「一本杉 川嶋」七尾に光る新星!もはや予約困難の日本料理店。建物は元万年筆屋、シンボル的な有形文化財

料理: 8.0 その他: 8.0 ポイントについて
一本杉 川嶋 (いっぽんすぎ かわしま)
営業時間 18:30 一斉スタート(18:15ドアオープン)
定休日
価格帯 コース15,000円(税サ別)
訪問回数 6回

能登七尾の一本杉通りに、2020年7月29日にオープンした日本料理店。オープンから1年経たない間に、2021年5月発表のミシュランガイドで1ツ星を獲得しました。
 ・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」1ツ星獲得(2021年5月19日発表)

店主の川嶋亨さんは七尾出身。京都「桜田」さんなどで修行後、和倉温泉「のと楽」内にある「割烹 宵待」の料理長として腕を振るってきました。さらに、35歳以下の若手料理人のための日本最大級の料理コンテスト「RED U-35」2018では、3次審査を通過しファイナリストとして“ゴールドエッグ”を獲得(狭き門です)。JALとのコラボで「RED U-35 ~若き料理人たちによる機内食~」で料理提供し、JAL国際線機内食も担当。
その川嶋さんが、独立開業場所に選んだのは故郷の七尾市です(私の地元でもある)。建物は、風情漂う一本杉通りの一角にある、築80年の有形文化財でもある元万年筆屋をリノベーションしています(以前は雑貨屋さんだった)。

とてもお洒落な外観で、一本杉のシンボルでもあるので、地元七尾の人ならみなさん知っているのではないでしょうか。2階の窓は万年筆の筆先の形をしており、入り口頭上をよく見ると、インクの壺と万年筆が発見できます。
店名に“一本杉”という土地の名前を入れたのは、祇園とか銀座のように全国に知られるブランド地名になってほしいという気持ちから。

店内は奥に長い造りで、カウンター席が並びます。それ以外に個室も1つありますが通常は不使用です。

団十郎茶色の土壁が風合いを感じさせます。カウンターは珍しいタモの一枚板。席に着くと最初は照明が落とされており、一本杉通りにある創業1892年の和ろうそく「高澤ろうそく店」さんの和ろうそくが灯っている。植物ロウの明かりというのは、なんだか骨太の味わい深さがあって良いものです。
  
料理の中で特徴的なのは出汁。修行先の京都「桜田」の大将に「出汁だけはケチるな」と言われていたそうで、お吸い物に最大限こだわりを発揮。目の前で一番出汁を引いてくれます。鰹節は、枕崎の一本釣りの本枯3年熟成を主に、他部位も食材によって加える。ちなみにこれは特注品で、本来は3回燻すところを5回しているのだそうです。昆布は、一本杉「しら井昆布店」の3年熟成の利尻昆布。お水は、中島町の“藤瀬霊水”を汲みに行っているそうです。



川嶋大将の料理を食べて感じたのは、実力の上に花咲くセンスと、食材や器、演出に至るまで試行錯誤し、ぐっと思いを込めているんだなということ。席数が7というのも良く、川嶋さんの目が行き届く数だし、客席側からも手元がじっくり見物できて、プレゼンテーションがしっかり受け止められるのも良いです。

2021年7月31日 1周年、夏の川嶋

7月29日で1周年を迎えた川嶋さん。この1年で美味しさで人気を集め、全国からお客さんが訪れるお店になり、一ツ星も獲得するという、七尾自慢の日本料理店になりました。
夏のお料理も、能登島の雲丹、七尾の蝦蛄、能登うなぎ、舳倉島アワビなど、“能登だからこそ”の強みを活かしていて素晴らしかったです。

●心太
能登島の天草で作った心太を、トマトエキスに少しの塩のみで。夏に慣れ親しんできた透明感ある口当たり。夏の暑さを忘れさせてくれる幕開け。

●前菜
縁起が良い蓮根の葉に、藤ノ瀬の水で霧吹きしてあり、まずはそのしずくを頂いてから。

金時草のおひたし、渡蟹、能登島の雲丹を土佐酢ジュレで、五味を意識した一品でもあります。
雲丹は北海道でもなく、近隣だと福井の赤雲丹などでもなく、ここ地元の能登島の雲丹というところが素晴らしい。大将の地物へのこだわりが受け止められます。

●お吸い物
椀種は甘鯛。命の出汁、吸い地のコンディションがとても良く感じられました。キクラゲ、オクラたたき、そして能登の野菜を星型にして七夕仕立てで、甘鯛の脂の艶で天の川を描きます。甘鯛の身に予め施した塩味が滲み出し、出汁にグラデーションを描く。


●お造り アカイカ、キジハタ、キジハタ肝と胃袋
能登島の塩、鳥居醤油オリジナル配合で

もっちりとしていて水分量も絶妙なキジハタの美味しさ。
波を描いた青白磁は人間国宝 塚本快示 作。

●お造り カタバイ、蝦蛄
北陸の高級店でバイ貝というと、やわらかい青バイ貝が主流ですが、こちらは逆にカタバイ貝というバイ貝の一種で、名前の通りカタイ。しかしながら、味が濃くてサザエのような印象で、噛めば噛むほど味が出てくる。
蝦蛄は箸に重みを感じる超特大で、レアに近い火入れでみずみずしく美味。
器は十二代 楽弘入。

●鰹藁焼き
無農薬栽培の稲の藁で、同建物を模した一斗缶にて藁焼きに。藁の香りが強く鮮烈。
自家製ポン酢をぶっかけにしてかぶりつきで。

●お凌ぎ
のど黒飯蒸しをお凌ぎとして。中能登で自然栽培・無農薬で育てる新大正もち米を使用。

●八寸
天の川を渡る船をイメージした八寸。
能登島朝どれのもずく、中能登町そばの実で作ったそばがきの唐揚げ、能登島キタアカリ、鱚昆布締め梅おろし、ミニトマトおひたし、ちゃとうの塩糀漬け、三度豆の胡麻和え、朝採れ枝豆、烏骨鶏の半熟卵


●揚げ物
営業前の仕込みに間に合うギリギリの時間、午後3時に採ったヤングコーンの天ぷらは品のある自然な甘みが美味。さらにひげの甘さと香ばしい美味しさに驚きがありました。能登島の藻塩が相性良し。

●能登うなぎ
脂がしっかりとあるので、炭火で焼くと脂がしたたり、皮目が揚げ焼き状態に。朝採れのキュウリを絞ったカリカリキュウリと同調する食感。うざくのイメージで。

●舳倉島アワビ
舳倉島のそれは立派なアワビ、そして高農園ふわとろ茄子の揚げ煮。ふわとろ茄子はその名の通りとろける口溶けの長茄子で、とろとろと喉に滑り込んできます。


●お食事 とうもろこしと穴子
見た目でテンション上がります。こちらも午後3時に収穫した鮮度良いとうもろこし。糖度はなんと22度で、その甘いエキスが口の中でピュッと弾け、焼きアナゴの旨味で頂きます。虎魚と能登ネギのお味噌汁と。

●お食事 アカイカと万願寺とうがらし

●デザート
七尾の桃に塩サイダーのジュレがけでサッパリ爽快。

●能登ミルクジェラート、鳥居さんの諸味粉

●わらび餅
本蕨粉を使った出来立てのわらび餅はとろとろ。焙煎した香ばしいきな粉で。

2021年6月1日 初夏の川嶋

今回のスペシャル食材は特大のトリ貝。その他にも大物食材がオンパレードでしたが、その凄みに加えてメリハリもしっかり付けた抑揚のあるお献立で、最後まで引き込まれました。ここまで食べに来た甲斐を感じるコースでした。

まずは、中能登町のそばで作ったおやきと新茶で、静かに幕開け。

●七尾穴子
水無月に入ったということで、涼しげなお料理から。おろしたばかりの伝助穴子を鱧のように骨切りをする大将。

土佐酢ジュレがけで爽やか。噛めば噛むほど脂が滲み出て潤ってくるおいしい穴子。添え物の朝取れ天然三つ葉も香りがパーンと強くて美味。

●お吸い物
3キロという鮎魚女と蓬豆腐の揚げ出し、昼摘んだばかりのアスパラ、茗荷と振り柚子
(写真撮り忘れ汗)

●お造り 虎魚、アオリイカ
器は、楽家十二代 弘入。900gもある大物の虎魚は弾力あり甘みがしっかり。出始めのアオリイカは甘さを最大限感じられる包丁の入れ方で。
さらに添え物のスナップえんどうまで美味。フレッシュさが伝わり甘さがパーンと弾けます。

●天然トリ貝
なんと“天然”のトリ貝で、市場で1番大きいものを入れたそうです。1個で一人前の十分な量が取れる大きさで、箸に重さを感じるほど重量感があり肉厚。


生ではなく、片面を炙ることで水分量を保ったまま香ばしさを添えてあり、少し温度を上げてあることで甘さも開く。ワタも脂があって美味でした。

●メジマグロ
7キロのメジマグロは、砂ずりと大トロの部分を藁焼きにしてステーキのような食べ応え。白波を連想させる器は、人間国宝 塚本快示さんの青白磁。

●ヒラスズキのおすし
軽く昆布締めにしてあり水分が抜けて旨味が増しており美味。

●鱒、独活、能登島の藻塩
定置網の鱒を天ぷらで。余熱熱でミディアムレアに仕上がり、口の中でとろける。独活の健やかな風味がアクセントに。

●八寸
毎回楽しみな川嶋大将の八寸。能登を旅するようなお料理の数々で、小さな一つ一つにちゃんとおいしさを置いてあるところが素晴らしいと思います。トラフグ、バイ貝、虎魚、赤西貝。
トラフグの白子は優しくゆっくり炊いて、身の昆布締めと。特大のバイ貝はワケギとぬた和えに。虎魚の肝と胃袋と皮を和え物に。燃えるような赤い身が特徴的な七尾湾の赤西貝は、切り身からも分かる超特大サイズ。ここまでの大きさはなかなか食べられないです。サザエのようなコリコリと食感で、咀嚼するごとに甘さが湧き出します。


●炊き合わせ
趣漂う江戸末期の器で。鯛の子、焼タケノコ、舳倉島の若布しゃぶしゃぶ、一寸豆

●エンドウ豆ご飯
色鮮やかなグリーンが目に飛び込んで来る豆ご飯。採ったばかりの新鮮なグリーンピースは、皮が薄く、パンと張っており、柔らかい。ご飯はえんどう豆のサヤから取った茹で汁で炊いてあり、エンドウ豆に馴染みます。

主役食材が続きましたが、ここでメリハリをつけているのも好印象でホッと胸を撫で下ろせます。
絹もずくと能登白ネギのお味噌汁と。

●デザート
谷泉純米大吟醸の酒粕を1年寝かせて能登ミルクとブランマンジェに。朝どれイチゴを添えて。

●柏餅
ほこほこ温かい柏餅の美味しさ。中は白味噌あんでコースの流れにのっている。

2021年3月26日 春の川嶋

蟹や寒ブリと言った王様食材の季節が過ぎて春へ。大物の主役食材がない時期は、それはそれでとても楽しい。さすが川嶋大将は自身で能登を巡ってるだけあるなぁと感じる、能登の繊細な旬が頂けたコースでした。

●能登若芽のグリッシーニ
輪島塗の棗を開くと能登の若芽の茎が。若布の茎に能登のじろ飴(米飴)を塗って蕎麦の実をつけてグリッシーニ風に。

●蓬とうふ
大将がいつも水を汲みに行く、中島の藤瀬霊水の近くで採れる蓬を蓬とうふに。蓬の風味が鮮烈で春の風を吹かせる。

●ホタルイカしゃぶしゃぶ
旬のホタルイカはしゃぶしゃぶにし、黄身酢がけにして芽甘草を添えて。ホタルイカはふるふると至福の食感。そこに肝がソースのように溶け合う。ああ、おいしい。

●お吸い物
希少な輪島塗の高さのあるお椀にて。真薯は気泡を含ませ泡のようにふわふわ。その中に隠れていたのは、柔らかい弾力の能登島バカガイ。蛤に似ていますがバカカイというらしいです。とても濃く良い出汁が出ており、吸地が胃から全身に染み渡る。椀づまの若芽のシャクシャクとした食感もいい。

●伝助アナゴ焼霜づくり
鱧のように見えますが季節はまだ。これは立派な伝助アナゴ。能登島塩と10年ものの山葵を添えて。

●梅貝
身は上から剥ぐように引いてあり、3つの食感の違いが味わえます。

●トラフグ藁焼き白子ソース
その日あがった5キロの立派なトラフグを藁焼きにし、白子ソースと自家製ポン酢で。寝かしたものとはまた違う、みずみずしく品のある美味しさに藁の風味が重なる。



●あん肝
20キロという大物の安康の肝を低温でゆっくり火入れ。説明不要のとろける口どけと広がるふくよかなうまさ。

●イサザご飯
能登の春の風物詩であるイサザは踊り食いで有名ですが、新大正糯の餅米でおしのぎとして。イサザのデリケートな身の美味しさを生かした繊細な味の添え方に感動がある。

●八寸
桃の節句である3月らしい八寸。
菱鶴の器には、イイダコ旨煮、蕪の菜の花の辛子漬け、稚鮎甘露煮、生クチコ炙り、加賀れんこん餅から揚げ。貝合わせの器には、能登地鶏やわらか煮、中島菜、新玉ねぎ。糸もずく。

●揚げ物
8キロのアラは中がミディアムレアの状態に火入れ。もっちりとした食感と弾力が印象的。七尾の朝掘り筍とコゴミ、能登島の藻塩で。

●トラフグスダチ蒸し
骨の大きさからも大物というのがよく分かるトラフグは、その骨から濃い出汁が染み出しており美味。スダチ蒸しにしてスキッと抜ける酸味を添えて。

●お食事
ご飯は中能登の無農薬棚田米を営業時間前直前に精米し、能登島「陶房独歩炎」藤井さんの土鍋で炊いたもの。土鍋の蓋の重さが通常2倍ほどあり、しっかり圧力がかかります。水は中島の藤瀬霊水を使用。
今回は、銀シャリ、掛け合わせをしていない純烏骨鶏の卵のたまごかけご飯、ホタルイカご飯、牡蠣天ごはん、おこげ出汁がけ、という怒涛のスペシャルラインナップ。
能登牡蠣は火入れをしても尚、箸にどっしり重みを感じる大きさ。天ぷらにしてタレを絡めてご飯にのせるという食欲そそられる一品。膨れたお腹にもすんなり収まるうまさ。

ホタルイカご飯は、ぷっくり膨れたホタルイカからの肝とご飯が口の中で合わさり美味。欲張りにおかわりしてしまった。

●果物
イチゴ、金柑、キウイをジュレがけにしてさっぱりと。七尾のイチゴが風味良くてやわらかく美味。黒豆には丁寧な仕事が光っていました。食後の満足感を上げてくれるデザートが嬉しい。

●文旦大福
イチゴ大福ではなく文旦を包んだ大福。サクサクとした食感と爽やかな香気、ほのかな苦味が良い余韻。

2020年12月1日 冬の川嶋

秋から冬に移り変わる晩秋の川嶋。11月6日に解禁になったカニもお献立に加わっていた。
●無花果ワイン煮と柚子蜜湯

●柚子釜
ふくふくと湯気の立つ温かい一品からスタート。柚子釜には鱈の白子と里芋のなめらかなすりながしでふくよかで優しい美味しさ。一本杉通りの鳥居醤油店のもろみ粉だけで味を添えて。

●能登牛土佐酢ジュレ
能登牛A5プレミアムで能登の原木しいたけを巻きウニをのせ、土佐酢ジュレがけに。

●お吸い物
ズワイガニ真薯、ウグイス菜、金時人参、柚子
目の前で枕崎一本釣り特注鰹節を削るデモンストレーションから始まるお椀。今回の出汁はズワイガニの風味を立てるために軽快な仕上がりにしてありました。カニ身を寄せただけのようなつるんとしてとろみある真薯。

●お造り シマフグ
まずは器の上で、紅葉した能登の山の光景を見せてくれた。

敷き紙の下に隠れていたのはシマフグ。本日揚がったという4.2キロの大きなシマフグで、熟成させていないのにしなやかで美味。まるで鱈のような食感。トラフグとはまた別物の味わい。

●お造り
6日間熟成のアラ、13.5キロの鰤砂ずり4日間熟成、10キロのマグロ頭。広島の本わさび、能登島のお塩、自家製のチリ酢で。器は乾山写。

●お造り カツオ藁焼き
能登町“日の出大敷”船上血抜きのカツオを目の前で藁焼きに。カツオのネガティブな個性が一つもなく、良い意味でカツオと言われなければ分からないカツオ。美味。

●おしのぎ
能登島の松茸を飯蒸しにしておしのぎとして。松茸の風味も塩加減も素晴らしい。

●香箱ガニ
仕上げに殼出汁をかけて。甲殻類の旨味滲み出たこの出汁が美味。

●八寸
川嶋大将が食材調達に能登を一周するときの里山里海の景色を表現した八寸。今回は酒泥棒な料理が多かった。
天然鯛の自家製海鼠腸がけ、マグロの胃袋と心臓 チリ酢がけ、焼きワタ塩辛、日の出大敷の鯖の棒寿司、海鼠酢
予めワタを焼き牡蠣醤油も少し加えたという塩辛が絶品でした。

●揚げ物
鰆天ぷらは中がミディアムレアでとろける口当たり。あんがとう農園のサツマイモは1年熟成で重厚な甘さ。

●煮物椀 沢野ごぼう葛豆腐、穴子揚げ出し、春菊
320年ほど前から栽培されている七尾の伝統野菜“沢野ごぼう”の葛豆腐と穴子揚げ出し。沢野ごぼうは極太で風味と味の濃さ、繊維の柔らかさが特徴的ですが、滋味と馥郁たる香りが口の中で舞い美味。器は江戸末期もの。

●加能ガニ生姜ご飯
生姜ご飯にたっぷりのズワイガニ“加能ガニ”を混ぜて。ご飯は中能登の無農薬棚田米を営業時間前直前に精米し、能登島「陶房独歩炎」藤井さんの土鍋で炊いたもの。土鍋の蓋の重さが通常2倍ほどあり、しっかり圧力がかかります。水は中島の藤瀬霊水。
ご飯とカニの量どっちが多いのか、というカニのボリュームで、みずみずしく喉の奥にとろんと滑っていくよう。

●能登ミルクのブランマンジェ

●霰
12月に入り、そろそろ降り出しそうな“霰(あられ)”をイメージしたお菓子。加賀丸いもをベースにしてねっとり滋味も感じられ美味。これまでの訪問で一番のお菓子。

2020年10月31日 秋の川嶋

約2ヶ月ぶりの訪問。季節はガラリと変わって秋。秋の川嶋大将のお料理をとても楽しみに伺った。
夏のおしぼりはキーンと冷たかったが、肌寒い今回はアッツアツで温まる。
●五郎島金時シロップ煮と柚子蜜湯
高澤さんの和ろうそくを愛でながら頂いて心落ち着ける。

●前菜
金時草おひたし、能登のかぶら、能登ふぐの親子和え、能登島のウニを土佐酢のジュレがけで。
能登ふぐは身を昆布締めにして、珍味であるふぐ卵巣糠漬けを和え、軽やかにまろみと塩気を添えて。品のある土佐酢ジュレが調和を持たせています。とても好印象な1品目。

●無花果 胡麻だれ
押水の朝どれ完熟の無花果に胡麻だれをかけ、さらに川島大将が目の前で、荒々しい山椒の木でゴリゴリと擦ってくれた胡麻をかけて。煎りたて擦りたての胡麻の鮮烈な香ばしさよ。無花果は凝縮した甘さの中に酸味があり、胡麻には旨味と塩気があり、ほんのり余韻は苦味という五味を意識した一品でもあります。


●お吸い物
目の前で枕崎一本釣り特注鰹節を削るデモンストレーションから始まるお椀。今回は3.2キロの大物のクエに葛を打って、七尾の聖護院だいこんと。NHK朝ドラ「まれ」の舞台にもなった輪島大崎漆器店さんの輪島塗で。

●お造り
8日間寝かせたアラ、アオリイカ スダチ、広島の本わさび、能登島のお塩、自家製の土佐醤油で
添え物の胡瓜は、朝どれを絞って土佐酢にくぐらせたもので、カリカリ食感がおいしい。

●ガンドの藁焼き
ブリに負けない脂があるガンドを、一本杉川島の店舗を模したミニチュア焼き台で藁焼きに。自家製ポン酢をドバッとかけて。肉感のあるワイルドなガンドの美味しさを、藁焼きで上手に昇華させた一品。うまい。

●八寸
素晴らしい秋の八寸。川島さんが食材調達に能登を一周するときの里山里海の景色を表現したもので、食べるのが勿体無くなるジオラマです。
永楽の器には、能登地鶏の瓢亭たまご、穴水かぼちゃ含め煮、クエの肝、松葉には輪島の鮑肝、中能登のムカゴ。さらに、甘鯛昆布締めに葉わさび醤油漬け、穴水の銀杏、能登春菊とエンゼルしいたけ白和え、自家製イクラ醤油漬けをお出汁で割って、一年間熟成させたさつまいもの飯蒸し。


●海老芋唐揚げ、原木椎茸
海老芋は一度炊いて味を入れたものを揚げた“ジャパニーズフライドポテト”。こちらも出汁のパンチが強すぎず食材を立ててあって絶妙な美味しさ。まるっこいキノコの揚げ物は、ポルチーニ茸と呼びたくなる形状の原木椎茸。これは原木椎茸の1本目で、傘が開いていません。市場には出回っていないものを見つけて食材とした川島さんの良いプレゼンテーション。


●沢野ごぼう葛豆腐、穴子揚げ出し
320年ほど前から栽培されている七尾の伝統野菜“沢野ごぼう”の葛豆腐。沢野ごぼうは極太で風味と味の濃さ、繊維の柔らかさが特徴的ですが、滋味と馥郁たる香りが口の中で舞い美味。とても印象的だがコースを崩さない一品で素晴らしい。

●お食事
ご飯は、中能登の春木の無農薬棚田米を営業時間前直前に精米し、能登島「陶房独歩炎」藤井さんの土鍋で炊く。土鍋の蓋の重さが通常2倍ほどあり、しっかり圧力がかかる。水は中島の藤瀬霊水。

香の物は、からしビール大根、蕪の葉、昆布佃煮。おかずとして能登牛A5プレミアム時雨煮。汁は赤出汁で。

2杯目はガンド漬けのせで頂いた。

●能登ミルクのクレームブリュレ

●お菓子、抹茶

2020年8月27日 夏の川嶋

最初に出してくれたのは、さっぱりとした紫蘇ジュースと凍ったおしぼり。夕刻でも外に出ると汗が止まらない気温の日。おしぼりは軽く凍らせてあって、肌に押し付けると暑さが飛び、キーンとクールダウンし心が落ち着いた。

もう一品、トマトの蜜煮を頂いていると、川嶋大将が料理の準備を目の前で始める。


前菜が出たところでパッと照明を明るくしてくれて、食べ手としてのスイッチもオンに。
暗から明への演出も川嶋大将のセンスが感じられる。

●前菜
大トロ茄子の揚げ煮、朝どれキュウリのカリカリキュウリ、天然鯛の昆布締め、輝く出汁ジュレがけ。
あんがとう農園の大トロ茄子は、その響きのイメージ通りのとろんとした口どけと甘さ。キュウリのカリカリがいいリズムを刻む。夏らしい前菜で幕開け。


●無花果
永楽の器で中能登無花果の胡麻かけ、オクラおひたしのせ。ねり胡麻に、煎りたて擦りたての胡麻を加えて鮮烈な香ばしさをさらに加える。このねっとり香ばしい胡麻が、無花果の糖度と滋味にぴったり来る。

●お吸い物 タイトル「月とすっぽん」
椀種は真薯かと思いきや、これは玉子豆腐にスッポンを入れた“スッポン豆腐”。
“亀は万年”の縁起良さに開業の思いを込めて。
スッポンは中能登で捕れた天然で、甲羅が45cmもあるもの。肉とコラーゲン質の部位をゴロゴロ入れ、食感の違いも味わいどころ。今回はスッポンに合わせて、一番出汁にスッポン出汁も合わせたそうです。まろみがあることはもちろん、美味しいお出汁の中でも、とても透明感あって濁りのない味に感じられました。美味。青みにはツルムラサキ。

●お造り 七尾のヒラメ、赤イカ
柑橘は酢橘ではなく早生の蜜柑。愛媛で作られている農家さんが七尾出身なのだそうだ。
山葵は広島。京都大阪の修行時代から馴染みのあるということでお使いなのだそうだが、なるほど絶品だ。”クリーミーで”と聞いて食べたら本当にクリーミーで、辛味よりもだいぶクリーミーさが前に出ていた。
塩は能登島。醤油は一本杉の「鳥居醤油」を使った土佐醤油。


●お造り カツオのタタキ自家製ポン酢で
たたきは太白の胡麻油少し塗って、店舗を模してデザインした箱型の可愛らしい燻製箱で藁焼きに。夏に能登島で行われる“向田の火祭り”は「日本三大火祭り」のひとつにも数えられるが、そのときに使う藁で藁焼きに。藁の懐かしみある風味がのってうまいのなんって。鳥居さん醤油に酢橘を加えた自家製ポン酢で頂く。


●お凌ぎ
ふぐの親子丼。レアなふぐのたたきが美味。石川県の珍味フグの卵巣漬けをパラパラとかけてその塩気で頂く。飯蒸しには黒枝豆入りで芳しい風味にそそられる。

●八寸
小さい一つ一つにもこだわりを置く、丹念に仕込んでいることが伝わる八寸。素晴らしい。
宝船にはトマトのおひたし、タコやわらか煮、ブルーベリーの白和え、赤ズイキ甘エビ出汁煮含め、茗荷の酢漬け、新生姜の酢漬け、スッポンの白子と肝、蓮根の刺身。サザエの器には、サザエの麹漬けと万願寺とうがらし磯海苔佃煮和え。
蓮根の刺身は、ここ1週間から10日くらいのみ食べられて、梨のような風味でみずみずしい。


●揚げ物 蓮根、小芋
蓮根と小芋の唐揚げ。蓮根の縦にかじると極細の糸を引く。刺身蓮根とはまた顔の違う蓮根。
里芋の子はキメ細かく柔らかく、煮含めてから揚げているので、揚げの香ばしさに品のある旨味が余韻し美味。

●蓮根餅お焼き、能登鰻の白揚げ 葛あんかけ
蓮根を使った料理が3品意図的に続きましたが、全て食感や味わいをガラリと変えてあり良かった。蓮根餅お焼きは、ほちゃほちゃとろんとしていて香ばしく、その中に食感も加えてある。美味。
能登鰻の白揚げは蒲焼きや白焼きと違った美味しさを教えてくれた。外カリッ中ふわっと、素朴なおいしさが押し寄せて来る。

●お食事
ご飯は、能登島の無農薬棚田米を営業時間前ギリギリに精米。精米仕立ての米を、能登島「陶房独歩炎」藤井さんの土鍋で炊く。土鍋の蓋の重さが通常2倍ほどあり、しっかり圧力がかかる。水は藤瀬霊水。

「そんなの美味しいに決まっているじゃないか!」って、本当に美味しい。光り輝く炊きたての艶が眩しい。特徴的なのは透明感のあるうまさで、これはどれだけでも食べられそうだ。
ご飯は欲張りに4段階で頂きました。
まずはそのまま。香の物(キュウリ糠漬け、金糸瓜、ちりめんじゃこ)と赤出汁(中島のキクラゲ)を頂きながら。

お次は、能登牛A5プレミアムの時雨煮を少しのせて。
さらに烏骨鶏の卵黄でたまごかけご飯に。これはテンションあがる。この卵黄がねっとり濃厚で格別でした。
最後にはお焦げは、出汁をかけて香ばしさをお出汁に移して。茶懐石の“湯桶”のような感じで。さっぱりしているのにふくらみのある味わい。

●フルーツ
食べ頃の中能登の桃をラムネジュレがけで。建物に懐かしみがあるので、そのレトロなイメージでラムネジュレで。

●お抹茶、和菓子

予約困難になる日もすぐだろうなぁと思いながら、最後のお茶を頂きました。