「L’évo(レヴォ)」谷口英司シェフ率いる究極のローカルガストロノミー。世界に自慢したい富山の秘境レストラン!

料理: 9.5 その他: 9.5 ポイントについて
L'évo (レヴォ)
営業時間 【ディナー】18:00、19:00【宿泊】チェックイン15:00~、チェックアウト11:00まで
定休日 水曜 8月上旬は夏季休暇
価格帯 【ディナー】22,000円(サービス料別)【コテージ】(1)44,000円(2)55,000円 (3)77,000円 / 1組【朝食】3,850円(1名) 
訪問回数 11回移転後の訪問回数

2020年12月22日に富山県の利賀村にオーベルジュとして移転オープンしたレストラン。
オーナーシェフ谷口英司さんが掲げるコンセプトは“前衛的地方料理”。究極の地産地消を追求するために山奥に移転するという思い入れの強さで、シェフの“妥協をしない”という姿勢もここに強く現れています。計画が壮大で、構想を形にするまでの苦労は計り知れません。谷口シェフが料理人人生をかけて全力で取り組んだプロジェクト。世界に照準を合わせたディスティネーションレストランであり、ここでしか味わえない真のローカルガストロノミー。唯一無二であり唯一無比。この場所で谷口シェフにしか生み出せない料理です。

オーナーシェフ 谷口英司 プロフィール
1976年大阪生まれ。高校卒業後に就職したホテルでフランス料理と出会い、日本国内やフランスで修行。2014年「レヴォ」を立ち上げる。2020年、自らの理想を形にするため、オーベルジュとして「レヴォ」を利賀村に移転オープン。「ミシュランガイド北陸2021 特別版」で2ツ星獲得(2021年5月19日発表)。2023年3月28日発表の「Asia’s 50 Best Restaurants 2023」で初登場60位にランクインしました。

「プロフェッショナル 仕事の流儀」での放送も記憶に新しい。
(同店は以前、リゾートホテル「リバーリトリート雅楽倶(がらく)」内にありましたが、2020年1月19日に雅楽倶での営業を終了し移転開業準備へ。約11ヶ月の準備期間を経てついにオープンとなりました。)

【紹介項目】

レヴォのロケーション・施設

場所は富山からも金沢からもかなりアクセス困難な利賀村にあります。まずはたどり着くまでが冒険。利賀村は山深く、深い自然に囲まれ、道を進んでいくと時折野生動物に出会うこともあります。特に冬は雪深くて、金沢や富山の街にいると予想できないくらいの積雪量です。雪をかぶった山々は神秘的ですが、吹雪くと脅威的です。
アクセス難易度が高く時間もかかりますが、だからこその原風景が醍醐味と言えます。
(水面に鏡のように映る大渡橋と雪山の風景)

敷地には、レストラン棟とコテージ3棟、パン小屋、サウナ棟の計6棟があります。
冬は身長よりも高く雪が積もっていました。スタッフさんが毎日除雪をしていますが、それでは追いつかないくらい降ります。


コテージ

宿泊はコテージが3棟あります。1日3組限定。
大きなベッドのあるシンプルなコテージ1、畳の寝間のあるコテージ2、テラス付きのラグジュアリーなコテージ3という、タイプの異なる3つのお部屋があります(金額は各部屋で異なります)。

私が宿泊したコテージ1は3つの中で1番コンパクトなお部屋。天井が高く、部屋の中央にはキングサイズのベッドが鎮座するゆったりとした造りです。

コテージ1のお風呂

アメニティは、森の香りが楽しめる純国産のエッセンシャルオイル「yuica(ゆいか)」シリーズから。シャンプー&コンディショナーはニオイコブシ(枝葉)配合、入浴剤は柚子でした。

飲み物はNESPRESSOシリーズに加え、クロモジとメグスリノキのノンカフェインのお茶がありました。

冬は大きなガラス窓の向こうに雪景色が広がっていました。音もなく空から落ちてくる雪を、ボーっとしばらく眺めているだけで既に数センチ積もっていました。ガラス一枚隔てて厳しい冬山です。

サウナ

サウナーの間でも話題になっているレヴォのサウナです(宿泊者のみ利用可能)
↓ぜひご覧ください。

「レヴォ」富山 利賀村|サウナ

ジビエ熟成庫・ワインセラー

レストランのメインダイニングの下には、ジビエ熟成庫とワインセラー、ディジュスティフを楽しむスペースがあります。


メインダイニング

メインダイニングは広いオープンキッチンで、厨房の臨場感がダイレクトに伝わります。



テーブルは、八尾の木工家“Shimoo Design”さん製の天然木材を使用したものです(テーブルの他にも器やバターナイフなどもShimooさん製)。テーブルの引き出しを開けると、城端の松井機業さんの“しけ絹”を使用したメニューとマスクケース、一献用に富山のガラス作家 安田泰三(やすだたいぞう)さんのグラスが入っています。器は釋永岳さんをはじめとする、富山の陶芸家さんや陶芸作家さん、ガラス作家さん製で、以前よりもアイテムが増えています。一つ一つの作品が素晴らしいので器もぜひご堪能を。

谷口シェフのスペシャリテ

谷口シェフを代表するスペシャリテと言えば、まずは「L’evo鶏」が挙げられます。さらに「大門素麺」もスペシャリテとして有名な一品。
また、天然のグルヌイユ(カエル)を使った料理もびっくりする美味しさなので、提供している旬に予約が取れたら幸運だと思います。谷口シェフのグルヌイユは絶品。アズマヒキガエルという種類で、生息するのは利賀村からさらに車で1時間ほど行った”水無(みずなし)”という山深い地区で、シェフはじめスタッフみんなで出かけて捕まえに行っているそうです。シェフのグルヌイユを捌く技術が秀逸で、瞬きする間に完了しているくらいあざやかなんですよね。

●L’evo鶏
レストラン名を冠した谷口シェフのスペシャリテです。
レヴォ鶏はシェフが「土遊野」さんと連携し、満寿泉の酒粕など飼料から指定して育てた鶏です。
中は、鶏モモ肉とムネ肉、熊の脂、土遊野さんが棚田で育てた有機餅米入りで、鶏の皮で包んで焼き上げて、表面は薪の香りを纏わせてあります。中から旨味を蓄えた脂やジュが飛び出すので火傷注意ですが、熱々が美味しいのです。ピュアでいて骨太な旨味が堂々と広がり、さらに咀嚼するたびに湧き出してくる旨味に唸らずにはいられない。
中央のマスタードソースは、もも肉とムネ肉以外の部位から取ったブイヨンを合わせたもので、味わいに寄り添い引き締めます。

●大門素麺
こちらも谷口シェフのスペシャリテ。富山の名産品である大門素麺(おおかどそうめん)を使った一品です。
乾麺として流通する大門素麺ですが、これは半生麺を使用しており、もちもち食感と絶妙なコシ、旨味があります。白いスープは黒部「Y&Co.」さんのシェーブルチーズで、緑のオイルは春に採れたフキノトウ。ヤギチーズとフキノトウという、とても個性的な2つの風味の方向性を合わせておいしさに昇華させているところに感動があります。

ちなみに肉料理の時に出てくるナイフは、高村刃物店製のオリジナル木製ハンドルのナイフです。すごい。スッと気持ちいい切れ味で、おいしさに貢献しています。

2024年5月24日 春:眠り姫、月ノ輪熊、グルヌイユ、蛍烏賊(10回目の訪問)

(ポップアップ含めると11回目の訪問)

↓写真をクリックすると内容を見ることができます。同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。

通常も予約困難ですが、山菜、グルヌイユが揃う時期が最も予約が取りにくい季節です。

●prologue(プロローグ)
富山黒部の山羊チーズのグジェール、赤ビーツメレンゲのレヴォ鶏レバーサンド、白海老薪風味、ブランダード甘鯛じゃがいも、山葡萄の新芽のフリット

●眠り姫
新作!その名も「眠り姫」。メニューに書かれている料理名で「なんだろう?」と気になっていましたが、冬眠していた子熊の雌のタルタールでした。森の中で味わう、自然の恵みの野趣と神聖さ。新鮮だからこそのクリアでフレッシュな味わいと、森の王者のパワーを秘めた格別な美味しさ。
レヴォらしい前菜の1品目。

●鯵
パイ生地に並ぶのは、透き通るくらいの薄さにスライスしてマリネした氷見の鯵。包み込んだ天然の独活は、灰汁がなくフレッシュで鯵に調和。

●月ノ輪熊
大好きな春の熊の料理。優しい弾力で赤身にパワーがあり、山菜の野趣と共に森の中に連れて行ってくれます。大地の生命力のハーモニー。絶品。

●田螺
氷見のタニシは、八尾のエルダーフラワー、ハーブの一種“ワカタイ”とそら豆のソースと。

●蛍烏賊
活蛍烏賊を熾火で少し炙って仕上げた、蛍烏賊のポテンシャルを最大限に生かした、最高の火入れ。ふるふるとした繊細な身に目尻が下がる。海藻のナガラモ、スプラウト、新玉ねぎソース、イカ墨のソース、燻製マスタードと。

●グルヌイユ
この季節L’evoを訪れるお楽しみの一つがこれ。同店からさらに山奥へ行った水無(みずなし)というエリアで、スタッフみんなで獲ってくるアズマヒキガエルです。谷口シェフといえば、グルヌイユの使い手最高峰としても知られ、捌く手際もお見事なのです。
プリッとしたモモ、山椒焼きにした腕とお腹の部位をシャク野草のソースで。
口の中にほとばしるピュアで力強い旨み。一度食べたら虜になる美味しさです。

●大門素麺
谷口シェフのスペシャリテの一つ。富山の名産品である大門素麺は乾麺として流通していますが、これは半生麺を使用しており、もちもち食感と絶妙なコシ、旨味があります。白いスープは黒部「Y&Co.」さんのシェーブルチーズで、緑のオイルは春に採れたフキノトウ。ヤギチーズとフキノトウという、とても個性的な2つの風味の方向性を合わせておいしさに昇華させているところに感動があります。

●L’evo鶏 スペシャリテ

●桜鱒
脂の乗った桜鱒はコンフィは、南砺市の立派なアスパラガスと共に。

●よつぼし苺
イチゴミルクのような可愛らしいチャーミングな味わいのデセール1品目。

●黒文字
黒文字を各パーツに使用してあります。キャラメルのパウダー状アイス、黒文字パウダー、アグレットにサンドされた黒文字のクレーム。黒文字の風味の旋律、それぞれのパーツの食感や舌触りが重なったときのハーモニー。

●小菓子、黒文字茶

2023年12月4日 冬:月ノ輪熊、穴熊、たぬき(9回目の訪問)

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2022年10月11日 秋:仔熊の腸、仔熊の手、日本鹿のタン、モクズガニ(8回目の訪問)

何度来ても、今までの人生で初めての美味しさや尊さ、料理を通して様々な背景を魅せてくれます。本当にここまで行く価値があるというもの。
今回特に印象的だったのは、仔熊の腸、仔熊の手、日本鹿のタン、モクズガニ。仔熊は運次第でしかないので、本当にタイミングが良かった。グルヌイユは相変わらず絶品。
どうしても食べたかったレヴォ鶏は今回も食べられませんでした(2回目)。育たない期間があるのだそうです。

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2022年5月30日 初夏:田螺、グルヌイユ、月ノ輪熊、熊の手(7回目の訪問)

利賀村の山奥は気温が低いので山菜の旬も他よりも遅いですが、もうあっという間に名残の時期。しかしながらこの時期のお楽しみであるグルヌイユ(カエル)が旬を迎えます。なので、この時期にレヴォに来れるというのは個人的に本当に心躍る。
さらに、メインとして出してくれた月ノ輪熊にハートを撃ち抜かれました。脂の部位ではない他部位で、山の王者の新たな魅力を教えてくれました。しかも2皿構成。
今回も気持ちよくノックアウトさせてもらいました。

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2022年3月24日 春:鹿と自家製キャビア、蟹バターサンド、蛍烏賊(6回目の訪問)

ちょうど5ヶ月ぶりの訪問。一番雪の多い冬ど真ん中を避けた形ですが、まだまだ雪は残っておりました。利賀村まで来ると市内とは景色が全然違うので、分かっていてもびっくりします。

今回は、ディナー訪問。
お料理は、新作続きでした。
ただ、冬の寒さもあって鶏に影響があったそうで、まさかのレヴォ鶏がない回でした(ここ3-4ヶ月はないそうです。また復活します)。代名詞となる一皿がない状態でしたが、いくつもの新作に驚きの連続でインパクトある回でした。

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2021年10月24日 秋:山兎、ムジナ、子熊のアンドゥイエット(5回目の訪問)

秋が深まり、朝夜は気温がグッと冷え込む利賀村です。ジビエ類も増えてきて、野生の味覚が本格化。今回とても感動的だったのは、子熊のアンドゥイエット、ムジナ、スッポンと熊です。

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2021年9月12日 初秋:鱧、スッポン、月ノ輪熊、ウリボー(4回目の訪問)

前回訪問から3ヶ月半ぶり、移転後4度目の訪問。季節は秋へと向かいます。
インパクトある新作がいくつかあって印象深い回でした。特に、前回とは趣向を変えてきた月ノ輪熊、そしてスッポン。グルヌイユも今回はソテーでした(前回はフリット)。

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2021年5月28日 初夏:グルヌイユ(3回目の訪問)

前回訪問から2ヶ月ぶり、移転後3度目の訪問。昼訪問でコースを頂きました。
この時期の大きな楽しみはグルヌイユ。絶品なんです。
レヴォまでの道のりは遠いですが、この時期の晴れた利賀村は最高。青空と緑が眩しい天空の大広間。両手を上げて大きく深呼吸をしたくなります。

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2021年3月28日 春:蛍烏賊、月ノ輪熊小腸とアザミ(2回目の訪問)

オープンに訪れてから3ヶ月ぶり、移転後2度目となるお食事です。季節は厳しい冬から春へ移り変わるところ。道中、山肌にはまだ雪が残っていましたが、走行には問題ありませんでした。逆に雪のない時期に昼走ると、険しい崖や道の勾配がよく見えて、改めてすごい場所に作ったんだなぁと再確認しました。
お料理は、春食材の新作も増えており、前回とはまた違った景色を見せてくれました。

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2019年12月19日 冬:月ノ輪熊 春・冬、赤蕪(初回訪問)

初訪問はオープン日3日前に伺うことができたのですが、大雪の警報の通り、吹雪に向かって進むことに。土地勘ある方がハンドルを握ってくれたので迷わず到着しましたが、雪で道のりは危険なものでした。(冬は私の運転では行けないなぁ)
料理は、冬は蟹や寒ブリなど海の王様食材が豊富なのですが、山は山菜が出てくる春からがメインとなるので、逆に食材は寂しい季節。しかしながら、工夫とプレゼンテーション力の高さで大きな感動を与えてくれました。
特に月ノ輪熊の料理は、“春”と“冬”という2つの料理があり、なるほどでした。
赤蕪を腐葉土で包み焼きにした一品は、シェフの新メニューですが、スペシャリテになるのではないでしょうか。日本一美味しい蕪料理だと思います。

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レヴォの朝食

宿泊の楽しみは朝食。ディナーとはガラッと趣向が変わってご飯とお味噌汁の和食。利賀村で育った食材とこの辺りの郷土料理がプレートで出てきます。

「L’évo(レヴォ)の朝食」富山の秘境オーベルジュの朝ごはんは郷土料理を取り入れた和食。朝日浴び森の中で

春夏秋冬で顔を変える利賀村とレヴォの料理を楽しみにまた訪れたいです。