【あえのこと 合鹿庵】ユネスコ無形文化遺産“奥能登のあえのこと”が体験できる!能登のご馳走たっぷり!かやぶき古民家で

 (2018.5.18投稿の記事に加筆し2021.10.21投稿)

毎年12月5日、奥能登の農村の家々では古くから“田の神様”をおもてなしする神事が行われています。一年間の収穫の感謝と翌年の五穀豊穣を祈願する祭事で、「奥能登のあえのこと」という名称で1977年に重要無形民俗文化財に指定され、2009年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。“あえのこと”の意味は、「あえ=饗」「こと=祭り」です。
柳田植物公園内にある“合鹿庵(ごうろくあん)”は、藩政期のかやぶき古民家で、実際の神事が毎年執り行われている場所です。12月5日は毎年多くの人が見学に集まっています。さらにここでは神事後に食事が味わえる直会(なおらえ)も開催されており、予約にて参加することができます。

さらに12月5日以外では、「神々の宴 in 能登・合鹿庵」と題し体験ツアーを開催しています(年間約290日予約可能)。ツアーはまず実演を見学して頂き、その後にお食事を召し上がって頂きます。

(私はこちらの「能登町ふれあいの里やなぎだ植物公園PR大使」を努めさせて頂いております。)
(写真右:能登町柳田植物公園施設長、馬場信義さん)

それでは、いざ あえのこと!

あえのこと神事

あえのことの儀式は奥能登の各家々で様々ですが、一連の流れは共通しています。
こちらが中正道氏による実演です。

あえのこと神事で特徴的なのは、目に見えない田の神様を、実際目の前にいるかのように振舞っておもてなしをするということです。
家の主人は、紋付袴という“正装”で田に神様をお迎えに行き、丁寧にエスコートして話しかけながら、自宅に案内します。
「段差がありますので、お気を付けください」など声をかけながら。

家に招き入れてからは、まず神様に炉端で休息して頂き、さらにお風呂に入って温まってもらいます。

その後は祭壇に招き、真心こもった御馳走でおもてなしをします。
ひとっ風呂浴びた後、食事となるわけですね。

床の間には、男女の田の神を表す俵を二つ据え付け(田の神様は夫婦)、それぞれの御膳に二股大根と栗箸を置いて祭壇が作られています(一本大根を男性、二股大根を女性に見立てて各1つずつにする家もあります)。なぜお箸は栗の木で作られているのかというと、栗の木は実が採れるということで、豊作になるようにという願いが込められています。さらに
1尺2寸(約36センチ)という長さにすることで12ヶ月を表しているそうです。
それにしても、ずっしりと結構な重量感がありました。

食事の準備が整ったら田の神様をお呼びして、主人は膳の内容を一品一品丁寧に説明します。

準備されているお料理は究極の地産地消メニューで、全てに意味が込められています。


ご飯は必ず白飯の大盛り。赤飯はおめでたい印象がありますが、(もち米を)「蒸す」調理法は「蒸し=虫」を連想させ、縁起が悪いとされています。そのため、茶碗蒸しも御膳には並びません。
汁は、お豆腐を具にした納豆汁で、粘り強く一生懸命仕事をするという意味が込めてあります。昔はどこの家でも藁つとの納豆や豆腐を作っていたので、調達しやすかったという理由もあるのかもしれません。
お煮しめの具は、ダイコンやフキ、ニンジンや里芋などを5、7、9種類の奇数で準備します。また、煮しめの定番である焼き豆腐は、「田が焼ける」として縁起が悪く使用されません。
刺身や酢の物には、出世魚のブリを使う農家が多いとされています。この時期は内浦に面する定置網でブリが獲れるのですが、昔も漁が盛んに行われていたそうです。

魚の尾頭付きは、「芽が張る=メバル」の意味を込め、ハチメ(メバル)。また、田の神様は甘い物が好物とされており、清酒ではなく“甘酒”で、デザートにはおはぎも準備されます。 

ちなみに神はそのままその家でゆっくりと年を越し、翌年の2月9日に行われる「田の神送り」の儀式を経て、また元の田へ送り出されます。

直会(なおらえ) あえのこと神事後に食べられるお食事

神様が食された頃あいを見て、お下がりは私たちが直会として頂きます。

能登の食材の豊かさと、作り手さんの丁寧さが伝わって来る品々。田の神様を尊び大事にして来た、先人達の思いも読み解けます。

そして、あえのことツアーの宴では、あえのことの料理に加えて、能登食材をふんだんに使用した奥能登の郷土料理も味わえます。お刺身や焼魚、トンビ(イカの口)串に能登牛串、いしる鍋まで〜ご馳走たっぷりです。(写真は一部、時期により内容は異なる可能性があります)





デザートには、能登出身世界のパティシエ辻口博啓さん特製「希少糖入り 柳田ブルーベリーアイス」付き。

ユネスコ登録された神事を味わいながら知って頂ける、なかなか内容の濃いツアーです。12月5日は立ち見で埋め尽くされるほど殺到し、お食事が出来ない人も多くいらっしゃいますが、ツアーでは全てをじっくり体験できます。是非ご参加下さい。

内容・予約方法

【神々の宴in能登・合鹿庵】
場所:柳田植物公園内 合鹿庵(ごうろくあん)
    石川県鳳珠郡能登町上町口部1-1
定期開宴日:7月8月を除く、毎月第2・第3土曜日と日曜日
毎昼12:00~13:30
申込み:2日前までに下記アドレス又は電話・FAXにて受付
shokukou@ca3.luckynet.jp
TEL:0768-76-1680
FAX:0768-76-1681

【貸切宴】
昼宴は12名様以上25名様まで、夜宴は8名様以上25名様までの定員で、希望される日時の2週間前までに申込みいただければ、7月・8月及び12月26日~1月5日を除く平日を含めたすべての日程で予約が可能。(但し、定期開宴日で昼宴を希望される場合は定期開宴に組み込まれます。)
※貸切昼宴料金は、御一人様5,500円からで飲み物は別途。夜宴は同8,800円から。少人数のVIPプランもあり。
※宿泊に関して:合鹿庵は柳田植物公園の中にあり、宿泊などについては公園内のアストロステージ(6棟)が別料金で利用できます。予約にて。詳しくはお問い合わせください。