富山の黒部峡谷トロッコの最終駅にある秘境の温泉宿です。料理は、この初夏の時期は山から摘み取って来た山菜料理が食べられました。宿の方もとても親切で、リラックスして料理も温泉も、そして良い意味での秘境の孤独感も楽しめました。
ただ、“秘湯”というだけあってアクセスは覚悟してください。金沢からだと、宇奈月温泉まで行くのにもちょっと時間がかかります。さらに黒部峡谷トロッコの最初の駅「宇奈月温泉駅」から1時間強、最終駅である「欅平駅」まで行かねばなりません。トロッコは富山県出身の女優室井滋さんのアナウンスを聞きながら充実したもので、全身に風を感じながら、切り立つ渓谷を走り、エメラルドの河川など風景を楽しめる今の季節が最高です。
※宿の営業は、通常であれば5月20日頃から11月半ばまで。冬季は雪深くなり、トロッコも走っていないので休業しています。
(宇奈月温泉駅から黒部峡谷トロッコに乗車)
ガタンゴトン、ガタンゴトンと山奥へ向かいます。
新柳河原発電所は、まるで湖のお城。
ここまでで1時間強。トロッコを降りて、ここからさらに山手に向かって徒歩15分。「本当にここにお宿があるのかしら?」という、山々に360度囲まれた場所をひたすら進みます。
途中、その名も“人喰岩”という、口を大きく開いたような岩のトンネルを通り、まだまだ不安になりながらも進むとようやくたどり着きました。
お湯は硫黄泉。日帰り湯もOK。
露天風呂、貸切風呂、内風呂の3箇所があります。露天風呂は一番滝が近く、マイナスイオンを感じながら湯に浸かれる気がしました。
お料理は女性料理人さんが準備されているそうです。さすが山のことを熟知していることが料理からも伝わってきました。山菜それぞれの特徴を掴んで、個性を活かしてあり、味の添え方も絶妙。今回は特に、笹の若芽である根曲がり竹が旬真っ只中なのでしょう、料理に目立ちました。
●前菜
独活きんぴら、アザミ、自家製ごまどうふとワラビ、カボチャすりながし
独活ベーコン巻き、独活冷やし味噌煮
最初から山の野趣三昧。独活ベーコンは独活の苦味が効果的に感じられ美味。
●岩魚骨酒
うまいです。2合でしたが、岩魚の香ばしさが燗酒に移ってうまいのなんのって。あっという間に空になりました。
●根曲がり竹
皮ごと香ばしく焼いた根曲がり竹。皮がアルミホイルの代わりとなって、包み焼き状態になっています。外皮を剥くとつるんと美しい。ヤングコーンのような風味で、食感はハチクのようで、味わいはアクがなく甘さが立ち上がります。
●お造り(メジナ、ニベ、甘エビ)
海の魚です。なぜ海の魚が調達できるのかというと、トロッコで毎日運んでもらうそうです。
●山菜天ぷら
独活の新芽、ゲンノショウコ、カニコウモリ、イタドリ、ヨモギに白海老とエノキダケ。初めて耳にする山菜もあり。こういった珍しい山菜が食べられるのはここの強み。
●岩魚
●山菜グラタン
ベシャメルに山菜の苦味がアクセントに効いています。根曲がり竹、タケノコ入り。
●豚塩麹漬け
●根曲がり竹ご飯
お食事も根曲がり竹。いい塩加減で箸が進みました。
●デザート
ヨモギ豆腐の冷やしぜんざい、くろべ牧場のアイス、メロン、さくらんぼ
アクセスは困難ですが、宿までの道中も楽しみにぜひ冒険に出かけてみてください。晴れた日が最高です!
日常を少しの間忘れ、頭を空にして、大自然に浸る。とってもリフレッシュできます。