダチ
せせりはスダチの和の柑橘の風味と酸味で引き締めることで、また新しい景色が広がる。

●日本鹿ロース たたき
絶品。金沢の湯涌で獲れた日本鹿のロースをたたきにして。ひんやりとした口当たりもコースにメリハリを持たせており、ポテンシャルが高いパワーみなぎる鹿肉に卵黄のコクが溶け合います。うっとりする美味しさ。

●砂肝

●カルガモ、甘トロネギ
甘トロネギは、加熱調理するとその名の通りトロッとした食感で、豊かな甘さがほとばしります。

●おろしつくね
今回つくねには、無農薬でれんこんを育てる川端さんの加賀れんこんを混ぜ込んでありました。食感に心地良いアクセントとなり、滋味が立ち上がります。おろしの柚子の風味も爽やかに持ち上げる。

●丸ハツ(心臓)
毎回楽しみな串。ぷりっと跳ね返すような弾力を感じてすぐにとくとく広がる旨味。歯が喜び舌も鼓を打つ。ああ、おいしい。

●手羽先
串最後の熱々。香ばしい皮目とその下のゼラチン質、骨周りの筋肉、溢れ出す旨味のエキス、これらが熱々の温度と共に口の中で重なります。

ここまでで腹パンなのに、必ず追加注文しちゃうご飯ものです。
毎回3種類ほどあって、バリエーションはその日によって変わりますが、親子丼とそぼろ丼は基本的にあるようです。他、ササミたたきのせご飯や、鳥出汁のお茶漬け、塩モツ丼など。

●親子丼
なんだかんだ毎回親子丼になちゃっているかも。美味しいんですよね。
艶のあるとろとろのたまごはオレンジ色に近く、見るからに濃厚で食指が動きます。目を閉じて味わいに浸る、説明不要のうまさ。夢心地。

●五郎島金時芋羊羹、能登のころ柿

これまでの串と季節のお料理まとめ

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。

※コース内容は季節で変わります。写真は順不同に乗せています。

蛤坂まえかわの串

●白菜と大根の漬物 能登島の塩

●サビ ササミ
絶妙な塩の打ち方が素晴らしく、ササミのもちもちとしていて透き通るような味わいに甘さと輪郭が出ていました。最初にインパクトある一串。美味。

●かしわ(モモ)
旨味を逃さず蓄えるような焼き方で、口の中で堂々と旨味が広がります。

●ズッキーニ
春の一品です。水分量が多い食材ですが、表面を焼きの香ばしさでコーティングし、中はズッキーニの旨味が閉じ込められています。アッツアツをハフハフやると滲み出す旨味が最高です。

●金糸瓜
夏の野菜串として出てきました。金糸瓜は糸状にほぐれる南瓜で、能登では夏の定番野菜です。
表面は香ばしく、口の中でほぐれる繊維がみずみずしくシャキシャキとしていて美味。

●のと115
冬の一品。能登の原木しいたけブランド「のと115」が登場。焼くことで抜けてしまう水分を補うために、しいたけの軸から取ったスープを塗りながら焼き上げます。なるほど、みずみずしくて口の中で旨味のエキスがほとばしる。まるで最上の煮アワビを食べているようです。

●ちょうちん
鶏キンカン(まだ生み出されていない卵のこと)とレバーとせせりの3つが一串になっていて、全部を一緒に口に運ぶと、口の中に卵黄がピュッと広がりソースの役目を果たします。レバーが味を支え深みとなり、せせりの弾力が感じられるという計算された一串。


●自家製厚揚げ
厚揚げは石川県産大豆を使用したもので、揚げたてを備長炭で焼いて提供。冬は大根おろしをのせでしたが、春は水菜はミョウガなどをのせて。薄い外皮が香ばしくてサクサクで、中はふるふるで大豆と水の味も感じられます。絶品です。

●雪虎
自家製厚揚げの冬バージョン。厚揚げに大根おろしをのせた魯山人が愛したおつまみで、虎が雪の中にいるように見えることからこう呼ばれています。

●加賀れんこん
カリスマれんこん農家 川端崇文さんの朝どれ加賀れんこんです。皮ごと焼いた加賀れんこんの美味しさよ。能登島の藻塩がれんこんの滋味に寄り添いながら甘さを引き立てます。れんこんは通常5節くらいありますが、粘りと水分量が程よい2節目と3節目を使用しているそうです。(1節目はサラダや酢漬け向きで、4と5節目は繊維がしっかりし過ぎてしまうそうです。)

●丸ハツ(心臓)
毎回楽しみな串。ぷりっとしていて跳ね返すような弾力があり、それでいて雑味のない温かな旨味がとくとく広がる。ああ、おいしい。

●つくね

●おろしつくね

●昆布締めササミ
昆布締めにして味の入ったササミが美味しいこと。源助大根の大根おろしと、源助大根の菜の花を添えて。

●波(首の皮)
炭を上下で当てて表面をパリパリに焼き上げます。皮のパリッと乾いた音と香ばしさに、内側のとろんとしたコラーゲン質の対照的な食感が重なり美味。

●おろしナメコ
冬に出てきたお料理。酢と昆布で〆たササミ、大きな木滑なめこ、源助大根のおろしに湯涌の柚ポン酢。ここまでの脂っ気を切ってくれる、さっぱりと品のある一品。

●カルガモ、越冬ネギ
冬の一品。コースの中で1品だけ鶏以外のものを出すこともあります。ネギは厳しい寒さを耐え抜いた越冬ネギで、天然の甘さに驚きが大きかった。

●手羽先
香ばしい皮目とその下のゼラチン質、骨周りの筋肉、溢れ出す旨味のエキス、これらが熱々の温度と共に口の中で重なる美味しさよ。

追加のご飯もの

ご飯ものは追加で注文できるオプションなのですが、だいたいの方が注文されると思います。3種類あってバリエーションはその日によって変わりますが、親子丼とそぼろ丼は基本的にあるようです。他、ササミたたきのせご飯や、鳥出汁のお茶漬け、塩モツ丼など。
●親子丼
艶のあるとろとろのたまごはオレンジ色に近く、見るからに濃厚で食指が動きます。無言で味わいに浸る、説明不要の美味しさ。

●そぼろご飯
味が染みた上品なそぼろが美味。ねっとり絡んでくる卵黄がたまらない。

●塩モツ丼
モツの素材を引き立てたあっさり塩味。食感がそれぞれ違うのにまとまり調和しています。こういう締めもいい。とっても美味しかったです。

デザート

締めのご飯を食べ終えたらデザート。こちらはコースにセットになっています。
●酒粕入りブランマンジェ
酒粕入りで、レアチーズケーキのようなニュアンス。重厚だがあっさりで軽く絶妙なバランス。

●焼き芋ようかん、あんぽ柿
冬に出てきたデザートで、焼き芋ようかんはラム酒の効いた大人味でした。