福井県の小浜エリア、大飯郡おおい町名田庄という、山の中にポツンと佇む日本料理店。
金沢の中心部からは車で2時間半(往復で5時間もかかる)というかなりアクセス困難な場所で、到着するまでは「本当にこんなところにお店があるの?」と不安になるくらいの道のりなのですが、大注目のディスティネーションレストランです。
店主の田中俊祐さんは、京都『菊乃井』さんで10年腕を研磨され、30歳の時に独立の地として選んだのが故郷。築100年以上の実家の母屋を改装開始しました。店名は曽祖母の戒名からとっているそうで、家族や故郷に対する思いの温かさも伝わってきます。
里山の野菜や山野草、川魚やジビエ。若狭湾で獲れる魚や三方五湖の天然鰻、発酵食材や伝統料理を取り入れて、最大限に自身にしかできない料理の強みや魅力として昇華させてあり、本当に素晴らしいと思いました。
このレストランが無かったら訪れるはずもない場所なのですが、ここに来て里山の魅力を十分に教えてもらい、季節で味わいたくなりました。
現在32歳。現状でもかなりの完成度なのに、今後、季節をめぐるほどにさらに深みを増していくとなると、一体どうなっちゃうのでしょうか。楽しみですね。福井が誇る名店です。
・コッペガニ
まず最初の一品って、大事ですね。すっかり心掴まれました。
ズワイガニのメス(金沢では香箱ガニですが)コッペガニを自然薯と蒸し上げて、見た目からも、とろりとしたあんと立ち上るほこほこの湯気の温かさ、粘りの強い自然薯のピュアな味わいとコッペガニが相性良し。ムカゴの里山の滋味を添えて。
・八寸
右斜め下を向いた“入舟”で、帰ってきた船を表現し、「一年間お疲れ様でございました」という意味を込めて。
椿の葉と花を散らしてありますが、船の中にも赤かぶらと干し柿で作った椿の花が。コッペ蟹のお寿司、バイ貝と近所の川で獲れる川海老は事前に炭火焼きにして。蕪の間引き菜、自然薯の揚げ物、金柑、銀杏の揚げ物、イチョウの葉に抜いたサツマイモチップス。素晴らしい八寸!
・お吸い物
福井の里山に積もる雪のように、真っ白な粕汁。白岳仙の酒粕をしてあります。
出汁は、さわらのアラと鰹と昆布。とろさわら、蕪、金時人参。
・お造り
あこう(キジハタ)1週間寝かせて旨みを引き出し、鱒は生きたまま締めてフレッシュな美味しさで。
山内かぶらのおろしと、ケール
・越前ガニ
黄色いタグが付いた越前ガニを目の前で捌き、まずはお刺身として。酢橘に塩を振ったものを添えてあり、絞って酢橘檸檬で。
・あまご塩焼き
さっきまで活きが良く暴れるように泳いでいたあまごを、目の前で炭火焼きに。
焼きの技術が素晴らしくて、頭から身まで全て食べられる。川魚の火入れは本当にテクニックが必要。焼き過ぎていて中がスカスカ、その逆もありうるが、絶妙にバランス良く全てが完璧で絶品でした。
しば漬けのピュレと出汁酢につけて味変を。添え物は、ルッコラ、どんこ。
・越前ガニ
かに出汁と白菜ペースト、蟹出汁でさっとレアに火を通した蟹足を添えて。冬に体を芯から温めてくれる、鍋のような、そして繊細な味わい。カーボロネロをオリーブオイルで塗ってオーブンで焼いてパリッとさせて。
・三方五湖 天然鰻 白焼、バジル麹
筋肉がむっちりとしっかりした食感で、ピュアな美味しさ。これはうまい。
・熊
熊の腕は煮込んで、仕上げに炙って野菜のピュレと。
・山内かぶら、熟鯖
・お食事、香の物、菊芋すりながしと里芋 山三つ葉、蟹身
名田庄の坂本米(コシヒカリ)をまずは煮えばなで。
蒸しあがったところでお食事として。
蟹身がけ
おかわりで自家製ふりかけと
・サツマイモとミルクのアイス 蜂蜜がけ、焼き柿
・抹茶、金平糖