「隠れキリシタン料理」400年続くアニマー祭で味わう。キリシタン大名高山右近との繋がりが深い七尾の「本行寺」にて

高山右近と言えば、キリシタン大名として知られおり、学校で歴史を学ぶと必ず出てくる人物です。その高山右近は能登国とも繋がりがあり、毎年5月26日に七尾の本行寺では「アニマー祭」という“隠れキリシタン”の例祭が400年以上も継承されています。


2019年5月26日に開催されたアニマー祭に参加をさせて頂き、本行寺の住職である小崎学円(こざきがくえん)さんにお話を伺いました。本行寺は茶人円山梅雪が文明年間(1469〜1487)頃に開設したとされていますので、500年以上の歴史があるということになります。

キリシタン大名高山右近は、1587年に豊臣秀吉によって発令された「バテレン追放令」によって追われましたが、前田利家は西洋文化に精通している右近を招いたそうです。キリスト教徒が弾圧される中で右近は本行寺に身を隠して宣教を続けたそうです。しかし1614年、徳川家康が「禁教令」を出し、右近は国外追放となりマニラに送られました。今のように数時間で飛行機でマニラにアクセスはできません。かなり厳しい航海だったそうで、長い航海中に何人か亡くなったそうです。マニラに到着した右近も疲労のためか40日ほどで亡くなりました。マニラには高山右近像が建てられており、私もマニラで確認することができました。

追放後もこの寺は信者が集う場所となり、毎年「アニマー(霊魂)祭」が行われており、「隠れキリシタン料理」(商標登録)が提供されています。キリスト教が伝来した16世紀のポルトガル料理が再現されているのそうですが、印象はポルトガル料理というか、和食にポルトガル料理の要素を潜ませてあると感じました。

・大唐米
キリストの血を意味する赤米

・神団子汁
お味噌汁に芋のデンプンで作った団子入り。小麦粉の団子のように食感がしっかりしている。

・ヤリイカの墨煮、からいもせん、フキと人参 なます ひろうす(がんもどき)
「からいもせん」も芋のデンプンから作られていますが、こちらはこんにゃくのように透明感があってもっちりしています。紅白なますには右近の好物だった柿をのせてある。

・金花糖

本行寺には、キリスト教にまつわるものが残ります。(アニマー祭にて拝見しましたが撮影・掲載は不可)
例えば、十字架が入っている仏像。仏像の腹部が左右に開くようになっており、中に十字架が入っています。さらに、十字架が隠し彫りされた「ゼウスの塔」、キリシタンの女性が着用していた小紋もあります。小紋にはイエスがベツレヘムに生まれた時の「聖書の絵物語」が描かれていました。

ちなみにこの本行寺は、わたしの母校である御祓中学校(現在は閉校)の裏手にあるのですが、こんな例祭が行われてたなんて、大人になるまでずっと知りませんでした。こんな身近なところに高山右近と深い繋がりを持った場所があったとは。

アニマー祭のあとは、同寺内の茶室きく亭でお茶をいただきながら、人々の思いで永きに渡って紡がれて来た歴史の重みに浸りました。