「御料理 一燈」“越味”をテーマとする福井の日本料理店。地物の珠玉食材ふんだんに。ミシュランでは初登場で2ツ星獲得

料理: 8.8 その他: 8.7 ポイントについて
御料理 一燈 (おりょうり いっとう)
営業時間
定休日 日曜 (月祝の場合は日曜営業)祝日の月曜、第1・3月曜
価格帯 夜コース16,500円・21,600円、松茸コース 時価、カニコース時価
訪問回数 4回

福井市の中心部エリア春日に暖簾を掲げる日本料理店。ミシュランガイドでは、初登場で2ツ星を獲得したことでも注目を集めています。
大将 倉橋紀宏さんの掲げるテーマが“越味(えつみ)”というだけあって、越前・越中・越後の珠玉食材を使用し、福井の伝統的保存食や薬味も織り込みます。


料理のスタイルは奇を衒わない正統派な日本料理で、どの料理も割とポーションがあり、しっかり舌の記憶に残ります。
サービスにはしっかりソムリエさんもいらっしゃって、委ねられる安心感あり。
日本酒は福井の地酒はもちろんですし、黒龍さんの「ESHIKOTO AWA」の取り扱いもあります。

お店は立派な佇まいで、内装は数寄屋造。2019年10月にこちらに移転されたそうです。お席はカウンター席と個室、さらに2階席もあって結構なキャパシティーです。

・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」2ツ星獲得(2021年5月19日発表)

2025年2月19日 皇室献上 越前がにコース

今回は、皇室献上の「越前がに」を多彩な調理法で楽しむ贅沢なコースでした。(カニの季節は時価)

・三国の白バイ貝、山うに、切り干し大根バチコ
まずは三国港の白バイ貝が登場。最初から越味溢れる一品からスタートです。
山うには、ゆず・鷹の爪・赤なんば・塩を丁寧に擦り込み練り上げた、鯖江市河和田地区発祥の300年以上の歴史がある伝統調味料。これを味噌と合わせることで、コクが増し風味もアクセントとなり、白バイ貝の甘みを引き立てます。

・お吸い物 かに真薯、若狭の若布、ウルイ
若狭の若布の磯の香りが、上品な吸地と見事に調和します。ウルイのほろ苦さが、春の訪れを予感させる一碗。

・お造り(若狭寒ヒラメ、寒ブリ、メジマグロ)
全て福井県産の魚を使用。
3kgアップの若狭寒ヒラメは、ハリのある身質で程よい弾力。寒ぶりは12kgアップで、脂がのっており美味。しなやかなメジマグロは、福井の地がらしを添えて引き締めます。

ここからは、冬の福井を代表する食材「越前がに」の”皇室献上”ランクを、多彩な調理法で食べ比べするという贅沢な流れ。立派な個体を目の前で捌いて、次々と仕上げます。2月の越前がには甘さが乗っていて、おいしいと大将も太鼓判。

皇室献上がにの堂々たる姿に、思わず息を呑みます。

・献上がに刺身
まずはお刺身で、ひんやりちゅるんとした舌触りで聡明な甘さが広がります。

・カニ寿司

・献上がにしゃぶしゃぶ
さっとしゃぶしゃぶにして、蟹味噌をディップして。火入れされたカニの身は、箸ですっと外れて蟹味噌に絡みます。甘さが増しており蟹味噌と調和。



・献上がに 茹で

もくもくと湯気を放つ、茹でガニ様の絵ぢから。まさに冬の王様です。



ここからは、好きな食べ方で堪能。
そのままで蟹本来のポテンシャルをダイレクトに味わい、蟹味噌とともに濃厚で繊細な旨味の掛け算。そして、カニ酢で。献上ガニでお腹いっぱいになるなんて、贅沢の極み。

・甲羅酒
炙った甲羅の旨味と香ばしさが溶け込み、天国でした。

 

・お食事
福井の旧宮崎村で育てられた、完全無農薬のコシヒカリを土鍋で炊き上げる。

ご飯のお供には、若狭牛、じゃこ、香の物、もみわかめ。

特に「もみわかめ」は大好き。天日干ししたわかめを手で揉みほぐした福井の伝統食材で、磯の風味と塩気が、ご飯をさらに美味しくします。
おかわりには、カニあんをかけて。優しいとろみが心地よく、最後まで蟹の余韻に浸る。

・デザート
干し柿を混ぜ込んだアイスで締めくくり。満ち足りた余韻を楽しみます。

福井で本物の日本料理なら、「御料理 一燈」は外せません。

2024年9月6日 秋の一燈

今回はディナー訪問にてカウンター席です。カウンターは目の前の臨場感も厨房の空間デザインも素晴らしいし、コンセプトである“越味(えつみ)”がしっかりと感じられるコースで、福井に来た甲斐を感じます。福井で日本料理なら、ぜひ一燈さんを訪れてほしい!


(以下、解説少なめですみませんが参考まで。素晴らしいコースでした!)

黒龍もひやおろしが出ておりました!

●先付
黒無花果、隠元、胡桃ソース
春菊、菊花、三国甘海老昆布締め、山うにの黄身酢がけ

●お吸い物 甘鯛、茄子
椀種は船上活〆の甘鯛で、かなり立派なサイズ。茄子はしっかりと甘さがあって美味しいこと。
吸地は甘鯛出汁。オクラの花、ススキ青柚子を添えて。

●お造り
アオリ新イカ、船上活〆 ヒラマサ3.5kg

船上活〆 戻り鰹藁焼き、福井地がらし

富山海老、甘海老味噌

●カマス 福井、池田町餅米、むかご、カラスミ
福井の山が脳裏によぎる、滋味の使い方がとても好きです。池田町の餅米は噛めば噛むほど、旨みが滲み出し美味。

●北潟湖 鰻
箸に重みを感じる、肉厚で立派な鰻で、美味でした。

●焼胡麻豆腐
胡麻豆腐には福井丸岡の蕎麦の実が混ぜ込んであり、食感と野趣のアクセントに効果的。大野の栗と。

●お食事
福井の旧宮崎村で育てられる無農薬コシヒカリです。越前焼きを焼いてる場所だそうです。 

ご飯のお供には、若狭牛ヒレと新さんま肝醤油。
若狭牛には実山椒ソースと黄韮を添えて。ヒレをしっとりと焼き上げてあり、今まで食べた中で一番美味しい若狭牛でした。

おかわりは、生いくらをたっぷりかけてもらい、至福の時。

●水菓子

2022年1月31日 越前かに「極」

今回はスペシャルな回で、越前かにの「極(きわみ)」を主役にしたコースです。
(メインのカニを先にご紹介しています。他のお料理はまとめて後記。)

まずは幻の「極(きわみ)」が登場。思わずその大きさに慄く。存在感があり迫力が違います!
ラスボス級の大きさ!越前の極と三国の極が並びました。

トップブランドとして知られる「越前かに(越前がに)」は福井県で水揚げされる雄のズワイガニで、黄色いタグが付けられています。その中でも一際大きい1.1kg以上で色艶の良いのものが皇室に献上されます。全国のカニの中でも唯一、皇室に献上されているのが越前かになのです。
そして、2015年シーズンから「極(きわみ)」という新規格が登場しました。
個体の重さ1.5kg以上、甲羅幅14.5cm以上、爪の幅3cm以上など、厳しい基準をクリアした越前かににのみ与えられる称号です。
1.5kg以上というのはモンスター級です。
福井の人でもなかなかここまでのサイズには滅多に出会えることはなく、幻と言われています。1.65kgほどだったとか。すごい。
入荷も大変です。ものすごく苦労して仕入れてくださったのだと思います。今シーズンも5杯しか出ていないという話でした。

なので、「極」はお願いしたらいつも出てくる訳ではなく、本当に運とお財布次第です。越前かにというだけで高価ですが、「極」となるとK点越えした価格になります。

調理法は茹でのみです。が、蟹は茹でがとても難しいと言われるのですよね。また、シンプルに茹でで食べるとカニのポテンシャルの違いが良く分かるというものです。同じ日本海側なのに味に違いが出るのが不思議ですが、越前かにはやはり美味しいのですよね。理由は、九頭竜川から良質な水が流れ込む良い漁場であると言われます。

真っ赤に色付いた茹で蟹。切り込みを入れてくれたカニ足をカニフォークで自分で身出しして頂きます。

さすが「極」は重量感もありどっしりとしていて、しっかりと身が詰まっている。シルキーな食感と甘さを口いっぱいに感じる幸せ。蟹味噌をディップして贅沢に頂きました。この上ない贅沢。

その他のお料理はこんな感じでした(まとめて紹介)。主に福井と北陸の地物食材をしっかり取り入れたコースです。
個人的に今回好きだったのは、お吸い物のカニ真薯白味噌仕立てとお食事の「田んぼの天使」です。
一燈さんは、お造りも素材のポーションが全部しっかり大きめで箸にもずっしり来るサイズ。個人的には素材の個性が口の中で堪能できる引き方が好きです。

●福井県池田町の餅米のお粥、自家製カラスミ

●お吸い物 カニ真薯、大野フキノトウ
白味噌仕立てのお吸い物に繊細なカニ真薯。とっても美味しかったです。

●お造り
10キロのクエ、ヤリイカ、ボタンエビ 富山、雲丹 福井
●鰆、地がらし
●若狭ふぐ白子 焼

●のど黒 三国、原木しいたけ「香福茸」
●鯖鮨 福井日向(ひるが)
●お食事、酒粕漬け若狭牛 山椒ソースで
お米は福井宮崎村で作られる有機米「田んぼの天使」。噛むほどにピュアな甘さがじんわり湧き出す、素晴らしい美味しさです。これはそのままの白米で味に浸りたい。
●今庄の干し柿アイス

2021年9月17日 重陽の節句

初訪問。カウンターではなく個室でしたが、厨房と席までのインターバルを感じさせない温度感も良かったです。
●前菜
能登の毛蟹を青々とした里芋の葉を器に乗せて、重用のお節句の菊を散らして。
毛蟹、福井大野のつまみ菜、福井九頭竜舞茸、ヒラタケ、福井美山のキクラゲ、小芋に蟹酢ジュレをかけて。さっぱり涼やかで秋が薫る前菜からスタート。

●お吸い物
若狭ぐじ、蕪、松茸、茗荷、青柚子

●お造り
能登のマハタの船上活締めと日向の真イカ、福井日向(ひるが)の戻鰹 藁焼き。
結構面を取った刺身の引き方が印象的でした。

●お凌ぎ
お凌ぎとして出てきた2品。
銀杏の器には福井河野であがった秋鯖の押寿司。厚い身の表面を炙ってレア感を残すように火入れ。実山椒で風味を添えて。
三国の甘海老塩麹漬けのキャビア乗せは、甘海老のねっとりした甘さに塩麹の甘塩っぱさとコクが好相性でした。

●三国のど黒
深まりゆく秋をしみじみ感じさせるしつらえで、三国の焼きのど黒を。新銀杏、栗の素揚げと。


●若狭牛サーロイン炭火焼 マコモダケ、大野クレソン、ポン酢

●福井大野 黒無花果、胡桃
大野の黒無花果の、スキッと品のある雅やかな野趣と甘さに、胡桃の滋味を添えて。お酒はここで黒龍さんの梅酒にしました。

●お食事
宮崎村(現越前町)で育てらたお米で、3日前に収穫したばかりの新米でした。これは嬉しい。

艶々としていてお米がピンと立っていて、日本人のDNAが反応。新米は水分量が多いですが、輪郭を出した絶妙な炊き方で美味でした。

乗せてあるのは、福井の名産品である”しおうに”です。塩漬けし熟成させて飴色になった雲丹は、濃厚でねっとりした旨味がご飯を勧めます。
凝縮したまろやかな旨味で、無限にご飯が食べられるやつです(お酒のアテとしてもぴったり)。

おかわりには、生いくらと鮭の親子丼。

●デザート 秋の果物とヨーグルトソース