「御料理 一燈」“越味”をテーマとする福井の日本料理店。地物の珠玉食材ふんだんに。ミシュランでは初登場で2ツ星獲得

料理: 7.5 その他: 7.3 ポイントについて
御料理 一燈 (おりょうり いっとう)
営業時間
定休日 日曜 (月祝の場合は日曜営業)祝日の月曜、第1・3月曜
価格帯 夜15,000円〜25,000円(※カニはプラス料金)
訪問回数 2回

福井市の中心部エリア春日に暖簾を掲げる日本料理店。ミシュランガイドでは、初登場で2ツ星を獲得したことでも注目を集めています。
大将 倉橋紀宏さんの掲げるテーマが“越味(えつみ)”というだけあって、越前・越中・越後の珠玉食材を積極的に使用し、福井の伝統的保存食や薬味も取り入れてありました。

料理のスタイルは奇を衒わない正統派な日本料理で、どの料理も割とポーションが大きめ。
サービスにはしっかりソムリエさんもいらっしゃって、委ねられる安心感あり。
日本酒は福井の地酒はもちろんですし、黒龍さんの「ESHIKOTO AWA2018」の取り扱いもありました。

お店は立派な佇まいで、内装は数寄屋造。2019年10月にこちらに移転されたそうです。お席はカウンター席と個室、さらに2階席もあって結構なキャパシティーです。

・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」2ツ星獲得(2021年5月19日発表)

2022年1月31日 越前かに「極」

今回はスペシャルな回で、越前かにの「極(きわみ)」を主役にしたコースです。
(メインのカニを先にご紹介しています。他のお料理はまとめて後記。)

まずは幻の「極(きわみ)」が登場。思わずその大きさに慄く。存在感があり迫力が違います!
ラスボス級の大きさ!越前の極と三国の極が並びました。

トップブランドとして知られる「越前かに(越前がに)」は福井県で水揚げされる雄のズワイガニで、黄色いタグが付けられています。その中でも一際大きい1.1kg以上で色艶の良いのものが皇室に献上されます。全国のカニの中でも唯一、皇室に献上されているのが越前かになのです。
そして、2015年シーズンから「極(きわみ)」という新規格が登場しました。
個体の重さ1.5kg以上、甲羅幅14.5cm以上、爪の幅3cm以上など、厳しい基準をクリアした越前かににのみ与えられる称号です。
1.5kg以上というのはモンスター級です。
福井の人でもなかなかここまでのサイズには滅多に出会えることはなく、幻と言われています。1.65kgほどだったとか。すごい。
入荷も大変です。ものすごく苦労して仕入れてくださったのだと思います。今シーズンも5杯しか出ていないという話でした。

なので、「極」はお願いしたらいつも出てくる訳ではなく、本当に運とお財布次第です。越前かにというだけで高価ですが、「極」となるとK点越えした価格になります。

調理法は茹でのみです。が、蟹は茹でがとても難しいと言われるのですよね。また、シンプルに茹でで食べるとカニのポテンシャルの違いが良く分かるというものです。同じ日本海側なのに味に違いが出るのが不思議ですが、越前かにはやはり美味しいのですよね。理由は、九頭竜川から良質な水が流れ込む良い漁場であると言われます。

真っ赤に色付いた茹で蟹。切り込みを入れてくれたカニ足をカニフォークで自分で身出しして頂きます。

さすが「極」は重量感もありどっしりとしていて、しっかりと身が詰まっている。シルキーな食感と甘さを口いっぱいに感じる幸せ。蟹味噌をディップして贅沢に頂きました。この上ない贅沢。

その他のお料理はこんな感じでした(まとめて紹介)。主に福井と北陸の地物食材をしっかり取り入れたコースです。
個人的に今回好きだったのは、お吸い物のカニ真薯白味噌仕立てとお食事の「田んぼの天使」です。
一燈さんは、お造りも素材のポーションが全部しっかり大きめで箸にもずっしり来るサイズ。個人的には素材の個性が口の中で堪能できる引き方が好きです。

●福井県池田町の餅米のお粥、自家製カラスミ

●お吸い物 カニ真薯、大野フキノトウ
白味噌仕立てのお吸い物に繊細なカニ真薯。とっても美味しかったです。

●お造り
10キロのクエ、ヤリイカ、ボタンエビ 富山、雲丹 福井
●鰆、地がらし
●若狭ふぐ白子 焼

●のど黒 三国、原木しいたけ「香福茸」
●鯖鮨 福井日向(ひるが)
●お食事、酒粕漬け若狭牛 山椒ソースで
お米は福井宮崎村で作られる有機米「田んぼの天使」。噛むほどにピュアな甘さがじんわり湧き出す、素晴らしい美味しさです。これはそのままの白米で味に浸りたい。
●今庄の干し柿アイス

2021年9月17日 重陽の節句

初訪問。カウンターではなく個室でしたが、厨房と席までのインターバルを感じさせない温度感も良かったです。
●前菜
能登の毛蟹を青々とした里芋の葉を器に乗せて、重用のお節句の菊を散らして。
毛蟹、福井大野のつまみ菜、福井九頭竜舞茸、ヒラタケ、福井美山のキクラゲ、小芋に蟹酢ジュレをかけて。さっぱり涼やかで秋が薫る前菜からスタート。

●お吸い物
若狭ぐじ、蕪、松茸、茗荷、青柚子

●お造り
能登のマハタの船上活締めと日向の真イカ、福井日向(ひるが)の戻鰹 藁焼き。
結構面を取った刺身の引き方が印象的でした。

●お凌ぎ
お凌ぎとして出てきた2品。
銀杏の器には福井河野であがった秋鯖の押寿司。厚い身の表面を炙ってレア感を残すように火入れ。実山椒で風味を添えて。
三国の甘海老塩麹漬けのキャビア乗せは、甘海老のねっとりした甘さに塩麹の甘塩っぱさとコクが好相性でした。

●三国のど黒
深まりゆく秋をしみじみ感じさせるしつらえで、三国の焼きのど黒を。新銀杏、栗の素揚げと。


●若狭牛サーロイン炭火焼 マコモダケ、大野クレソン、ポン酢

●福井大野 黒無花果、胡桃
大野の黒無花果の、スキッと品のある雅やかな野趣と甘さに、胡桃の滋味を添えて。お酒はここで黒龍さんの梅酒にしました。

●お食事
宮崎村(現越前町)で育てらたお米で、3日前に収穫したばかりの新米でした。これは嬉しい。

艶々としていてお米がピンと立っていて、日本人のDNAが反応。新米は水分量が多いですが、輪郭を出した絶妙な炊き方で美味でした。

乗せてあるのは、福井の名産品である”しおうに”です。塩漬けし熟成させて飴色になった雲丹は、濃厚でねっとりした旨味がご飯を勧めます。
凝縮したまろやかな旨味で、無限にご飯が食べられるやつです(お酒のアテとしてもぴったり)。

おかわりには、生いくらと鮭の親子丼。

●デザート 秋の果物とヨーグルトソース