「料理小松」ついにミシュラン3ツ星を獲得!金沢が誇る日本料理店。大将の骨董品愛が詰まった器の数々で奏でる。“器は料理の着物である”を体現

料理: 8.8 その他: 8.7 ポイントについて
料理小松 (りょうりこまつ)
営業時間 18:30〜
定休日
価格帯 15,000円コース、22,000円コース
訪問回数 6回移転後の訪問回数

ついにミシュラン3ツ星を獲得した、金沢が誇る日本料理店です。店主小松隆行さんの端正な料理に加え、所有する器の素晴らしさも味わいどころのひとつ。しかしながら美術館に骨董品を鑑賞しに行くような感覚というよりは、さらにその先にある、器に料理がのってこそ完成する“器は料理の着物である(北大路魯山人)”を体現させたところに感動があります。店内は無垢の一枚板カウンターに、薄香の落ち着いた風合いの土壁。同店は以前の鱗町の大通り沿いの店舗から、2017年8月末にここに移転。少し足を伸ばして静かな場所になりました。コースは15,000円と22,000円の2種類あり。

・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」 3ツ星獲得(2021年5月19日発表)
・「ミシュランガイド富山石川(金沢)2016 特別版」 2ツ星獲得

日本酒を注文すると、ガラス製もしくは陶器の酒器で選ばせてもらえるのですが、どちらを選んでもかなりの種類から選べるようになっていて心踊ります。
ガラス製の酒器は、200年前のアンティーク、バカラ、イギリス製、ラリック、切子グラスなど。


大将が一つ一つ集めた貴重な器ばかりなので、ぜひ大事に扱って頂きたいです。

こちらの徳利は、備前焼最高峰の金重陶陽 作。落ち着いた風合いで静かな存在感があります。お猪口は現代作家さんのように思われますが、今はない金沢の尾山窯のもの。

青いガラス製の徳利は100年前のバカラ。ガラス製のコースターもアンティークです。

2021年7月14日

3ツ星獲得後では初訪問となります。元々予約が取りにくいお店ですが、席数が限られている上に1日1回転なので、より一層予約困難に。
小松大将は良い意味でいつも通りの落ち着きと優しい笑顔で、実力の高さを見せつけてくれました。役者が違う。
●梅ジュース
まずはひんやり冷たい梅ジュースから。この時期出してくれる折敷は、山中塗の白漆。

●玉蜀黍すり流し
夏らしい一品から。輝く玉蜀黍の黄色が眩しい。
中にはたっぷり雲丹が入っており、濃厚な雲丹の甘さに元気ある太陽の甘さが重なります。少し粒感を残してあるのも良い。井戸のつるべを模した器で。

●お吸い物
厚みがあるので真薯に見えましたが、1.8キロもあるという七尾のヒラメが椀種でした。
葛打ちをした身はとっても肉厚で繊細な口溶け。塩の塩梅も絶妙です。

●お造り七尾 鮎魚女、キジハタ
鮎魚女はかなりの大きさのものを神経締めして。ぷりぷりと跳ね返す弾力と噛むほどに広がる甘さが美味。

●お造り アカイカ
丁寧に包丁を入れることで甘さが引出されており、ねっとりと舌に絡む。

●メジマグロ
立体感のある琵琶の器も魅力的です。

●鮎の飯蒸し
鮎釣り名人が釣り上げる、今日釣ったばかりの犀川の鮎を塩焼きにし、餅米と合わせて鮎飯蒸しとして。鮎塩焼きの香ばしさに柴漬けの和の風味を添えて。

●青森 蓴菜、噴火湾 毛蟹
涼やかな八寸に梶の葉を添えて。昔、七夕の願い事を書く際は、梶の葉っぱに墨で書いていたそうで、この季節を象徴するしつらえです。

●焼き物 七尾 マナガツオ

●吉川ナス
吉川ナスは福井県鯖江で育てられる丸茄子で、これが原種であるという説もあります。吉川村と呼ばれていたそうです。
果肉はギュッと密度があって、風味にフルーティーなニュアンスあり。出汁を吸って素材の甘さと重なり、さらに舌触りが滑らかで美味。これがメインと言っても良い。絶品です。

●う雑炊
お食事は、夏の風物詩うなぎの雑炊。泉州の水なすと。

●葛切り
デザートは流したての葛切り。出来立てだからこその透明感ともっちりとした食感。するりと喉を滑っていくのが気持ち良い。

2020年11月2日

春の営業が出来なかったのと、営業開始してからは席数制限されていて予約困難だったのとで、前回から8ヶ月ぶりの訪問になってしまった小松さん。秋の回、楽しみに伺いましたが、今一度別格の凄みを教えてくれました。

●秋刀魚のつみれ 松茸
小松さんのさすがの実力の高さと貫禄を見せつけられる最初の一品。口どけ良いデリケートなつみれがほろりと澄んだ出汁に溶け合う。美味。器は大樋焼の九代長左衛門作。ぼてっとどっしり丸みがある。

●松茸土瓶蒸し
松茸は珠洲産の能登松茸で。強い香りにうっとり。胃から体に染み渡るような美味しさで、しばしこの贅沢に浸る。


●鯛
楽焼の壷々透で鯛造り。締まった身の食感良さと湯引きした皮の美味しさ。土佐醤油と煎り酒で。

●七尾の車海老
特大サイズの活七尾車海老を調理してくれました。海老味噌醤油も良い。


●福井シロカワカジキ、マグロ
シロカワカジキは脂にしっかりと旨味があり、マグロと同等のインパクトを残す。器は初代矢口永寿。

●栗蒸し
大将がお気に入りの能登門前の栗をマコガレイと共に栗蒸しとして。栗がとにかく美味しい。特に甘さは加えてないそうだが、口に入れると甘さと滋味が立ち上がって、口溶けが和三盆のようだ。

●焼すっぽん
大津のすっぽんを塩焼きで。皮目パリッと香ばしく、肉はジューシーで跳ね返す弾力あり完璧な仕上がり。絶品だ。

●八寸
小松さんらしい骨太さも感じさせる八寸。子持ち鮎は番茶で3日炊いた煮浸しで、やわらかく香ばしさが鮎の苦味にスッと溶け合っている。さらに、カラスミ、地のあん肝、能登町の柿を穴水で加工したあんぽ柿、無花果胡麻ダレがけ。

●かぶら
地元のかぶらの炊き合わせ。水と昆布だけで炊いたそうだが、とろんとやわらかく繊維を感じず甘くてかぶららしい存在感もある。甘鯛も添えてあるがかぶらが主役だ。

●天然茸ぞうすい
シモオコシ、ナメコ、コノミタケ、松茸の秋のぞうすい。コノミタケからの旨味が出汁のベースとなり、そこにそれぞれの茸の妙味が乗っている。秋の山の光景が脳裏に広がるようだ。

●代白柿
奈良の江戸柿である“代白柿”を特別製法で渋抜き完熟させたもの。今年も出てきて嬉しい。うるうると濡れた瞳のような艶でゼリーのようにとろんとろん。江戸後期の伊万里焼で。

2020年3月6日

前回から約3ヶ月強ぶりになってしまったのは、1月にと思っていたのに予約満席で取れなかったから。春の小松さん、楽しみに訪問。全部地物ではないが、七尾や能登の食材が多く準備されていて心踊りました。


●蛤の飯蒸し
重厚感のある江戸切子が存在感あり。中にはぷっくりと薄桜に色づいた蛤の飯蒸し。歯が喜ぶ優しい弾力。

●お吸い物 七尾アイナメ
立派な七尾産アイナメの純白の眩しさ。立ち上がってくる甘み、そして吸地のまろみと一体になって余韻に残る美味しさ。鴨頭には春の始まりを予感させる花柚子。

●お造り 七尾ヒラメ
ヒラメはへぎ造りと棒造りで、刺身の引き方で味わいが異なる。土佐醤油とポン酢で。
桃のお節句らしい菱型の器は、六代 大樋長左衛門。苔色、仙斎茶色、利休茶色の濃淡のグラデーションが味わい深い。

●お造り生クチコ、赤貝、アカイカ
クチコはこの後の時期から干す作業が始まるので、今だからこそ味わえる生クチコだ。

パッと鮮やかな向日葵色でどしりと重量感のあるこちらの器も、六代 大樋長左衛門。調べると六代は28歳没という短命だったそうだ。残された作品も他の代に比べると少ないはずだが、さすが小松さんすごいものをお持ちで。印象に残る器だ。

●生クチコ小吸い物
塩味をより和らげ針生姜で生姜の風味をのせて。ぷくっと線に輪郭が出てまた違った美味しさ。

●八寸
九谷焼にフグの白子、橋立ガスエビ昆布〆このわたがけ、七尾飯蛸 もうすく蕾がほどけそうなボケを添えて

●蛸島 毛ガニ
毛ガニは奥能登蛸島産の立派なものを活毛ガニで準備してくれた。

器は明治から大正時代の陶芸家 諏訪 蘇山(すわそざん)。毛ガニの色付いた紅白が調和している。

●輪島甘鯛、タケノコ
まず目が行く、レトロモダンな豪華で味わいのある器は、文政2年に現在の小松市小野町で始まった“小野窯”。
ポッと薄紅の削り節に隠れるのは、輪島の甘鯛とタケノコ。

食べ終えてからの景色も一興。

●帆立真薯、若芽
息を飲むような綺羅びやかな金襴手の器は、初代矢口永寿。もう、参りましたよ。って感じです。

帆立真薯、春の若芽はとろんとやわらかく美味。

●福井白魚雑炊
お食事はこちらも春の妙味、白魚。


●お菓子
今回は上生菓子を目の前で実演してくれました。練り切りあんは加賀丸いも8にえんどう豆2の天然の若草色で、そぼろ状に裏ごし手際よくあんに植え付けていきます。ふわっと軽くてみずみずしく、素材の滋味も余韻に広がる、作りたてだからこその刹那の美味しさ。

2019年11月25日

10月3日から約2ヶ月ぶりの訪問。今回も22000円コースで。お花は山茶花かしら。膨らむ蕾の先端に躑躅色が少し顔を覗かせる。
今の時期の主役食材はなんといってもカニとブリだが、小松さんの工夫と技術力が光り、ここで食べる意味を大いに感じた。地物で揃えてくれて喜びも膨らむ。
お酒は結構な量を行ってしまった今回。熱燗黒帯悠々で体を温めてからの獅子の里、手取川古々酒などなど。

ガラス徳利は大正硝子の国産アンティーク。現代のガラスとは違う、この曇りや歪みに味がある。

●香箱ガニ
まず最初に香箱ガニとは嬉しい幕開け。パッと笑みが漏れる。明(みん)の時代の、という青絵付けの器にカニの紅白が映える。カニ足、内子外子には少しご飯を混ぜ込んであり、身がまとまり甘さも添え、贅沢なすしのように食べられる。最初からもう満足。

●お吸い物
蓋を外すと現れるのは、シンプルでインパクトある長方形のカニ真薯。出汁から香り立つ鰹の風味、真薯はほわほわととろける舌触りが夢見心地にさせてくれる。美味。

●マコガレイ七尾
大樋焼のアンバーに隠れるのは、艶と光沢のあるマコガレイ。一目で分かる「おいしいやつだ」。ムチっとした弾力を感じるたび、蓄える甘さが口に広がる。美味。

●金石ズワイガニ
冬の王様ズワイガニ、地元漁港の金石(かないわ)、金沢港水揚げの“加能ガニ”が登場。カニ足に花が咲き透明感が残るので、軽くしゃぶしゃぶにしたものかと思いきや、これはピュアなオイルをサッとくぐらせた“油通し”ということで驚く。そのまま食べると少し油を感じるのでポン酢につけると良い。しゃぶしゃぶよりも水っぽさがなく輪郭が際立ち、ムチムチ弾力あり瑞々しさも感じる。器は白井半七の乾山写し。


●鰤
12キロの能登ブリは大根おろしと共に。艶っとした身が食べる前からなんとも美味しそうだ。そのままお醤油をかけて。程よく脂がのって、説明不要のおいしさ。旬のおいしさに浸る。

●蒸ガニ
ぬくぬくとした蒸し立てのおいしさよ。カニ味噌をソースのように絡めて口に運ぶと思わず目尻が下がる。器は明治の古九谷。

●玉じめ
天然茸シモオコシ(キダケ)の玉じめ。玉じめは五感をすり抜けそうな淡さで、天然茸の野趣を余韻に残す。

●八寸
鱈子の白子ふくめ煮、能登小木の鯖の鯖棒寿司、海老芋、カラスミ、あんぽ柿チーズ
余計なものを削ぎ落とした小松さんの八寸、好きです。この八寸からも日本料理の真骨頂、“素材を立てる”が感じられる。海老芋から上がる湯気。白子なんてもう味の添え方が絶妙だ。

●ブリカマ
古風で味のある器は、古いアンティークの白磁と思いきや、若手の人気作家 安齋新さんの作品。
皮目を強調したブリカマは香ばしさがザクザクした食感に重なる。ほわっとふかふかした白身との効果的な対比。

●甘鯛の道明寺粉揚げ、かぶらのみぞれがけ

●フグの卵巣ぬか漬け お茶漬け

●代白柿
奈良の江戸柿である“代白柿”を特別製法で渋抜き完熟させたもの。うるうると濡れた瞳のような艶。ゼリーのような透明感。味わいは、いわゆる柿の甘さとは一味違い、ガンッ!と甘いわけではなくとても品があり「お見事」と言いたくなる。これはすごい。

2019年10月3日

8月1日から2ヶ月ぶりの訪問。前回は15000円コースだったので、今回は22000円コースで。食材チョイスに自由度が出るためだろう、活伊勢海老や明石鯛、松茸など県外産だがすごい食材を揃えてくれた。かぶらなども、地物はもう少し後のほうが良くなってくるものは県外産で。なるべく地物が食べたいですが時期もあるので。
●手取川 万華鏡
大吟醸の荒走りのみを槽口(ふなくち)で斗瓶取りした生酒で、2年間調熟だそう。さらにその中の高品質なものだけを選んで瓶火入れした絶対量の少ない限定品。 昨年冬の240本限定のもの。“絹の様な滑らかな味わい”という表現がぴったりくる美酒。

初代 徳田八十吉(1873年11月20日-1956年2月20日)のお猪口

●勝駒
味のあるアンバーが美しい大樋焼の徳利で。

●新いくら飯蒸し
最初から風流な演出に心掴まれる。鈴虫の音が聞こえてきそうな虫かごに、秋の山野草りんどうの花を添えて、新いくらの飯蒸し。いくらの味の添え方が絶妙だこと。皮が薄く柔らかく、舌に残らず、いくらのおいしさがぽわっと弾けてご飯に調和。
りんどうが素敵だと話していたら、お水を準備してくださって目の前に生けてくれて、帰りまでにいくつかが咲いててこれもまた素敵な演出に。
お軸は、“月に雁”、そしてススキに彼岸花。


●まる お吸い物
名店のスッポンと言えば、の服部中村養鼈場さんのスッポン。そのスッポン美味しさが溶け込むお吸い物は、思わず「あぁ」と吐息がもれる美味しさ。澄んでいるのに深く広がりのある旨さ。おネギがまた好相性。浮かぶ菊も風流。蓋見返しに美しい菊の蒔絵が施されていてそれを眺めながらお吸い物いただくと、お椀の見込みにも豪華な蒔絵が施されていた。


●お造り 一
私たちのために準備してくださった明石鯛。ひきしまった身の食感から、激しい海流にもまれている姿が思い浮かぶ。シンプルなお造りなのに存在感あり、ムチっと活きた食感が絶品。煎り酒と土佐醤油で。

●お造り 二 (活伊勢海老、カマス)
活の状態から捌いてくれた伊勢海老のお造り。活きがが良くて桶の中でも暴れるあふれんばかりのパワー。テンションが上がる。

氷でシメて花が咲いた伊勢海老は透明の珊瑚色。海老味噌をつけて、これがコクありいい塩気。口いっぱいに頬張る幸せ。身に甘みを蓄えており、口の中でもピチピチと跳ねる。手前はカマス。味わいのあるこの器は、かなり薄手で繊細なのですが、なんと400年前の明(みん)のもの。またたいそうなもので出してくださって感激。良いものを大切にされています。


●松茸
まだ地物は早いので、出旬の長野洗馬の松茸。季節が秋に移り変わってきたことを香りで体感。
器は初代 矢口永寿。これも大将がとても大切にされているものだと思われる。

●甘鯛
甘鯛に能登門前の栗を裏ごししたもののせ餡がけにするという、この取り合わせの妙。栗のほっこりくる甘みと滋味、ほろほろと落雁のように口の中で溶けて、雅な味わい。
器は宮本雅夫さん。こんな器もお作りなのだなぁとしみじみ見惚れていたら、明時代の皇帝専用の窯元の焼き方を再現されたものだそうで、教えて頂きました。秋のお料理にも合うお色。

●八寸
無花果ごまだれ、鮑とレンコン、あん肝。
鮑は7時間かけて蒸し煮にしたもので、輪郭はしっかりしていますが、優しい弾力で歯が喜ぶ。

●鮎煮浸し

●のど黒
照りのあるのど黒に今一度胃袋がそわそわと。説明不要の美味しさで、脂が口の中でたぷたぷと滲み出す。添えてあるのはのど黒の子。こちらも美味。付け合わせは志賀町の舞茸。

●かぶら
通称“瑠璃”と呼ばれる幕末の瑠璃色の伊万里焼。深い海、朝陽が昇る直前の空、宇宙から見た地球を連想させる、神秘的な色。吸い込まれてしまいそう。ずっと眺めていたい。
かぶらは地物はまだなので青森。スジなく繊維柔らかい。シンプルだが難しい料理。


●いなだ茶漬け
能登の伝統保存食「巻き鰤」は、鰤を塩漬して干し縄で巻いた保存食。「いなだ」も似ていますが、半身のままで作って乾燥させた上物。削ってお茶漬けにはらり。凝縮された旨味と塩気がグラデーション描きながらご飯に広がる。美味。

●栗きんとん
門前の栗を能登大納言あんで包んで、毬栗を思わせる栗きんとん。山の豊かさとパワーを教えてくれる深いお味のお菓子。秀逸な美味しさの中に、情と懐かしさも感じさせる。
梅山窯、陶芸家中村卓夫さんの器がステキでステキで、翌日もまだ心に残っておりました。

2019年8月1日

15000円のコースは、高級食材のインパクトだけに頼らない部分での工夫や小松さんの腕の高さに凄みを見た。
この日は凛と咲くテッセンの一輪挿しの濃紫(こきむらさき)が映えていた。折敷はこの時期にだけ出すという山中塗りの白漆が準備されていた。白といっても芝翫茶(しかんちゃ)寄りの香色(こういろ)で、この空間にマッチしている。

日本酒は地酒を中心として揃っていて、獅子の里、池月などを注文。
●梅ジュース
汗が吹き出すような猛暑を気遣ってくれてか、氷が入った梅ジュースでスタート。フウと胸を撫で下ろし、気持ちに落ち着きが出た。

●鰻の飯蒸し
蓋を外すとツヤツヤ純白のご飯が。飯は酢飯で酸味で暑さを取り払ってくれた。中には鰻。

●お吸い物
まず心を持って行かれたのが、椀蓋見返しに咲くそれは見事な大輪の花火。これは小松さんの特注の輪島塗で、この季節にのみ出会える限定椀だ。パーン、パチパチパチと花火が上がった音が聞こえて来そうだ。ずっと眺めていても飽きない美しさ。葛打ちをした純白の鱧もまた美しい。出汁の奥深いおいしさがとくとくと余韻に残る。


●お造り
七尾の鮎魚女を軽い昆布締めにし焼き霜で。昆布締めがほんのりと心地よく、淡白な鮎魚女のおいしさを上手に持ち上げる。美味なり。土佐醤油、煎り酒で。

●珠洲の蓴菜
胴に「花の都 南禅寺」と書かれた永楽さんの京焼。蓋を外すとキラキラと輝く黄金色の出汁。なんとまる仕立てで、スッポンの風味が鼻孔をこそがす。椀種は珠洲の蓴菜。珠洲のものは近年料理人さんの中で評判が良いらしい。澄んだ蓴菜のまるの旨味がスッと一体になる。


●岩ガキ
羽咋柴垣の岩ガキ。岩ガキってこんなにもデリケートで趣のある味わいだったのかと教えてくれた。

●八寸
珉平焼には蛸のやわ煮。4時間煮込んであり、歯の少しの圧力でとろける柔らかさだ(個人的に鮮やかで風合いのある珉平焼好きです)。
ギヤマンガラスには赤イカとこのわた。鱧の子のたまごとじは、高級スクランブルエッグ。

●甘鯛酒焼
お酒をかけながら焼いた甘鯛は、旨味でコーティングされているようだった。現代九谷で大変な注目を集める宮本雅夫さんの緑彩の器は、吸い込まれそうな美しさだ。

●福井鯖江 吉川茄子
丸茄子の一種で伝統野菜のひとつ。こちらも近年料理人さんから注目を集めているそうだが、なるほど美味い。繊維がとてもきめ細かく、シルクの舌触りだ。

●鮎雑炊
聡明なお雑炊に鮎の香ばしさ。東北の夏カブラ、泉州の水ナス。

●葛切り
作りたての透明感、てろてろ乱反射して輝く葛切りをすくい上げる喜び。もっちり吸い付くような食感と、喉を滑る心地よさ。


満足感でいっぱいになった帰り道、足取りは軽い。