「吉はし」知る人ぞ知る金沢の超名店。一線を画する繊細な生菓子(予約販売)。絶品!滴翠とは?いちご大福世界一美味しいと思う

料理: 8.0 その他: 7.5 ポイントについて
吉はし菓子店 (よしはし かしてん)
営業時間 【月〜土】9:30~17:30、【日】9:00〜11:00 ※売り切れの場合は早仕舞い
定休日
価格帯 いちご大福(380円)、桃大福(440円)
訪問回数 17回

東山にある創業昭和22年の和菓子店。
主に上生菓子や生菓子を予約制で作られている菓子店で、金沢ではお茶会や料亭さんで登場することがあります。今まで数々の名茶会に吉はしさんのお菓子が出されたことでしょう、季節の上生菓子はもちろん、テーマに合わせてオリジナルで作ってくれたりもします。「こちらは吉はしさんのお菓子です」と出されると、「あら、吉はしさんのお菓子だなんて特別ね」「吉はしさんのお菓子を取り扱っているなんて素晴らしいですね」と、出した側が一目置かれるほどです。
なぜここまで支持されるのかというと、やはり一線を画した美味しさにあるのだと思います。

例えば、上生菓子に持っているイメージって、あんこがギュッと密に詰まっていて甘さもヘビーで重い感じではないでしょうか。吉はしさんの上生菓子は舌の上ですぐさま消えるように軽く、灰汁がなくて繊細なんですよね。

上生菓子は、数日前に電話で予約をしてから受け取りに行くスタイルで、予約なしに直接お店に行っても買うことはできません。(※お店はテイクアウトのみでイートインはなし)

一部、当日でも買える生菓子や干菓子を「豆半」という名前で販売していますが、特にフルーツ大福は売り切れが早いので、お取り置きの電話をされることをお勧めします。
特筆したいのは、電話も店頭での対応もとても丁寧なことで、「私、いいお菓子買いに来たんだわ」という気持ちを高めてくれます。

店舗は東山の住宅街にあります。観光客で賑わうひがし茶屋街の近くですが、吉はしさんのお店の辺りは民家が多い場所で観光客さんはあまり見当たりません。

ちなみに、吉はしさんのかき氷店(暖簾は「豆半」)が2022年7月下旬に静かにオープンしていました。こちらも超注目です。

「豆半」吉はしさんの夏限定かき氷店。人気菓子を織り込んだ唯一無二の美味しさ!

フルーツ大福(夏)桃、シャインマスカット、キウイ

こちらは「豆半」としての商品なので当日でも購入できますが、売り切れも多いのでお取り置きしてもらうのがベターです。

フルーツ大福は半分にカットすると断面が写真映えすることもあり、いろんなところで見かけるようになりましたが、味を精密に構築したフルーツ大福の美味しさというものを同店が教えてくれたように思います。なんと言っても、まず求肥の繊細さ。お持ち帰りできるかのギリギリの繊細さなんです。

●フルーツ大福 桃(440円)※夏季限定
やはり本当に素晴らしい美味しさでした。今年も食べられて良かった。
熟れて糖度が高い桃は、大胆な1カットがドシっと入っていて、包んであっても立派な桃だということが良くわかります。
今にもとろけて液体になりそうなやわらかい求肥と白餡、咀嚼した途端に果肉が果汁になるジューシーな桃が口の中で調和して絶品です。

●フルーツ大福 シャインマスカット(440円)※夏季限定

●フルーツ大福 ゴールデンキウイ※夏季限定

フルーツ大福はパインもあり。その他、夏季限定のお菓子は、麦羊羹(1080円)と若鮎(230円)がありました。

【吉はし 夏のフルーツ大福】桃大福はやはり絶品です。夏だけの「滴翠」も素晴らしく完成された美味しさ

いちご大福(春)

●いちご大福(2024/4/3、2023/3/2、2022/4/12、2022/3/12、2022/3/7、2022/3/4、2022/2/18、2022/1/28 大体2個ずつ食べてます。)

なんと今年2024年は、あんが白黒の2種類で登場していました。
提供時期は、いちごの入荷次第ですが(良いいちごが入った時しか作らないので)、4月中旬か、下旬までもしあれば提供可能ということでした。
●いちご大福(各1個380円)

別格。吉はしさんのいちご大福、一番好きです。
イチゴの粒がしっかりと大きいので、大福自体の大きさも他店よりひと回り大きい。どっしりとして、真っ白な求肥にイチゴの赤が見え隠れする愛らしい見た目です。


カットすると真っ赤なイチゴがパッと香気を放ちます。あんは白餡。

求肥は水分量が多くて繊細でとろんととろける。この口当たりは吉はしさんのフルーツ大福らしい。優しい白餡と、糖度高くジューシーで風味の良いイチゴの果汁と柔らかい求肥が口の中で一体になります。。

クロこし餡の方も、あんがきめ細かく繊細で、口の中で小豆の風味がスッといちごの酸味と甘さに溶け合います。これは絶品。

滴翠(初夏から)

●滴翠(夏のお菓子)
“てきすい”と読む、名前から風流な夏限定の涼菓。
吉はしさんのお菓子はどれも素晴らしいですが、中でも特に好きなお菓子。新しい美味しさをオリジナルで生み出し、味わいが完成されている逸品です。


笹の葉に包まれ、見た目からもう涼しげですね。しっかり冷やしてから食べるのが美味しいです。

蓮根のでんぷん、抹茶、能登のミルクを使用したお菓子。ゼラチンとも寒天とも違うし、プリンともまた違う独特な食感。ふるふるとみずみずしいですが、ややしっかりめの弾力があります。蒟蒻ゼリーに近いかな。
能登産のミルクの優しい味わいに、抹茶と笹の葉の青い風味がのっている。喉ごしに清涼感もあり、ちゅるんと胃に滑っていきます。

桜餅(春)

●桜餅(3月〜4月中旬頃まで)
桜の葉を2枚使用した長命寺桜餅。桜の葉1枚で包み込むのとは違い、葉でサンドしてあり平べったい形状です。そのため、最初から最後まで葉と生地とあんは均等な比率で食べられるんです。
塩漬けした葉の塩けと桜の風味に、なめらかなこしあんが乗る。さらに驚きは、柔らかい白玉が入っていること。これがクッションのようになっており、味わいを持ち上げます。


花びら餅(新年)

●花びら餅(※前日までに予約をしてください。)
新年のお菓子と言えば花びら餅ですね。
雪がふんわりかぶったような半月型のお餅の中には、薄桃色に色付いたお餅を重ねてあります。中は白味噌あんと甘く煮た牛蒡。牛蒡というのが意外に感じられますが、この牛蒡の滋味と風味が趣きあって良いのです。食感も柔らかくてお餅と餡に調和しています。

栗きんとん(秋)

(※前日までに予約をしてください。)
●栗きんとん
通常の栗きんとんは、栗の粒のような形にキュッと絞ってあってコロンとした見た目ですが、こちらのは一回り大きくて黒文字もスッと入るほど軽い。ホロホロと消えるような口溶けで、強い栗の風味が広がり、目を閉じると秋風が舞うようです。ああ、美味しい。他店よりも少し高価ですが、お値段の価値があります。

イ・モンブラン(秋)

(※前日までに予約をしてください。)
●イ・モンブラン
見た目は見慣れたモンブランですが、一味違います。五郎島金時を使用したモンブランで、中には道明寺と無花果が入っており、半分に割ると無花果の赤い果肉が目に飛び込んできます。モンブランは吉はしさんらしく瑞々しくふわっとしており、消えるような口溶けでほっこりした甘さが広がります。そこに無花果の滋味と甘さが合わさり、秋の味。

当日買える「豆半」のお菓子

予約をしなくても買うことができてやや日持ちがする干菓子や羊羹、どら焼きなどのお菓子もあり、吉はしの別ブラント「豆半」の名前で同店舗内で販売しています。私は吉はしの生菓子のほうのファンですが、こちらはお土産にもできて良いかも。特に金沢に何度も来ている人は、定番のお土産はよくご存じだと思うので、豆半さんはちょっとレア感あっていいかもです。

●麦羊羹
夏限定の水羊羹。香ばしい麦の風味とつるんとみずみずしい口当たりが素晴らしい。

●凸凸(とつとつ)黄奈粉 (日持ち25日)
なんだか可愛らしい名前のお菓子が登場しておりました。お日持ち長めで、袋形態なのでお土産にしやすい商品です。パッケージのリスのデザインも可愛らしいですね。
胡桃をお砂糖でコーティングしたお菓子で、お味は、黒糖・きな粉・抹茶・ココアがあります。ほとんど売り切れしており、残り一つだったきな粉味が買えました。
ほくほく食感の胡桃に、きな粉のほこほこと素朴でふくよかな味わいが広がって美味しい。これはオススメです!

●寒氷(かんごおり)
寒天とお砂糖を使用した、茶席にも使われる干菓子。パステルカラーが可愛らしいですね。生菓子ではありませんが、お日持ちは10日間なのでお早目に。

●本練ようかん

他にも葛餅やどら焼きなどありますが、どのお菓子も毎日あるわけではないですし、売り切れが早いので、お昼にはもうなくなっているかも。必ず手に入れたいなら、事前に電話予約がいいと思います。1個からでも取り置きしてくれますよ。