「料理小松」北陸唯一の三ツ星店。大将の骨董品愛が詰まった器の数々で奏でる。“器は料理の着物である”を体現

料理: 9.0 その他: 9.0 ポイントについて
料理小松 (りょうりこまつ)
営業時間 18:00〜
定休日 日曜
価格帯 23,000円コース
訪問回数 19回(移転後の訪問回数)

ミシュラン3ツ星を獲得した日本料理店(北陸で唯一の獲得店です)。
店主小松隆行さんの端正な料理に加え、所有する器の素晴らしさも味わいどころのひとつ。しかしながら美術館に骨董品を鑑賞しに行くような感覚というよりは、さらにその先にある、器に料理がのってこそ完成する“器は料理の着物である(北大路魯山人)”を体現させたところに感動があります。店内は無垢の一枚板カウンターに、薄香の落ち着いた風合いの土壁。同店は以前の鱗町の大通り沿いの店舗から、2017年8月末にここに移転。少し足を伸ばして静かな場所になりました。

・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」3ツ星獲得(2021年5月19日発表)
・「ミシュランガイド富山石川(金沢)特別版」2ツ星獲得(2016年5月31日発表)

大将は基本的に奥の厨房にいて、お造りだけ目の前で引いてくれる感じです。こんないいカウンターなので、実演が少ないのは正直ちょっと寂しいですが。スタッフの人数も少ないお店なので、料理もオペレーションが考えられた内容でもあるなぁと思います(お食事は基本雑炊。など)。あと、食材は地物に特化しているわけではなく、良いものがあれば地物でという感じ。

日本酒を注文すると、ガラス製もしくは陶器の酒器で選ばせてもらえるのですが、どちらを選んでもかなりの種類から選べるようになっていて心踊ります。
ガラス製の酒器は、200年前のアンティーク、バカラ、イギリス製、ラリック、切子グラスなど。


大将が一つ一つ集めた貴重な器ばかりなので、ぜひ大事に扱って頂きたいです。


こちらの徳利は、備前焼最高峰の金重陶陽 作。落ち着いた風合いで静かな存在感があります。お猪口は現代作家さんのように思われますが、今はない金沢の尾山窯のもの。

青いガラス製の徳利は100年前のバカラ。ガラス製のコースターもアンティークです。

【紹介項目】

2024年7月4日 夏:とうもろこしすり流し、鮑とじゅんさい、吉川ナス

夏の小松さんは、秋冬とはまた違った風情があって大好きです。
今回のお料理で印象的だったのは、とうもろこしのすり流し、鮑とじゅんさいの冷やし鉢、吉川ナス、葛切り。

↓写真をクリックすると内容を見ることができます。同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。

日本酒を注文すると、ガラス製もしくは陶器の酒器で選ばせてもらえるのですが、どちらを選んでもかなりの種類から選べるようになっていて心踊ります。
加えてガラス製の酒器は、バカヤやラリックの100年前や200年前のアンティークが揃います。

●とうもろこし すり流し
絶品。とうもろこしは少し粒感を残してあり、フレッシュでシャキシャキした食感があって美味。中にはたっぷり雲丹が入っており、濃厚な雲丹の甘さが重なります。

●お吸い物 甘鯛、キクラゲ
入店してしばしの間、厨房から鰹節を削る音が聞こえるのも待つ間の楽しみなのです。削りたての鰹の吸地は完璧なバランスで、風味、奥行き、余韻もさすがと言えます。キクラゲも歯で厚みを感じるほど立派なものでした。

●お造り ナメラ、アラ、バイ貝

●お造り アカイカ
丁寧に包丁を入れて引出されたねっとりと舌に絡む甘さと、キャビアの塩気。

●カキフライ 千里浜
箸に重みを感じるほど大きな岩牡蠣のカキフライ。アッツアツで。器は、2代目 徳田八十吉。

●鮑、じゅんさい
揚げ物からのさっぱり一品。その透明感が見た目からとっても涼しげで、鮑の潮騒と弾力に夏の喜びを感じます。

●マナガツオ
子を持っている今が一番美味しい季節。

●吉川なす
小松さんで毎夏出してくれる夏の定番で、これが食べたくて夏予約する人も多い。
吉川ナスは、小松大将が有名にしたと言っても過言ではない、福井県の吉川村と呼ばれていた現鯖江で育てられる丸茄子です。どっしりソフトボールくらいの大きさがあります。これが原種であるという説もあります。
果肉はギュッと詰まっていて、風味にフルーティーなニュアンスあり。出汁を吸って素材の甘さと重なり、さらに舌触りが滑らかで美味。これがメインと言っても良いほど。
今回は鱧と合わせて。

●冷やし茶漬け
ひんやり、サラサラと入っていく、冷たいお茶漬け。こういうのも小松さんらしい一品。

●葛切り 吉野葛
流したての葛切りの美味しさよ。出来立てだからこその透明感ともっちりとした食感。するりと喉を滑っていくのが気持ち良い。黒糖だけで作った黒蜜は、ほろっと香ばしくコクがあるのにさっぱりしており美味。

2024年2月8日 節分

2月はお節句を意識したお献立でした。
いつもと変わらず、器を「料理の着物」と捉える哲学は、料理を一層特別なものへと昇華させており、料理と器の相互作用が生み出す美しさとおいしさが、料理の魅力を一層引き立てておりました。
毎度小松大将は、コースを通じて四季や伝統文化を体感させてくれる。「ああ、日本人で良かったな」とこの場所に来て思うのです。

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●2月の先付け盛り込み
2月のお節句を意識した先付けは、食事の序章を飾ります。器も節分枡をイメージ。

●甘鯛のお吸い物
甘鯛のお吸い物に使われた鶯宿梅のお椀は、その豪華さと煌びやかさで料理を一層引き立てます。


●ヒラメ
軽い昆布締めで、旨味の乗せ方と脱水の加減が絶妙で素晴らしい。

●マハタ

●白子
こういうシンプルな料理に完成度の高さと味わいの奥深さと品があり、小松大将の美学の真髄を垣間見ることができます。

●干口子
五臓六腑にしみじみと染み渡る。脳裏に浮かぶ潮騒。

●カニ飯

●のど黒 氷見

●海老芋

●シラスご飯
繊細な春の味が口の中に広がり、夢心地。

●最中
あんことフレッシュいちごの爽やかな酸味の調和。

2023年7月11日 夏:鮑飯蒸し、とうもろこしすり流し、丸茄子、蛤ご飯

これぞ小松さんの夏と言えるお献立の数々でした。
毎年の定番であり、楽しみにしているお料理が多かった印象。
今回特に印象的だったのは、鮑飯蒸し、とうもろこしのすり流し、丸茄子焚き合わせ、蛤ご飯です。

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2023年5月15日 初夏:稚鮎、粟飯、賀茂茄子

貸切予約の1席を譲ってもらって、前回から約1ヶ月後の5月に訪れることができました。
桜の開花に心奪われた春から、新緑がまぶしい季節へ。初夏を思わせる食材使いが目立ってきて、なんだかパワーがみなぎってくるようでした。
カウンターでは、青々とした蕾のオオヤマレンゲのしつらえが、空間に生気を添えていました。

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2023年4月19日 春:稚鮎、スッポン雑炊、桜餅

今この瞬間だけ味わえる食材の味、刹那の美味しさを器の上に咲かせる小松大将の凄みを感じる春の回でした。
料理個々としても、コース全体としても、美学が置かれていて素晴らしいと思いました。

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2023年2月20日 節分:黄身酢がけ、海鼠、粟ぜんざい

2月の小松さんは節分のしつらえです。
お料理は大将らしさが発揮されていて、本当に感動的でした。飾りっ気は無いが端正な美しさがあり、経験とセンスによって導き出された大将の美学を感じる料理の数々はさすがでした。
そして、今回も器コレクションが増えていた印象(笑)。

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2022年11月8日 秋:香箱ガニ、天然茸の蓮根餅、無花果胡麻がけ

小松大将の美学を存分に感じた秋のコースでした。
夏から季節がガラッと変わり秋のど真ん中。食材も景色も日毎に移ろい、彩りを増していく今が最も面白い時期かもしれません。
この日のお軸は、一見季節感が分かりにくいですが、実は百人一首の小倉山で、「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆきまたなむ」という秋の歌でした。店主が込めた思いを知ると、感動が広がり面白さが増すのが日本料理の素晴らしいところです。

今回とても印象的だったのは、天然茸の蓮根餅と無花果胡麻ソースです。

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2022年9月13日 秋:スッポン玉締め、無花果揚げ出し、甘鯛と門前栗

前回訪問は8月31日で、2週間前に伺ったばかりでしたが、お料理はガラリと秋になっており、まだ夏を引きずったままの私に、秋のスイッチを入れてくれました。
今回は、小松大将の貫禄や腕の高さ、センスが直球で伝わるお献立で、「料理小松ここにあり!」と言えるコースでした。なんだかジーンとしてしまった。

数ヶ月前まではサービススタッフが少なくて、正直提供時間などにストレスを感じる時期もあったのですが、それが解消されたのもあり、食べ手も料理だけに没頭できます。

毎秋出してくれる門前の栗を使った甘鯛のお料理も出てきて感激。小松大将のスペシャリテと言いたい。究極ですよ。その他印象的だったのは、すっぽん玉締め、伊勢海老、筋子飯蒸し、無花果、イナダ。

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2022年8月31日 初秋:無花果胡麻がけ、鱧と松茸お吸い物、玉蜀黍すりながし

夏から秋に移り変わるタイミングは目立った食材がなくて、天候も荒れていことが多いため魚も入りにくく、料理人さんにしたら一番困ってしまうタイミングではあります。が、こういう時にこそ、食材力だけではない、小松大将の腕の高さや貫禄が随所に感じられてハッとなります。小松さんでは学ぶものが多い。季節毎に勉強になります。

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2022年6月29日 夏:稚鮎、岩牡蠣フライ、吉川ナス、葛切り

夏の小松さんは、秋冬とはまた違った日本の風情があって好きです。
土壁に掛けられているのは1900年代のフランス製の花器で、ガラスとシルバーを組み合わせたもの。お花はオカトラノオ。
今回のお料理で印象的だったのは、お造りのヒラメ、能登岩牡蠣フライ、吉川ナス、葛切り。後半に向けて盛り上がっていった印象でした。

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2022年5月19日 初夏:稚鮎、鱧、ヒラメ、柏餅

前回の訪問では、長年小松さんでサービスをされて器なども全て把握しているベテランさんが辞められて、表をしっかり任せられる人がいないタイミングだったので、正直サービス面で問題があり、料理にも影響がありました。が、短い期間で改善してバシッと決めてきているのはさすがだったし(18:30開始で最後のお菓子が出切ったのが21:05でした。)、お献立構成も良かったし、小松大将の本領を発揮されていました。
実力の高さがバシバシ伝わってくる、「料理小松ここにあり!」といったコースでした。
ただ、(いつも通り小松さんスタイルで)食材は石川県の地物をメインで使用しているわけではありませんが、卓越した料理の腕とセンスは毎回勉強になります。
今回は特にお椀、粽と鯛白子、賀茂茄子、柏餅に感動がありました。

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2022年3月29日 春:生クチコ、白魚の雑炊

小松さんは地産地消にこだわっている訳ではないので、県外食材が多く登場します。
料理の腕は、“さすが役者が違う”と言える素晴らしさなので、「何を味わいに行くか」かなと思います。
特に県外の方は、地方に来るからには石川・北陸の地物食材がいいに決まっているので。
また、最近は人手不足が顕著に現れてしまっているなぁと思わざるを得ない料理スピードと御献立構成なので、大将の凄さが十分に発揮されるような人員がほしいなと正直思いました。
コースは魚料理(特に鮮魚)が続くので、野菜類や山菜など挟んでもらえるとありがたいなと思いました。あと、今回は八寸もなかったですね。
とはいえ、(御献立構成はさておき)一皿だけを見た場合、丁寧で卓越した仕事に感動があります。
今回印象的だったのは、鯛の子と桜餅。

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2021年12月7日 冬:香箱ガニ、ズワイガニ

ミシュラン3ツ星獲得からますます予約困難になり、前回から5ヶ月ぶりの訪問です。
冬の王様食材である香箱ガニ・ズワイガニを中心としたお献立構成。小松大将の料理は以前からシンプルですが、今回一層シンプルになった印象で、気を衒わず静かに技術力を見せて行くような感じ。1つの素材を主役にしたお皿が続きました。

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2021年7月14日 夏:玉蜀黍すり流し、鮎の飯蒸し、う雑炊

3ツ星獲得後では初訪問となります。元々予約が取りにくいお店ですが、席数が限られている上に1日1回転なので、より一層予約困難に。
小松大将は良い意味でいつも通りの落ち着きと優しい笑顔で、実力の高さを見せつけてくれました。役者が違う。

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2020年11月2日 秋:能登松茸、焼スッポン、天然茸ぞうすい

春の営業が出来なかったのと、営業開始してからは席数制限されていて予約困難だったのとで、前回から8ヶ月ぶりの訪問になってしまった小松さん。秋の回、楽しみに伺いましたが、今一度別格の凄みを教えてくれました。珠洲産の能登松茸の土瓶蒸し、栗蒸し、焼きすっぽん、天然茸雑炊も素晴らしかった。

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2020年3月6日 春:蛤の飯蒸し、生くちこ、タケノコ

前回から約3ヶ月強ぶりになってしまったのは、1月にと思っていたのに予約満席で取れなかったから。春の小松さん、楽しみに訪問。全部地物ではないが、七尾や能登の食材が多く準備されていて心踊りました。

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2019年11月25日 冬:香箱ガニ、加能ガニ、能登ブリ

10月3日から約2ヶ月ぶりの訪問。今の時期の主役食材はなんといってもカニとブリですが、小松さんの工夫と技術力が光り、ここで食べる意味を大いに感じました。地物で揃えてくれて喜びも膨らむ。

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2019年10月3日 秋:新いくら飯蒸し、スッポンお吸い物、甘鯛と門前の栗

8月1日から2ヶ月ぶりの訪問。前回は15000円コースだったので、今回は22000円コースで。食材チョイスに自由度が出るためだろう、活伊勢海老や明石鯛、松茸など県外産だがすごい食材を揃えてくれた。かぶらなども、地物はもう少し後のほうが良くなってくるものは県外産で。なるべく地物が食べたいですが時期もあるので。

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2019年8月1日 夏:鰻の飯蒸し、鱧お吸い物、スッポン蓴菜

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