「小料理 鈴木」ディープスポットやきとり横丁内に実力店あり!繊細な魚料理は店構えとのギャップがツボ。冒険心掻き立てられる

料理: 7.5 その他: 7.5 ポイントについて
小料理 鈴木 (こりょうり すずき)
営業時間 19:00~翌3:00
定休日 水曜 年末年始
価格帯 19:00からは一斉スタートで7000円コースのみ、21時からはコースとアラカルト
訪問回数 13回

金沢市木倉町の一角にある「やきとり横丁」内にある割烹です。「やきとり横丁」は集合型の酒場街で、暖簾をかけたお店が細い通路の左右に並んでおり、同店は奥の方にあります。「え?こんなところに?」という冒険感と昭和の風情を味わいながら進むことになります。

店主の鈴木繁さんは、市内いくつかの有名店で腕を振るわれてきて、同店をオープンしたのが2013年9月27日のこと。料理は魚がメインで完全ワンオペ。手頃な価格帯のお店なので、高級魚がバンバン出る訳ではありませんが、逆に大衆魚への工夫の凝らし方と技術力も腕の見せどころです。コンパクトなキッチンにはレンガで組んだ焼き台もあり、炭火焼料理が食べられるのも特徴。鰻白焼きは名物です。何か焼くと店内が煙もくもくになるのはご愛嬌。ライブ感と一体感が楽しく、そして店構えと洗練された料理とのギャップが魅力なのです。
日本酒は店主が選ぶ県外の銘酒で揃えてあります(地酒はほとんどありません。加賀鳶はあり)。
料理はコースとアラカルトがあり、19時からは7000円コースのみ(一斉スタート)で営業しています。21時からはコースでもアラカルトでもオッケーです。

ちなみに同やき横内にある焼鳥店「山田一美」は鈴木さんの姉妹店です。

「山田一美」木倉町やきとり横丁の“やき横”らしさ200%の焼鳥店。一度行ったらクセになるツボる店。

ガラガラと引き戸を開けたらすぐに6席のカウンターがあり、席に着いたらもう出入り困難な狭さなのですが、袖触れ合うこのコンパクト感が醍醐味でもあります。席に着いたらコートも脱いだりできない狭さなので、予め脱いでから入店ください。大きな荷物も置く場所はありません。椅子の下にカバンが入るカゴはあります。

2022年9月4日 コース:金目鯛そうめん、のど黒、すき焼き

市場お休みの日曜日に急にお邪魔することになったのですが、さすがツボを突く充実したコース内容でした。
今回特に印象的だったのは、金目鯛そうめん。

●甘海老、バイ貝

●金目鯛そうめん
出てきた瞬間テンションが上がる、ツボを付く一品。鯛そうめんの金目鯛バージョンです。キーンと冷たい出汁が、金目鯛の旨さと口の中で重なり広がる。美味。

●まぐろ山かけ

●カマスの酒盗焼き
炭火で焼き上げたカマスは皮目が香ばしく身はふっくら。酒盗の発酵のコクと優しい塩味がカマスに乗っており、思わず盃が進む。

●のど黒と岩もずく
のど黒は、器の中の温かい出汁でゆっくりと火入れされて、しゃぶしゃぶのようにレアでもっちりした食感。岩もずくの食感の対比が良いですね。磯の風味が調味料に。

●鯵 海苔巻き
鯵と芽ネギを一緒に海苔に挟んでひょいっと出してくれました。

●鰻白焼き

同店の名物、炭火で焼き上げる鰻の白焼きです。鰻が持つ脂で表面がカリッと狐色に焼きあがっていて、口の中で香ばしさと淡白な美味しさが広がる。

●毛蟹

お食事前のお酢の物のような感じで、地物の毛蟹でお口の中をさっぱりと。

●すき焼き
すき焼きタレでさっと火入れした牛肉を溶きたまごに落として出してくれました。食べる前からもう美味しい。
〆に牛肉を持ってくるのは、魚の流れにこのメリハリが出ていてとても良いです。
ひたひたの卵黄は余さずに、よそってくれたご飯にかけて味わい尽くしました。目尻が下がる美味しさ。

2022年1月20日 コース

雪がチラつく金沢。雪化粧をする木倉町の通りとやきとり横丁前もなんだか風情あります。

今回は久々にコースでおまかせしましたが、お献立構成にメリハリありとっても良かったです。

●ガスエビ、ヤリイカ

●甘鯛 蕪あんかけ
甘鯛炭火焼きに蕪のすりながしをとろっとかけて。優しく繊細で胃から体の先まで温めてくれる料理です。

●丁貝
見た目も味もバイ貝に似ていますが「丁貝(ていがい)」という貝で、バイ貝よりも殻が厚いそうです。身は跳ね返す弾力はありますが、柔らかく甘い。

●カマス酒盗焼
炭火で焼き立てのカマス。酒盗の発酵の奥深いコクと塩味が酒を勧める一品です。これはツボ。

●真鯛白子ソースがけ
真鯛は白子ソースとポン酢で。白子が自然薯のようにねっとり絡んで美味。

●鰻白焼き
同店の名物です。鰻は今の時期脂肪を蓄えているので、滲み出した自らの脂でカリッと焼き上がります。

●鰤海苔巻き
鰤を薄く引いたのを芽ネギと一緒に海苔に挟んでひょいっと出してくれました。

●一口毛蟹
地物の毛蟹でお口の中をさっぱりと。お食事前のお酢の物のような感じで。

●すき焼き
さっとすき焼きタレで火入れした牛もも肉を、溶きたまごに落として出してくれました。魚が続く流れにこのメリハリがとても良いです。

ひたひたの卵黄は、あまさずよそってくれたご飯にかけて味わい尽くします。良い〆。

2020年9月12日 アラカルト

ディナーコース時間帯後のアラカルトタイムにて、秋のネタを肴に。
ちなみに9月27日で7周年を迎えるそうです。おめでとうございます。同店鈴木の良さはやはり店構えと料理のギャップ萌え。一度訪れたら再訪問する確率は高いですし、ツボって何度も通っている方も多いと思います。小皿で少し出してくれる感じも嬉しい。
●真ハタ 造り

●ハタハタ 造り
おしながきに“ハタハタ”があったら必ずリクエストするやつ。ハタハタは身が細いので捌くのが手間ですが、甘さがあって美味。

●鰯炭火焼
今年は秋刀魚が高騰していて入らないということですが、目の前の焼き台で炭火焼きにした鰯はうまい。


●イクラ

●炙り明太子おにぎり
ご飯ものは毎回注文しようか迷うけど、絶対注文してしまう笑。鈴木では新潟南魚沼コシヒカリを使用たお茶漬けかおにぎりが食べられます。
県内産コシヒカリもおいしいですが、金沢市ではほとんどのお料理店さんで食べられるはずなので、地元民的には逆に嬉しい。ちょっとだけ炙った明太子をのっけて。やや小さめに作ってくれます。

2020年6月15日 アラカルト

21時からのアラカルトタイムに訪問。コースもいいですが、今日のネタで数品ポンポンと出してもらってお酒をやるのもここの醍醐味というもの。大将の手際の良さ、味の添え方の繊細さに目を見張ります。
●ガスエビ、アカイカ

●蛤酒蒸し
クレソンもさっと火入れして添え青ゆずを振る。お酒が進む濃いめの蛤出汁。

●まぐろ漬け
ほんのりニンニク醤油で漬けにしたマグロを、芽ネギと山葵を共に海苔でクルッとしてヒョイっと出してくれる。

●太刀魚
巻いてカウンターの焼き台で炭火焼に。ほわっと身が柔らかく軽く仕上がっており美味。

●のど黒ごはん
のど黒と新生姜のご飯をおにぎりにして、豊洲林屋の海苔に挟んで。こういうご飯もの、〆に最高です。

2020年1月10日 コース

19時スタートの7000円コース。料理は合計10品で、そのうち9品が魚料理でした。コースの流れ・構成がよく考えられてあり、味の添え方と調理法でメリハリを作り、魚ばかりで飽きてくるという印象がなく、最後まで楽しめました。

日本酒は3種類頂きました。やわらぎ水にはお酒の仕込水も準備ありました(有料)。

●サヨリ昆布締め、アオリイカ
サヨリ昆布締めは葉を象った盛り付けで。

●白子
白子にマッチする出汁あんに、ハナビラタケと春菊。ああ、おいしい。黒七味が味を引き締めます。

●マハタ

●鰤トロ
食べる前にもうおいしいきつね色。鰤トロを炭火で焼くことで、鰤の持つ脂が滲み出して皮目がカリッと香ばしく焼きあがり、さらに身はほわほわと美味。紅芯大根にスダチを絞るとピンク色に。

●中トロ海苔巻き
中トロと芽ネギを海苔にのせて手渡ししてくれました。

●才巻海老
うまい。胴体の部分はレア感を残してみずみずしく仕上げ、添えてある頭の部分はカリカリ香ばしく焼き上げてあります。

●鰻白焼き
鈴木さんの名物料理。鰻は蒸さずに焼きだけで仕上げてあります。表面の香ばしさと、じゅわっと口に広がるおいしい脂。

●毛ガニ
毛ガニ登場。味の流れ的にここで酸味を持ってくるのはすごく良いと思いました。

●やまと豚
やまと豚は赤身やわらかいブランド豚。炭火焼にしてみじんの玉ねぎをドサっとのせ、醤油だれをかけて最後にホースラディッシュを削る。もちもちとやわらかい身。玉ねぎとホースラディッシュの健やかな辛味が脂っ気を切ってくれます。これも工夫の一皿。

●のど黒と蛤のだし茶漬け
最後の締めは出汁茶漬け。出汁がけにしてのど黒にはゆっくり熱が入ります。サラサラとあっという間に胃におさまる。「おかわり」と言いたくなるおいしさ。

アラカルト写真ギャラリー

●金目鯛のお造り(秋)
軽く炙ってから能登の薄口醤油をサッと塗り粗塩を施す。炙りの香ばしさにスダチと穂紫蘇の爽やかな風味が乗り、能登の粗塩が味わいを引き締めています。
外食文化研究家 あすか
●お造り のど黒(秋)
スダチをかけて奥能登の荒塩を振ってある美しいお造り。炙りを入れることで、のど黒の脂がよい感じに出ていて、オイルマリネしたように身をコーティングしています。
外食文化研究家 あすか
●秋刀魚炙り(秋)
皮目を炙って脂を際立たせてあるため、とろける口当たり。表面に肝醤油を塗ってあるので、ほのかなほろ苦さあり。
外食文化研究家 あすか
●出汁巻き玉子(予め取り分けてくれています) 
瞬きする間もなく強火で一気に焼き上げてふるふる。茶碗蒸しのような口どけ。
外食文化研究家 あすか
●いぶりがっことマスカルポーネ
沢庵の燻製であるいぶりがっこも、こんな風にして出してくれる。ライトなクリームチーズがスモークに良く合います。
外食文化研究家 あすか
●ホタテの炙り
外食文化研究家 あすか
●白ネギ焼
こちらも炭火焼にて。じっくり炭火焼きにしてあるので、口に入れると中からピュッと甘いジュがこぼれます。
外食文化研究家 あすか
●鰻白焼き
外食文化研究家 あすか
外食文化研究家 あすか
●炙り明太子おにぎり
お米は新潟南魚沼コシヒカリを使用。空気を含ませたほわっとした握り方もニクイ!「ああ、日本人で良かった~!!」
外食文化研究家 あすか
●きまぐれ茶漬け
炭火焼した太刀魚(日替わり)を、たっぷりの出汁と魚沼産のコシヒカリでお茶漬けに。太刀魚にはあらかじめしっかり味つけしてあって、出汁で良い感じに薄まります。飲んだ帰りに、これ食べに立ち寄りたい一品です。
外食文化研究家 あすか

「山田一美」木倉町やきとり横丁の“やき横”らしさ200%の焼鳥店。一度行ったらクセになるツボる店。