「蛤坂まえかわ」金沢が世界に誇る焼鳥店。地元の珠玉食材を織り込んだ金沢だからこその美味しさ!

料理: 9.0 その他: 8.8 ポイントについて
蛤坂まえかわ (はまぐりざか まえかわ)
営業時間 【1回転目】17:30〜、【2回転目】20:15〜
定休日 日曜
価格帯 おまかせコース(税込9,350円)
訪問回数 10回

犀川大橋の近隣、蛤坂の中腹に2020年12月10日にオープンした焼鳥店。
店主の前川良輝さんは、日本一予約が取れないと言われる焼鳥店「鳥しき」の二番手だった方ですが、もう出身店の名前は出さずとも独自路線で探求されているし、かなり精度の高い仕事をされていて、私は世界に誇る焼鳥店だと思います。予約も困難な有名店となりました。
鶏は「鳥しき」でも使っている伊達鶏(銘柄鶏)と、最近では高坂鶏も使用。
さすが鶏各部位の個性を熟知され、それらの美味しさを最大限に生かす火入れやテクニックは素晴らしい。また、鶏以外は石川県産の珠玉食材を使用。地物の良い食材を探求し料理に落とし込み、修行先とはまた違った、金沢だからこその美味しさ、前川大将ならではのオリジナリティが表現されているのではないでしょうか。コース構成もとても考えられており、味付けや温度や風味などにメリハリがあって、最後まで飽きさせず、気持ちが高揚したままです。とにかく精度の高い仕事をされており、塩一つ、タレの微調整などにも抜かりなし。さらに、大将の優しく実直なお人柄が料理に現れているように感じます。

ちなみに、本来であれば2020年1月にニューヨークにオープンした鳥しき姉妹店の「鳥えん」ヘッドシェフとして今も腕を振るっているはずだったのですが、コロナ禍で帰国。前川さんが金沢出身ということで、故郷にお店をオープンする運びになったという訳です。人生ってどうなるか分からないものですね。

ミシュランガイドでは1ツ星を獲得、さらにグルメサイト「TERIYAKI(テリヤキ)」“ベストレストラン2021”のSILVERに選ばれました。

・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」で1ツ星獲得(2021年5月19日発表)

「鳥しき」東京 目黒|Torishiki, Tokyo JAPAN

お店は築100年の町家をリノベーションしてあり、外観も内装も金沢らしい趣が漂います。白地の暖簾が眩しい。
店内は板間なので玄関で靴を脱いでの入店で、ゆったりと余裕がある空間です。席はL字カウンターに7席。艶を抑えた漆塗りカウンターがシックでカッコイイ。

メニューは「おまかせコース」のみで、夜は2回転(1回転目は17時半から、2回転目は20時15分から)という営業スタイルです。予約はOMAKASEでのみ受付しており、翌々月分までが予約できます(例:1月1日に3月いっぱいの予約が取れる)。

(訪問9回:2022/11/11、2022/11/2、2022/8/22、2022/2/11、2021/8/26、2021/4/12、2021/4/2、2021/2/18、2020/12/23)

蛤坂まえかわのスペシャリテ

「ここでこれを食べられるのを楽しみにしてきた」「毎回のこれが食べたくて」という、前川大将の定番にして最強の串、究極の料理のご紹介です。
(入荷がない場合もあり)

●ちょうちん
これが出てくるとテンションが上がります。
鶏キンカン(まだ生み出されていない卵)とレバーとせせりの3つが一串になっていて、全部を一緒に口に運ぶと、口の中に卵黄がピュッと広がりソースの役目を果たします。これはキンカンの火入れが絶妙だからこそ。レバーが味を支え深みとなり、せせりの弾力が感じられるという計算された一串。

●自家製の厚揚げ
石川県産の大豆を使用。揚げたてを備長炭で焼いて提供してくれます。薄い外皮が香ばしくてサクサクで、中はきめ細かくふるふるで大豆と水の味も感じられます。毎回悶絶するうまさ。

●加賀れんこん入りつくね
加賀野菜“加賀れんこん”を使用した一品。
無農薬でれんこんを育てる農家 川端さんのれんこんを混ぜ込んだつくねです。シャキシャキ食感のアクセントが最高に良い。おろしの柚子の風味も爽やかに持ち上げる。

●白肝
絶妙な火入れで、口溶け良く綺麗な味わいです。絶品。

●丸ハツ 伊達鶏
ぷりっと跳ね返すような弾力と溢れるような旨味、胡麻油の香り付けも素晴らしい。新生姜と。

●親子丼
ご飯ものは追加としての注文となりますが、食べない人はいないのではないでしょうか。
種類は毎回3つほど準備してくれていて、親子丼・そぼろ丼・鶏スープ茶漬・塩モツ丼などがあります(複数可)。お食事のタイミングを見計らってご飯を炊いてくれています。
私はもちろん親子丼一択(余裕あればそぼろ丼も)。
艶のあるとろとろのたまごはオレンジ色に近く、見るからに濃厚で食指が動きます。目を閉じて味わいに浸る、説明不要のうまさ。

●そぼろご飯
艶っと眩しい卵黄が中央に落としてあり、こちらも見た目からそそられます。美味しそうでたまりません。そぼろは上品な味を添えてあり食感も絶妙。そこにねっとり絡んでくる卵黄と、加賀れんこんのシャキシャキ食感がアクセントに効いています。計算された一品。

2023年2月4日 かぶら蒸し、あまとろネギマ、のと115

大寒波がようやく明けたものの、厳しい寒さが余韻に残る2月初旬の金沢です。
前川大将のコースで最も特徴的なのは、ここ金沢でしかできない旬の地元食材との融合です。この寒い時期だからこそ美味しさのピークを迎える食材があって、今回もまた素晴らしいコースでした。
(※写真は一部。定番串以外の、旬のお料理を中心に書き足します。)

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。

●かぶら蒸し
コース冒頭は今回、かぶら蒸しでした。シャラシャラと舌に遊ぶかぶらは、繊細でありながら食材のポテンシャルをしっかり感じさせ美味。その後の料理を期待させる一品でした。

●加賀れんこん
加賀野菜の加賀れんこんは、この時期でんぷん質が高まり骨太な美味しさに。シャキシャキとした食感と香ばしさに、甘さが重なります。能登島の藻塩で。

●ネギマ
金沢湯涌きよし農園さんの、あまとろネギのネギマが絶品でした。米糠を使って栽培しているそうで、名称そのままの甘さととろんとした口溶けが印象的。ネギを包み込むように鶏で巻き込んであり、炭火で焼き上げることによって滲み出したネギのジュがそのまま内包され、口の中にほとばします。これはすごい。

●のと115
能登の原木椎茸「のと115」も今が旬。その厚みと食感がアワビ(蒸しアワビ)に似ているため、“アワビ椎茸”と言われますが、本当にその通り。旨味がとてもまろやかで濃厚なのですが、のと115から出たそのままのスープだそうです。絶品。

●高坂鶏ムネきのこおろし
コース途中に箸休め的に出てくる、高坂鶏ムネのキノコおろし和えは、ひんやりした温度とさっぱり感がアクセントとなっており、とくとくと広がるムネ肉の旨味も素晴らしい。

毎回ここに来るのが本当に楽しみ。金沢が世界に誇る、自慢の一店。

2022年11月2日、11月11日 白レバー、加賀れんこん入りつくね

本当はコンスタントに月一で通いたいけど、月はじめに開始する予約がたった5分で全て埋まってしまうそうです。これはますます行けなくなってしまうではないか。そんなこんなで、貴重なプラチナシートとなった秋のまえかわさんです。
ありがたい事に、近いお日にちで“棚からぼたもち”的に“棚からまえかわ”。「何か違うものも一部出しましょうか?」とお気遣いくださいましたが、「私は全然同じで良いですし、むしろ同じのが食べたいです!」とリクエスト。それでも1つ、2つ違うのを出してくれました。
(ネタが大体一緒なのでまとめて書きました。)

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。

(写真と解説は一部)
●秋野菜の出汁ジュレがけ(なめこ 白山市木滑、茄子、春菊)
前回は夏野菜だった出汁ジュレがけ、今回は秋食材です。丁寧に仕込みされた、食材のポテンシャルが伝わる前菜にハッとなり、その後の料理に集中する心の準備が整う。初訪問の方だと「お!ここは何か違う。別格だ」と思うはず。ガッチリ心を掴む最初の一品って本当に大事。

●もも 高坂鶏(兵庫県) 山葵
脂部位をしっかりと巻き付けて焼き、皮目を狐色に焦がすことで香ばしく仕上げます。舌にたゆたう脂がサラッとしていて美味。山葵で引き締めて。

●かしわ 伊達鶏(福島県)

●舞茸 佐の川園

●ムネ肉 高坂鶏
この流れでひんやりした一品を持ってくるところが素晴らしく、コースにメリハリが出ています。しっとりしており、旨味の余韻も素晴らしい。

●ふりそで 高坂鶏、酢橘

●加賀れんこん入りつくね(スペシャリテ、上記)

●ネギマ

その他、ちょうちん、白レバー 高坂鶏、銀杏、丸ハツ、手羽先がありました。

(2022/11/11は丸ハツを背肝に変えて出してくれました。)
●高坂鶏 背肝
腎臓です。2羽から1本分しか取れないそうですよ。
レバーよりもほわほわした食感で軽く、味わいはしっかり力強いですがピュアで美味。

●親子丼(スペシャリテ、上記)
今回は親子丼かそぼろ丼か鶏スープ茶漬けの3択(複数可)でした。


●そぼろ丼(スペシャリテ、上記)

●酒粕ブランマンジェ
今回は、黒龍さんの純⽶⼤吟醸で⽣酒の最⾼峰「火いら寿」の酒粕を使用したブランマンジェでした。骨太でミルキーな味わいで、コースの最後を締めくくるのに相応しい。

2022年8月22日 ヘタ紫なす、舞茸

全国に焼鳥超名店がある中で、関東・関西からの常連さんも喜ばせ続けているのはさすがです。毎回期待値以上の美味しさ。
前川大将の探究心と研磨された腕の高さ、定番に加えて新作も魅力なんですよね。焼鳥は流れが単一になりがちですが、地物の季節食材も織り込み、新しい美味しさのインパクトを残している。
今回印象的だったのは(定番は言うまでもなく)、ヘタ紫なす、舞茸、ムネ肉。

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。

2022年2月11日 のと115、鹿たたき、カルガモ

なんだか久しぶりになってしまいました。本当に大好きなお店なので、予約が入っていると数日前からウキウキです。
コースには、いつも楽しみにしているスペシャリテや定番の流れに、地物の季節食材を取り入れた料理、新作も織り込んであって、毎回新発見もあります。
串は1本あたりポーション大きめなので、部位ごとの特性が感じ取りやすいのも同店の特徴。
そして前川大将は、一人一人のお客さんに寄り添う心の籠った接客をしてくださって、その誠実さが料理の細部に現れているんですよね。人間的魅力も同店の味わい。どんどんファンを作っていることに納得です。
今回印象的だったのは、焼鳥はもちろん、のと115と日本鹿たたきです。

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。

これまでの串と季節のお料理まとめ

同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。